本人無自覚のうちにクソ重感情を向けられてるやつ   作:占城稲

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セイアの口調が分からなすぎるんだが……?


百合園セイア

御形ミコト。

ティーパーティーに新しく加わった一年生。次期ホスト候補であるナギサとミカが、どうやら随分と目を掛けているらしい。

 

軽い興味から、同派閥の生徒に彼女の評判を尋ねてみたところ、

「巧言令色の八方美人です。もし向こうから近づいてきても、決して騙されてはいけません。」

と、やけに強い口調で忠告された。

 

ふむ。常に権謀術数が渦巻くティーパーティーにおいて、この手の生徒は珍しくもない。ただ、ミカはともかく、あのナギサまでもが心を許しているというのは、少し気になる。

 

いったい、どのような人物なのだろう。

この目で直接確かめてみたくなった。

 

----------

 

コンコンコン「御形ミコトです。」

 

「ん?ああ、君か。入ってきてくれて構わないよ。」

 

「失礼します」ギィィ

 

「こうして2人で話すのは、これが初めてだね。」

 

「あの、私何かしてしまいましたか……?」

 

「そう身構えないでくれ。君を呼んだのは、ただ少し話してみたかっただけだ。」

 

「私と?」

 

「ああ。ひとつ尋ねたいことがあるんだが、君は━━法とは善と公平の術である━━という言葉を知っているかい?」

 

「…知りません。」

 

「これは現在のトリニティの法律の元となった古代の法典からの引用だ。要するに、法とは善と公平を実現するための手段という訳だね。」

 

「自然法論ですか……?」

 

「!…そう、これは人間の本性や道徳に根ざした理念的な法である、自然法を表す1文だとされている。」

 

「正義なき法は法にあらず…」

 

「有名な言葉だね。けれど━━悪法も法なり━━という言葉もある。」

 

「法実証主義ですね!」

 

「流石だね。法は道徳とは分離し価値判断を行わない科学であるべきだという考えの方が近代では主流になってきている。」

 

「……」

 

「しかし、この考えのもとで一般的に不正義と言われることが正当化されてきた歴史があることも事実だ。トリニティの迫害の歴史を見れば……分かるだろう?」

 

「そうですね……」

 

「だから、私は法と正義は両存し得ないのではないかと考えている。…君はどう思う?」

 

「……正しいと思います」

 

「……ハァ。そうかい、やはり君は━━━

 

「でも!完璧な両立は不可能かもしれませんが、それを試みることは可能です。」

 

「…………続けてくれたまえ。」

 

「例えば、法律に修正条項を入れることや、より上位の法の憲法を権利保障の根幹として、権力者の私欲的な行使を防ぐ枠組みを整備することなどが出来ます。」

 

「━━━また、両立の為には我々は法律自体とその適用のどちらにも目を配らなければいけませんし、"善と公平"が何かを考えて、常にそこへ近づこうとする不断の努力が欠かせません。」

 

「━━━なので、失礼ながら申し上げますと、百合園様のその諦念は我々ティーパーティーとして相応しくないと思います!」

 

「……なるほど」

 

……驚いた。ここまでまっすぐと自分の言葉で私の意見を否定するとは思っていなかった。

 

少し意地悪をしてみたつもりだった。適当な法哲学の話でありきたりな結論を述べてみせた。

そうすると、彼女は私の意見にそのまま同意した。

私は落胆した。彼女にではない。ナギサにだ。

こんな子に惑わされるとは私はナギサを買いかぶり過ぎていたのかもしれない。そう思った。

 

他者からの評価が高いと、少なからず弊害をもたらす。

私の内面を崇高なものとして、勝手に推察されることが多々あるからだ。

そして、そんな相手に投げかけた私の言葉は全て"正論"として受け取られ、直ぐに賛同される━━つまり、議論にならない。

私は、それがなんとも退屈で億劫であった。

 

「ハッ!ごめんなさい!!私つい夢中になってしまって!!百合園様にとても上から目線なこと言ってしまいました……」

 

「気にしないでくれ。」

 

「━━━いや、今ので少し傷ついてしまったかもしれないね……」

 

「え、や、あの……」オロオロ

 

「ふふ、そうだね。では、お詫びとして1つ私のお願いを聞いてくれるかい?」

 

「あ、はい、どうぞ……」

 

「偶にで構わないから。私の話し相手になってくれないだろうか。」

 

「……へ?」

 

「学年、立場関係なく、さっきのように気兼ねなく私と意見を交わしてくれないか?」

 

「大丈夫…ですけど……」

 

「〜♪ なら早速、私の好きな本について紹介させてくれるかい?」

 

「私なんかでいいなら…喜んで!」

 

これが、私とミコトとの関係の始まりだった。

 

「それをナギサが独占しようとは。見逃せないね……」

 




法学的な話の部分はおかしな点が多いと思うのであまりつつかないでください()

ミコトは全然お嬢様じゃなくて、普通の家庭でトリニティと無縁の学園出身ですが、一人暮らしがしたくて遠くのトリニティ総合学園に進学しました。一般家庭のミコトがトリニティに通えているのは、学園から給付型奨学金を受け取っているからです。つまり、奨学金が貰える程度には頭が良いです。

作者のエデン条約の内容が曖昧なので、エデン条約編を読み直します。次話は少し待ってくださいorz

ガッツリストーリーに絡ませるべき?

  • 補習授業部ともがっつり絡ませて欲しい
  • ストーリーにはサラッと関わるだけ
  • エデン条約編以外にも絡んで欲しい
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