.hack// Vol.SAO   作:imuka

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第十五話

 

 

 デスゲームが始まってから一年以上――僕達はついに、この世界の半分へと到達した。ただ、それはただの到達点ではなく、これまで以上に重い緊張を伴っている。

 

 第五十層フロアボス攻略。

 もちろん、今までの戦いもすべて命懸けだった。けれど今回ばかりは別格だと誰もが予測している。

 

 集められた攻略会議の場。

 最前線を担うギルドの代表や、選りすぐりのプレイヤー達が一堂に会していたが、誰も軽口を叩くことなく、会議室の空気は張り詰めていた。

 

 ――だからこそ、僕は口を開いた。

 

 「皆、そんなに肩に力を入れないでよ。」

 

 意識して明るく、軽やかに言葉を選ぶ。

 

 「これからの戦いは確かに厳しい。でも僕達は今までだって何度も乗り越えてきた。……だから、気楽に行こうよ。」

 

 そう言って、両手を広げて――

 

 「気分変えるために……ギャグでも言おうか?」……と、らしくもない冗談を口にした。その瞬間、会議室にシン……とした静寂が流れる。

 

 「……せっかくだ。聞かせてもらおうか?」

 

 クラインが半笑いで乗ってきた。

 

 「えっ……。」

 

 ……しまった、と後悔がよぎる。けれどここで引いたら余計に場が白ける。

 腹をくくり、意を決して口を開いた。

 

 「じゃあ……えっと……『五十層を攻略すれば、50%クリアした……ってことは、僕らも“半人前”ってことかな?』」

 

 再び訪れた静寂が苦しい。

 

 一拍遅れて、皆の脳裏で言葉が変換され――

 

 「……ぷっ」「ぶはっ!」「あははははは!!!」

 

 爆笑が巻き起こった。

 

「おいおい!そんなつまらなくて寒いギャグで場を和ませようとしたのかよ!?」「ある意味で尊敬するわ!カイトにここまで言わせた俺達が悪かったな!」

 

 クラインもエギルも、しまいにはキリトまで笑いながら茶化してくる。……ほんと皆、好き放題言ってくれるなぁ。

 でも、それで空気が和らいだのなら――それでいい。

 

 そう思いながら、僕は右手の震えを必死に隠していた。心臓はまだ強く打ち、体は正直に緊張を訴えている。

 ――だとしても。皆の笑顔があるのなら、大丈夫だ。

 

 「……カイト、お前。」

 

 小声でディアベルがそっと僕の横に立つ。

 その背には、仲間を守る決意と、僕への信頼が宿っていた。

 

 さらにアルゴはわざとらしく背中に寄りかかり、軽口を叩いた。

 

 「オーイ、カーくんヨ。あんなギャグ飛ばすなんて……ついに“凍結”スキルを覚えたナ?」

 

 「……ひどくない?」

 

 「それだけ寒かったってコトダヨ。」

 

 ふざけた口調のまま、彼女はそっと背に手を添え、震える僕の体を支えてくれた。

 

 (……無理すんな、相棒。)

 

 言葉はないけれどそう言ってくれるような、伝わってくる想い。

 そして、ディアベルもまた黙って頷き、そこに立っていてくれる。

 

 「……ありがとう。」

 

 小さく呟いて、僕は笑みを浮かべる。

 

 (大丈夫。僕は独りじゃない。)

 

 心の奥でそう確信しながら――改めて、第五十層の戦いに臨む覚悟を固めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボス部屋の前。

 重い扉の前に並んだプレイヤー達の顔には、緊張がはっきりと浮かんでいた。そして、その先頭に立つヒースクリフが、ふとこちらを振り返る。

 

「カイトくん。……第五十層ボス攻略だ。号令をもらえるかね?」

 

「え? 僕?」

 

「第一層から皆を導いてきたのだろう?」

 

「僕だけじゃないし、率いてきたつもりはないけど……。」

 

 一瞬迷ったが、すぐに頷いた。

 

