ロック・リー転生伝   作:六亭猪口杯

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超難産でした…例によって独自設定、捏造が多く含まれます。ご注意下さい。


第三次選抜予選 対我愛羅戦

 

 

 

舞台に向かうと既に立っていた我愛羅と目が合った。

 

 

今までの修行の成果が出るか、押しつぶされるかの瀬戸際と有って自然と鼓動が速くなる。

 

気持ちを落ち着けるように深く深呼吸をする。

その間も決して相手から目を離さない。

目の前にいる相手が尋常じゃなく強いと知っているから。

 

「双方とも、準備は良いですね?」

 

審判が声を掛けてくるが互いに反応は返さない。

 

その様子を見て頷いた審判の

 

「…第2回戦、開始!」

 

開始の合図と共に我愛羅の背負った瓢箪から砂が溢れ出す…と同時に開門を開いて殴りつける。

 

「ッ!?」

 

驚きの声と共に背後に向かって吹き飛ぶ我愛羅。

辺りに舞った砂が遅れて我愛羅の元へと舞い戻る。

 

 

「何だアイツは…!いきなり吹き飛んだぞ!?」

 

「はぁッ…!?」

 

 

外野が騒がしくなるが気にしている場合でもない。

何事も無かったかのように立っている我愛羅を見て少し嘆息する。

砂の絶対防御が間に合ったのか軽く客席を睨む余裕すら見せている。

 

開門状態とは言え全力でぶん殴ったんだけどなぁ…

 

「思っていた以上に硬いな…」

 

思わず口から出た言葉に反応する我愛羅。

 

「お前ならこの渇きを癒せるか?」

 

そう言うと周囲に砂を纏い始めた。

防御を固めるつもりか…?

 

「どうだろうね?」

 

答えながら最速で踏み込んで再度殴る。

…砂に守られたな。

 

 

「速い…」

 

「アレが同じ下忍の動きか…?」

 

「あんなのとどうやって戦えってのよ…」

 

 

今度は猪鹿蝶トリオか。

…その内これがデフォルトになるよ?と内心で呟きながら少し距離を取った。

 

「随分器用にチャクラを操るんだね君は」

 

砂同士をチャクラで繋いで操る術。

仮に同じ術を使えたとしても俺のチャクラ量じゃ到底やれないレベルの量を手足の様に操るとは…やはり人柱力は化物じみている。

 

「……」

 

無言で自身に纏わせた砂を半分近く放出して捕らえようとしてくるが…

 

「遅い」

 

回り込むように接近、今度は蹴りつけてみる。

 

「木の葉旋風!」

 

上下二段の連続蹴り…ほぼ同時に叩き込んだそれは二発目が軽く我愛羅の頬を掠めた。

 

防御にも使える砂を遠ざけたからか一発目は反応が間に合ったが二発目には僅かに遅れたようだ。

 

 

「惜しいってばよ!」

 

「アイツならあれくらい当然だろ」

 

「えーと…リーさん、頑張って!」

 

「ガイの奴…一体どんな鍛え方をしたんだ…」

 

 

 

ナルト達もざわついている。

ぎこちないながらも応援してくれているのに少し笑みが漏れた。

しかしまぁ…

 

(これじゃ埒が明かないな)

 

襲い来る砂の塊を回避しつつ呟く。

 

腹の中に一尾が居る以上は気絶させるのも悪手。

今のままなら負けることは無いけど…

 

(このままだと一生勝てない)

 

一番良いのは適当に善戦したフリをして棄権することなんだけど…

 

 

「リー!頑張れー!」

 

「さっさと片付けろ」

 

「気合いだ、リー!もっと闘志を燃やせ!!」

 

 

応援してくれてる仲間や恩師の目の前でそんなダサい真似出来ないわな。

 

軽く頬を叩いて弱気になりかけた心を捨て去る。

 

引き分け狙いとかケガをしないように上手く負けるといった考えを捨て去って()()()()()()()()()()()

 

(とにかく砂の鎧…絶対防御を抜かない事には始まらない)

 

思考を回す。

何度か殴って確定した情報…砂の盾(自動防御)について。

原作で自動防御と謳っていたそれがどんなモノか大体掴めて来た。

 

