ロック・リー転生伝 作:六亭猪口杯
ようやく中忍試験編に突入です…長かった…
いよいよ中忍試験当日。
「準備は良い?二人共」
意気揚々とテンテンが確認してくる。それに対してネジが
「当然だ…お前こそ大丈夫なんだろうな?」
禁じ手は持ち込んでないだろうな?と念を押すように確認する。
三代目直々に連続大岩落としと互乗起爆札、影分身を使用した自爆戦法は今回の試験での使用を禁じられてるからな…
志願書を貰う際に三代目から言われた3つの禁じ手。
どれも殺意が高いというのもあるが…互乗起爆札と人間爆弾は他の里や大名に与える印象が悪すぎるとの事だった。
連続大岩落としは単純に被害が大きいので禁止された。
観客に被害が行きかねないのは流石にNGだそうで。
「わかってるってば…」
全部使えればどんな奴が相手でも初見ならほぼ確実に勝てるのに…とか言ってるけど。
「まぁまぁ…他のものに関してはオッケー貰えたんだし」
同時使用枚数に上限はあれど試験中は緩和されたし、起爆札爆弾は使用してもいいとの事だから…と宥めるように話しかけるが…
「リーで言えば
痛い所を突かれた。
苦笑しながら答える。
「それは確かにそうだけど…テンテンさんはそれだけじゃないじゃない」
大量の武器口寄せと影分身。この2つだけでも下忍に於いてはアドバンテージの塊だ。
「今更嘆いても仕方ないだろ…さっさと行くぞ」
呆れた様な声と共に歩き出すネジ。
「あ、待ってよネジ!」
行く前に1つお願いがあるんだけど。と呼びとめるテンテンが
「これに血判押してくれない?」
と巻物を広げる。
…口寄せ用のやつだよねそれ?
「…何を考えている?」
警戒したように数歩下がるネジ。
ここ数ヶ月で大分印象が変わったようだ。
一年前なら鼻で笑って無視するだろうに一応理由を聞こうとはしてくれてる。…警戒度が跳ね上がってるからトントンかも知れないけど。
「試験で何があるか分からないじゃない?だから口寄せ契約しておこうかと思って」
これならもしバラバラに別れても直ぐに合流出来るし。と言うテンテンから視線を外して俺の方を見るネジと目が合う。
そうだな…
「…まぁ、一理あるよね」
問題は呼び出される側に
「遠慮しておく」
苦い顔をしたネジが即答で断りの言葉を口にする。
そりゃそうだよな…
いきなり好きな時に呼び出せるなんて仮に個人戦になった時に不利を背負うどころの話じゃない。
それもテンテン相手に。
いきなり爆発寸前の起爆札の海に飛び込まされる可能性もある。
「そう…まぁ良いけど」
しれっとした顔で巻物を仕舞うテンテン。
抜け目ないな…悪い変化じゃ無いんだけど時々ビックリする様な術の使い方をしてくるから気が抜けない。
「そう言うのはリーに頼め」
なんてことを考えてたら矛先を俺に向けて来やがった。
この野郎…と思うが残念だったな…!
「俺はもう契約済みだよ…」
既に手遅れだ。
試しに契約してから呼び出されて初めて知ったが口寄せって呼び出される側の意思とかあんま関係ないのな…呼び出されたと思った次の瞬間には気付いたらテンテンの前にいてビビったわ。
「リー…お前…」
残念な子を見る様な目で見てくるネジ。
しょうがないじゃん…!
「まさか抵抗する権利がないだなんて思わないでしょ…」
天を仰ぎながら呟く。
その事を知って直ぐに三代目に相談したんだけど…目が飛び出る程開いた後、テンテンを呼び出し事情を聞いて何やら納得したのか現状に対する方法を教えてくれた。
対抗するための簡単な術を使えば口寄せを拒否出来るし、なんなら契約の破棄まで出来るらしいが……
事情を説明した後に
「…だからまぁ、ネジくんなら呼び出しを拒否出来ると思うよ?」
と続けると。
「…高い授業料になったな?」
個人戦でテンテンと当たった場合は詰んでる俺の状況を知ったネジからの哀れみの視線と共に放たれた言葉が胸を刺した。
「まぁ、一応利点もあるし…」
一番脆くて火力が高いテンテンが狙われた時に前線要員の俺をすぐに呼び戻せる術はチーム戦に於いては大きな武器になる。
更に言えばテンテンが大火力を発揮する直前に呼び戻してもらえるから安全に足止め出来るんだよ?
