ロック・リー転生伝 作:六亭猪口杯
チームメンバーとの日常回、その2です。
「それで、聞きたいことって?」
「…最近、2人との差が余計に開いて来てるような気がしてさ」
下忍になって半年くらい経ったある日の事。
いつもの様に任務を終えた後で珍しくテンテンに呼び止められての事だった。
適当なベンチに腰掛けながら相談?に乗ることになった訳だけど…それ、俺よりもガイ先生の方が良くないかな…と思いつつ話を聞いてみる。
「差が開いてる?」
テンテンもチャクラコントロールや忍具の扱いが上達してるってガイ先生にも言われてたじゃない…と伝えてみるものの
「…ネジも、リーもどんどん成長していってるじゃない?」
ネジや俺の成長には釣り合ってない…と。
まぁ俺はともかく、ネジのヤツいつの間にか回天っぽい術を習得してるしね。
模擬戦の回数を増すごとに精度が上がってきてる様な気がするし。
最近じゃ二段螺旋掌でも割れないことが多くなってきたんだよな…
「ネジくんに関してはもうそういうものだと思った方が良いと思うけど…」
ネジに出来ない事は殆どない。
俺との模擬戦じゃもっぱら体術オンリーだけどやろうと思えば普通に忍術も手裏剣術も使えるし。
…開門状態の俺の目の前で日向がそんな隙晒したらぶん殴れるから無意味だけど。
「リーはさ、体術で追いつこうとしてる訳じゃん」
それってネジの得意分野じゃない?と続けるテンテン。
それに対しての答えは…
「そりゃまぁ…柔拳の日向だしね」
白眼を活かすならあの形に落ち着くだろうな、って拳法だもの。
一部以外に死角が無い白眼で不意討ちを殆ど防げる。
白眼でチャクラを視認出来る事で隠れても無駄。
上位だと経絡だけじゃなくて点穴を見切れるとか…そりゃ近接特化にもなるよねってなもんだ。
遠距離戦闘なら先に察知出来る白眼が居る方が有利。
近接戦闘でも白眼持ち相手じゃ不意をつけない分白眼の方が有利。
白眼持ちに接近戦仕掛けられる程近づけた時点である程度の強者って事になるだろうから…近寄られた時が一番ヤバいからそこを強化しときましょうね、の精神だろアレ。
なんなら自分から仕掛けてぶっ倒せば良い位には脳筋な組み合わせだと思ってる。
そこまで話すとテンテンが言い難そうに口を開く。
「…それに勝てると思うの?」
聞けば聞くほど勝ち目が薄い様に思えるんだけど…と遠慮がちに言うテンテン。
それに対して何時ぞやのガイ先生の言葉を返した。
「見えても反応出来ない速度で殴れば良い。先生はそう言ってたし…俺の夢のためだから」
それに多分…三門まで使っていいなら今の俺でも五分五分までやれると思う。そう呟くと不思議そうな顔で問いかけてくるテンテン。
「じゃあなんで使わないわけ?」
そりゃまぁ…
「使用を禁止されてるからね…何よりそれで勝ってもあまり意味がない」
ガイ先生から許可されているのは第一門・開門のみ。
それより先は先生監督の元か、本当に守りたいものを守る時以外での使用を禁止されている。
その内第二門・休門の使用を打診してみようと思ってはいるが。
思考が脱線しかけているのに気づいて思考を戻して話し続ける。
「この先、忍を続けるならいずれ必ず当たる壁だから」
俺の戦闘スタイルは体術一本だ。
通用しない相手には八門を使用するしか無い。
勿論、八門を使用しなくてもある程度戦える様にはしているが…
「全力を尽くしても勝ち目が薄い相手との戦い、その経験を積める絶好のチャンスなんだよ」
体術のみであの天才を打ち破ることは可能なのか。
それを実戦で試すまたとない機会である。
そんな事を語るとテンテンは
「…良いなぁ」
と何処か羨ましそうにそう言うと空を見上げる。
…これはちょっと不味いか?
