空を舞う海賊   作:槇塚 憂淋

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海賊子女のコノミ諸島散策

 イッカクを正式に仲間に加え、真珠との事件からしばらく経ったある日、ウェンディはコノミ諸島を散策していた。あまり人前には現れなかったウェンディの到着した村のひとつにはココヤシ村があった。

 

「ゲンさん!」

「おお、ベルメールかみかんは買うぞ」

「ゲンさんはナミ達も世話になったからいいの。前にもいったでしょ。ほら、ナミもノジコも挨拶」

「ゲンさんこんにちわ」

「うわーーーーーんっ」

「あー、ゲンさんナミ泣かせたー」

「わしのせいかっ!?」

 

 ウェンディは初めてコノミ諸島の名を思い出していた。コノミ諸島ココヤシ村。どこかで聞いたことのあるフレーズを今になって理解したいた。ウェンディは驚嘆の表情を内にしまいポーカーフェイスを貫く。ナミという主人公の仲間が近くにいることでこれから予想される出来事を断片的に思い出していた。

 

「あれ?見かけない子だね。どこから来たの?」

 

 ベルメールがウェンディに気づき、話しかける。

 

「グアバから来た。今は鉱石を売っている」

 

 ウェンディは簡潔に述べるとベルメールとゲンさんが顔を見合わせる。およそノジコと同い年くらいの少女が2つ隣の島のグアバ村から来たという。

 

「鉱石か。見てみようかな」

「アクアマリン、エメラルド、他にもあるけどダイヤは売り切れ」

 

 鉱石は鉱石でピンキリではあるが、高いところだと一般家庭には手が出せない価格になる。あまりの種類にゲンさんも驚いてしまう。

 

「お、おー、これはいい鉱石じゃな。これほどの鉱石どこで手に入れたんじゃ?」

「鉱山で掘った」

「掘ったって、そのまんまの意味か!」

「買いたい人が言ったら伝えて欲しい。村の広場に二時間だけいる」

 

 それだけ伝えるとウェンディは4人の前を通りすぎる。じっと見ていたノジコがウェンディに向かって走り出した。ノジコがウェンディの隣に立つと勢い良く話しかける。

 

「私ノジコ!あなたは?」

「ウェンディ、マーベル・ウェンディ」

「いくつなの?」

「歳は6つだ」

「なら私と一緒だね」

「そうか」

「それでね___」

 

 ノジコは同世代のウェンディに興味津々であった。歳がまったく同じウェンディに興味を持っていた。一方のウェンディはアーロン襲来の時期を考えていた。

 

「…あれはお前の妹か?」

「ナミのこと?」

「あのオレンジ髪の泣いている奴だ」

「そうだよ。妹。最近4歳になったばかり」

 

 ウェンディが覚えている範囲にはノジコとナミの年齢差は忘れていた。覚えているのはナミが10歳のときにアーロン一味に加わることだった。そしてそれはほぼアーロン襲来の時期と重なっていたはずである。ということ。

 

「……時間はあるが、足りないな」

「ん?何か言った?」

「なんでもない」

 

 村の広場でノジコと会話しながら宝石を買う人を待つ。裕福な家庭は一つもなかったのか、宝石を買う人間は一人もいなかった。ベルメールがウェンディが食べるのに困っているのではないかと憶測し、無理にでも買おうとしたのだが、金は貯金のため、食にはまったく困っていないとだけいいココヤシ村を後にして、隣村まで歩く。

 ウェンディは考える。今の戦力でアーロン一味と戦うことができるのか。第一にイッカクとしか戦闘していないのだから自信の強さの基準がわからない。ウェンディは当面、6年後のアーロン襲撃のことに思考を割いていく。

 

 

 

 ココヤシ村にも月一で通うようになったウェンディは村から親しく接されるようになり、婚約や恋人同士のお祝いにと鉱石の加工品が売れるようになっていく。溜めた資金をウェンディは今の仮の船ではなく、新しい船に注ぎ込むつもりである。

 

「売れたか?」

「そこそこ」

 

 ぶどうのジュースとぶどう本体の販売も行っていたイッカクが店仕舞いをしてウェンディに話しかける。グアバでもやっているが、ココヤシ村にも月に一度の割合で伸展してきた。イッカクが馴染むまでには5回もの来訪が必要であったが、今では十二分に稼げるようになっていた。しかし、ぶどうの販売量もたかが知れているためにそこまでの大金は得られない。ウェンディの保護者的立ち位置であるイッカクはウェンディがただ黙々と船を作るためにお金を使っているのを不憫に感じ、少しは贅沢でもさせてあげようと稼いでいるお金である。それから、ココヤシ村に通う理由のもう一つにイッカクがここのところナミに懐かれていることである。高い高いと持ち上げるとイッカクは5mの身長のため家よりも高く持ち上げられ、大人であれば恐怖するが子供のナミはかなり喜んでいた。そのせいで父親としての立場にいたゲンさんは夜な夜な泣いてまくらを濡らしているとか。

 

「ウェンディ姉!」

「ナミ、イッカクについてきたのか?」

「うん!」

 

 今日もナミは元気いっぱいである。その後ろには同い年のノジコの姿も見える。

 

「ノっちゃん」

「誰が”ノっちゃん”よ!」

「固いな」

「あんたが変な呼び名つけるからでしょ!」

「気にするな」

「気にするわよ!」

 

 ウェンディを追いかけ回すノジコだが、地力が違いすぎてまったくウェンディに追い付く気配はない。夕暮れまで気ままに過ごしていたが、今日も今日とて別れはやってくる。

 

「そろそろ帰るぞ」

「ダメーーー!イッカクおじさん帰っちゃ、ヤ!!」

 

 そして、またしてもナミがぐずった。ここ最近ウェンディたちがココヤシ村を訪問するたび、別れ際でナミは泣いてしまう。

 

「ナミ、また来るからいい子にしておるんじゃよ。お母さんの言うことをちゃんと聞いていい子にしていなさい」

「うぅ…」

「ナミはいい子じゃ。ほれ、たかいたかーい!」

「きゃあーーー 」

 

 ナミは楽しそうな悲鳴をあげる。

 

「…羨ましいならやってもらえば?」

「違うわよ!」

「そういえばノっちゃんも最初の頃はナミみたいに別れの時、泣いてたよね」

「わーーーーーーーーーーー!!何言ってんの!?馬鹿じゃないの!?泣いてないし!!」

 

 ウェンディに急に問いかけられたノジコはごまかそうとするも顔は真っ赤になっていた。

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