ハリー・ポッターの呪われた双子   作:フォンテ

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第9話 ダイアゴン横丁④

 

 ルークが、ハリーやアイラと握手を終えたあと、店内には一瞬だけ、奇妙な静けさが落ちた。

 

 誰も声を発していないのに、壁に積み上げられた杖箱が、かすかに軋む音を立てた気がする。空気が動いたというより、何かが目を覚ましたような感覚だ。

 

 ハリーは、自分の手のひらを一度、ぎゅっと握りしめてから開いた。さっきまで別の少年と手を合わせていた感触が、まだ残っている。硬く、温かく、どこか懐かしさを覚える手だった。

 

 アイラは、視線を落としたまま、赤い左目が疼くような感覚が気になっていた。激しい痛みではなく、一瞬だけジクジクと反応する感じだった。たぶん生まれつきオッドアイで、ペチュニアからは前髪で隠すように言われて、でもそれだけのことだった。だから、こんな感覚は初めてだった。

 

 ルークは、店内を静かに観察している。棚の高さ、箱の数、埃の積もり具合、整理されているようで、どこか無秩序な配置だ。この空間が『選ぶ場所』ではなく『選ばれる場所』だということは、感覚的に理解していた。そして、自分が選ばれることになる杖はあれだな、とその方向を見て直感する。

 

 そんな少年の横顔を、ハグリッドは横目で見ていた。

 

 やはり背中に、嫌な汗が滲む。

 

 似ている。

 顔立ちだけではない。立ち方、視線の置き方、空気の受け止め方だ。あの男が、子どもの頃も、確かこんな風だったと、思い出してしまう。まだ出会って数分ほどなのに、天才なのだと感じさせられる。

 

 だが、目の前の少年から感じるものは、決定的に違う。

 

 冷たさがない。

 支配する匂いがない。

 

 どう見ても大人びてはいるが、至って普通の少年だ。でもそれすら演技で、騙されているのかもしれない。胸の奥で、警鐘は鳴り続けていた。

 

 そんなとき、店の奥から、擦れた足音が聞こえた。

 

 細長い通路の影から、年老いた男が現れた。白い髪は肩口まで伸び、瞳は暗闇の中でも光を失っていない。年齢を重ねているはずなのに、その視線は鋭く、何も見逃さない。

 

「……ふむ」

 

 オリバンダーだった。

 

 彼はまず、ハリーとアイラを見た。次に、ハグリッド。そして最後に、ルークへと視線を移す。

 

 その瞬間、ほんのわずかに、眉が動いた。

 

「今日は、にぎやかですね」

 

 静かな声だった。感情はほとんど読み取れない。

 

「新入生が三人とは。珍しい」

 

「あー、双子と、もう一人だ」

 

 代表してハグリッドが低く答える。

 彼は、ルークに話の主導権を任せてはならないと思っていた。ハリーやアイラが、魔法使いとして、そして運命を立ち向かっていくスタートだ。もしもそんな大切な決断を、歪められることがあってはならない。

 

「この子らが、ホグワーツに入学するんでな」

 

 そう言って、ハリーとアイラの肩を持って店主に見せる。横目にちらりと見れば、ルークは順番待ちをしているようで、観察しているようで、だが何かを仕掛けてくる兆候は全くない。

 

「そうですか」

 

 オリバンダーは、ゆっくりと歩み寄りながら、ハリーの額に視線を留めた。

 

「その傷……」

 

 ハリーは反射的に一歩下がりそうになる。

 

「……いえ、その顔立ちですね。覚えていますとも」

 

 老人は、懐かしむように言った。

 

「あなたたちの両親が、それぞれ、ここで杖を選んだ日のことを」

 

 ハリーは、言葉を失った。

 自分の両親を知っている人間が、また1人増えた。その事実が、胸の奥でじんわりと広がっていく。

 

「では、まずはあなたからにしましょうか」

 

 オリバンダーは、ハリーに向かって言った。

 

「杖は、魔法使いを選びます。焦る必要はありません」

 

