五条が認めたもう一人の最強   作:ぐちロイド

9 / 28
原作開始
第7話 帰還からのパーティー


夜の校舎に響き渡る、鼓動のような不気味な呪力の波動。

俺が屋上に駆け上がった瞬間、そこには信じられない光景が広がっていました。

伏黒が血を流して倒れ、その傍らで、一人の少年――虎杖悠仁が、特級呪物『両面宿儺の指』を飲み込んだ直後でした。

 

 

宿儺「……あはははは! 素晴らしい! 光だ、生身の人間がこれほど湧いている!」

 

 

虎杖の顔に浮かび上がる、禍々しい紋様。

宿儺。呪いの王が、千年の時を経て受肉した瞬間でした。

 

 

宿儺「女も子供も、蛆のように湧いているな! 鏖殺(おうさつ)だ、一人残らず――」

 

 

殺気が爆発するより早く、俺は空中で指を鳴らしました。

 

 

連「――『星焔の創世宮』、ルプス、ティグリス!」

 

 

ドォォォォン!!

 

 

宿儺が動こうとした地面が爆ぜ、二頭の炎の狼が彼の四方を囲み、同時に岩石の虎の剛腕が宿儺を屋上から引き剥がすように一撃を見舞いました。

 

 

宿儺「……ほう?」

 

 

宿儺は空中で軽やかに身を翻し、校舎の縁に着地します。その四つの瞳が、俺を捉えました。

 

 

宿儺「……この世界の住人ではないな、貴様。妙な、そして不快なほど純粋な星の熱量を纏っている」

 

 

連「……よく喋るな、呪いの王。残念だが、お前のワンマンショーはここまでだ」

 

 

俺が伏黒と虎杖(宿儺)の間に割って入った時、背後から聞き慣れた、場違いに軽い声が響きました。

 

 

五条「おーおー。盛り上がってるねえ。連くん、さっそく『仕事』しすぎじゃない?」

 

 

連「……遅いですよ、五条先生」

 

 

五条が紙袋を片手に、ひらりと俺の隣に降り立ちました。

 

 

五条「いやあ、仙台名物の喜久福買ってたからさ。それで? 恵、回収できた?」

 

 

伏黒「……五条、先生……。それに、連先輩……。すいません……」

 

 

五条はボロボロの伏黒をちらりと見てから、ニヤニヤと笑いながら受肉した宿儺(虎杖)に視線を向けました。

 

 

五条「うわ、本当に入れ替わってる。面白いね。……ねえ連くん、君の『星の炎』とこの『呪いの王』、どっちが熱いと思う?」

 

 

連「……試してみますか?」

 

 

俺が指先に青白い火を灯すと、宿儺は不敵な笑みを浮かべ、自身の爪を眺めました。

 

 

宿儺「……いいだろう。その異界の力、少しは暇つぶしになりそうだ」

 

 

五条「あ、待って待って。10秒だけ待ってて。連くん、その間、彼が逃げないようにちょっと遊んでてあげてよ」

 

 

連「(……10秒。原作通りのテストか)」

 

 

連は頷き、手の平に凝縮された熱量を解放しました。

連「『星焔の創世宮』――恒星鎖(ステラ・チェイン)!」

 

 

宿儺の足元から、物理的な実体と精神的な拘束を併せ持つ炎の鎖が噴き出します。

呪術界の「最強」と「転生者」、そして「呪いの王」。

運命の歯車が、最悪で最高な形で噛み合った瞬間でした。

 

 

 

五条「10秒経ったら、戻っておいで」

 

 

虎杖の体を借りた宿儺が、狂気に満ちた笑みを浮かべて跳躍した。

 

 

宿儺「――舐めるなよ、小僧共が!」

 

 

宿儺の不可視の斬撃が空を切り裂く。だが、その一撃が五条に届く直前、俺が指を鳴らした。

 

 

連「『星焔の創世宮』――恒星盾(ステラ・イージス)!」

 

 

五条の前面に、青白い炎が結晶化した幾何学的な盾が展開される。宿儺の斬撃と衝突し、キィィィィン! と耳を劈くような高音が夜の屋上に響き渡った。

 

 

五条「おっと、連くん。僕の『無下限』があるから大丈夫なのに。……でも、その盾、硬いねえ!」

 

 

連「先生の術式を摩耗させたくないんでね。……宿儺、こっちだ」

 

 

俺は影から「狼座(ルプス)」を四頭同時に顕現させ、宿儺の四方を封鎖。さらに上空から「鷹座(アクィラ)」が超高温の熱線をブレスとして叩きつける。

 

 

宿儺「――小癪な真似を!」

 

 

宿儺は炎の狼を力任せに踏み潰し、爆風を利用して五条の背後を取る。だが、そこにはすでに五条が待ち構えていた。

 

 

五条「はい、7秒、8秒……」

 

 

五条が宿儺の攻撃を紙一重でかわしながら、まるで子供と遊ぶようにその背中を軽く叩く。翻弄される呪いの王。その隙を見逃さず、俺は術式を一段階引き上げた。

 

 

連「『虎座(ティグリス)』――剛腕・拘束!」

 

 

俺の右腕に重なった虎の剛腕が、宿儺の胸ぐらを掴んで屋上の床へと叩きつける。

 

 

宿儺「……ぐっ、貴様……!」

 

 

五条「はい、10秒。……お疲れ様。連くん、ナイスアシスト」

 

 

五条が宿儺の額に指を置くと同時に、宿儺の紋様が消え、虎杖の意識が戻ってきた。

 

 

虎杖「……え、あ。……なんか、今の……何?」

 

 

呆然とする虎杖の首筋を、五条が手刀で軽く打ち、彼を気絶させる。

 

 

【高専への連行:新幹線での密談】

 

 

