ロック・リー転生伝   作:六亭猪口杯

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ロック・リーになった件

 

 

NARUTOと言う作品をご存知だろうか?

世界的に大ヒットしたあの忍者モノの少年漫画である。

俺はまぁそこそこ読んでた程度のにわか読者だったが滅茶苦茶楽しんでたし、完結した時は寂寞感を感じたもんだ。

 

それでも腑に落ちないところや引っ掛かる部分が合った。

その最たるものが…

 

「ロック・リーの終盤の扱い」

 

である。中忍試験編で出てきた彼は体術オンリーの脳筋努力キャラで数々の名バトルを繰り広げた男だ。

忍術、幻術の使用が出来ない、体術にもそこまで才能がない。

それでも体術一本に絞って強化した結果、初登場時にはあの主人公のライバル、うちはサスケと引き分けると言う大戦果を上げているのだ。

 

その後も砂漠の我愛羅や君麻呂との戦いで頭角を現した…が。

それ以降の活躍はイマイチパッとしない。

…まぁ俺が覚えてないだけかもしれないが。

 

最終的にはガイ先生が完全上位互換だからか活躍の出番が奪われてしまっていた印象だ…ガイ先生が超カッコ良かったのが救いだったが。

 

まぁつまり何が言いたいかって言うと…

 

(なんで、ロック・リーなんだよ!?)

 

この一言に尽きる訳で。

 

つまるところ、これは俺がロック・リーとして木の葉の里で生きて行くと決めた物語である。

 

 

 

 

 

 

「俺は体術メインで立派な忍者になってみせる!」

 

そう宣言すると周りからは嘲笑された。

 

アカデミーに通うようになった最初の組分けでの事だ。

禄に術も使えない、そんなザマで忍者が務まるもんかと。

散々言われ慣れた言葉だから何とも思わないけど…

 

「今に見てろ!俺がその常識を壊してやる!」

 

当たり前だが俺は正真正銘、本物のロック・リーではない。

いつの間にか転生だか憑依だかした元一般人だ。

でもだからこそ、ロック・リーの夢だった事は叶えられる様にしなきゃいけない。

 

「先ずは身体づくり、そんでもって…」

 

チャクラコントロール。

忍者としての基礎にして強さの根源。

謎パワー過ぎてイマイチ要領を得ないけど…

 

「よっ…と!」

 

数年掛けて何とか壁を歩ける位にはなった。

直ぐに出来るようになったナルト達はバケモンだわ…

此処でも才能の差を感じて辟易するが腐っててもしょうがないと思い直す。

 

「そんでもって…!」

 

地面に降りると手に持った水風船…その中の水を回す。

 

「んギギ…ッ!」

 

此処で乱回転…!

チャクラをぶん回す方向をランダムに変更する!

 

数秒後、パシャリと言う音と共に水風船は弾けた。

 

「…ようやく第一段階突破か」

 

この分じゃ完成するのは数年後だな…と遠い目になる。

螺旋丸。言わずとしれたうずまきナルトの必殺技にして取得難易度がバカ高い代わりにダメージがイカれてるぶっ壊れ忍術。

何故そんな術の練習をしているのかというと…

 

俺の知る限りで唯一、ロック・リーの使える可能性がある忍術だからだ。

 

いや、正しくは忍術じゃ無い。

これはチャクラコントロールの極致に当たる()()だ。

印が不要と言うのも当たり前な話でやってる事は水の上に立つのとそう変わらないのだから…其れを百本以上の手足で別々の深度でやるようなもんだが。

 

つまるところ…

 

「印を結んでも効果がない俺でも使える可能性のある超必殺技」

 

としてとても有用な技術なのだ。

印を結んでも術が発動しない俺でもチャクラコントロール自体は可能だ。

そうでなきゃそもそも八門遁甲とか使えないし、水面走りも出来ない。

 

そもそも忍術が発動しない原因として考えられるのは

 

1、チャクラを操る才能がない

2、術を発動させる回路(印の形)に問題がある

3、術を発動するための変換が行えていない

 