それに加えて事前に想定した通りなら我愛羅の絶対防御はネジのそれ(回天)や砂の盾と違って()()()()()()()はず。

 

どちらにせよ実際に一度砂の鎧(絶対防御)を殴って確かめる必要がある…そのために必要な事は。

 

 

「ちょっとタイム!」

 

モニターのある高台…モニュメント?の上に飛び乗りながら言う。

乗った時に少し軋んだ様な音がしたが無視してそう宣言すると静まり返る会場。

我愛羅も何を企んでいる?と訝しげな顔をしている。

 

…それでも律儀に待ってくれる事に苦笑しつつ手足の重りを外す。

ガイ先生も頷いてるし問題ないだろ、多分。

 

 

「その程度の重りで何が変わるってんだ?」

 

砂隠れの扇子持ち…テマリだったか?が呟く声が響き渡る。

俺の攻撃が我愛羅に通用してないのを見て少し余裕を取り戻している様だが…本番は此処からだ。

 

 

ほいっと横に投げ捨てると重りは轟音を立てて地面を砕き、深くめり込んだ。

周囲から息を呑む音が聞こえる…カカシ先生がドン引きしてるのも見えた。

 

…正しい重量は覚えて無いけど多分このくらいの重さならネジでも耐えられるよ?

 

「これで良し。…待っててくれてありがとう」

 

さ、続けようか。先ほど迄とは比べ物にならない速度で我愛羅の目の前に立って再開を宣言する。

 

久々に重りを外した状態での戦闘だ…大分動きやすいな。

少しの強化で空も飛べそうだと錯覚しそうになる。

 

「多少速くなった所で…!」

 

言いながら砂を操る我愛羅。

まぁ既に俺はそこには居ないけど。

一瞬で回り込んで背後から殴りかかるが…

 

「おっと…」

 

背後からの攻撃にも自動で反応する砂の盾。

攻略の前に先ずは詳しい仕様を確かめてからだな…

 

ものは試しと殴りかかるとある程度まで拳が近づいた時点で反応して防御しようとしてくるのに合わせて拳を引く。

 

防御が反応する範囲は精々体表から40cm前後、その制空権に到達すると即座に防御してくる。時折それより速く動く事があるが…

 

(視界に入ってると精度が上がるのか?)

 

だとしたら仕掛けるのは我愛羅の視覚外からだ。

試しに視覚外から牽制打撃(ジャブ)の要領で速さだけの手打ちの拳を撃ち込むと、砂の盾が間に合わず後頭部に直撃して我愛羅の頭を僅かに揺らした。

 

拳を引くのと同時に砂の盾が通り過ぎた。

この速度ならギリギリ俺の方が速いか…これは朗報だな。

 

この分なら三門まで開けば確実にアドバンテージを握れる。

砂狸さえ出なければ一気に畳み込める。

 

軽く叩かれた程度の衝撃だろうが砂の盾よりも早く殴られた事に軽く目を見開く我愛羅。

 

 

視野の外だと防御の反応が微妙に遅れているのを確認出来た。

 

…砂の鎧は完全に固定された壁に近い何かだという事も。

 

 

試した結果に満足していると階上から驚きの声が上がる。

 

 

 

「我愛羅の砂の盾(自動防御)が…」

 

「破られた…!?」

 

信じられない、と言った口調で話す砂の2人。

それに対してネジとテンテンが反論する様に話しているのが耳に入ってきた。

 

「アレは単に()()()()()()()だけだな」

 

「本気のリーならあのくらいは余裕だよね」

 

その通り、と頷くネジとガイ先生を目の端で見つけて苦笑する。

 

 

 

 

ネジの言う通り正確には防御が間に合わない速度で殴っただけで砂の盾を破ってはいない。…防御より速く殴ったのを破ったと言うならその通りだがあの程度の打撃では効果は見込めないだろうし。

 

それはともかく。

 

「もう一枚仕込んでるのか…」

 

砂の鎧が存在するのは知っていたけれど初見を装う。

普通ならそこまで防御に固執してるとは思わないだろうし…少し驚いているように見せる。

 

「…余程怪我したくないんだね?」

 

