Artificial deterrent ~ Effective concept arms ~   作:Mr.凸凹

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~ prologue ~ 『衛宮 士郎編 01』

 

 

 

 

 

 夢を観ている。

 それは始まりの記憶。

 それまでの自分を焼き尽くした十年前の大火。

 それまでの世界(すべて)を対価に生き延びた『衛宮 士郎』としての始まりの夢―――――

 

 そして時が流れ、七年前。

 切嗣(オヤジ)に魔術を習い始めて約一年が経った頃、切嗣(オヤジ)が一ヶ月振りにお客さんを連れて帰ってきた。

 風に靡く草花の様な蒼い髪、優しげな其れでいて射抜く様な白銀と黄金のオッドアイ、長身の無駄無く筋肉を纏った体躯、同性の俺から見ても見惚れてしまうほどの中性的な顔立ちの青年だった。

 俺はその人に弟子入りし、本格的に魔術師……いや、魔術使いとして修業を開始した。

 それからの三年間は在る意味地獄と呼べる修業の日々だった。

 何せ俺の髪の色は真っ白、肌は褐色に変化するほどだった。よく、死ななかったものだ。

 まあ、身長は師匠(マスター)には及ばないが高くなったのは嬉しいの一言ではある。

 その壮絶な内容は―――――

 

 第一段階は師匠(マスター)の用意した刀剣類の投影を一日ノルマ百個。精度を少しでも落とそうものなら半殺し(愛のムチ)が待っていた。

 その上、何気に宝具が混じていて真名解放できなければ……うっ!!? あっ、頭が痛い! むっ、無理に思い出す必要もないよな。うん、考えないでおこう。

 

 第二段階は雪崩の様に打ち込まれる刀剣類を死ぬ気で投影魔術によって複製、並びに相殺させられた。

 更に舞う様な体術で繰り出される様々な武術を直に体に教え叩き込まれたしな。

 

 第三段階は師匠(マスター)の知り合いの死徒の騎士との実戦形式の修練。

 幾度と無く、命の危険、純尻(貞操)の危機に晒されたことか。

 しかも毎晩の様に師匠(マスター)の部屋からは黒のお姫様との睦言の声が響いてきて睡眠不足に陥った。

 あの時ほど師匠(マスター)に殺意を覚えた時はなかった。

 まあ、その後に俺も黒のお姫様に色々されてしまって、純尻(貞操)は儚く散ってしまったけどね。

 今となってはいい思い出って言えるのだろうか?

 思い出すと無意識に若干震えがくるんだよな。

 アハハハハ……

 

 第四段階は師匠(マスター)の召喚した幻想種や英霊達を相手に連日、連戦させられた。

 最後は自分と瓜二つの英霊が相手だった。

 その戦いで共鳴しあう様に彼の英霊の戦い方を吸収していき、だが今まで培ってきた物を基本に似て非なる技となり俺の戦いの型は唯一無二の物となった。

 

 最終段階は現存する魔法使いの一人-青の魔法使い(マジック・ガンナー)-との世界を叉に掛けた命がけの鬼ごっこだった。

 何故、二人の戦争(既に痴話喧嘩のレベルではなかった)に俺まで巻き込まれたのか。

 最後は時計塔(魔術協会)まで半壊させて悪い意味で俺まで有名人になってしまった。

 俺は危うく三途の川(アケロン)を渡って、この時から一年程前に亡くなった切嗣(オヤジ)に会いに行くところだった。

 

 その後は師匠(マスター)と共にフリーランスの魔術使いとして様々な事件を解決していった。

 中でも印象深いのが三咲町で起こった雪が降る幻影の白い夏。

 そこで俺は―――――

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

「ニャ~♪」

 

 目が覚めると眼に飛び込んできたのは自分の顔を舐める白い猫の姿であった。

 

「ふわぁ~~お早う、レニー……起こしてくれてサンキューな。さて、朝飯の準備をしないとな」

 

 背伸びをして体の凝りを解しながら土蔵から朝日の差す庭を抜けて母屋へと歩いていった。

 

 

 

 

 

「お早~う♪ 士郎ぉ~レニーちゃ~ん♪」

 

 朝食の準備を済ませ、レニーを膝に乗せて新聞を読んでいると衛宮家の姉的存在で在る藤ねぇがいつもの様にやって来た。

 

「お早う、藤ねぇ……さっさと手を洗ってこい」

「むぅ~お姉ちゃんを子供扱いす……」

「朝飯、いらないのか?」

「逝ってきます、サー!!」

 

 藤ねぇは何故か敬礼をして洗面所に向かっていった。

 何気に発音が気になったが何時もの事である。

 

 

 

 

 

「う~ん♪ 相変わらず、いい味出してるわぁ~♪ これなら何時でもお嫁に出せるわね♪」

 

 頬に片手を添えて嬉しそうに朝食を頬張る藤ねぇ。

 

 お嫁に出せるって、なんでさ?