1の場合…チャクラコントロール自体が可能な以上これは除外できる。…時間は掛かったが。

 

2の場合…アカデミーの先生に見てもらっても問題ないとお墨付きを貰っているからこれも違う。

 

3の場合…そもそも正しい印を結んでも発動しないと言うことはチャクラを術へ変換する才能がない。回路()は正しくともそこを通る燃料(チャクラの質)が間違っている…恐らく俺は3に該当すると思われる。

 

だから俺は忍術も幻術も使用出来ない。

唯一使えるのは原作でやってた八門遁甲の陣くらいなもので、あれもチャクラコントロールの一種だ。体内のチャクラを無理やり励起させてリミッターを解除する…みたいな感じだったと思う。

 

八門遁甲の陣は試す勇気がないし。

多分、今の俺でも1門は外せる…と思う。でも戻し方がわからない。

ワンチャン死にかねない技は俺には荷が重すぎる…

リミッター解除系の能力が強いのは当然だし原作のリーはそれで何度も窮地を切り抜けて居た…よな?…まぁどっち道これは師匠が出来てからの話だ。

 

故に螺旋丸。これはチャクラコントロールで再現が可能と見ている。

ちゃんと読んでた時期のものだから間違ってないと思うんだが、ナルトの修行でもチャクラの流れを操作する事で発動させていたはず。…使用するチャクラは膨大だったが、あれ程の威力が出なくても構わない。八門遁甲の陣以外の決め手になり得る手札を増やしておきたいのだ。

 

記憶も大概うろ覚えだし、そもそも1回読んだ程度の漫画の内容なんかそうそう覚えてるもんでもないが。

 

「努力あるのみ」

 

そう呟くと里内ランニングと螺旋丸の修行第二段階、ゴムボール割りを並行して行う。

傍から見ても握力を鍛えながら走ってる様にしか見えないだろう事も有り難い部分である。…子供が高難易度の術を練習しているのは止められる可能性があるがコレなら咎められにくい。

見る目のある忍者にはバレてるくさいが…止められてないってことはそう言うことなんだろう。

 

なんにしても勇往邁進、日進月歩だ。一つ一つコツコツとやって行くしか俺には無いのだから。

 

 

 

 

「青春してるなーお前!」

 

いつもの修行場で丸太を蹴り回しているといつの間にか後ろに立っていた濃い男が声を掛けてきた。

 

「…うっす。青春かはわかんないですけど修行はしてますね?」

 

おぉぉ…マイト・ガイ!生で見られるとは思わなかったけどやっぱり濃いな!

 

「ハッハッハ!強くなるために修行するのを青春と呼ばずしてなんと言うんだ!」

 

良い汗かいてるぞ!と何処ぞのジムおじさんみたいなことを言ってくる。

 

「しかし…頑張りすぎじゃないか?それ以上やっても逆効果だぞ少年」

 

先程までと打って変わって心配そうな声になった。

…こんな人だったっけ?いまいち覚えてないから原作と違うのかわかんね…

 

「…俺は人の3倍、いや5倍は頑張らないといけないんで」

 

才能がないから。と言外に伝えて更に丸太を蹴り続ける。

既に足の感覚は麻痺しているが…筋肉量を増やしつつ型を染み込ませるためだ。

 

「ふむ…なんでそこまで頑張るんだ?」

 

「才能がなくとも忍者になれると証明するため。俺を馬鹿にした奴らに吠え面かかせるためです」

 

別に復讐しようって訳じゃないけど。

見返すことが出来たならとても気分が良いだろう。

そんな気持ちが伝わったのか定かじゃないが…

 

「そうか…青春だな!」

 

カラカラと笑って俺の横にくる。

 

「俺はマイト・ガイ!木の葉の里の蒼き猛獣にして上忍だ!」

 

「…ロック・リーです。アカデミー生」

 

自己紹介中も修行の手は休めない。

失礼か?いや修行中に声を掛けてきてるからトントンか。

 

「そうか、リー!お前には足りないモノがある!」

 

「体力も筋力も技量もチャクラ量も足りませんね」

 

だからこうして体をいじめ抜いてる訳なんだが?

