機動戦士ガンダムSEED zeonic front 作:ガンオタ
活動報告では、コナン作品を執筆していたのですが、息抜きに
ガンダムSEEDの執筆をしたらなぜか1話書けたので投稿します!!
第1話
C・E<コズミック・イラ>30年代にピークを迎えた遺伝子改変ブームによって、人類は新たな対立構造を作り出すこととなった。
受精卵の段階で遺伝子を操作されて生まれた『コーディネイター』と呼ばれる新たな人類は、旧来の人類『ナチュラル』にとっての脅威となった。彼らコーディネイターは知力、体力全ての能力においてナチュラルを凌駕し、その数こそ少ないものの、社会のあらゆる分野のトップを占めるようになる。やがてその格差が対立を生み、数において不利なコーディネイターは地球各地で迫害を受けることとなった。住み慣れた土地を追われ、彼らがたどり着いた場所は、宇宙だった。
のちにコーディネイターたちの安住の地となる“プラント“は、C・E50年代から着工し、エネルギー問題に悩む地球に、豊富な宇宙資源から得られたエネルギーと、無重力を生かした工業生産物を供給する役割を負っていた。その利益は一部の地球におけるプラント理事国が独占し、彼らは“プラント“に武器と食糧の生産を禁ずることで、自分たちの支配を確固たるものとした。
いわれのない支配と搾取。当然コーディネイターたちはそれに反発し、自治独立と自由貿易を地球側に求めた。幾度となく会合の場が設けられたが、そのたびに会合は決裂し、地球とプラント間の緊張は時が経つほどに高まっていった。
C・E70年、“血のバレンタイン“の悲劇によって、ついに地球とプラントかんの大戦が勃発した。
物量で勝る地球軍の勝利。誰もが疑わなかったそれは大きく裏切られ、戦線は膠着し、大戦勃発から11ヶ月の時が過ぎようとしていた。
***
幾千の星々が煌めく漆黒の宇宙空間を4隻の宇宙艦が静かに航行していた。
4隻のうちの2隻はムサイ級軽巡洋艦。かつてジオン公国軍宇宙艦隊の中核として活躍していた軽巡洋艦である。その2隻のムサイに挟まれるようにして航行するのは、赤い船体が特徴的なチベ級宇宙重巡洋艦だ。ムサイ級よりも火力に優れており、小規模艦隊の旗艦として運用されている。それら3隻の後を追うように航行しているのはパゾク級補給艦。船体基部から伸びる構造材によって前後上部の貨物スペースを連結したV字型の船体が特徴的だ。
4隻の小艦隊の旗艦であるチベ級のブリッジでは、艦長席に座っている1人の男が眼前に広がる宇宙空間を物憂い気味な感じで眺めていた。
「フゥ……まさかガンダムSEEDに転生するとはね……」
艦長席に座る男、松田裕太<まつだゆうた>26歳はそう言うと被っていた黒い艦長帽のつばを上にずらし、身体をシートに深く沈めた。
「“ガンダム超大戦“やって途中で寝落ちして、そんで目を覚ましたら宇宙船のブリッジって……まるで異世界ラノベの主人公ではありませんか? えぇ?」
いつものように仕事を終え、アパートに帰って夕飯を食って風呂に入って、寝る前に最近ハマっているゲームをプレイしていたはずなのに目を覚ましたら何故かゲームで登場する戦艦のブリッジでジオン公国軍の軍服を着ていた。
「イテイテ……やっぱ夢じゃない」
引っ張ったことで赤くなった頬を手のひらでさすりながらため息を吐く裕太。目を覚ましてから何度もやっているのだが、いまだにこの状況を飲み込めないでいた。
「痛みはあるし、脈も心拍もしっかり確認できるからやっぱこれは現実なんだなぁ……そろそろ認めないと……」
転生してからすでに5時間が経過している。待てど暮らせどいっこうに前いた世界に戻ることはない。つまり自分は何かしらの超常現象に巻き込まれて前いた世界からC・E世界に転生したようだ。そしてこれからはこの世界で生きていかねばならないということだ。
「お、重い……てか、もう詰みじゃね? なんせ機動戦士ガンダムSEEDだぜ。核ミサイルやら巨大レーザーなんかが当たり前にぶっ放される世界だぜ。それにもう原作真っ只中で主人公のキラ・ヤマトがすでにアークエンジェルに乗ってヘリオポリスを脱出してる」
裕太はそう言うと、艦長席の肘掛け部分のボタンを押す。