 

「俺は男だぞ。それにまだまだ師匠(マスター)には及ばないさ」

「確かにロイさんのご飯、特に和食は絶品よねぇ~♪ あれで英国人とは信じられないわよねぇ~♪」

 

 うっとりと恋する乙女の様に頬を染める藤ねぇ。

 但し、相手は師匠(マスター)本人ではなく、師匠(マスター)の手料理というのが何とも藤ねぇらしいかな?

 

「藤ねぇ……師匠(マスター)は日英混血(ハーフ)だぞ。生まれ故郷は日本だそうだ」

「あれ? そうだった? ……まあ、それはさておき、ロイさんには感謝しないとね♪ 士郎に料理を教えてくれたんだから♪」

 

 そうなのである我が恐れ敬うお師匠様-ロバート・L・C・神条(愛称・ロイ)-は料理のお師匠様でもある。

 師匠(マスター)の料理は正に芸術品と呼べるほど繊細、且つ素材の味を十分に引き出し、更にそれぞれの味を殺すことなく調和させて一つの作品を創り出す様に仕上げる。

 其れでいて食べる人の好みや体調をさり気なく見極めて調理する。

 未だに師匠(マスター)には教えられることばかりである。

 師匠(マスター)の料理の腕はどこで身につけたのか聞いてみたところ、何でも『アハハハハ……師父がかなり味に煩い人でね。中途半端な食事を出そうものなら、私刑(オシオキ)が待っていたから必死に上達したのさ』とのことで、どこか遠い眼をしながら乾いた笑みを浮かべ、瞳は僅かに潤み、顔色は信号の様に真っ青やら真っ赤に目まぐるしく変化していた。

 あの師匠(マスター)が恐れる大師父(人物)。何度か、お逢いしたが……ちょっ、朝食が冷めるので思い出すのは止めておこう。うん、それがいい。

 

「出汁巻き卵ちょうだい♪」

「駄目だ!」

 

 毎朝恒例の藤ねぇとのやり取りをしながら穏やかな(?)朝食の時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 

「じゃあ先に行くけど、遅刻しない様にね? 遅れたら罰を与えるからね」

「ああ、ちゃんと行くから……藤ねぇも気を付けてな」

「じゃあ、アディオ~ス」

 

 妙に様になっている怪しい挨拶をして走り去っていく藤ねぇ。

 あれで教師とは―――――

 

「本当にタイガって教師なのかしら?」

 

 声に振り返ると、そこには大きなリボンを付けて白いドレスを着た少女が佇んでいた。

 

「信じられないかも知れないが本当だよ、レニー」

 

 肩を竦めながら我が使い魔殿に同意の意を示しつつ、歴然とした事実を答えた。

 

 我らが藤ねぇはアレでもちゃんと教師をしているのだ。

 未だに信じられないのも事実だが―――――

 

「でも確かタイガの実家ってジャパニーズ・マフィアじゃなかったかしら?」

 

 顎に指を当てて首を傾げる姿が様になっていて愛らしい。

 昨夜の妖艶な雌猫と同一人物とは思えない。

 

 まったく、何時も搾り取られるかと―――――

 

「シロウには負けるわよ。絶倫なんだから……」

 

 レニーは耳まで真っ赤になりながら上目遣いに睨んでくる。

 どうやら、因果線(ライン)を通じてダイレクトに思考が流れた様だ。

 

「藤ねぇが藤村組(ヤクザ)の一人娘なのは間違いないけど、継いだらどうなることやら……」

 

 それは面白可笑しい未来が展開しそうだ。

 

「それってある意味終わってるわね」

 

 レニーは引きつった笑みを浮かべながら呟いた。

 