文字通りの箱入りって訳だ、と笑いながら挑発すると

 

「もう良い…死ね…」

 

少し感情を顕にした我愛羅の攻撃が激しくなった。

四方八方から砂が襲いかかってくる。

…攻防一体の砂は確かに脅威だが。

 

 

()()の我愛羅。

 

確かに恐ろしい術だ。

 

その防御力は勿論の事、特筆すべきは攻撃の面でも優れている大量の砂…面制圧も可能な大質量攻撃の方だ。

生半可な防御では盾ごと押し潰されて終いだろう。

外れたとしても砂を周囲にばら撒く事で次の攻撃に繋げることが出来る奇襲性の高さや無駄の少なさ。

現に今も外した砂を巻き込みながら攻撃の手が緩まない。

 

大量の砂がある場面ならほぼ無敵と言っていいその術の弱点は…

 

 

「確かにそれは脅威だけど…」

 

躱しながら隙を探る。

 

「威力は十分だがリーに当てるには…」

 

階上からネジが呟く。

 

 

「「()()()()」」

 

 

ネジの声と被った言葉と共に()()()()()()()()()()攻撃を避けながら砂の盾が間に合わない速度の掌底を叩き込む。

 

…不意を突くならこうするしか無かったとはいえ、開門である程度戦えるレベルまで手加減してくれててありがとう。

 

お礼は()()()()()()()()()()()()()()()()だ!

 

掌から大量のチャクラを砂の鎧に浸透させながら最速で叩き込む。

 

「一撃!」

 

先ほど迄とは段違いの速さで動く俺に驚いた顔の我愛羅が反応しようと身体を捻るがその程度で間に合うはずもない。

 

先程のジャブである程度の仕様は掴めた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

自動防御の弱点その1。

攻撃を予想してではなくこちらが攻撃した後から動く点。

常に後手から動くためある程度の速度があれば防御する前に殴る事が出来る。

…それも次第に追いついてきてるが。それでも初見であれば確実に徹ると言っていいだろう。

 

現に三門を開いた俺の一撃目には追いつけて居ない。

 

「がッ…!?」

 

この試合で初めて聞く我愛羅の苦しそうな声に手応えを感じながら。

 

「二撃!」

 

連発するのに適してない防御無視の打撃を叩き込むために砂の盾を逸らす様に別の場所を空いてる手足で軽く叩く…そっちに防御が集中し始めて砂が薄くなったところへ同じ原理の二撃目を叩き込む。

 

自動防御の弱点その2。

本命だろうがフェイントだろうが自身に届き得ると判断された攻撃なら何でも同じように防御しようとする所を逆手に取る。

 

軽く血を吐きながら宙に浮いた我愛羅を追いかける。

 

「最後!」

 

自動防御の弱点その3。

そもそも砂が近くになければ防御出来ない点。

勿論全くないと言うことはあり得ないレベルで場内は砂まみれだけど…空中にいる我愛羅が防御にまわす砂が格段に薄くなったのは間違いない。

 

まぁこれは背中の瓢箪を崩す事で対応されたが…フェイントを混ぜれば余裕で届くレベルしか用意できなかったようだ。

 

二発目と同様、手打ちの連撃で盾を空打ちさせて同じ所へ最後の一撃を打ち込む。

 

自動防御の弱点その4。

相手の狙いが分かっていても重点的に防御出来ない点。

これはその2とほぼ同じ理屈だけど…考えられる中で一番の欠点だ。

 

もしかしたら手動で防御してくるかも、とも考えていたがそんな様子もない。

 

恐らくは防御のために砂を手動で動かすと自動防御に影響が出るんだろう。自動防御を解除できるなら話は別だろうが…解除したら既に俺の動きを目で追うのが精一杯の我愛羅では視覚外からの攻撃はどうしようもないし。

 

最初の一撃とは違って三門まで開いたなんちゃって浸透勁の連撃は我愛羅の身体を反対側の壁に叩きつけた。

 

 

 

今回叩き込んだ打撃の仕組みは至極簡単なモノだ。

我愛羅の砂による防御は薄く砂を纏う、または砂を盾として使うことで自身への攻撃を無力化すると言うもの。

で、あれば…

 

 