「――わかった。みんな、僕からは多くは言わない。ただ……今日もいつも通り“生きて帰る”。それだけだ!」

 

「「「おうっ!!!」」」

 

 僕がダガーを掲げると、皆もそれに合わせて武器を掲げた。

 緊張に押しつぶされそうだった空気が、雄叫びと共に一気に熱へと変わる。

 

 「フロアボス攻略戦、開始!!!」

 

 重々しい音を立てて扉が開き、全員で雪崩れ込む。

 

 ――現れたのは、黄金に輝く金属の巨像。

 背後には無数の腕を生やし、荘厳さすら感じさせる異形の守護神。

 

 金属仏像・千手護法王(センジュゴホウオウ)

 

 「……っ!」

 

 ただ立っているだけで圧が胸を潰してくる。節目の層に相応しい“格”の違いを感じる。

 

 

 その実力は、最初の一撃で証明してきた。

 

 「なっ――!?」

 

 振り下ろされた腕の一閃で、ヒースクリフ以外のタンク隊がまとめて吹き飛ばされた。HPバーが一気に半分を割り、戦列が崩れる。

 

 「そんなっ!?」「嘘だろ……!」

 

 範囲が広すぎる!ヒースクリフだけじゃカバーできない!

 幸い、僕達後衛はまだ無傷。なら――少しの間だけでも盾を繋がなきゃ。

 

 メニューを開き、できるだけ早く操作しながら装備欄を確認する。

 その中に――存在するはずのない武器名が一瞬目に映り、息を呑む。

 

 ……でも、今は考えている暇なんてない!

 

 僕は両手(・・)に【虎王】を呼び出し、ヒースクリフの隣へと駆け込んだ。

 

 「タンク隊の体勢が整うまで、僕も守りに入る!!」

 

 「援護、感謝する。」

 

 ヒースクリフが僅かに笑みを浮かべ、僕の構えを見てさらに笑みを深くした。

 

 「君には、やはりそのスタイルが似合っている。」

 

 「今それ言ってる場合!? 潰されるってば!」

 

 「ふっ……だからこそ、乗り越える価値がある。」

 

 ああもう、この人は本当に……!

 

 「アスナ!!体勢を立て直して!僕達が時間を稼ぐ!!ディアベル!!手伝って!」

 

 「了解!」

 

 駆け寄ったディアベルが僕の隣に並ぶ。

 メインターゲットはヒースクリフが取っている。こぼれる攻撃を僕とディアベルで受ける形だ。

 

 「俺達は完全なタンク装備じゃない!交互に受けるぞ、カイト!」

 

 「うん、僕が合わせる!」

 

 ――地響きのような連撃。

 ヒースクリフの盾が軋む音が響く。

 僕とディアベルは交互に身を滑り込ませて衝撃を受け止め、その度にHPが削られていく。

 

 ……でも、隣の男は違った。

 ヒースクリフのHPバーは、微動だにしない。

 

 (なにあれ!? 装備とビルド、どうなってるの!? レベルいくつだよ……!)

 

 内心のツッコミを必死に飲み込み、僕とディアベルはただ前に立ち続ける。

 

 その時――後方から鋭い声が飛んだ。

 

 「団長!カイトさん!立て直し完了!これまでのモーション、ある程度パターン化できたわ!」

 

 アスナだ。

 

 「よし、一度下がって回復を!主攻撃は変わらず私が受けよう!」

 

 「ディアベル!攻撃隊で指揮!アスナは全体の指揮で立ち回りを整えて!ヒースクリフは防御に集中!余波は僕と他のタンク隊で受け止める!誰かヒースクリフのHPを注視して、回復のタイミングでスイッチする!!」

 

 全体に通達すると、アスナもすぐに意図を理解して動き始める。――完全にヒースクリフの防御に頼る戦術。けれど、今はそれしかない。

 

 「……ここからが巻き返すよ!」

 

 僕はダガーを握り直し、千手護法王を睨み据えた。

 