心が折れかけてる気がするぞ…?
「私にはそこまで誇れるものがないし」
手持ち無沙汰なのかホルスターから抜いた苦無を手遊びがてらに回すテンテン。
「
私には2人みたいな特別がない。と呟くテンテン。
思う所はあるが今は置いておく。
「それの何が悪いのさ」
特別っていうのにも種類がある。
ネジの様に全部出来る上で一つ二つ秀でているものがあるタイプと。
俺みたいにそれしか出来ないから伸ばさざるを得ないタイプだ。
「全部使えるのは強みでしかないでしょうに」
忍術も、幻術も。
手札の多さは選べる未来の多さでもある。
そう伝えると
「それが全部中途半端でも?」
自嘲する様な声が響く。
…まぁ、今のところは確かに決め手に欠けるけど。
「中途半端だとしても、だよ」
それは伸び代しかないって事だから。
それが羨ましい…とは言わない。
俺は今のこの道が最善だと信じているから。
「テンテンさんは俺も
例えば目の前でヨーイドン、なら負ける気はしないけど。
互いに別々の場所からスタートする形式なら正直分が悪いまである。
「多分、俺が完封されて引き分けかぶっ飛ばしてKO勝ちしかない勝負になるね」
そう言うと怪訝な顔で聞き返して来るテンテン。
「そんな訳なくない?」
ネジとやり合ってるの見たらやれる気がしないんだけど…と呟くテンテンに話し続ける。
「例えば…俺にはテンテンさんを探す方法が自身の五感に頼るしかない訳だから」
先に発見して幻術でも軽く掛けておけば仮に解けた後でもリソースを割かざるを得ない。
そういった点では搦手を使えるテンテンと体術一本の俺は相性があまり良くない。
そんな事を話しながら考える。
ガチでやり合うとネジに勝てないと思うのはその点で圧倒的に負けてるからってのもあるんだよな…実戦における白眼は索敵においてもアドバンテージの塊だ。
「…その上で忍具をトラップに使うなり口寄せとかで嫌がらせし続ければタイムアップで引き分けだろうし…飛んでくるモノによっては俺の負けもあり得るね」
今の俺に起爆札みたいな爆発物を弾き飛ばせる様な回転の技術はない。
一方向からだけならどうとでもできるけど…気づく前に起爆されるとか逃げる暇もなく全方位から起爆されたらノーダメージじゃ切り抜けられないし。
勿論、見つけたらぶっ飛ばすけど。
そう続けるとテンテンは
「最悪な鬼ごっこになりそう…」
うへぇ…といった顔になるがそこは頑張ってもらうしかないね?
「兎に角、選べる手段の多さは立派な武器だよ。…もし俺がテンテンさん位器用ならネジくんに足を止めさせる位は出来ると思うし」
…勝つには決め手が無いからやっぱり良いところ引き分け狙いになるけど。
本気で殺すつもりなら手段は無くはない。
そう続けると目をパチクリさせながら質問して来る。
「例えばどうやって?」
「ネジくんは白眼に頼りがちなんだよね」
アレだけ破格な瞳術なら当たり前だけど。
「あの視界を出し抜くのは容易じゃない。柔拳も厄介だけど何よりヤバいのはあの眼だ」
ほぼ360°を常に見られる視界にチャクラを感知するという性能。
でも今のネジ相手ならつけ入る隙はある。
「チャクラの流れを見切られるならそれを騙しきれる分身を作れば初見なら確実に引っ掛かるよ」
それを囮に罠を仕掛ける。
引っ掛かれば後は起爆札や口寄せで押し込み続ければ終いだ。
ちょっと状況が違うけど最近の模擬戦では螺旋掌のフェイントにキレイに引っ掛かってたし。発動前の状態を維持するとアイツは警戒せざるを得ないから行動を制限出来る。…まぁそれも
そう言うとやっぱり…といった顔で答えるテンテン。
「あの絶対防御がある限りこっちの攻撃が通らないじゃん…」
テンテンも知ってるネジの
アレは至近距離の起爆札でも防ぎ切るであろう防御力だけど…完全無欠ってわけじゃない。