「柔拳なら盾は兎も角、鎧の方なら通るでしょ」

 

前者(砂の盾)はともかく後者(砂の鎧)()()()()()()()()()()

 

 

俺には白眼がないから経絡系を正確に突くなんて器用な真似は出来ない。…でもその術理を真似する事は出来る。

 

柔拳は相手の体内に自分のチャクラを浸透させて経絡系…点穴を直接叩いて機能不全にするといった術理だ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()、その部分だけを抜き取って自分なりに出した絶対防御への回答の一つがこの柔拳モドキ(なんちゃって浸透勁)である。

 

例えるなら柔拳は急所に針を突き刺すイメージで俺のコレはそんなの関係ないね!と適当にハンマーで殴るイメージだ。

 

柔拳は経絡を一時的に破壊出来るがそれ以外のダメージはほぼ無い。

俺の柔拳モドキ…なんちゃって浸透勁は経絡を破壊するような真似は出来ないが大量のチャクラで体内を直接殴る事が出来る訳だ。

 

…直接殴った時程のダメージが出ないから同じところを殴る必要が有るのが玉に瑕だが。

 

ちなみにネジには全く効果がなかった。

 

螺旋掌と同様に白眼の前ではバレバレなのもさることながら、回天に阻まれるとネジの流動するチャクラに阻まれて纏めて撃ち込んだチャクラが霧散する事に気付いて少し落ち込んだりもしたが…

 

「君みたいなタイプ(絶対防御)なら効果覿面だろ?」

 

純粋に()()()()なら。

そんな相手ならこの技は良く徹る。

 

 

「我愛羅が押し負けた…!?」

 

「いや、そんな事言ってる場合じゃないじゃん!?」

 

「我愛羅…!」

 

 

砂の二人組と引率の上忍が慌てているが…まだ終わってない。

ノロノロとめり込んだ壁から立ち上がる我愛羅…流石に直接殴ったわけでもないなんちゃって浸透勁じゃダメージにはなっても決め手に欠けるか。

 

…それでも三門まで開いてぶん殴ったんだから気絶位はするだろうと思ってたんだけど。

 

「…まだやるかい?」

 

俺の言葉に口が裂ける程の笑みを返す我愛羅。

 

さて、此処から第2ラウンド開始な訳だが…

 

 

「もう止めろ我愛羅!審判!こっちの負けで…」

 

 

砂の上忍が審判に向かって言いかけたタイミングで会場全体を砂嵐が覆った。

 

「折角楽しくなってきたんだ…邪魔をするな」

 

悪魔の様な笑顔のままそう呟く我愛羅。

会場にばら撒いた砂を結合させずに砂嵐にしたのか…本当に器用だなコイツ。

…半身に砂を纏って半分狸が顔を出してるのは御愛嬌か。

 

「続行ね…じゃ、第2ラウンドだ!」

 

八門を更に解除する準備を整えながら構える。

…最悪は六門まで開いて気絶させるしかないか。

 

他人任せで少し嫌になるがガイ先生が見てくれているなら一尾が相手でも何とかしてくれるだろ…!

 

「ククッ…!」

 

激昂している様な、楽しそうでもあり寂しそうでもある笑い声が周囲に響き渡る。

 

周りの砂嵐が声と同時に全方位から襲いかかってきた。

 

適度に回避と迎撃を繰り返しながら大技を叩き込む隙を探す。

 

 

「何も見えないってばよ!?」

 

「流石にこれは…!三代目様!!」

 

 

外野の声が微かに聞こえる。

その全てを無視して我愛羅からの攻撃を避け続けるが…

 

()()()()

 

その言葉と同時に左腕に違和感。

 

それが何か考えるよりも先に咄嗟に杜門(第五門)まで開いて体の表面に付いた砂をチャクラで吹き飛ばす…少し対応が遅れたか。皮膚ごと持っていかれたわ。

 

「いッてぇ…!?」

 

コイツ、腕に付着させた砂を鑢にして腕を引き千切ろうとしやがった。

今までの大味な攻撃と違って随分と器用な真似してくれるじゃないか…

 

左上腕から前腕にかけて流れる赤色が滴ると同時に砂嵐に巻き込まれて散る。

 