 一人の力に頼る不安――そう思った僕の心配は、ある意味で杞憂だった。

ヒースクリフは完璧な防御を見せつけ、どれほどの連撃を受けても致命傷には至らない。減ったHPは、彼自身のバトルヒーリングだけでほぼ補えていた。

 

 ……けれど、余裕がないのはむしろ僕達だった。

 タンク隊はボスの余波を受け止めるたびにHPを削られ、受け方を一度でも誤れば瞬く間に3割は消し飛ぶ。

 

 「僕達は一度に3人まで!大人数で受けると回復の手が回らない!」

 

 僕の指示に、皆は必死に頷きながらスイッチを繰り返す。

 力押しの猛攻は、最前線の技量を持つ者でさえ受け止めるのに精一杯だった。

 それでも攻撃隊は確実にダメージを積み重ね、ボスのHPバーはじりじりと減っていく。

 ――このまま耐え続ければ、勝てる。そう信じ始めた矢先だった。

 

 HPが半分に差し掛かった瞬間、千手護法王が巨体を一回転させた。

 

 「――っ!?」

 

 薙ぎ払うような衝撃波。避けきれず、ほぼ全員がその攻撃を被弾する。威力自体はそこまでではない。……けれど、問題は――

 

 「……スタンッ!?」

 

 呻き声があちこちから上がる。ほとんどの前衛が硬直に囚われ、回避不能のまま立ち尽くす。

 ――その中に、ヒースクリフの姿もあった。

 

 「まずい……!!」

 

 タゲは依然としてヒースクリフに向けられている。このまま直撃すれば、彼といえども耐えられない。

 

 「っ……!!」

 

 咄嗟に飛び込み、振り下ろされる巨大な刃を両手のダガーでクロスして受け止めた。全身を貫く衝撃。HPゲージが真っ赤に染まっていく。

 

 「くっ……!」

 

 押し潰される寸前、スタンから復帰したヒースクリフが剣を弾き返し、僕は間一髪で解放された。

 

 「すまない。カバー、助かった。」

 

 鉄壁の彼ですら、スタンを食らったことに僅かに驚きを滲ませていた。

 

 「貴方が倒れたら……守る人がいなくなるから。――またお願いね。」

 

 僕は息を荒げながら下がり、慌ててポーションを口に含む。幸い、ボスは僕ら以外には目を向けていなかった。そのおかげで他の仲間はすでに回復を終え、再び隊列を組み直し始めている。

 

 (……次に警戒すべきは、HPバー最後の一本。絶対に仕掛けてくるはず――)

 

 そう考えた、その時だった。

 

 「……え?」

 

 ボスが突如、メインターゲットだったヒースクリフを無視し、巨体をこちらへと振り返らせた。

 視線が――僕だけを射抜く。

 

 「なっ……!」

 

 後方で回復していた僕めがけて、巨腕が振り下ろされる。咄嗟に地面を転がり、刃をかすめる。

 

 「変異型……!?でも、まだHPは三本残ってるのに……!」

 

 でもおかしい。これは単なる変異型じゃない。ボスは完全に、僕を狙っている。

 

 「ッ!!」

 

 追撃の衝撃波が地を裂き、爆風が耳をつんざく。それでも奴は仲間を無視し、ただ一直線に僕へ迫ってきた。

 

 「「カイト!!!」」

 

 キリト、ディアベル、キバオウ、クライン――仲間達の声が飛んでくる。

 けれど、轟音にかき消され、かすかにしか届かない。

 

 「いったい……なんなんだよッ!!!」

 

 迫りくる連撃を、必死にダガーで受け流す。腕が痺れる。足が震える。それでも止まれない。

 

 (こいつ……なんで、僕だけを………!?)

 

 歯を食いしばりながら、僕は刃を構え直した。

 ターゲットは依然変わることなく、僕を狙い続け、しまいにはキリトやアスナ達が繰り出す攻撃が効かなくなっていくのが見えた。他の仲間の攻撃もソードスキルも、ボスの装甲を弾くだけ。

 

 (なんだこれ………!?)