そんな事を言うと
「その場合俺は置き去りになる訳だが…」
その辺はどう考えてる?と皮肉交じりに聞いてくるネジ。
「…ネジくんも口寄せ契約すれば?」
そうすれば同じ様に逃げれるよ?と冗談混じりに答えると
「却下だバカ」
呆れた様に首を横に振られた。
ダメか…口寄せを拒否出来るとはいえ一瞬でも印を結ばないといけないのは大きな隙になるから仕方ないことではあるが。
「お前だけで十分だろ…自業自得だな?」
どうせ原因はお前だろ?と笑うネジに
「いやぁ…これはテンテンさんの持ち込みだし」
俺のせいじゃないよ…と苦笑混じりに返す。
「散々な事を言ってくれるじゃない?」
仲間にそんな酷い事をするわけないじゃん…と口を尖らせながら文句を言ってくるテンテン。
「模擬戦とはいえいきなり背後に起爆札を口寄せして来る奴の何を信用しろと?」
アレには本気で死ぬかと思ったぞ…と言い返すネジ。
ガイ先生からもやり過ぎだって怒られてたしね…
「…ネジなら防ぐだろうって信頼からだよ?」
あの時の事はちょっと悪かったなって思ってるわよ…と気不味そうに言うテンテンに
「……もう良い…行こう」
ネジは若干肩を落としながら先を促した。
…まぁ過ぎたことを考えてもしょうがないしね!
個人戦はともかくとしてチーム戦ならこれ以上ない強力な手札になるし…と俺も気持ちを入れ替えて歩き出す。
「さ、元気出して行こ!」
満面の笑みのテンテンを見てやはり早まったか…?と後悔しかける心を抱えながら試験会場へと向かうのだった。
「…色んな里の人がいるね」
当たり前だが木の葉の里以外の額当ての人達も多い。
岩に雨…アレは音、か。
やはり大蛇丸の手は伸びてきていると考えていいだろう。
周囲を観察している俺を見やりながら
「当たり前でしょ?各里合同なんだから…」
特に何かを思う様子もなくさっさと建物に入るテンテン。
それに無言のネジが続く。
緊張とは無縁な連中とはいえ全くの平常心に見えるのは頼もしいというかなんというか…と苦笑しながら俺も後に続こうとすると。
「あ、リー!久しぶりだってばよ!」
聞き覚えのある声がしてそちらを向くと笑顔のナルトが手を振っていた。
「ナルトくん、久しぶりだね」
ここ最近は互いに修行や任務で入れ違いになっていたのか顔を合わせることもなかったからな。
「…知り合いか?」
ナルトの前に居た黒髪の少年…多分サスケだろう…がナルトに質問する。だとするとその横に居る女の子がサクラか。…可愛い系の顔立ちしてるな。
確かにこれは
今の俺には関係のない話だけども。
「おう!俺達の1年先に卒業した…えーと…リーだ!」
…フルネームは忘れたみたいだな。と苦笑しながら挨拶する。
「ロック・リーだよ。よろしくね」
自己紹介をするとサスケと目が合った…確かに整った顔立ちをしてるな。これはモテる訳だ…と見当違いな事を考えていると
「アンタが…」
と軽く拳を握りしめるサスケ(仮)。
何かしたっけか…?と疑問を持ちつつも
「…君は?」
はじめましてだよね?と名前を聞く。
「うちはサスケ…アンタ、強いんだってな?」
カカシから聞いたぞ。と軽く身構えるサスケ。
うん、まぁ…螺旋丸の習得のために世話になったし、知っててもおかしくは無いけども。
「カカシ上忍が?照れるね」
あの人にそう言われるなんて…と軽く頭を掻く俺に。
「あぁ…今の俺じゃ足元にも及ばないらしいじゃないか」
カカシ先生!?流石にそこまで差がある様な相手じゃないですよ!?
