五条が認めたもう一人の最強   作:ぐちロイド

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第15話 少年院事件 初の救済

五条悟の急な出張。そして、残された1年生3人への非情な任務。未来を知る俺(連)は、伊地知の車が少年院へ向かったと聞いた瞬間、高専の自室を飛び出していた。

 

 

連「(間に合え……! あの特級呪胎が孵化する前に、俺が全てを焼き尽くす!)」

 

 

俺は空中で指を鳴らし、『龍座(ドラコ)』を顕現させる。

青白い炎の龍に跨り、降りしきる雨を切り裂いて音速で少年へへ急行した。現場に到着した時、そこには既に不気味な「帳」が下りていた。車を降り、青ざめた顔で立ち尽くす伊地知が、空から降り立つ俺を見て絶叫した。

 

 

伊地知「れ、連さん!? なぜここに……! 1年生の3人が、中に入ったままなんです! 窓が消失し、連絡も……!」

 

 

連「伊地知さん、下がってろ。……ここからは、俺が『運命』をねじ伏せる」

 

 

俺は龍から飛び降り、生得領域の入り口へと足を踏み入れた。内部はすでに「特級呪霊」の生得領域により、異界の建造物へと変貌している。血の匂いと、圧倒的な死の気配。

廊下の奥から響く、伏黒の叫びと、虎杖の絶望的な呪力の爆発。

 

 

連「――『星焔の創世宮』、全軍展開!!」

 

 

影から這い出す狼(ルプス)、虎(ティグリス)、鷹(アクィラ)俺自身も、掌に熱量を凝縮させ、『赤熱長刀』を錬成した。

 

 

生得領域の深部。そこには、特級呪霊の圧倒的な力の前に、腕を失い、死を覚悟した虎杖と、動けない伏黒の姿があった。

特級呪霊が、止めを刺そうと呪力を溜める――。

 

 

連「――退け、呪物!!」

 

 

ドォォォォン!!

 

 

俺が放った『虎座(ティグリス)』の剛腕が、特級呪霊の顔面に真正面からめり込んだ。衝撃で領域の壁が砕け、呪霊の攻撃を力ずくで相殺する。

 

 

虎杖「……れ、連先輩……!?」

 

 

伏黒「……間に合ったのか……!」

 

 

連「……悪い、後輩。……ここからは2年生の仕事だ。下がってろ」

 

 

連は背後も見ず、傷ついた虎杖の肩に手を置く。瞬時に『反転術式』の銀色の光が走り、虎杖の欠損した腕が、細胞の爆発的な再生と共に元通りに構築されていく。

 

 

虎杖「え、……腕が……治った……?」

 

 

連「虎杖、お前は誰も死なせたくないって言ったな。……なら、お前が宿儺に頼る必要はない。俺が、その呪いを焼き払ってやる」

 

 

連の呪力が膨れ上がる。

修行空間での5年間、この瞬間のために俺は星を鍛えてきた。

 

 

連「『星焔の創世宮』――一対・恒星大剣(ステラ・ギガブレード)!」

俺の手の中に、身の丈を超えるほど巨大な、青白い熱波を放つ光の剣が現れる。

 

 

連「焼き切れ。……塵一つ、残すな」

一閃。

 

 

少年院の校舎そのものを両断するほどの巨大な斬撃が、特級呪霊を飲み込んだ。

炎を燃料にする暇すら与えない、超高温の純粋エネルギー。特級呪霊は、その邪悪な呪力を誇示する間もなく、原子レベルで炭化して消滅した。

 

 

 

領域が崩壊し、元の少年院の廊下に戻る。

呪霊の核だった「宿儺の指」を、俺は宙で掴み取った。

 

 

伏黒「……倒したのか。あの特級を、一撃で……」

 

 

釘崎「ちょっと連先輩! 派手すぎるわよ、服が焦げちゃったじゃない!」

 

 

釘崎をルプスが保護して戻ってくる。全員生存。

だが、その時。

 

 

宿儺「……ほう。面白くないことをしてくれる」

 

 

虎杖の頬に、口が浮かび上がる。

 

