.hack// Vol.SAO   作:imuka

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フェアリィ・ダンス編、第六話へも閲覧ありがとうございます。




第六話

 

 アルンに着いて、解散となった僕はログアウトして、晶良と夕食を食べていた。

 こうして一緒に食事をしているのは、僕が自分でご飯を食べれるようになってから、晶良が「一人で食べるのはさみしいでしょ」と彼女が提案してくれたからだ。

 

 しかも彼女の手作りで、栄養とかもかなり気にしてくれて―――嬉しいけど(文和くん)と同じ様な扱いしてない?僕、これでもお兄ちゃん(妹がいる)だけど?―――いるようなメニューが出てくる。もちろん、美味しい料理なわけだけど。

 

「作ってもらった料理って、自分で作るより美味しく感じるよね」

 

 僕はお礼と一緒に、晶良に話しかけると、彼女は自信満々気に胸を張った。

 

「SAOでは食事どうしてたの?生理現象的にお腹は空くんでしょう?」

 

「既製品買ったり、飲食店があったからそこに入って食べたり、だったかな。アルゴ―――タッグを組んでた相棒が料理スキル取ってからは、結構お世話になってたなぁ。

 特に、途中で仕様が変更になって、料理を摂る・摂らないことにバフ・デバフが付くようになってからは、相棒のご飯食べてた。料理スキルカンストしてたおかげでお店の料理食べるよりバフ量も全然違ったしね」

 

「ふーん」

 

 晶良の目が少しだけ細くなって訝しげ僕を見る。

 

「その相棒って女の子?」

 

「うん。βのときから組んでたんだ。語尾が面白いロールをしててね。彼女には色々助けてもらったよ」

 

 そう言えばSAO内部の話を晶良にするのは初めてだ。思い出したくないこと、とか気を使われてたかな。もちろん、悲しいことや、辛い戦いもあったけれど、あそこでの経験はそれがすべてだったわけじゃない。

 

「・・・聞きたいことがあるなら聞いても良いんだよ?晶良。話したくないことなんてないから」

 

 僕がそういうと、晶良は少し遠慮した顔をしたけど、意を決したように、顔をズイっと前に寄せてきた。

 

「その、アルゴって子について聞かせなさいよ」

 

 ん?アルゴの?聞かれると思っていた内容とは違っていて僕は少し首を傾げながらも、彼女について話す。

 最初は情報屋としてタッグを組んていたこと。僕の考えに同調してくれて、一緒に初心者を指導してくれたこと。秘密を知られてから”腕輪”を持つ僕に、不信感を抱かず、信用して支えてくれたこと。僕が挫けそうになった時、支えてくれて、立ち上がる手伝いをしてくれたこと。ロールと別に、根はすごく気遣いをしてくれる子であること。今思うと、彼女とはかなり長い時間共に過ごしていた。横を見れば彼女が居たなぁ・・・。

 

 なんてSAOの出来事を混ぜながら話していたら、晶良は「コイツはまたそうやって・・・」みたいな顔で僕を見ていた。なんだよ?その顔は。

 

「ずいぶんと仲が良かったようじゃない」

 

「アルゴだけじゃないよ。キリト、アスナ、ディアベル、キバオウ、クライン、エギル、シリカ、リズベット、黄昏の騎士団、月夜の黒猫団、攻略組の皆・・・The Worldで出会ったみんなと同じ、僕の大切な仲間だよ」

 

 僕がそう返すと、晶良は毒気が抜けたような顔もしつつ、呆れたようにため息を吐いた。

 

「ま、いいわ。せっかくだし、中での出来事、もう少し詳しく話しなさいよ」

 

 機嫌を良くしたような顔でニヤリと笑う晶良に、僕も頬を緩めて、話を続けた。

 

 

 

 

 そうして、始まりの日から順に話をしていて、ふと”ラフィン・コフィン討伐戦”のことを思い出し、箸と口が止まってしまった。―――忘れていた、わけではない、とは言い切れない。現に、今、思い出した(・・・・・)のだから。

 

 あの時の判断は間違っていなかった。今振り返ってもそう言えるだろう。けど正しくもなかった。人の命を奪うことに正当性はない、と思うから。でも、そうだとして僕に何ができるのだろうか。中での出来事について遺族に謝りにいく?いや、それはただの自己満足だ。