「……はい」

 

 ハリーは、深呼吸してから一歩前に出た。

 まるで儀式を受けているかのような感覚だった。

 

 巻き尺は勝手に動き出す。腕の長さ、肩幅、足のサイズ、ほかにも耳から鼻先まで、あらゆる箇所を測られていく。くすぐったくて、落ち着かない。

 

 それが終われば、オリバンダーは棚に向かい、いくつもの箱を取り出していく。

 

「まずは……これを」

 

 ハリーが杖を握った瞬間、店の奥で何かが爆ぜた。

 アイラは身の危険を直感したように、咄嗟にカウンターから離れた。それからすぐ、火花が散り、あちこちの棚が揺れる。

 

「ふむ、違いますな」

 

 次の杖へ、さらに次の杖へ。

 ハリーは試すように杖を振る。

 

 風が吹き荒れ、積まれた箱が床に転がる。アイラはハグリッドの巨体を本能的に盾にするように隠れて、暴走するような魔法の余波から逃げていた。

 

 まるで、ハリーの魔力と杖が喧嘩し合っている。

 様々な杖が使われたがるが、彼の魔力の質に反発している。

 

 ハグリッドはアイラを護りながら、ハリーの才能に驚いていた。杖選びは難航する者が多いとされているが、ここまで激しくなる話は聞いたことがない。

 

「これでもない、これでもない、これでもない」

 

 オリバンダーが次々と杖を持ってくる。もう何本振っただろうか、ハリーの腕は少し疲れてきていた。

 

 だが、オリバンダーの目は、次第に鋭さを増していく。

 

「……なるほど」

 

 老人は、ひとつの箱を持ってきて、慎重に、丁寧に取り出した。

 何年も埃をかぶっていたような杖だが、まさしく不死だと感じさせられ、決して杖に衰えを感じさせない。

 

「やはりか……これを試してみなさい」

 

 ハリーが杖を握った。

 

 その瞬間に、温かい衝撃が、手のひらから腕へ、そして胸へと広がる。

 金色の火花が、柔らかく弧を描いて宙に舞う。

 

 祝福されたかのようだった。

 

「……あ」

 

 思わず声が漏れる。

 心臓が、強く脈打った。

 

「不死鳥の尾羽、ヒイラギの杖、11インチ」

 

 オリバンダーは、真剣に低く言った。

 

「非常に……興味深い」

 

 ハリーは、言葉もなく杖を見つめている。

 それから彼は、オリバンダーから小さな声で何かを伝えられているようだった。

 

 だいぶ長く、ハリーにだけ聞かせるかのようだ。

 

「……なんだろ」

 

 やっと嵐が収まったかのようで、アイラはほんの少し顔を出して、ハリーの様子を見た。

 まただ、自分の左目の奥が、熱を持っている。耐えられないほどではないが、思わず左目は前髪の上から抑えてしまう。

 

「次は、あなたにしましょう」

 

 オリバンダーは、アイラに視線を向けた。

 

「……はい」

 

 アイラは、静かに前に出た。

 

 巻き尺が動く。彼女は微動だにせず、指示を待った。

 測られている最中も、周囲の空気を読むように、無意識に呼吸を整えている。

 

「落ち着いていますね」

 

「……そうでしょうか」

 

 頷いてオリバンダーは、少しだけ口元を緩めた。

 杖が選んでくれるというのなら、じっとしていればいいだけだ。なんと楽なことだろうか。ハリーのように、次々と試していけば、やがて選ばれるだろう。

 

 オリバンダーは、じっくりと悩んでいる。

 ハリーの時はすぐに試させていたのに、だ。

 

「……やっぱり」

 

 ハリーが選ばれた者だろうけど、自分はそうではないのかもしれない。

 

 兄がいつか『家』から飛び出そうと、昔から反抗するようにあがいていたが。

 自分は、今まで受け入れ、どこか諦めていた。兄が手を引っ張ってくれて、ハグリッドが背中を押してくれて、そのおかげできっとここにいる。

 