「別に通らなくても良いんだよ」
あの技は足止めてなきゃ使えないんだから。と続ける。
少なくとも俺との模擬戦じゃネジの攻撃中に使ってきたことはない…防御に使う時は両足が地面に接してる時だけだ。
片足でも浮いてれば威力が半減するからそこを突けば素の俺でも割れる位には防御に薄い部分が出来る。
タイミングさえ合えば十分に撃破可能な範囲だ。
そもそも使わせた時点で足止めには成功してるし。
そこで畳み掛け続ければさすがのネジでも防ぎきれないだろう。
「ちゃんと準備したフィールドで待ち構えられるなら。ひたすら大量の起爆札とか…例えばだけど大量の忍具とかデカい岩なんかを口寄せして撃ち続ければリソースの差で勝手に潰れるでしょ」
大量の武器の口寄せが出来るなら大きい岩くらいならいけるんじゃない?出費は大きくなるけど…と呟く。
忍具を主軸に置くとそれが一番のネックになるんだよな…起爆札とかって結構値段張るし。
口寄せ用の巻物なんかは値段見た事ないから分からないけど…
鮫肌みたいな忍刀とか芭蕉扇みたいなイカれ忍具が手にはいるなら選択肢に入るんだけどなぁ…
少し考えが脱線したが。
ネジの回天はずっと使える様な無法技じゃない。
それなりにチャクラを消耗する大技だ。
「今のネジくんなら多分…10回も使わせればカツカツになるよ」
終盤のインフレを考えるとその内通常技まで洗練されそうだけど…なんてのは口に出せないが。
だからどうやって使わせるかによるね。と続ける。
「そのための手札は自分で用意するしか無いけど…その辺は器用な分俺よりもテンテンさんの方が得意でしょ?別に忍具だけじゃなくて忍術でも、幻術でも良いんだから」
そう話を結ぶと少し考え込むテンテン。
正直、忍術も幻術も俺には無い手札だからこれ以上の事は俺に聞かれても困る。
最終的には互乗起爆札を仕込んだ影分身とかで爆殺する扉間ムーブとかデカい岩を召喚して叩きつけるマダラムーブしか思いつかない。
テンテンには悪いけど本人の適正的には綱手姫を目指すより卑劣様を目指す方が目がありそうな気がする…
そんなことを考えているとようやく口を開くテンテン。
「私に出来るのかな…」
「テンテンさんがやりたいかどうかだと思うよ」
そのための時間はある。
手助けしてくれるであろう先生も。
それに別に絶対に
「俺達はチームだから互いに補い合えれば良いしね」
仮想敵として丁度良い強者としてネジを上げただけで。
今のところはネジと
「勝てなくても良いならそういった道もあるよ」
前に言ったこととは真逆の言葉になるけれど。
サポートに徹するってのも別に悪くはないよ?と続けると
「…それは、嫌。それじゃあ私は」
私の夢に辿り着けない。と覚悟を決めた顔になった。
「そう…ま、行き詰まったらガイ先生を頼れば良いよ」
ネジにも話したけどあの人なら体術使いがやられたら嫌なことは知り尽くしてるから。
他の上忍とも仲が良い人だからその辺の伝手を使ってでも教えてくれるだろう。
「そうだね…相談に乗ってくれてありがとう」
その言葉を聞いて早速聞きに言ってみる、と立ち上がるテンテンに
「どういたしまして」
そう返して俺も立ち上がる。
話す前よりもスッキリした顔になったテンテンと別れて自宅へと向かいながら考えを巡らせる。
正直、現状では難しいだろうけど…やっぱ忍術を使えるっていうのはアドバンテージでしかないんだよな。
本人の適正次第だけど…武器の口寄せだか封印術?をガンガン使っていた事を考えると時空間系には適正があるだろうし。
もしそうなら飛雷神の術まで視野に入るかもしれない。
それこそ影分身を覚えられれば修行効率は倍になるし…ってもあれはナルトに限った話だったっけか?