正面のディスプレイに主人公であるキラ・ヤマトと彼の搭乗機体であるGAT−X105“ストライク“の詳細と写真が表示される。ちなみにだが、この艦には“ガンダム超大戦“に登場するMSや艦艇、それとキャラクターに関する詳細な情報が記録されている。それと艦の操舵とMSの操作はコンピュータが自動で行うので、チベ級には裕太ひとりしかいない。
「彼を敵に回したくないから、もし出会うことがあったら友好的に接しよう。さて、現状の戦力は……ムサイ2隻でそれぞれザクが3機の合計6機。このチベにはリックドムが合計6機。それで補給艦パゾクには武器弾薬、それと食糧と水。それに補給作業時に使う旧ザクが2機、か……う〜ん、手持ちのMSが装備できるのって120mmマシンガンにバズーカだけか……」
裕太は画面を切り替えこの艦隊に搭載しているMSの詳細情報を確認する。
*ザクⅡF2型<MS−06F−2>
F型の後期生産型で機体の軽量化と推力強化により機動性が向上した機体。
装備は、口径120mmマシンガン、バズーカ、口径90mmMMP80マシンガン、パンツァファウスト。
*リックドムⅡ<MS−09R−2>
リックドムの再設計機で推力が旧型のリックドムの2倍の機体。
装備は、F2型と同じ。
*ザク1型<MS−05B>
装備は、口径120mmマシンガン、バズーカ。
「実体弾のみか……ザフトのMSジンや連合のMAメビウスとかは問題ないけど、実体弾に強い耐久力を持つフェイズシフト装甲装備のXナンバーシリーズの機体が相手じゃ歯が立たないな」
画面を切り替えて、ザフトMSジンの機体情報を表示する。
*ジン<ZGMF−1017>
装備、76mm突撃銃、重斬刀、M68無反動砲、M69重粒子砲、M66短距離誘導弾発射筒、M68 3連装短距離誘導弾
「こっちの世界はMSは全部バッテリー駆動だから稼働時間に制限がある。それに比べてこの艦隊に載ってるMSは熱核反応炉だから問題なし。まあ、弾切れしたら終わりだけど……それに核運動を阻害するニュートンロンジャマー下でもなぜか正常に稼働するのは確認済み」
ガンダムSEEDの世界では、核運動を阻害するニュートロンジャマーによって核を動力とする潜水艦や発電所などは全て機能を停止している。なので本来であれば核エネルギーを動力としているザクやドムなどはこの世界では使えないはずなのだが、なぜか知らないが問題なく稼働できた。
「“ガンダム超大戦“仕様だから問題なしってか? コンピューターゲームだから? まあ、いいや。今はともかくデブリベルトにある“要塞アクシズ“に向かわないと」
裕太はそう言うと再び画面を切り替え、宙域図を表示する。そこには艦隊の航路と目的地が示されていた。目的地には要塞アクシズと表示されている。
「でも助かったァ〜、ゲームのホーム拠点まであって。もしなかったらいずれ物資食い潰して餓死するところだったぜ」
“ガンダム超大戦“では、プレイヤーは宇宙と地球の両方にホーム拠点を持つことができて、そこでプレイヤーはMSや艦艇の開発製造、戦闘に必要な物資を生産することができる。
「アクシズに行って今後の動きを確認。そんでもってMSの機動訓練をやろう。それまではなるべく戦闘は避けて、物資の消費を抑えよう」
裕太はそう言うと画面を切り替えてSEED世界に登場する機体や兵器の情報を確認していくのであった。
艦隊はゆっくりと目的地である宇宙要塞“アクシズ“へと向かっていく。
***
地球連合軍新型強襲機動特装艦“アークエンジェル“の艦橋では、クルーたちが重苦しい表情で今後の行動を話し合っていた。
「再度確認しました。半径5000に敵艦の反応ありません。完全にこちらをロストしたもよう」
索敵担当のジャッキー・トノムラ伍長の報告に、クルーたちはほっと息をついた。
「“アルテミス“が、いい目眩しになってくれたってことかな? だったらそれだけは感謝しないとな」
と、ムウラ・フラガ大尉が皮肉っぽく言った。
宇宙要塞“アルテミス“は、地球連合構成国であるユーラシア連邦管理下の軍事要塞だ。ザフトの強襲を受け崩壊した“ヘリオポリス“を脱出した“アークエンジェル“は孤立無縁の状況を脱するために友軍である“アルテミス“に入港したが、ここでもまたザフトの強襲を受けて脱出してきたばかりであった。
