五条が認めたもう一人の最強   作:ぐちロイド

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これで五条が認めたもう一人の最強は一旦最後です。もし良かったら次の作品のアンケートをやっているので是非とも参加して下さいコメントでも構いません!!!


第26話 覚醒の代償と、星の落日

渋谷の喧騒から切り離された地下空間。そこには、呪霊よりも醜悪な人間の業が渦巻いていました。

連が辿り着いた時、視界に入ったのは焼き焦げた肉の臭い。そして、横たわる二人の少女。

そこには、全身を焼かれながらも妹・真依の遺体を抱きしめる真希の姿がありました。真依の亡骸から溢れ出した呪力が真希へと溶け込み、彼女の「天与呪縛」が残酷な完成へと向かっていく――。

 

 

真希「……連。……遅かった、な……」

 

 

真希の瞳には、もはや絶望すら通り越した、底知れぬ「虚無」が宿っていました。

連「……あ。……あぁ……あぁぁ!!!」

連の喉から、獣のような嗚咽が漏れます。その背後で、真希を「出来損ない」と蔑み、実の娘を手にかけた男・禪院扇が、抜刀したまま冷酷に言い放ちました。

 

 

扇「五条悟のスペアか。騒がしいな。出来損ないの処分に部外者が口を挟むな。禪院家の完璧な秩序に、不純物は不要なのだよ」

 

 

その瞬間、連の中で「人間としての理」が完全に決壊しました。

連の周囲の空間が、ミシミシと悲鳴を上げながら歪み始めます。右目に「星焔」の蒼い業火、左目に「月魄」の銀色の殺意。

 

 

連「……秩序? 不純物? ……お前ら、まだそんな下らないものを守るために、真希を、真依を……!」

 

 

連の呪力が、かつてない密度で一点に収束していきます。領域という「閉じ込める空間」すら必要ない。ただ目の前の全てを、宇宙の終焉ごと消し去るための力。

 

 

真希「連、どけ。……こいつは、私が殺す」

 

 

立ち上がった真希。火傷の痕を残しながらも、その肉体からは「呪力」という概念が完全に消失し、代わりに「術師殺し」としての究極の物理的圧力が放たれていました。

連「真希……わかった。……でも、俺の怒りも、収まりがつかないんだ」

 

 

連は真希の横に並び、両手を広げました。周囲の瓦礫、鉄筋、そして大気さえもが連の術式の核(依り代)として取り込まれ、巨大な龍の形を成していきます。

 

 

連「極ノ番(ごくのばん)――『天の川崩落・永劫の星龍(エターナル・スタードラゴン)』!!」

 

 

連の全呪力を注ぎ込まれた、岩石と炎の超巨大な龍が顕現しました。それはもはや術式の範疇を超えた、移動する「災害」そのもの。

 

 

扇「なっ……!? 極ノ番だと!? 莫大な呪力量……正気か、この規模を一人で!!」

 

 

扇が恐怖に顔を歪め、迎撃の構えをとります。しかし、連の瞳に慈悲はありません。

 

 

連「――消えろ。一欠片も残さず」

連が指を指し示すと同時に、永劫の星龍が咆哮し、その顎から重力崩壊を伴う極大のブレスを放ちました。

それは「焼く」のではなく、存在そのものを「分子レベルで解体し、無に帰す」光。

 

 

扇「アガッ……ガ、アアアアア!!」

 

 

扇の叫びは、星の炎に飲み込まれ、一瞬で掻き消されました。彼が守ろうとした禪院家の誇りも、その醜い命も、連が放った「宇宙の終焉」の前では、ただの塵に過ぎませんでした。

星龍のブレスが通り過ぎた後には、扇の姿はおろか、地下施設の大半が円柱状に消滅した空洞だけが残されていました。

 

 

連「……終わったぞ、真希」

 

 

連は術式を解き、血を吐きながら膝をつきました。術式の過負荷で、自身の腕も炭化しかけています。

真希は、真依が最期に遺した刀を握り締め、震える声で呟きました。

 

 

真希「……ありがとう、連。……でも、まだだ。……全部、壊さなきゃいけないんだ」

 

 

真希の頬を伝う一筋の涙。連はそれを拭うこともできず、ただ完成してしまった「最強の怪物」の隣で、降りしきる灰の中に立ち尽くしました。

最強を継ぐはずだった二人が、その力と引き換えに失ったものの重さに、渋谷の夜はどこまでも深く、暗く沈んでいきました。

 

 

 

 

連「真希……動くな。今、治すから……」

 

 

連の指先から、冷たくも柔らかな銀色の光が溢れ出します。

反転術式:月魄(げっぱく)――『銀鷹(アクィラ)の慈光』。

 

 

真希「いい、連……。私はもう、痛みなんて……」

 

 

連「いいわけないだろ!」

 

 

連は声を荒らげ、真希の肩を強く掴みました。真依を失い、復讐の鬼と化そうとしている彼女を、せめて「人間」として繋ぎ止めておきたかった。

 

 

真希「……っ、あ……」

 

 

真希の全身を覆っていた凄惨な火傷が、連の放つ正のエネルギーによって急速に再生していきます。炭化した皮膚が剥がれ落ち、新しい肌が芽吹く。だが、連の顔色は紙のように白く、鼻からは絶え間なく血が滴っていました。

 

 

真希「連、もうやめろ。お前の脳が焼き切れる……!」

 

 

連「黙ってろ。……俺から、これ以上『仲間』を奪わせないでくれ」

 

 

数分後、真希の体から傷跡が消えました。しかし、天与呪縛によって完成した彼女の肉体は、以前よりもどこか冷たく、硬質な輝きを放っています。

連は荒い呼吸を整えながら、真希の正面に座り込みました。

 

 

連「真希。……真依のことは、俺も、取り返しがつかないことをしたと思ってる。俺がもっと早く来ていれば……」

 

 

真希「……やめろ。あいつが選んだことだ。私が……私が弱かったから、あいつは……」

 

 

真希は真依の形見である刀を抱きしめ、視線を落としました。

 

 

真希「連。私はこれから、全部壊しに行く。私を否定し、真依を殺した、あの腐った禪院家を……全部だ。お前は、止めに来たのか?」

 

 

連「止めるわけないだろ」

 

 

連は真希の目を真っ直ぐに見つめました。

 

 

連「俺も一緒に行く。……五条さんがいなくなって、野薔薇がああなって……俺はもう、『正義の味方』でいるつもりはない。俺の宇宙は、俺の大事なものを傷つける奴らを、一欠片も許さない」

 

 

連は真希の手を、血に汚れたままの手で握りしめました。

 

 

連「お前が『鬼』になるなら、俺は『魔王』にでもなってやる。だから、一人で行こうとするな。俺たちは二人で、最強なんだろ?」

 

 

真希「…………。お前、本当に馬鹿だな」

 

 

真希の瞳に、ほんの一瞬だけ、かつての彼女らしい光が戻りました。

 

 

真希「……最強のパシリだな、お前は」

 

 

連「ああ。パリで買ったバッグを渡すまでは、死なせないし、一人にもさせない」

 

 

降りしきる灰と雪の中、二人は立ち上がりました。

一人は呪力を捨て去った「術師殺し」。一人は神の如き宇宙を操る「星の主」。

絶望の淵で手を結んだ二人の最強が、呪術界の腐敗を焼き尽くすための進撃を開始しました。

 

 

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