戦闘にはそれ程支障は無いが…本気で殴るなら右手がベストだな。

 

「本当に器用な奴だな…」

 

思わず口に出た言葉に歪な笑みで応える我愛羅。

 

砂嵐は目隠しであると同時に相手に付着させた砂を使った攻撃の用途でもあるのか…更に纏わりつこうとする砂を大量に放出したチャクラで弾く。続いて全身の体表を覆うようにチャクラを回す事で同じ手を食らわない様に対策するが…これは長くは持たないな。

 

「…まだ上があるのか?」

 

少し驚いた様子の我愛羅に少し笑いながら言い返す。

 

「残念ながらこれでお終い。だから…」

 

五門までが今の俺に使える現実的な限界ラインだ。

死ぬ気でやるなら六門まで開けられるが…反動が大きすぎて本気で相討ちに持っていく時じゃなきゃ使おうとは思えない。

 

「さっさと決める!」

 

こうなった以上、短期決戦以外に勝ち目が無くなったからな…!

 

桁違いに上がった身体能力とチャクラ量を必死に制御しつつ我愛羅へと突っ込む。

 

「やってみろ…!」

 

俺を愉しませてみせろ!と叫ぶ我愛羅に肉迫する。

会場中の視界が塞がっている今ならこっちも気兼ね無くやれる!

 

「螺旋掌!」

 

直前発動の螺旋掌は砂の盾を散らしたが砂で形成された狸の腕と相討ちになった。

 

先ほど迄とは段違いに反応が速くなっているな。砂嵐が防御の感覚を鋭敏にしているせいか自動防御の癖に視覚外でも今の俺の速度に追いついてくる…一尾が面を見せかけてる事も影響してそうだけども。

 

でもまぁ…想定外ではあるが想定以上ではない。

 

なんにせよ相手の防御を螺旋掌込みで相殺まで持っていけるなら。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

三門では不可能だっただろうが今の状態なら(五門まで開いていれば)可能だ。

 

常に足を動かしながら螺旋を描くチャクラを叩き込み続ける。

 

早さと力でゴリ押す体術極振り(ガイ先生流)のやり方だ。

…それに加えて螺旋丸での対応を考えていた相手だが。

 

アレはまだ完全じゃないし仕方がない、浸透勁をメインに隙を作って一気にやるか…

 

「鬱陶しい…!」

 

そんな事を考えていると煩わしそうに自身の周囲を砂で覆い隠して防御を固める我愛羅。

原作でサスケの千鳥を初披露した時のアレに近いが…何か分厚くね?

 

まぁ、防御を固めてくれるってんならこっちも…と螺旋丸の準備を始めると周囲の砂が集まって津波のように襲ってくる。

 

「お前、それは反則だろ!?」

 

自分だけシェルターの中に引き籠ってひたすら大技ブッパかよ…!

砂の防御殻にダメ元で溢れ出るチャクラを掻き回しながら(螺旋丸のなり損ないと)掌底を撃ち込む。

 

砂の外殻は崩せたがその奥には届かないか。

なら直ぐに浸透勁で…

 

「この野郎…!?」

 

殻をこじ開けた隙に柔拳モドキを叩き込もうとした所に砂狸の腕が防御に入って来た。

 

五門まで開いて出力が上がっているとは言え柔拳モドキじゃ分厚い砂は抜けない…!

 

僅かに砂の腕を崩したと同時に砂の外殻が修復されていく。

巻き込まれないように少し距離を取るが…勝ち目が薄くなったな。

 

防御が3重になりやがった…と辟易していると周囲の砂が襲いかかってくる。

 

器用すぎだろコイツ…でも直接見えていないからか狙いがブレまくってるし、回避への対応が遅れてるな?

 

…攻撃を避けるのはさっきよりも楽になった。防御が馬鹿みたいに固くなったのでトントンどころか物凄いマイナスだけど。

 

五門を開いたまま持久戦出来るほど俺の身体は出来上がっていない。だからさっさと片を付けたいんだが…左腕を持ってかれたのがキツい。十全な状態なら連打で再生するよりも速く剥がし切れるのに…!