 きっとあの時のことで、僕にできることは何もない。忘れず、刻みつけて、生きていくことが僕にできることだ。そして二度と同じ様なことが起きないように努める。それだけだ。

 

 

 そう結論つけて、僕は目を開けると、目の前に晶良の顔があった。

 

「海人?」

 

 優しくかけられたその声に、目が潤みそうになるけど僕は首を振る。

 

「ううん。大丈夫だよ」

 

 強がりなんかじゃなく、しっかりとした意思でそれを伝える。

 晶良にも話しておこう。彼女に隠すことなんてないから。

 

「SAO内ではレッドプレイヤーって言われる人達が居てね。彼らはPKを主体としていたんだ」

 

 晶良が唾を飲み込んだ音が部屋に響いた。

 

「その被害が余りにも酷くなって、被害を止めるために僕たち攻略組は、その首魁であるレッドギルド『ラフィン・コフィン』を壊滅させよう、と動き出した。

 そうして彼らの根城にしている場所が見つかって、強襲をかけることになった。でも、今思えばアレは向こうから流された情報だったんんだろうね。強襲したつもりが待ち伏せされていて、僕たちは逆に強襲を受けた。乱れる陣形、殺すことに躊躇いのない攻撃に、仲間が一人、また一人とやられていって・・・僕はそれを止めるために、他人の命を奪った」

 

 きっとひどい顔をしていたんだろう。晶良の手が僕の右手を包んでくれた。

 

「僕が奪ったのは8人。―――あの時はそうするしか無かったし、僕の選択を後悔はしていない。でも、正しくもない行為だとも思う。だから―――僕は背負っていくよ。あの時のことをずっと、胸に刻んで」

 

 晶良が包んでくれた両手を、今度は僕が両手で包み返す。そして目を合わせる。

 何も言わずに聞いてくれてありがとう、相棒。これは僕の覚悟の表明。本来は誰かに言うものでない、ただの自己満足でしかないけれど。

 

 

 

 そうしてどれくらい晶良と見つめ合っていただろうか。

 扉の開く音に、晶良は大きく跳ねて、慌てて手を引っ込めた。

 

 扉を開けたのは土屋さんだった。どこか微妙な空気の僕たちに、土屋さんはタイミングが悪かったか、という顔を見せたけど、そのまま入ってくるように促す。

 

「世界樹攻略のためのメンバーがある程度招集できた。だが、これからアルンに向かうメンバーもいる。グランドクエスト攻略は、あと一日待ってほしい」

 

「うん、わかったよ。じゃあ明日はアルンで情報収集してるね」

 

「本音を言えば、もう少し人手がほしいところだがな。バルムンクからの話しでは、シルフだけの攻略、サラマンダーだけの攻略、どちらも惜しいところにすら届かなかった、という話だ。正直戦力不足は否めんぞ」

 

 そう言われて僕はキリトが頭に浮かんだけど、一人増えた所で焼け石に水である可能性は高い。

 

「アルンで声をかけしてみるよ。もしかしたら協力してくれる人いるかも知れないし」

 

「可能性は低いが・・・一番確実ではあるか・・・」

 

「海人の人タラシの本領発揮かしらね?」

 

「人タラシって・・・」

 

 晶良はニヤニヤと僕をからかう。

 

「そうだな。海人の手腕に期待することにしよう」

 

「もー。土屋さんまで。――できるだけのことをするけどさ」

 

 そう言って僕たちは笑い合う。

 

 

 決戦の時は近い。

 僕にできる最大限のことをやっていこう。それがみんなを最速で解放できることにつながるとそう信じて。

 

 




いつも閲覧、感想、評価、ありがとうございます。

晶良が資格をとったり、料理を振る舞ったりしているのはヘルバとミストラルが釘を刺したからです。「恋は先に動いたもん勝ちなんだよ!」と。どこまでも鈍感な海人ですが・・・。

SAO内での出来事を少し振り返る回でした。
SAO内での殺人、しかも防衛のための。悪くない、と切り捨てるのは簡単かと思いますが、きっとカイトはそうせず、苦しくなることもわかっていながらも向き合うんだろうな、というイメージ。

そろそろ物語も終盤。先の話を少しだけバラしますと、大集結、と言ったところでしょうか。
まとめるのに時間が掛かりそうなので、少々お待ちいただければ、と思います。
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