 俺も同意見だが敢えて何も答えなかった。

 まあ、思わず眼を逸らしてしまったが仕方ないだろう。

 

 

 

 

 

 俺は朝食の片付けをしながら何となくテレビを眺めている。

 画面には大げさに『謎のガス漏れ事故、連続発生』とテロップが打ち出されている。

 

 隣町の新都で最近になって大きな事故……いや、明らかに魔術師絡みの事件が頻発している。

 事件を解決したいが何時も後手に回ってしまって―――――

 

ご主人様(マスター)

 

 レニーの静かな、其れでいて重みのある呼びかけで思考が中断された。

 

「首を突っ込むな、とは言わないわ。其れはシロウに息をするなと同意語ですものね。でも、一人では行動しない様に……」

「自分が半人前な未熟者なのは痛いほど理解しているさ。心配しなくても愛しいレニーを置いて逝かないさ」

「なっ、なっ、なぁあ~~!? 何を勘違いしているのぉ!? わっ、わたしは使い魔(ファミリア)としてご主人様(マスター)を窘めているだけ!! 其れだけなんだからぁあ~~~~!?」 

「ああ、判っているさ。レニーの愛はちゃんと俺に届いているよ」

 

 まあ、余り虐め(からかい)すぎると大変な仕返し(被害)を被るから―――――

 

ご主人様(マスター)♡」

「なっ、何かな?」

 

 猫なで声ですり寄ってくるレニーに嫌な予感を覚え、冷や汗混じりに訊ねた。

 

 拙った……もしかしなくても、琴線に触れちゃったかな?

 

「わたし……お腹空いたの♡」

 

 やっ、やっぱりぃい~~!?

 

「ちょ!? おっ、俺はこれから学校……」

「大丈夫よ、シロウ♡ 昨晩、沢山の精気(ミルク)を頂いたから少しでいいの♡」

「そっ、それなら我慢しなさいぃ~~~!?」

 

 俺は思わず叫んで後ずさりながら距離を取る。

 

「い、や、よ♡」

 

 だがレニーは獲物を追いつめる様にゆっくりと近寄ってくる。

 

 暫くすると壁際まで追いつめられてしまった。

 壁にぶつかった際に眼鏡がずり落ちてしまった。

 

 しっ、しまった!! 魔具(アレ)がないと俺の対魔防御力は紙同然になってしまう!! 

 絶体絶命のピン~チィ!?

 ゴッド!! 俺がナニかしましたか!?

 

「散々、わたしの躰を弄くり回してるじゃないの♡」

 

 それはそうだけどさ。

 こんな朝っぱらからは勘弁してくれぇえ~~!?

 

「さあ、始めましょう♡」

 

 レニーは嬉しそうに俺の服に手を掛けて一枚一枚脱がせていった。

 俺の抵抗は時間稼ぎにもならず、直ぐに丸裸にされてしまった。

 

 

 

 

 

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師匠   :「ストップゥ~~~!!!」

弟子一号 :「ここの内容は十八歳未満の青少年には内緒っス!!」

師匠   :「まったく……この作者(エロがっぱ)は何を考えているのか?」

Mr.凸凹 :「何って……()()に決まっているじゃないか♪」

弟子一号 :「うわぁ!? ひっ、開き直ったっスよ(´Д`;)」

師匠   :「うむ、ここまでくるといっそ清々しいわね。しかしぃ~例え、お天道様が許してもこの私が許さ~んぞぉ~~!!」

弟子一号 :「おおっ!? しっ、師匠が雄叫びを上げているっス!!」

Mr.凸凹 :「まるで(タイガー)だな」

弟子一号 :「あっ!!? それ、地雷(NGワード)っスよ」

師匠   :「私を(タイガー)と呼ぶなぁあ~~!!(♯`∧´)」

      《ドカァ、バキィ、ゲシィ、グシャァ、ガオォ~~ン!!》

Mr.凸凹 :「アイルビーバックゥウゥ~~~!!」

師匠   :「うぅぅ……(タイガー)じゃないもん(;_;)」

弟子一号 :「作者も言わなければ飛ばされ(雉も鳴かずば撃たれ)まいっスね」

師匠   :「では、気を取り直して……」

弟子一号 :「続きをどうぞっス♪」

 

 

 

 

 