「しかし……こちらの問題は何一つ解決してないわ……」
“アークエンジェル“艦長のマリュー・ラミアス大尉が憂鬱な表情で言った。
結局“アルテミス“で補給を受けることはできなかった。地球を挟んで対極の位置にある月まではまだ遠い。“ヘリオポリス“で慌てて積み込んだ物資では、到底保たないことは目に見えている。
彼女の言葉を聞いたムウがそばに寄り、声を低めて尋ねてみた。
「実際のとこ、どうなんだ。やばいのか?」
「食糧は非常糧食もありますが……問題なのは、弾薬と水ですね」
「水か……」
「ともかく対策を考えましょう。水はできる限り節約して……避難民にも協力してもらってね」
かくなる上はできるだけ早く、月へたどりつかなければいけない。航行予定コースのシュミレーションが、モニターの上に表示される。
「これで精一杯か? もっとマシな航路は取れないのか」
副長のナタル・バジルール少尉が苛立ち気に言う。彼女の言葉に操舵手のアーノルド・ノイマン曹長も語気を強めに応じる。
「無理ですよ。これ以上地球に軌道を寄せると、デブリベルトに入ってしまいます」
「突破は無理、よね?」
「デブリベルトをですか? この速度で突っ込んだら、この艦をもデブリの仲間入りですよ?」
苦笑気味に言ったマリューの言葉に、ノイマンもまた苦笑で応じた。
デブリベルトとは、地球を取り巻く宇宙ゴミが集積する宙域のことだ。人類が宇宙に進出して以来、廃棄された人工衛星や宇宙開発において発生する様々な廃棄物が、宇宙空間に放棄されてきた。それらスペースデブリが地球の引力に引き寄せられて漂っている。
ふいに、モニターを見つめていたムウが呟いた。
「待てよ。デブリか……」
何か思いついたらしい。彼は端正な顔に不敵な笑みを浮かべ、マリューを見た。
「フッ、俺は不可能を可能にする男かな、俺は」
***
エレベーターが降下するにしたがって、雲の切れ間からアプリリウス市の全景が見えてくる。
ミラーに反射した光を受けて煌めく海。
海にいくつも浮かぶ緑豊かな島々。
見慣れているはずの景色なのに美しいと感じるのは、ここに来るまでに経験した悲惨な出来事のせいなのかもしれないと、アスラン・ザラは思った。
攻撃で崩壊した“ヘリオポリス“。
目の前で無惨に死んでいった多くの戦友たち。
敵として戦場で再会したかつての親友、キラ・ヤマト。
ふと、アスランはシートに座っている部隊長に視線をやる。
目元を白いアイマスクで隠したラウル・クルーゼは、シートに座り、手元のディスプレイに表示されている資料に目を通していた。
エレベーター壁面のモニターでは、ニュース映像が流れている。
<ーーでは次に、“ユニウス・セブン“追悼1周年式典を控え、昨夜クライン最高評議会議長が声明を発表しました……>
アナウンサーの声に、アスランとラウの目がモニターに向かう。画面には40代後半の品のよい面長な男と、その脇に控えるように立つ、ひとりの少女が映っていた。アスランの目は自然とその少女に引き寄せられた。
その姿は、どこにも尖ったところや硬いところがない。ふわふわと波打つ長い髪は柔らかなピンクに染められ、透き通るような白い肌によく映えている。大きな瞳はどこか夢見るような色をたたえ、ふっくらとした頬をつつけば、今にも笑みをこぼしそうだ。
彼女の名は、ラクス・クライン。クライン最高評議会議長の愛娘にして、“プラント“の歌姫。そしてーー。
「そう言えば、彼女が君の婚約者だったな」
ラウの言葉を聞き、それまで彼女に見入っていたアスランは焦ってモニターから視線を逸らした。すでに“プラント“中が知っている事実だ。だからラウが知っていてもおかしくはない。しかし、面と向かって言われるといまだに動揺してしまう。
「彼女は今回の追悼慰霊団の代表も務めるそうじゃないか。素晴らしい」
ラウはにこやかに言葉を続ける。
「ザラ委員長とクライン議長の血をつぐ君らの結びつき、次の世代にはまたとない光となるだろう。期待しているよ」
「……ありがとうございます」
ラウなりの祝福の言葉なのだろうが、アスランはその言葉がどことなく空々しく感じながらも、頭を下げた。
ありがとうございました。