空を舞う海賊   作:槇塚 憂淋

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うまく表現できない。難しい。


こそ泥と冒険の海賊団

 よく食べてよく寝てよく動くウェンディは他の同世代の子供たちよりも発達が早く、成長が著しい。しかしながら所詮は7歳になる前であるからそこまでの身長はない。120cmを超えたウェンディは船頭に立っていた。

 

「イッカク!出航だぞ!」

「あいよ」

 

 イッカクからはあまりやる気の感じられない声がしたが、ウェンディはあまり気にしていない。ウェンディは船の機動力に追加して例の巨大シャコ貝から取れた真珠の能力で外輪を用いて推進力をあげている。例の真珠の名は魂封珠とウェンディが命名し、ウェンディの悪魔の実の能力を取り入れた状態を風魂封珠と呼んでいる。ちなみに巨大シャコ貝は大王シャコ貝と名付けた。自らの悪魔の実の能力を封じ、操ることができる魂封珠のその使い方を知るものは他にいない。

 

「電力は十二分あるけど、やっぱり風魂封珠を使うのは勿体無いな」

「使い切ってもまた充電が効くじゃろ」

「それはそうだけど…」

 

 船を出して着々と外海に進み始めたウェンディたちは船の機能を確かめるために、さっそくその準備に取り掛かっていた。そして、港から離れると悪魔の実の能力を発動する。風魂封珠は外輪の動力源として機能するのだが、その力を取り出しているイッカクは海楼石を微妙に操作して風魂封珠から力が出過ぎないように操作していた。

 

「うお!?」

「っ!なかなか早いじゃないか」

 

 その船体の速さは30ノットに到達した。

 

「およそ50キロ毎時ってところかな」

 

 空間把握に優れた能力を持っているウェンディはどれくらいの時間でどれだけの進み具合かは瞬時に判断できる。造船技術がそこまで高くないウェンディたちは風を電力に変えてスクリューで進む船の作成は諦め、代わりに外輪で動くパドル船を作り出した。

 

「早いのう」

「もっと早い速度を出すには私の力を重ねがけしなければならないな」

「敵船から逃げるのには本気を出すということじゃな」

「海軍本部大将とか来たら即逃げる」

「こんな場所にはおらんわ」

 

 適当な会話を弾ませていた二人だったが、およそ30分の航海でウェンディの空間把握に引っかかる反応があった。他の船がウェンディの包囲網にかかった。

 

「この運動量は船だな。イッカク!船は見えるか?」

「どっちの方角じゃ」

「10時の方向、大きさからするとガレオン船だ」

「見えたぞ。どうやら海賊船じゃな」

「ウェンディ海賊団の初陣だ」

「二人しかおらんがな」

 

 ウェンディはすぐに船体を敵船に向けて船首に備え付けられた大砲を撃つ。

 先手必勝、遠距離もほぼ確実に当てることができるウェンディは一撃を放つと相手船からも一撃が飛んできた。しかし、敵船の砲撃はウェンディたちの船の手前に着水し、ウェンディたちの大砲は直撃した。さらにもう一発ウェンディは敵船に向けて砲撃を放った。またしても命中し、敵船は進行を止める。船員たちは消火に時間を取られている。

 

「砲弾が勿体ないな。白兵戦で行くぞ!」

 

 ウェンディは空を舞った。

 

 

 

 敵船に到着したウェンディは船員の位置把握を行う。人質とかいるかもしれないと考えたウェンディは船内に身動きが取れない人の気配を感じていた。その人数は4人である。

 

「なんだ!?ガキが空から降りてきやがった!?」

「無駄口叩いてる暇あるなら消火しやがれ!」

「くそがっ!あの船ただじゃおかねえぞ!」

 

 ウェンディが敵とは認知されなかったのか最初に声をあげたもの以外は消火に勤しんでいる。しかしウェンディはいかにもな女海賊の衣装を羽織り、手にはレイピア、腰には刀という海賊らしいのは格好だけだが、凶器を持っているのには変わりない。

 