 魔法の世界で楽しみなことはあるけど、恐怖や不安もあって。

 普通に学んで、普通に大きくなって、自由に世界を旅してみたい。

 

「ふむぅ……」

 

 まだオリバンダーは悩んでいる。

 ハリーも、ハグリッドも、ルークも、何も声をかけてこない。

 

 アイラはぐるりと店内を見渡した。どれもすごそうな杖で、この店の歴史を感じた。もしも強い杖なら、きっと自分はその強さに頼ってしまうだろう。その結果、暴発でもして誰かを傷つけてしまうかもしれない。ハリーが杖を試していた時に、そう思った。

 

「……どれも合うようで、どれも合わない」

 

 オリバンダーはまだ杖を持ってこないし、ハリーの時のように試すこともない。

 

 また見渡していると、ふと気になる箱があった。

 古い箱がたくさんある中で、新品の綺麗な箱で、どこか神秘的なものを感じる。それと、かすかな怯えも感じる。周りの大人な杖に囲まれていて、人見知りかのようだ。

 

 まだ子どものようで、自分もまだ子どもで。

 あの杖と一緒なら、ゆっくりと、地道に、成長していけるだろうか。

 

「……おぉ」

 

 オリバンダーが気づいたように、その箱がある場所に向かっていく。

 アイラの中では、どうしてという疑問と、あれがいいという期待があった。

 

「いやはや、もうこの杖が出ていくことになろうとは」

 

 カウンターに置いて、丁寧に箱を開けて、包みを開ける。

 

「柳の木、ユニコーンの毛、9インチ」

 

 その杖は、完全にまっすぐではなかった。

 半分くらいでしなやかに曲がって、またまっすぐ伸びている。

 

 黄色の塗料なのだろうか、不思議な縞模様も描かれていた。

 

「試してみるといい」

 

「……はい」

 

 深呼吸してから、アイラが握ると杖は静かだった。

 ハリーが杖を握った時と違って、何も起きない。

 

 同じ双子でも、魔力の質や量に、大きな差があるんだろうかと、アイラは不安になる。

 

「力強さではない。安定、忠誠、暴発しづらい。あなたを支えるための杖です」

 

「……そうなんですね」

 

 アイラは、確かに求めているような杖だと実感できた。

 派手な魔法で戦っていくよりも、生きていくための学びが、自分が求めているんだろう。壊さず、守り、続けるための何かだ。

 

「アイラも決まったんだね!」

 

「……ん」

 

 ハリーが笑顔で近づいてくる。

 どうやら待ってくれていたようで、一緒に喜びたかったんだろう。

 

 ハリーは、持っていた杖を再び見つめた。重さを確かめるように、握り直しては、また緩める。そのたびに、胸の奥が微かに温かくなる。

 

「……これが、僕の」

 

 独り言のような呟きだった。

 

「おう、相棒だぞ」

 

 ハグリッドが、優しい声で言う。

 彼が杖を得た時、最初はどう思っていただろうか。

 

「魔法使いにとって、杖は一生もんだ。大事にしろよ、絶対だぞ」

 

「うん!」

 

 ハリーは、強く頷いた。

 

「わかりました」

 

 アイラは、静かに自分の杖を手のひらに馴染ませる。

 とてもしっくりと来る。それが、何よりも安心だった。

 

 一緒にがんばっていこうって思えた。

 

 アイラやハリーは代金を支払い、こうして杖は2人それぞれの所有物となる。杖はハグリッドに預けず、ズボンのポケットに入れて持ち運ぶことになるだろう。

 

 でも今はまだ、2人ともしっかりと杖を握って、その感触を確かめていたかった。

 

 ハグリッドも、この時間を楽しませていたい。

 店を出るのはゆっくりでいいだろうと思っていた。

 

「さて」

 

 オリバンダーがそう声を出して、次の客に視線を向ける。

 

「……っ」

 