内心で否定するがそれに構わず事態は進む。
「俺と戦え」
こんなに血の気が多いタイプだったっけ?
大分記憶があやふやだから自信がないけどもっとクールなタイプじゃなかった?
「…本気かな?」
…でもこの展開は望むところだから構わない。
「無論、本気で」
構えるサスケの目が紅く染まる。
…噂に名高い写輪眼か。
木の葉の里が誇る瞳術の1つにして創設期から里を支え続けた一族の証。
その眼は全ての動きを見通し、手慣れた者であれば印を結ぶ速度を超えて先読みを可能にするという。
その真骨頂は万華鏡に至った際に現れる固有能力だが…それを抜きにしても白眼とタメを張れるイカれ瞳術だ。
「何言ってんだってばよサスケ!今はそういう事してる場合じゃねぇだろ!」
「そうよ!それにその人、
止めに入るナルトとサクラ(仮)を片手で止めてサスケに対して構えを取る。
…
正直、どうやって殴り合いに持ち込むか迷ってたし…喧嘩を売ってくれるなら話は速い。
「良いよ、ナルトくんと…えー…お嬢さん?ともかく後輩に頼まれたなら致し方なし、相手になろうじゃないか」
掛かって来い、と指先を軽く曲げて挑発する。
「舐めやがって…!」
その言葉と共に俺に向かって走り出すサスケ。
確かに速い。でも…
ネジ程ではない…
これは相当手を抜いてるな?
試験前にこっちの情報を得ようとするとは強かな奴だ…
連撃を軽くいなしながら考えを纏める。
(此処で影舞葉を見せて置かないといけないんだよな)
確か影舞葉を見て連撃技を閃く…みたいな流れだった気がするし。
更にそこからナルトがパクるっていう流れの結構大事な一歩だ。
開門を開けば余裕で再現できるけど…加減が難しいからあまり綺麗に決まっちゃうとワンチャン骨を折ってしまうかも知れない。
つまりは開門無しでそれっぽい事をしなきゃならん訳だ…一撃入れて後は流れでそれっぽい動きを見せておくか。
攻撃を捌き続けていると一旦距離を取るサスケ。
油断無く構えてるのを見る限り、こっちの攻撃待ちか?
「…終わったかな?」
じゃあ次は俺の番だ。と呟きながら一足で懐に潜り込む。
「何ッ!?」
完全に目で追われてるな。流石に写輪眼を振り切るには八門開かないとダメか…でもまぁ
「反応が間に合わないんじゃ意味ないね」
チャクラで強化した拳を相手の防御しようと動かした左腕に押し当てながら体を地面から引っこ抜く様に上に吹き飛ばす。
「サスケ!?」
「サスケくん!?」
ナルト達の声が聞こえるが無視して吹っ飛ぶサスケの背後に回る。
なんちゃって影舞踊…のなりそこないだが。
ネジには効果無いからあんまり練習してないんだよな…
「見えない位置ならその眼も形無しだよね」
それでも一応視界の外には出れた。
声に反応しようとしたサスケに対してそれなりに手加減した掌底が背後から入った。
「ッ…!」
呻きながら地面に着地するサスケの目の前で拳を止める。
「…っと、まぁこんな感じで良いかな?」
振り抜いてたら顔面直撃コースだったし。
と続けて拳を解いて手を差し伸べる。
「噂通りって事か…」
と呟くと自分で立ち上がるサスケ。
どんな噂が流れてるのか気になるところではあるが…
「うちは君、本気で来いとか言っといて手を抜いてただろ?」
苦笑しながら答えると太々しく笑いながら
「アンタこそ本気じゃなかっただろ?」
そう言いながら軽く左腕を振るサスケ。
まぁ本気ならその腕へし折りながらぶっ飛ばしてたしね?