 

 まるで、このボスが“僕”という存在にだけ反応しているかのような……。

 

 胸の奥で、嫌な響きが広がった。

 ”AIDA”。

 その名が、警鐘のように鳴らす。

 

 僕は横に転がりながらボスの姿を細かく観察する。

 

 

 

 ある。間違いない。あの黒は間違いなく――

 

 (ボスがAIDAに汚染されてるの!?)

 

 右手の奥に、かすかな熱が宿る。

 ――黄昏の腕輪。僕がこの世界で隠し続けてきた、“イリーガルの力”。

 

 (AIDAを排除するには使うしかない……でも、皆に見られるわけにもいかない。)

 

 見られてはいけない。知られてはいけない。みんなを護るために――

 

 (見せなければ、いいんだ。)

 

 タイミングを計れ。状況を読め。掴め――できるはずだ”蒼炎のカイト”。責務を果たせ。

 自分にそう言い聞かせ、地を砕く一撃を転がるように回避し、舞い上がる砂塵の中で――

 

 「……ッ!」

 

 右手をかざした。最小規模の――《データドレイン》。

 

 狙いは左腕。砂の中で金色の閃光が瞬く。

 

 誰も見てはいない。誰にも気づかれていない。

 けれど、確かに――

 

 千手護法王の動きが、一瞬だけ止まった。

 

 (……よし、効いた。)

 

 次の薙ぎ払いも、間一髪で躱し――胸部に右手を突きつける。

 

 《データドレイン》

 

 ノイズの光が走り、装甲の表面が軋む。

 

 「今だ、攻撃隊!!」

 

 僕の叫びに応じて、キリトの剣が肩を裂いた。

 鮮血のような光が飛び散り――

 

 「通った……!?」「今度は、ダメージが入ってる!!」

 

 ディアベルの声に、仲間たちの士気が一気に高まる。

 

 (いける……少しずつ、“解体”してやる。)

 

 右手に籠る熱に違和感を覚えながらも、狙いを切り替える。

 左脚、背面、結合部――。

 

 精密解体のように、少しずつバグの殻を削ぎ落としていく。

 

 鼓動が、戦場の喧騒より大きく耳に響く。

 集中力が少しずつ削れていく。――まだだ、まだ耐えろ。

 

 《データドレイン》

 

 僕は右手を振り抜くようにして、さらに三発。

 小規模ながら確実に効く一撃を、関節部、装甲の隙間、そして中心制御核らしき箇所へと叩き込む。

 

 (……これで、終わりだ!)

 

 そう確信した瞬間――

 

 「ッ……速ッ!!」

 

 ボスが、“のっそりとした挙動”をかなぐり捨て、神速で動き出した。

 剣撃の速度も、角度も、範囲も――すべてが今までと“別物”。

 

 (避けられない――!)

 

 地面を転がり、視界がグルリと回る。

 システムアシストがなければ、立ち直る前に斬り伏せられていただろう。

 

 視界の隅に浮かぶHPバーが目に入る。

 

 (……まずい。これ、ラストフェーズ…か…!)

 

 ボスのゲージは残り一本。

 特殊な挙動は、プレイヤーを生かす気などない“本気”の証明だ。

 

 (動かなきゃ………!)

 

 集中力が切れ始めていた僕は足が縺れ、転倒した。まずい。死が迫ってくる。

 その時――

 

 「カイトッ!」

 

 盾の閃光が視界を裂く。

 次の瞬間、僕の前に立ったのは――ヒースクリフだった。

 

 「……すまない。フォローが遅れた。」

 

 普段は何を考えているのかわからない、あの無表情の男が。今は確かな意志を宿した瞳で、僕を庇っている。

 

 「君がターゲットなら――私が君の前に立ち、すべてを防ぎきってみせよう。」

 

 彼は静かにそう告げ、盾を構え直す。

 

 「ッ……!? 見切ったの!?」

 

 目にも止まらぬ連撃を、彼は初見で受け流し、防ぎ切っていた。その技量。反応速度。装備性能。

 

 (……この人、何者なんだ?)