 

宿儺。自分の指を回収する機会と、虎杖を絶望させる機会を奪われた呪いの王が、不機嫌そうに俺を睨んだ。

 

 

宿儺「貴様……。あの時の転生者か。やはり目障りだな」

 

 

連「……黙っていろ。お前の出番は、この世界にはもう無い」

 

 

連は宿儺の言葉を冷たく一蹴し、気絶した虎杖を肩に担ぎ上げた。雨が上がる。星の光が差し込む少年院の庭で、連は確信していた。歴史は、今この瞬間から、完全に変わったのだと。

 

 

高専に戻った俺を待っていたのは、安堵した1年生たちの笑顔……ではなく、事態を重く見た上層部からの緊急呼び出しだった。

 

 

上層部(保守派)の戦慄

薄暗い御簾(みす)の向こう側で、老人たちの声が震えている。

 

 

上層部「……連。お前、何をしたか分かっているのか。あの現場には『特級呪胎』がいたはずだ。それを、1年生の生存を優先した上で、跡形もなく消し去っただと?」

 

 

連「ああ。何か問題でも? 1年生の救助と、呪霊の殲滅。呪術師として当然の任務を遂行しただけですが」

 

 

上層部「……指だ! 回収すべき宿儺の指はどうした!」

 

 

俺は懐から、あの禍々しい指を取り出し、老人たちの前で弄んでみせた。

 

 

連「ここにありますよ。……ですが、これは俺が預かります。あんたたちの杜撰(ずさん)な管理のせいで、俺の可愛い後輩たちが死にかけたんだ。二度と、あんな真似はさせない」

 

 

上層部「貴様、反逆か……!」

 

 

連「反逆? いえ、『忠告』ですよ。……俺の星を怒らせない方がいい」

 

 

俺が指先にわずかに「星焔」を灯すと、面談室の温度が急上昇し、御簾がパチパチと焦げ始めた。老人たちが絶句する中、俺は背を向けて立ち去った。

 

廊下に出ると壁に持たれながらニヤニヤしている五条悟がいた。

 

 

五条「よお、英雄。ジジイ共、腰抜かしてただろ?」

 

 

連「……先生。あんた、わざと遅れたでしょう」

 

 

五条「まさか。喜久福の新作が並んでただけだよ。……でも、驚いたな。連くん、あの状況で悠仁の腕まで治して、宿儺に一度も代わらせなかったなんて。僕の予想を遥かに超えてるよ」

 

 

五条が目隠しを少しずらし、六眼で俺の呪力をスキャンす

る。

 

 

五条「君が歴史を書き換えたせいで、運命の歯車が狂い始めた。……宿儺が君に、相当な執着を見せてる」

 

 

連「最悪ですよ。……ですが、これで虎杖の執行猶予は確定した。彼はもう、死ななくていい」

 

 

五条「……そうだね。君がいるなら、僕も安心して『外』に出られる。……連くん、次は京都校との交流会だ。君が塗り替えたこの平和を、どこまで守り通せるか見せてもらうよ」

 

 

 

教室に戻ると、真希が窓際で大刀を磨いていた。

 

 

真希「……帰ったか、連。1年生ども、アンタに助けられて泣いて喜んでたぞ」

 

 

連「大げさだよ。……それより真希。お土産の肉、買ってきたぞ。今日こそ、1年生も混じえて全員でパーティーだ」

 

 

パンダ「おー! さすが連、話がわかる!」

 

 

棘「しゃけ!!」

 

 

真希「……ハッ。貸しが一つ減ったと思ったら、また新しい貸しを作らせやがって。……今日は食い尽くしてやるからな」

 

 

真希はそっぽを向いたが、その耳が少し赤い。彼女なりに、俺が無事に帰ってきたことを喜んでいるのが分かった。

 

 

連「(……五条の言う通り、歯車は狂い始めた。だが、それがどうした。……俺が、この光景を最後まで守り抜く)」

 

 

夕暮れの高専。

そこには、本来なら失われていたはずの笑顔が、確かに輝き続けていた。

 

 

 

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