「バレてたか…流石に試験直前で折る訳には行かないでしょ?」
そう嘯きながら殴りつけた右手を振る。
完全に防御するのは間に合ってなかったとは言えチャクラによる強化はできてたし、恐らく今回で開門無しの俺の動きは見切られた…想定以上に強いなうちはサスケ…これが更に超強化されるのか。
「サスケが負けた…?」
少し呆然とした顔で驚くナルトに対して
「ウスラトンカチが…互いに手を抜いてやり合った結果に何の意味がある?」
そっぽを向きながらそう言うサスケに昔のネジを思い出して少し懐かしくなった。
そんな風に昔を懐かしんでいると
「…だとしても!負けは負けだってばよ!」
じゃあ次は俺ねー!と前に出てくるナルト。
「さっきの見てなかったの!?止めときなさいよ!」
それを制止しようとするサクラ(仮)。
ナルトってそんな戦闘狂な感じだったっけ?
まぁどちらにせよ…
「いや、試験前だしそろそろ…」
会場に向かった方が良い。と言いかけたタイミングで目の前が煙で塞がる。
周囲で驚いた様な声が上がったのも束の間、直ぐに聞こえなくなった。
…これは口寄せされたな?
思わずため息が出るがしょうがない…でも文句は言ってやろう。
「おぉ、こんな感じなのか…」
感心した様子のネジと。
「口寄せ、ロック・リーの術…ってね」
建物の廊下…下に伸びる階段がある辺り一階以外だろう。
口寄せの巻物に手をついた状態でテンテンが笑っている。
「…いきなり呼び出すのはやめてくれる?」
緊急時はしょうがないけどさ…と文句をつけるが。
「ネジが実際に見てみないと使い方が分からないとか言うから…」
丁度良くはぐれてたし、良いかな?って。
全然悪びれた様子がないけどさ…
「もし俺がトイレ中だったらどうするの?」
丸出しで呼び出されるとか勘弁してよ…と続けると
「……それは、ごめん」
少し顔を赤らめて謝罪するテンテン。
こういう所は年相応なんだけどなぁ…
「特にタイムラグも無し、難点は巻物を用意しなきゃいけない事か…例の
ネジに関してはもう少し俺の心配をしろよ!
何口寄せの仕様を確かめてんだ!
内心でネジに少し怒りを覚えつつ、現状の武器を確認する邪魔をする訳にも行かず。
モヤモヤとしたまま会話を聞き続ける。
「それはまだ無理かな…今は正規の手順で呼び出すのが精一杯」
改良していけばいずれは出来ると思うけど…と呟くテンテン。
「生き物は難しいんだよね…」
無生物は結構簡単にやれたんだけどなぁ…まぁその内投げた苦無からでもリーを出してみせるよ!と続けた。
それを聞いて考えていた色々が吹っ飛んだ。
…もしそれが出来るなら擬似飛雷神の術じゃないですかね?
そんな事口に出せないが。
「そうか…まぁ、テンテンが危ない時に相手にリーを叩きつけられるなら使い道はあるか」
「まるで俺が鈍器みたいな言い様だね?」
「事実、鈍器みたいなものだろ?」
軽口を叩き合っていつもの空気に戻る。
「何にせよ自爆よりは大分マシだな」
頷くネジ。
「それはそうだね…」
頷く俺。
「別に自爆したいわけじゃないっての」
確実性を取るならそういう形の方が良いってだけ。
と呆れた顔でテンテンがそそくさと口寄せの巻物を纏める。
「そろそろ行こうよ?集合時間も近いし」
チラリと教室の番号を見ると下の階へと降りていくテンテン。
「場所って3階じゃなかったっけ?」
テンテンの確認した教室の札には301と書かれている。
「…此処は4階だ。幻術にかかってるぞ」
ため息と共に下に降りていくネジ。
幻術、ね…
試しに体内のチャクラを意識的に乱す。
そうすると視界が一瞬揺らいで札の文字が変化した。
「…意地の悪い試験だこと」
軽くため息を吐きながらネジ達の後を追う。
まぁライバルがいつ来るか分からない状況で話し込む訳ないか…と後にした教室には401と記載されている札が掛かっていた。
感想への返答が間に合ってなくてすみません…
全てに目を通してとても楽しませて貰っています…皆さん、卑劣様が好きなんですね?私も大好きです!
テンテンの方向性が決まった辺りから流石にちょっとやり過ぎたかも…と思っていましたが想像以上に受け入れられて嬉しいです