 

 疑念が浮かんだ瞬間――

 

 「はああああああッ!!」

 

 キリトの咆哮が響き、黒の剣が核を突き刺した。

 

 ――そして。

 ボスはバキバキ、と音を立てながらその巨体が崩れ、無数のポリゴンへと還元されていく。

 

 

 

 『Congratulation!!』

 

 

 

 

 

 

 「やったああああ!!」「勝ったぞォォ!!!」「生きてる、生きてるッ!!」

 

 その文字が映ると歓声が広がり、勝利の喜びが弾ける。

 最前線の仲間達は肩を抱き合い、その場に座り込んで笑い合う。

 

 

 

 けれど――僕は違うところに目がいった。

 

 (……あれは。)

 

 崩れたポリゴンの中に、“黒いノイズの粒子”が混じっていた。それはバグの残滓。いや――AIDAの一部。

 空気に溶けるようにして、跡形もなく掻き消えていく。

 

 (……逃した……!)

 

 喜びの声が響く中で、僕の手のひらは震えていた。心の奥底に、形にならない焦りが爪を立てる。

 

 (ついにボス戦にまで……干渉してきた……。)

 

 胸の奥で、ざわりと不安が芽吹く。次に出てくるのは、もっと“深くて危険なもの”かもしれない――。

 僕は、誰にも悟られぬように小さく拳を握る。

 そんな座り込んだままの僕に、影が差す。

 

 「よく一人で、あの猛攻に耐えきってくれた。感謝する。」

 

 差し出された手を見上げると、そこにいたのはヒースクリフだった。その表情には、彼にしては珍しく――ほんのわずかな“熱”が灯っていた。

 

 「……初動からの攻撃を、あれだけ捌き続けた貴方には敵わないよ。」

 

 僕はその手を取って立ち上がりながら、自然と笑みを浮かべる。けれど、胸の奥に小さな違和感が残った。

 

 (ヒースクリフの……なんだろ……この感じ)

 

 普段はあんなにも感情を見せない彼が、僕の動きを観察するような目をしていた。

 気になりながらも、今は深追いしないと決める。どこかにひっかかりを覚えはするけど共に命をかけて戦っている仲間に疑心暗鬼になるのはよくない。

 

 

 そうしてようやく立ち上がった僕のもとに、ディアベルとキリト達が駆け寄ってきた。

 

 「おい、カイト! 本当に大丈夫か?」

 

 「……うん、大丈夫。流石にヤバかったけどね。」

 

 僕は苦笑しながら肩を竦める。

 ディアベルがほっとしたように小さく息を吐き、キリトも「心臓に悪いって」と言いながら軽く拳をコツンと僕の胸に当てた。

 皆の気持ちが胸の奥にじんわりと温かさが広がる。

 僕は手を差し出し、仲間とハイタッチを交わしていく。――生きて帰ってきた。その喜びが確かにあった。

 

 ……けれど。

 

(この戦いの中で起きた“異変”を、忘れてはいけない)

 

 明らかに不自然だったボスの挙動。突然複製された【虎王】。

 そして、最後のどさくさに紛れて消えたAIDAの残滓――

 

 (……何かが、また、始まろうとしてるのかも。)

 

 仲間達に笑顔を向けつつも、心の奥では焦りがくすぶり続けていた。

 

 「――カイト。アクティベート、行くか?」

 

 ディアベルの問いに、僕は首を横に振る。

 

 「ごめん、今日は……休みたい。代わってくれる?」

 

 「わかった。任されたよ。」

 

 ディアベルがにかっと笑って、代わりに仕切りを引き受けてくれる。

 

 皆を見送り、最後に残ったヒースクリフと目が合った。彼は言葉を発するでもなく、ただ――意味深な笑みを浮かべ、去っていく。

 まるで、“すべてを見抜いている”かのように。

 

 

 

 




これを読んでいる方でヒースクリフについて知らない方は、まぁ、いないとは思いますが。
彼はカイトの行動が楽しみで仕方ない。と言ったところ。

イリーガルなことはこれからもどんどん続きます。

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