何を当たり前な…と言った感じで答えた俺に対して

 

「ちっがーう!そのやり方じゃ近い将来体を壊すと言ってるんだ!」

 

これまたいつの間にか掴まれた足を強制的に下ろさせられた。

さすが上忍…動き出したと思ったらもう行動が終わってたわ。

俺が目で追ったのがわかったのか少し目を見開くガイ先生。

 

「…今のが見えたのか?」

 

少し驚いた様子のガイ先生に

 

「?見えても反応出来なきゃ意味ないでしょう」

 

完敗です…と悔しい思いを乗せて返す。

仮に完調だったとしても対処する前に捕まっておしまいだ。

これが上忍、それも上澄レベルの体術か…

 

「素晴らしい目を授かったんだな」

 

うんうんと頷くガイ先生。

 

「しかし!オーバーワークはいかんぞ!」

 

小さい頃からうんぬんかんぬんと説教が始まった。

うへぇ…結構前時代的なイメージが有ったけどその辺は教育者っぽいなこの人…

 

「…つまり、お前に足りないのは休息だ!」

 

ようやく終わったか。

説教を聞いてる内に太陽も沈み始めている。どっちにしろ今日は此処までだな。

 

「わかりました。今後は気をつけます」

 

貴方が居ない時を見計らってやりますよ。

そんな考えを見抜いたのか

 

「よろしい!今後修行をしたい時は俺に連絡しなさい!稽古を付けてやろう!」

 

ニカっと白い歯を見せてサムズアップしてくるガイ先生。

それは願ってもないことだけども…

 

「なんでそこまでしてくれるんですか?」

 

俺はまだ下忍ですらないのに…と呟くと

 

「何でかな…シンパシーの様なものを感じたからだ」

 

それに監督しとかないとまた無茶するつもりだろう?と続ける先生。

 

「師は居た方が良い。特にリー、お前の様なタイプなら尚更な」

 

そう言って笑う姿に俺は…

 

「そう、ですかね…?」

 

即答できなかった。

願ってもない申し出なのは間違いない。

でも、原作通りに修行したところで待っているのは戦線離脱と戦力外通告だ。

それも相当な綱渡りの上で成り立っていたように思える。

此処で指導を受け入れると言う事はその既定路線に一歩近づく事なんじゃないか?

いきなり降って湧いた幸運に悩んでいる俺を見てガイ先生は

 

「まぁ、直ぐに決めなくても良い!他にやりたい事もあるだろうしな!」

 

子供は遊ぶのが一番だ!と笑い飛ばす。

気を遣わせてしまった…

 

「いえ、ありがとうございます。…ちょっと考えさせて下さい」

 

頭を下げた。

せっかく上忍が面倒を見てくれると申し出てくれたのに。

まだ下忍ですらない候補生の分際で保留とは…自分のことながら失礼にも程がある。

 

「気にするな。…己の道を既に決めている男にグダグダ言うつもりもない」

 

流石に今回みたいに無茶しそうなら止めるが。と茶目っけを見せながら釘を刺してきた。

 

「ありがとうございます」

 

もう一度深々と頭を下げる。

申し訳なさと感謝を込めて。

 

「構わんよ!その気になったら言ってくれ!」

 

さ、そろそろ帰りなさい。と帰宅を促されて頭を上げた。

 

「はい…ではまた」

 

暗くなり始めた道を歩き出す。

体力を限界ギリギリまで使ったせいか少し足どりがふらつくが、不思議と辛くなかった。

 

自分1人でやっていた事を後押ししてくれそうな人を見つけたからか。

はたまた信頼出来そうな大人と喋ったからか。

定かでは無いが悪い気はしなかった。

 





今更ナルトを読んで中忍試験編のロック・リーがバカほどカッコよかったのに終盤パッとしなかったため魔改造を施したらどうなるだろう?的な実験作です。続くかは分かりません。
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