加茂、西宮、メカ丸を圧倒的な実力で退けた連は、荒くなった呼気を整えながら、術式によって過熱した体内の熱を大気へと逃がした。
連「……ふぅ。さて、他の連中はどうなってるか……」
連は、東堂とやり合っているはずの虎杖の気配を感じ取る。爆発的に膨れ上がる二人の呪力。どうやらあちらは心配なさそうだ――別の意味で。連は自身の『星焔の創世宮』によって上空に待機させてい「鷹座(アクィラ)の瞬火」の視界を共有し、戦場全体を俯瞰した。
連「……いた。真希と野薔薇か」
連は進行方向を変え、二人の呪力を感じるエリアへと地を蹴った。
その頃、真希と野薔薇は京都校の三輪霞を相手に立ち回っていた。真希の圧倒的な身体能力と野薔薇の鋭い釘の連撃に、三輪は防戦一方となっている。
野薔薇「真希さん、この子意外としぶといわね!」
真希「ああ、だがもう詰みだ。……そこだ!」
真希の屠坐魔(とざま)が三輪の刀を弾き飛ばそうとしたその瞬間、木々の隙間から一筋の「影」が飛び出してきた。
真希「――っ、何!?」
野薔薇が咄嗟に釘を構えるが、その影の速さは予想を超えていた。京都校の隠し玉か、あるいは乱入者か。
だが、二人の間に割って入ったその影は、青白い星の残り香を纏っていた。
連「……よお、二人とも。随分と楽しそうじゃねえか」
真希「連……!? あんた、京都校の連中に囲まれてたんじゃないの?」
野薔薇が驚きに目を見開く。その背後では、連が呼び出していた「狼座(ルプス)の熾火」が数頭、周囲を警戒するように低く唸っていた。
連「ああ、少し片付けてきた。真希、野薔薇。怪我はないか?」
真希「……お前、その様子じゃ無傷だな。加茂たちを相手に一人でこれかよ」
真希は呆れたように笑い、手にした呪具を肩に担ぎ直した。
連の体からは、まだ術式の余熱である青い陽炎が立ち上っている。その姿は、後輩である野薔薇や同級生の真希にとっても、五条悟とはまた質の違う「絶対的な守護者」としての威圧感を放っていた。
連「さっさとこの交流戦、終わらせちまおうぜ。お土産の饅頭を食い損ねる前にさ」
連の言葉に、野薔薇はニヤリと不敵に笑う。
野薔薇「いいわね。次は私が主役よ、連。あんたはしっかりサポートしなさいよね!」
最強の二年生が合流した東京校。戦況は、京都校の暗殺計画という目論見を粉々に打ち砕き、完全なるワンサイドゲームへと加速していく。
連「さて、残りの連中もさっさと――」
連が言葉を切りかけた、その時だった。
空を覆っていた透明な帳とは別に、禍々しい漆黒の「帳」が、高専の森を飲み込むように降りてきた。
真希「……帳!? 外部からの乱入か!?」
真希が鋭く空を仰ぐ。
連の直感が、かつてない警鐘を鳴らした。上空に待機させていた『鷹座(アクィラ)』の視界が、一瞬で消失する。何者かに撃ち落とされたのだ。
連「真希、野薔薇! 俺の後ろにいろ!」
連が叫ぶと同時に、地面から巨大な「樹木」の根が爆発的に噴き出し、三人を襲った。
連「【星屑の錬成(スターダスト・フォージ)】!」
連は咄嗟に足元の岩石を依り代にし、炎を纏った漆黒の「大盾」を錬成する。
ズガガガガッ! と重い衝撃が盾に響く。
花御「……おや。五条悟ではないのに、私の攻撃を防ぐ者がいるとは」
森の奥からゆっくりと姿を現したのは、頭部に枝のような角が生え、左腕を布で包んだ異形の存在――特級呪霊「花御(はなみ)」だった。
連「呪霊……? いや、この気配。特級か!」
野薔薇が釘を構えるが、その手は微かに震えている。それほどまでに、花御から放たれる呪力は圧倒的だった。
真希「連、こいつ……ヤバいぞ」
真希も呪具を握り直すが、冷や汗が頬を伝う。
連「ああ、わかってる。……真希、野薔薇。こいつの相手は俺がする。二人は他の生徒たちの避難を優先してくれ」
野薔薇「何言ってんのよ! あんた一人で特級相手に――」
野薔薇の反論を、連の静かな、だが拒絶を許さない瞳が遮った。
連「『星焔の創世宮』を全開にする。……巻き込まれたくないだろ? 頼む、後輩を守ってやってくれ、真希」
真希「…………。死ぬなよ、連。野薔薇、行くぞ!」
真希は連の覚悟を汲み取り、無理やり野薔薇の腕を引いてその場を離脱する。
一人残された連は、花御と対峙した。
連の体から、青白い星の炎が激しく吹き上がり、周囲の木々を炭化させていく。
「五条さんに言われたんだ。『もう一人の最強』として、守るべきものを守れってな」
連は、先ほどの加茂たちとの戦いでは見せなかった、真の魔力を解放する。
連「眷属召喚――『龍座(ドラコ)の劫火』」
連の背後、物質化した炎が長大な龍の姿を取り、森を焼き尽くす咆哮を上げた。
交流戦は中止。ここからは、高専の存亡を賭けた特級との死闘が始まる。
連「――焼却開始だ」
連の瞳に、星々の煌めきが宿った。
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