 ハグリッドは勢いよく振り返って、カウンターに向かってくる少年を見る。

 景色に溶け込むかのように気配を感じさせていなかった。

 

「いらっしゃい。お待たせしましたかね」

 

 ルークは、一歩前に出た。

 ハリーとアイラは、ハグリッドに合わせるように、カウンターの前を明け渡す。

 

「いえ、お気になさらず。他のやつの杖選びを見るなんて、貴重ですし」

 

 その声は落ち着いていて、素直にそう言っているようだった。

 

 オリバンダーは笑顔で頷く。

 彼は巻尺を手に取ることもなく、杖を取りに行くこともなく、ルークの顔をじっと見つめていた。

 

「測る必要も、手助けする必要も、なさそうですね」

 

 どうぞ、とオリバンダーは少年に許可を出す。

 少年は最初からわかっているように、店の棚に向かっていく。

 

 ハグリッドの喉が、再び鳴った。

 嫌な予感と、否定したい感覚が、同時に込み上げてくる。これほど規格外な杖選びは聞いたことがなかった。ハリーのように大量に試すのでもなく、アイラのようにじっくり考えるのでもなく。

 

 少年自らが、埃の積もっている箱を、1つだけ取ってくる。

 

「これを買います」

 

「白樺、ケルピーのたてがみ、11インチ」

 

 カウンターに置いて、代金を支払い、自分の手で箱から開けた。

 

「へぇ、これが」

 

 刀身が白いナイフかのようで、不思議な紋様があり、真っすぐな杖だ。

 

 彼が杖を握った瞬間、空気が澄んだ気がした。

 派手さは全くない。

 

「白樺の杖は、過去を断ち切る者を選ぶ。世にも珍しいケルピーのたてがみを芯に持つそれは、流れを読み、静かに支配する者のための杖です」

 

「え、あ、はい、支配ですか?」

 

 何か大事なことを言われているらしく、ルークは一語一句を覚えようとはするが、メモに書き留めておきたいほどだった。

 

 支配という言葉に、ハグリッドの表情は険しくなる。

 確かに珍しいが、ケルピーのことは知っている。様々な姿になることができ、油断している者を背中に乗せて川や湖の底まで飛び込む魔獣だ。世界最大のケルピーは、ネス湖で海蛇の姿に変身しているとも聞く。縄かけ呪文により手綱をかけることで、ケルピーは従順となり、恐れる必要もなくなるが。

 

「少々難しい言い回しとなってしまいましたかね。老人の悪い癖、聞き流しておいて構いません」

 

「大事なことなんでしょうけど、店主がそういうのなら」

 

 暗記は苦手なんだ、という少年らしい表情をしている。

 そんなルークを見て、オリバンダーは深く息を吐いた。

 

「……すでに、立っていますね」

 

「? そうだ、これも記念に貰っても?」

 

 空き箱を見せ、頷いて許可が出ると、空き箱をポーチの1つにしまう。

 握っていた杖は、くるりと回して腰のベルトに挟んでおく。

 

「それでは、ありがとうございました」

 

「ええ、こちらこそ」

 

 老人は微笑んだ。

 ルークは店から出ようとしている。

 

 ハリーやアイラは彼を追いかける前に、杖が入っていた箱を受け取れないかと聞いて、それを持った。

 

「今日という日は、覚えておきなさい」

 

 オリバンダーは、3人にそう伝える。

 ルークとハリーとアイラは丁寧に会釈して、ハグリッドと共に店を出た。

 

 

 こうして、3本の杖がそれぞれの手に収まったこととなる。

 

 

 店を出ると、外の光が一気に差し込んできた。

 ほこりと静寂に包まれていた空間から、再び、ざわめきと色彩の世界へ戻る。

 

 ハグリッドは、思わず深く息を吐いた。

 

「……ふう」

 

「あれ、どうしたの?」

 

 ハリーが、ハグリッドの険しい表情を見上げた。

 

「いや、なんでもねぇぞ」

 

 誤魔化すように言って、笑ってみせる。

 