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 朝からのハプニングで学園(ココ)まで全力疾走する羽目になった。まあ、仕方ないよな。

 

「悪い一成、遅くなった!!」

 

 廊下に居た生徒会長殿に謝罪の言葉を掛ける。

 そこには一成の他にもう一人、女生徒の姿があった。

 彼女は不機嫌そうに一成を見ている。

 相変わらず仲が悪いと言うか、何と言うか。

 

「朝、早いんだな遠坂」

「衛宮くんこそ……それでは失礼します」

 

 凛は猫を被った笑みを浮かべて自分の教室に向かって行った。

 

「衛宮、今朝は少し遅かったな……ふむ、何やら汗の匂いに混じって()()()の様な香……」

「はっ、早く修理に取りかかろう、一成!!」

「……ああ、時間がないな。それでは頼む」

 

 一成は少し訝しみながら工具箱を手渡してきた。

 

 あっ、焦った……やっぱり、時間がないからってシャワーも浴びずに来たのは拙かったかな。

 

 

 

 

 

 時刻は八時ジャスト。

 視聴覚室の古びた電気ストーブの修理を終えて、予鈴の鳴り響く教室に滑り込んだ。

 

「よお、衛宮。今日も朝から雑用していたのか?」

「ああ……って、その腕どうしたんだ?」

 

 声を掛けてきた慎二の方に振り向くと右腕を指の先までギプスで巻いて首から吊っていた。

 

「これかい? ちょっと、ドジってね……全治一ヶ月ってところさ」

「……ったく、気を付けろよ。その腕じゃ何かと不便そうだから、俺に手伝えることがあったら何でも言ってくれ」 

「本当か? 助かるよ、衛宮。何かあった時は頼むな」

 

 慎二は苦笑を浮かべながら自分の席に座った。

 暫くすると廊下から地響きが如き足音を響かせて、我らが担任の藤ねぇが何時もの様に駆け込んできた。

 

「は~い、それじゃあホームルーム始めるわよぉ~♪」

 

 皆その声に一斉に静まり返り席に着いていった。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 コペンハーゲン(バイト先)の仕事を終えて夜の町並みを歩く。

 ()()()()で三万円が懐に入ったので足取りは心なしか弾んでいる。

 冬の夜空を見上げながら坂道を歩いていると坂の上にからこちらを見下ろす様に人影が立っていた。

 知らずに息を呑む。

 それはまるで童話の世界から飛び出した雪の妖精の様な銀髪の少女だった。

 少女はニッコリと笑みを浮かべると、足音もたてずに坂道を下ってくる。

 そして、すれ違い様に―――――

 

「早く呼び出さないと怪我だけじゃすまないよ、お兄ちゃん」

「なっ!!?」 

 

 慌てて振り返った先には夜の帳が広がっているだけで少女の姿は見当たらなかった。

 

「あの娘は……」

 

 どこか心に引っ掛かりを覚えて首を傾げた。

 俺はあの娘を知っている?

 何処で? 何時? 彼女と出会っていたのか。それとも―――――

 気が付くと坂の上に在る我が家の前までたどり着いていた。

 

 

 

 

 

「お帰りなさい、シロウ……って、どうしたの?」

「いや……何でもないさ。ただいま」

 

 俺の態度に訝しがるレニーに微笑みながら靴を脱ぐ。

 

「そう……早く食事を済ませて夜の見回りに行きましょう」

「ああ……そうだな」

 

 そうだ。事件は待ってくれない。

 今、俺に出来ることに集中しなければ命を落としかねない。

 気持ちを切り替えて、夜の巡回を行おう。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

目覚めは暗い。

夢はあまり見ない性質なのだが、何かの暗示だろうか?

最近、よく一人の騎士が脳裏に浮かぶ。

手にしている剣は鋭利で絢爛、刃こぼれなど知らず、ただ一撃で敵を断つ王の剣。

彼の騎士に相応しい黄金の剣―――――

 

 

 

 

 

「……朝か。夜中の雷は凄かったな」

 

 窓から差し込む朝日に照らされて目が覚めた。

 仄かに薄暗い中で夢に出てきた騎士の事を思い出す。

 彼女が手にしていた剣は確か―――――

 

「お早う、シロウ……女の子が同衾しているのに他の女を思い浮かべ(夢に観)るなんて良い度胸じゃないの」

 