「ソラソラの大花火!」

 

 消火に当たっていた船員を巻き込み、酸素濃度の高い圧縮した空気を火の元に放ち、圧縮を解いた。それは花火というには美しくはない、ただの猛火となった。火に巻き込まれた海賊たちは我先にと海に飛び込んでいく。

 

「くそっ!てめえ、噂に聞く悪魔の実の能力者か!」

「ほう?私の力を見て悪魔の実の能力とわかるか」

 

 子供と大人の差はあれど、いかにもな格好の海賊同士の戦いの火蓋は降ろされなかった。

 

「魚人空手!千枚瓦正拳!」

 

 敵の船長は海から現れたイッカクの一撃で粉砕した。敵船力を無効化した後でウェンディは捕らえられている人を救出し、自身の船においた。もっとも捕らえられていた4人家族は商人であり、商船は失ってしまったという。船内に保管されていた金銀はウェンディが交渉のすえ、4人を家に送り届けることと引き換えにもらうことになった。

 わずかに3時間、目的の島にたどり着いた一行は目の前に海軍戦を見つける。

 

「まいったな、海軍だ」

「小舟を出してくれ、わしが一家を島に送るからのう」

「頼んだ」

 

 一家は小舟を使って無事に上陸を果たした。そしてイッカクもまた小舟を引っ張って戻って来た。

 

「これで一件落着だな」

「本人の前で金銀を奪うのは如何なものかと思ったぞ」

「別段問題はないでしょ。私たちは海賊よ」

「そうじゃったな」

 

 イッカクは腑に落ちないが、最近、海楼石の購入で金欠気味だったのが一気に懐が豊かになって複雑な気持ちを抱えていた。一方でウェンディは海賊船を襲うことに味を覚えたため、次なる標的を探すべく海を彷徨うことにした。

 

 

 

 航海三日目。

 ウェンディはなかなか海賊船に会えずに苛立っている。

 

「今日も獲物なしか…」

「どこぞの賞金稼ぎじゃ」

「暇だーーー、うだーーー、うがーーー」

「はあ」

 

 イッカクはため息をつき、年相応な態度をとるウェンディに呆れていた。

 

「船上じゃ修行も限られるし、うーん…、何か面白いことないかなあ」

「あたり一面に海があるぞい」

「海しかないやん。昼飯にするか」

「さっき昼飯食ったじゃろ。そろそろ島でも目指してみるかのう?」

「そうしようか」

 

 ウェンディは船の進路を変更して東の海で結構な規模を誇る無人島を目指した。パドル船の常識外れな速度で4時間経ってようやく目的の島を視界に入れることができた。

 

「あれかな?」

「海流の位置からしてもあれじゃ」

「この距離だとギリギリ私の包囲網だからわからないよ」

「これほどまで届くんか…」

「正確な形を判定するには結構近づかなくちゃいけないから、視界みたいなものかな。ある一定距離離れるとぼやけるでしょ?そんな感覚」

 

 ウェンディの空間把握は視界ギリギリにある島を島と認知する程度であった。イッカクはパドル船の推進力を控えめにしつつ、上陸のための準備に移る。島に近づくとウェンディが能力で帆をたたみ、錨を下ろす。

 

「はい、上陸」

「飛ぶとは卑怯な」

「イッカクは遅いねえ」

「ほんのタッチの差じゃろ」

 

 ウェンディは空を舞い、イッカクは海を泳いで島に乗り込んだ。二人はさっそく冒険家のごとく、島を散策する準備に取り掛かる。大荷物を持って島に入り、ジャングルに溶け込んでいく。

 

「なあ、イッカク」

「なんじゃ?」

「無人島に宝なんてあるかな?」

「ほとんどないじゃろ。猛獣が宝を守っているとかでないかぎり、海底の方が宝は多いぞ」

「海底潜ってみるか…」

「カナヅチが何を言う」

 

 ウェンディが先頭に立って、イッカクがその後ろを進む。しばらく歩いているとウェンディの歩みが止まった。現在地はジャングルの中である。

 