 

もどかしさを覚えながら十秒も殴り続けただろうか。

攻撃の手を少しでも緩めると我愛羅からの攻撃が増えると気付いてからは拳と螺旋掌で砂の殻を削り続ける方針に変えているが…

 

ひたすら殻を剥がし続ける為に螺旋掌を叩き込み続けた事で、五門という現在の最大出力一歩手前のチャクラの奔流を制御するコツが分かって来た。

 

相手の防御を削りながら空中に解けていく螺旋掌の余波が頬を叩く。

 

既に我愛羅の周りは砂と俺が砂の殻や狸の腕と相討ちさせ続けているチャクラの余波でグチャグチャだ。

 

……乱回転させるなら余波を利用すればいけるか?

 

俺が螺旋丸を作るには両手を使わなきゃいけないんだが…手の代わりに殴りつける暴風の様なチャクラで代用出来ないだろうか?

 

咄嗟の思いつきで試したことも無いが今の俺に残された時間はそう多くない。

 

…時間切れで負けるくらいなら最後に一花咲かせてやるよ!

 

直ぐに覚悟を決めて左掌に螺旋丸を作り上げていく。

本当なら無事な右手でやりたいところだが…螺旋掌を連打して我愛羅を押し留めるには負傷した左手では威力が足りない。

 

形になる前に解けそうになるチャクラの塊を気合で維持しながら右手で螺旋掌を叩き込み続ける。

 

我愛羅の防御殻と相殺して解ける螺旋掌の余波に左掌の螺旋丸を迎合させて無理矢理球体を形成していく…やってる事はナルトの影分身で作る螺旋丸の難しいバージョンだな。

 

手の代わりに螺旋掌の余波でチャクラの流れる方向を外部から追加している訳だし。

 

次第に歪な形ではあるものの球体を形作る左掌上のチャクラの嵐。

球体に近づく度に暴発しないように抑え込む左腕から軋むような音が聞こえる。

 

怪我をした左手から自然と巻き込んだ血と辺りの砂が歪な螺旋丸の内部で赤黒く輝いていた。

 

「…コイツで終いだ!」

 

左腕から耳障りな音を立てつつ掌に形成した歪な形の()()()を砂の殻に叩きつける。

 

砂の殻を粉砕した螺旋丸は解けながら周辺の砂を吹き飛ばしつつ半身を覆う砂狸に直撃する。

 

「……!?」

 

我愛羅なのか守鶴なのか。

もはや判別できない相手が声にならない声を上げて防御するが…

 

砂狸の腕を巻き込みながら我愛羅の砂の鎧を粉砕、相殺した螺旋丸が完全に消失すると同時に掌底が我愛羅の胸部を叩いた。

…これで決める!

 

「吹き飛べ!」

 

全力の寸勁が鈍い音と共に我愛羅を試験会場の壁へと吹き飛ばす。

打ち込んだ反動で自分の腕から嫌な音が響いた。

今ので左手が逝ったっぽいな…少なくとも今は戦闘に使える状態じゃ無くなった。

 

代わりに肋骨を何本かへし折った感触があったがどうだろうか…これで立ち上がるなら俺に打てる手はもう無いんだけど。

 

まだやるなら六門開いて相討ち狙いだな、と構えていると。

 

我愛羅が吹き飛んだせいか、俺の螺旋丸が散らしたからか砂嵐が収まって視界がクリアになる。

 

「リー!」

 

「一体何が…!?」

 

階上からテンテンとネジが心配そうな声を出す。

まぁ今は左手が血塗れだしね…見た感じはスプラッタ映画みたいになってるけど動かすのには問題ない。

まだ動くから大丈夫、と軽く動かしてアピールすると同時に。

 

壁に着弾した我愛羅から大量の砂が舞い始めた。

 

第3ラウンド(対一尾戦)か…

 

仕方ない、と六門を開く直前で。

 

「いかん…!」

 

砂隠れの上忍が即座に我愛羅へと駆け寄って巻物を手にしながら掌を押し当てる。アレは…封印術か?