 通りは相変わらず賑やかだった。

 買い物袋を抱えた人々、談笑する魔法使いたち。

 だが、先ほどまでとは、少しだけ景色が違って見える。

 

 ハリーやアイラも、まだ見習いとはいえ、魔法使いとしての一歩なのだ。

 

 ルークはまだ他の買い出しもあり、どこかに行こうとしていたが。

 彼は一度振り向いた。

 

「そうだ。2人とも、ホグワーツでまた会おう」

 

「うん!」

「はい」

 

 ハリーとアイラが、それぞれ頷く。

 ルークは、穏やかに笑った。

 

 ハグリッドは、そのやり取りを横目で見ながら、心の奥で整理をつけていた。

 疑念は、完全には消えない。だが、それ以上に、目の前の少年が持つ気配は、あの男とは違う。

 

 同じ顔立ちでも、同じ運命ではない。

 そう、信じることにした。

 

「じゃあ俺は、ここで失礼するよ」

 

 ルークは歩きながら軽く手を振って、ハリーは大きく手を振って。

 アイラは丁寧にお辞儀しようとしたけど、同い年の学友だと思って、小さく手を振ることにする。

 

「「「またホグワーツで」」」

 

 ルークは人混みの中に溶け込んでいった。

 流れの中に、自然に消えていく。

 

 どうやら保護者と来たわけではなく、完全に1人でダイアゴン横丁に来ているようである。ハリーやアイラは、本当に同い年なんだろうかと思った。

 

 しばらく、3人はその方向を見ていた。

 

「……変わったやつだね」

 

 ハリーが呟く。

 

「でも、嫌な感じはしなかったね」

「だね。ダドリーのように威張らないし」

 

 ハリーやアイラにとって、やはり同い年で背が高いやつのモデルはダーズリー家の1人息子なのである。小学校でもガキ大将なダドリーと違って、彼の背の高さは安心感があった。

 

 ハグリッドも、黙って頷いた。

 

「さて」

 

 彼は、気持ちを切り替えるように声を張る。

 

「俺たちの買い出しはこれで全部だ。帰るぞ」

 

 ハリーはまだまだ物足りなそうにしていたが、ハグリッドの荷物の量を見れば、頷くしかなかった。

 

「あの……ホグワーツには、いつ、どうやって?」

 

 アイラが尋ねる。

 きっとハグリッドにも、自分の都合がある。

 

 これだけの大荷物をどう持っていくかも、ダーズリー家でどう保管しておくかも、頭を悩ませることなのだが、まずは今後の流れの確認だ。

 

「おっと、そうだったそうだった」

 

 ハグリッドは笑いながら、耳をかっぽじって聞け、というように改まる。

 

「9月1日の午前11時、キングズ・クロス駅だぞ。9番線と10番線の間、ちょいと変わっとるが、まあなんとかなる。他のやつらもその日は集まるし、心配すんな」

 

 アイラはしっかりと記憶した。

 まだまだホグワーツに行くまでには時間に余裕がある。ダーズリー家に戻って、改めてどう駅に向かうか考えなければならないだろう。幸い残っている金貨もあるから、公共交通機関を使っていくことになるかもしれない。

 

 他にも、籠に入って大人しく眠っている白いフクロウを、ハリーがお世話できるのかもある。ペチュニアの許可が出るかもわからず、ダドリーはすぐオモチャのように取り上げようとしてくるだろう。

 

 まだまだ考えるべきことは多いが。

 

「はやく、はやく! 行きたい!」

 

 ハリーはもうホグワーツが待ちきれないようだ。

 でも、自分もそうだと思う。

 

 このまま帰れば、ダーズリー家でいろいろと厄介事はあると思うけど、それを乗り越えれば魔法を学び始められる。

 

 ポケットに入れた、この杖と一緒に、がんばっていこうと思える。

 

 自分が選び、杖に選ばれ。

 そんな相棒ができたことに、ちゃんと一歩進めたと思えた。

 

 

 

 

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