「この辺で毒持った生物とかいる?」

「なんじゃ?怖いのか?怖いのかのう?」

 

 年上の貫禄か、はたまた子供っぽくないウェンディに対しての嫌味なのか。ここぞとばかりにイッカクはウェンディを煽る。ウェンディもそんなイッカクの言葉にムッとイラついて今しがた気がついた出来事について話すのをやめた。

 

「聞いてみただけだ!」

「拗ねておるんか。すまんのう」

 

 ウェンディは笑いながら謝るイッカクにイラつきながら強引に木々をかき分けて進んで行く。そしてウェンディが空間把握で注視していた生物を視界に確実に収めるところまで来ていた。

 体長20mを越す巨大な大蛇であった。

 

「イッカク、もう一回だけ聞いてやる。あれは毒を持っているか?」

「メガパイソンじゃと!?」

「聞こえなかったか?」

「ぎゃあああああああああああ!!!!!」

「うるせ」

 

 イッカクは今来た道を猛ダッシュで引き返した。その様子を見ていたウェンディはメガパイソンに毒があることだけは理解した。すぐに浮遊の能力を放ち蛇を捉えようとするが、蛇はそれを避けた。

 

「あれ?浮遊も音速の速度で相手に仕掛けられるんだけどな…」

「シャーーー!」

「背後か!?」

 

 ウェンディとメガパイソンの噛みつきを上空に逃げて回避するが、そこに追い打ちをかけるように蛇の尻尾が横薙ぎでウェンディに迫る。

 

「浮遊(フライ)!」

 

 ウェンディは自身に浮力をかけて二段階にジャンプしたかのように空へ舞う。メガパイソンは素早く近くの大樹に体を巻きつけながらウェンディを追う。

 

「マジ!?早すぎでしょ!浮遊(フライ)!」

 

 ウェンディは口を大きく開けたメガパイソンに向けて浮遊を放つ。今度は命中し、メガパイソンはウェンディの上空を噛み付いた。ウェンディは身を翻して木々を蹴り、地面を目指す。地面に着くまで上空20mのところからわずかに3秒。しかし、遅れをとっていたはずのメガパイソンはすでにウェンディの着地地点へ噛みつき始めていた。

 

「やっぱり早い!?」

 

 ウェンディは間一髪で浮遊したが、追尾してきたメガパイソンの尻尾に弾かれる。

 

「ゔっ、ぐあ…」

 

 樹の中腹に叩きつけられたウェンディは重力で落ちるはずであるが、落ち始める前にメガパイソンが樹にウェンディごと巻き付いた。

 

「はは…、イーストブルーに…こんな野生動物いたんだな。強いね」

「シャー!!」

 

 ウェンディは噛み付いてきたメガパイソンに抜刀しておいたレイピアにかけた浮力でメガパイソンの下顎に突き刺した。一瞬締め付けが緩んだ隙を好機と見てウェンディは脱出、レイピアを回収し、メガパイソンに対峙する。体の割に素早いメガパイソンの射程範囲を見極めようとしていたが、メガパイソンが口を開けて何かを吹きかける。

 

「何!?」

 

 とっさに避けたウェンディは木々にかかった液体を見て毒液だと判別した。蛇の牙で巨大な二本から吹き出てきたものである。

 

「しまった!」

 ウェンディは毒液に気をとられ、蛇の姿を見失う。周囲を詮索してメガパイソンの行方を追った。それはイッカクの方に高速で動いていた。

 

「くそっ!!あのバカの方か!!」

 

 ソラソラの実の能力で授かる空間におけるエネルギー変異の知覚、それはウェンディの新しい感覚として備わっていたが、ウェンディは戦闘中にその感覚を用いずに戦ってしまったことを悔やむ。視覚に頼りきった戦闘の域を出ないとソラソラの実の力は使いこなせているとは言えない。

 ウェンディは小心者の部下のピンチを助けるべく空を駆ける。




いい名前が思い浮かんばない
なんだよメガパイソンって…
ウェンディの口調が安定しない
誤字多い
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