仙台から東京へ戻る新幹線。

五条が用意したグリーン車の個室で、気絶した虎杖を挟んで俺と五条は向かい合っていた。

 

 

五条「いやあ、驚いたね。宿儺の器になれる人間が本当にいたなんて。……それで連くん、君にはどう見えた? 彼の『中身』は」

 

 

連「……最悪ですよ。千年前の怪物だ。ですが、虎杖悠仁という少年は、それを檻の中に閉じ込めておける。……彼は、俺たちが守るべき『盾』になります」

 

 

五条「『盾』、ね。上層部(ジジイ共)は間違いなく死刑を求めてくるだろうけど……。どうする? 連くん。君なら、彼を無理やり連れ出すこともできるでしょ?」

 

 

連「そんな面倒なことはしませんよ。……俺は、彼を正式に1年生の『後輩』として迎え入れます。そのためなら、上層部を全員焼き尽くしてもいい」

 

 

五条「あはは! 怖いなあ。でも、その意気だよ」

 

 

新幹線が東京の街明かりの中へと滑り込んでいく。

高専の地下深く、隠された独房。そこに虎杖を運び込んだ俺は、眠る彼の枕元に、小さな「星の灯火」を置いた。

 

 

連「(虎杖……お前を救うために、俺はこの世界に来たんだ。……地獄のような未来は、俺が全部焼き払ってやる)」

 

 

高専に戻れば、また騒がしい2年生たちが待っている。

だが、明日からはもう一人、この孤独な戦いに付き合ってくれる「主人公」が加わる。

 

 

連は静かに独房を後にし、五条と共に、これから始まる「上層部への交渉(という名の脅迫)」に向けて歩き出した。

 

 

伏黒の部屋のドアが、景気よく蹴破られる。

 

 

五条「はーい! 悠仁の入学&生存を祝して! 今日は特製・スタミナ焼肉パーティーだよー!」

 

 

虎杖「うおっ、すっげぇ! 肉だ肉だ! ありがとう、五条先生、連先輩!」

 

 

伏黒「………………。俺は、いつになったら自分の部屋で安眠できるんですか?」

 

 

もはや慣れっこになったのか、伏黒は死んだような目でホットプレートを見つめている。

 

 

真希「つべこべ言うな、恵。祝い事には肉が必要なんだよ。ほら連、換気扇代わりに『風』を出せ。部屋が煙だらけになるだろ」

 

 

連「……真希、俺の術式を空気清浄機だと思ってないか? ……まあいいけどさ。――『星の呼吸(ステラ・ブレス)』」

 

 

俺が指先で小さな気圧差を作り出し、窓の外へと煙を誘導する「炎を伴わない熱波の気流」を錬成する。

 

 

パンダ「相変わらず器用だなあ、連は。おい悠仁、この『連先輩』は特級並みの実力者で、しかも反転術式まで使える最強の便利屋……じゃなかった、先輩だ。仲良くしとけよ」

 

 

虎杖「へぇ、反転術式!? すげぇ! 仙台の時も、あの狼とか虎とか格好良かったっす! 俺もあんな風に戦えるようになりますか?」

 

 

虎杖はキラキラした目で俺を見てくる。この屈託のなさが、後の悲劇を知る俺には眩しすぎた。

 

 

連「……お前はお前なりの、もっと力強い戦い方があるさ。……ほら、肉焼けたぞ。食え食え、上層部のジジイ共のことは忘れてな」

 

 

俺は「虎座」を少しだけ出し、肉のトレイを運ばせる。

 

 

棘「しゃけ、おかか!」(※肉を催促)

 

 

五条「あ、連くん! 肉焼くのに火力が足りないから、ちょっとその『星の炎』でプレート熱してよ。瞬時に焼けるやつ!」

 

 

連「先生……。俺の炎、一番低出力でも鉄板ごと溶けますよ? 悠仁に『焼けた鉄』を食わせる気ですか」

 

 

五条「えー、連くんなら微調整できるでしょ? 5年修行したんだからさー」

 

 

連「ボケるならもっとマシなやつに……って、これデジャヴですね。ほら、これで我慢してください」

 

 

俺は指を鳴らし、影から「狼座(ルプス)」を数頭呼び出した。ルプスの口には、近くのスーパーで買ってきた追加の野菜とドリンクがぶら下がっている。

 

 

虎杖「うわ、可愛い! こいつらお使いもできるんすか!?」

 

 

連「ああ。……悠仁。お前がもし、中で寂しくなったら、いつでもルプスを走らせてやる。……俺たちは、お前を死なせない」

 

 

俺が真剣な顔で言うと、虎杖は一瞬きょとんとした後、満面の笑みで頷いた。

 

 

虎杖「……ありがとうございます、連先輩! 俺、頑張ります!」

 

 

伏黒「…………。おい連先輩。その狼、俺のベッドで寛ぐのをやめさせてください」

 

 

連「悪い、伏黒。……まあ、今日くらいは賑やかな方がいいだろ」

 

 

宿儺という巨大な呪い(爆弾)を抱えた少年。

その彼が、初めて「呪術師の家族」に囲まれた、星の光が差し込む長い夜。

俺は焼ける肉の匂いの中で、絶対にこの笑顔を曇らせないと、静かに決意を新たにした。

 

 

 

五条「あ、連くん! デザートのアイスを――」

 

 

連「ハーゲンダッツ、もうルプスに買いに行かせてありますよ」

 

 

五条「さすが連くん! 話がわかる!」

賑やかな笑い声は、深夜まで伏黒の部屋(と廊下)に響き渡っていた。

 

 

 

 

次にやって欲しい作品は?

  • 暗殺教室
  • ワンピース
  • 僕のヒーローアカデミア
  • ハイスクールD×D
  • その他(コメントで書いて下さい)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。