 耳元に聞こえる絶対零度の囁きに思考が中断する。

 視線を向けると極上の笑みを浮かべたレニーが俺の顔を覗き込んでいた。

 眼は笑っておらず、額にはきっちりと青筋が浮かんでいた。

 

「あっ、あの? レニーさん? おっ、落ち着いて……」

 

 俺は慌てて左手で自分の顔を庇いながらどうやって彼女を落ち着けようかと寝起きの頭をフル回転させる。

 レニーは何か重要な事を思い出したかの様に固まっている。

 ―――――って、怒りで震えているんじゃなく、()()()()()()

 

「……レニー?」

「シっ、シロウ? そっ、その手の痣は……」

 

 絞り出す様に訊ねるレニーの声は微かに震えていた。

 

「へっ!? 痣?」

 

 言われて自分の左手の甲を見ると大きな痣が出来ていた。

 

「何だ? まるで聖痕(スティグマ)みたいだな」

「やっぱり……ロイの言う通りにシロウも選ばれたのね」

 

 レニーは俺の胸に顔を埋めながら微かに震えていた。

 

「どうかしたのか、レニー?」

「何でもないわ……シロウ、絶対に一人で行動しないで……お願いだから」

 

 レニーは潤んだ瞳で俺の眼を観ながら懇願している。

 

「ああ……大丈夫だよ」

 

 俺はレニーを抱きしめながら安心させるために彼女の頭を撫でて、耳元で優しく囁いた。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 昼休み。

 一成と共に生徒会室で弁当を広げている。

 

「すまん、衛宮。その唐揚げを一つ貰えるか?」

「ああ、いいけど……って、一成? 今日の弁当は何だか、その……ざっ、斬新だな?」

 

 一成の弁当は何時もながら質素な内容だが、何時も以上に……その、何というか飯事(おままごと)の延長という風体だった。

 

「これか……実は先日から少女を一人預かっているのだが……」

 

 成る程。コレはその女の子の弁当(作品)という訳だ。

 

「まあ、がんばれ……」

「うむ……すまんが衛宮。お茶のお代わりをくれるか?」

「はいよ」

 

 その後、一成は米粒一つ残すことなく弁当を平らげた。

 明日からは胃薬でも差し入れようかな?

 

 

 

 

 

 放課後。

 今日はバイトがあるので寄り道せずに新都に向かわなければならない。

 帰りに新都を巡回しよう。

 

 教室を出て通用門に向かう途中、我が穂群原学園が誇る遠坂(美人)姉妹の片割れの桜と偶然出会った。

 

「衛宮先輩♪」

「やあ、桜……そうだ。今日は凛の姿が見当たらなかったけど……」

「姉さんですか?今日は少し体調を崩してお休みしています」

 

 桜は笑顔で答えてくれたのだが、どうしてだろうか。一瞬、背筋が薄ら寒く感じた。気のせいだろうか?

 

「……鬼の霍乱かな?」

「くすくす……衛宮先輩、そんなことを言っていると姉さんに怒られますよ?」

「大丈夫さ。桜が黙っていてくれれば、問題ないよ」

「う~ん、どうしましょうか」

 

 桜は楽しそうに微笑みながら考える素振りをしている。

 

「お願いします、桜さん……後生ですから……」

 

 俺は卑屈なまでに下手に出て、懇願する。

 

「江戸前屋のたい焼きで手を打ちましょう♪」

「仰せのままに、お嬢様……今日はバイトがあるから後日、奢らせていただきます」

「はい、楽しみにしています♪」

 

 お互いに顔を見合わせて微笑みながら約束をする。

 

「それじゃあ、気を付けてな」

「はい、衛宮先輩も……さようなら♪」

「ああ、さようなら」

 

 桜と別れて新都へと向かうとしよう。

 

 背後から子猫(レニー)が即かず離れず見守る様に付いてくる。

 何やら記憶に霞が掛かっている様ではっきりと思い出せないがどこかで聞いた事のある様なこの痣が原因でレニーが何時も以上に心配性になっている。

 一応気を引き締め直さないといけないかな。

 

 

 

 

 




十八禁の部分は『剣舞の騎士の性技の軌跡(novel.syosetu.org/39836/)』として投稿しています。
良い子は見ないでね。
悪い大人はどうぞお召し上がり下さいませ。
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