 

徐々に舞っていた砂が地面に落ちる。

奇妙な静けさが会場を覆った。

 

…カカシ先生が飛び出そうとしているガイ先生を抑え込んでいる音だけがやけに大きく響いている。

 

 

「離せカカシ!アレは……!!」

 

「落ち着けガイ!よく見ろ!!」

 

 

何やってんですかガイ先生…

少し気が抜ける光景から意識を我愛羅へと戻すと。

 

 

「……間に合ったか」

 

安堵のため息と共にグッタリとした我愛羅を抱えて現れた砂の上忍が俺と審判を交互に見て頭を下げた。

 

「見ての通り我愛羅は限界だ…この試合、棄権とさせてもらう」

 

身動き一つ取れない様子の我愛羅が俺を睨みつけてるんですけど?

と、疑問を浮かべていると審判の月光ハヤテの声で我に返る。

 

「分かりました…勝者、ロック・リー!」

 

審判の言葉と共に駆け寄ってくるガイ先生とテンテン。その後ろから歩いてくるネジを見てようやく実感が湧いてきた。

 

 

 

……勝った、のか。

あの我愛羅に。

俺が、俺の力が通用した…!

 

「勝った…!俺の勝ちだ…!!」

 

最後に上忍が止めに入ったものの勝ちは勝ちだ…遅れて嬉しさが込み上げてくる。

杜門(第五門)を閉じて反動に耐えながら思わず歪なガッツポーズを取ると左腕から血が滴り落ちた。

 

片袖がズタボロに引き裂かれて若干筋繊維が見え隠れする左腕を見ながら思う。

 

代償は腕一本…馬鹿みたいに痛いがまだ動くから原作よりはマシか。

 

感慨深く頷くと同時に。

 

「良くやったな、リー!!」

 

「ホントホント!途中ちょっとハラハラしたけど!」

 

全力で抱きしめてくるガイ先生と喜んでくれているテンテンに揉みくちゃにされながら。

 

「…流石だな」

 

一言だけ、ボソッと告げて佇むネジを見て

 

「なんとか勝ったよ…コレなら文句無いでしょ」

 

笑いながら返事をする。

天才(ネジ達)を追いかけ続けた俺の全力を尽くした勝利だ。

 

なんの話だ?と疑問を浮かべるネジを見て。

 

最初の鬼門を切り抜けた安心感が気を緩めすぎたのか。

言う気のなかった続きが自然と出てしまった。

 

「ライバルとして、さ」

 

口に出してから柄にも無いことを言ってしまったと即座に後悔して撤回しようとするが…

 

「そうだな…及第点だ」

 

その返事に目が丸くなったのを自覚する。

ガイ先生とテンテンも同じ様な顔をしていたのだろう。

 

「…さっさと退くぞ。次が詰まってる」

 

気恥ずかしそうにそっぽを向いて歩き出すネジの後に続きながら。

 

「男の子だねぇ…」

 

「〜!青春してるな!お前達!!」

 

軽く興奮している先生の肩を借りながら2人の言葉に苦笑しつつ。

 

「ありがとう」

 

その背中に感謝を述べる。

今までもかなり評価してくれていると思ってはいたが、ちゃんと言葉として聞けた事に。

 

俺の道は間違っていなかったと、そう思えたから。

 

「フン…礼を言われる様な事じゃないだろうが」

 

素っ気ない返事に口の端が上がる。

 

「そうかな…そうかもね…」

 

それ以上は互いに何も言わず、階下の試合跡を首だけ振り返って見ながら。

 

原作での鬼門、その内の一つをなんとか切り抜けられた事実を改めて噛み締めていた。

 

 

 






守鶴が入ってる人柱力を連れ出すならいざという時のために封印する為の鍵はバキ上忍が持ち歩いてるだろうな、とこの様な流れになりました。

柔拳に関してはもうゴリゴリの妄想です。体内の経絡を突く=防御無視の一種じゃない?と言う安易な発想ですね…

自動防御と絶対防御についても色々考えた結果こんな感じになりました。原作でも防御が追いついて無い…見たいな描写がありましたが守鶴込みなら多分もっと上手く使えるでしょうと言う妄想です。

五門開いた裏蓮華一発で決まってたら大ダメージだったなら連撃+螺旋丸モドキ+絶招(寸勁)ならこのくらいは行けるんじゃないかな、といった感想から今回の結果になりました。

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