影分身の無法さ加減だけは本気で羨ましい…と考えていたからじゃないだろうが、視線の先に見知ったオレンジ色の服が目に入った。
「ナルトくん?」
「おう!?」
背後から声を掛けたせいか驚きの声と共に振り返るナルト。
「なんだ、リーか…」
驚かせんなってばよ…と胸をなでおろすのを見て
「…また何かやらかしたの?」
と疑惑の目を向けると
「俺だっていつも悪戯してる訳じゃねーってばよ!」
心外だと言わんばかりに反論された。
確かに、それはそうだわ。
「ごめんごめん…で、なにしてるの?」
もう日も暮れそうだし…と聞いてみる。
「別に…」
とそっぽを向きながら話すナルト。
…うーん、いつもの調子じゃなさそうだ。
「まぁ、無理には聞かないけどさ」
元気がなさそうに見えたから。と続けると意を決したように聞いてくるナルト。
「…なぁ、リーはどうやって下忍になったんだ?」
…後半年もすれば卒業試験だもんな。そりゃナーバスにもなるか。
事前に俺が忍術を使用出来ないって言うことも話したし、俺が合格して自分が落ちたってのは納得がいかないところもあるんだろう。
それでも俺に対して負の感情を向けて来ない辺り人が良いんだけど…少し弱気になってるのかもしれない。
「体術一本で何とかね…運が良かったのもあるけれど」
それでも本当の事は話せない。
ナルトに八門遁甲の事を教えた場合どうなるか想像がつかない。
最悪は九尾の暴走を引き起こして里が壊滅する。
そうでなくとも八門遁甲はイカれたコンセプトの術だ。
開門だけでも閉じ方を知らないと死にかねない。
「そっか…」
残念そうに呟くナルトだが直ぐに笑顔を作って話し続ける。
「まぁ、俺ってばちゃんと修行してるし次は絶対合格するけどな!」
ニシシ、と笑う姿を見て笑みが漏れる。
この精神性が主人公たる所以なんだろうな、と思いながら答える。
「そうだね。きっと合格するよ」
多重影分身という終盤まで活躍するぶっ壊れ忍術を引っ提げて。
流石に口に出せないけれど、恐らくそう言う流れになるんだろうと思う。
「リーもそう思う?やっぱ俺ってば才能があるんだってばよ!」
目の前で笑うナルトを見ながら。
「油断しないようにね?」
本番でコケたら勿体ないよ、と冗談混じりに続ける。
「おう!任せとけ!」
来年からはライバルだからなー!と言いながら手を振るナルトと別れて一人思う。
…来年から激動の時代に突入する。
カカシ班として編成されたナルト、サスケ、サクラの3人が主軸となる物語が幕を開けようとしているのだ。
木の葉崩しに、暁に、大戦に、穢土転生。極めつけは意味分からん程強い宇宙人。
間に合うのかも分からない努力を積み上げながら襲い来るであろう脅威に備えるしか無いわけだけども。
(…ナルトとサスケに任せるしか無い、か)
ラスボスに関してはあの二人じゃないとどうしようもない。
でもそこに至るまでの道のりでなら話は別だ。
知らず知らずの内に一人拳を握りしめながら家路についた。
テンテンの適正って武器の口寄せを使ってた辺り時空間忍術だよね…と言った感じでこんなカタチになりました。
正直口寄せだけでもある程度は戦えそうなんですよね…屋台崩しとかは大岩でも代用出来そうだし、羅生門なんかの防御技もあるしで夢がある適正だと思っています。
出来るかは別として時空間忍術の至高、飛雷神の術がある時点で弱い部類じゃないんですよね…