ロック・リー転生伝   作:六亭猪口杯

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更新が遅くなり申し訳ございません。






第三次選抜予選 終了後の話

 

 

 

ネジとヒナタの試合(第三次選抜予選最終試合)が終わって。

 

念のため担架で運ばれていくヒナタを見送った後、全員が舞台へと集められて三代目から第三次選抜についての説明が有った。

 

「第三次選抜は一月後、それまでに各々十分に休息し英気を養うように」

 

トーナメント制の一回勝負じゃ。と重々しく言った。

 

「第三次選抜では単純な勝ち負けではなくその者の資質を見る。大名や各里の上層部も観覧する為、意図的な殺しを禁ずる」

 

過ぎた行動は流石に審判が止めるが…そんな真似をする者に中忍は務まらんと心得よ。

 

周囲の本戦出場者を見渡し、全員が真面目に聞いているのを確認すると

 

「では、解散!」

 

その言葉と共に周りの護衛らしき忍と共に消え去った。

 

…三代目ってやっぱり忙しいんだな。

もしくは大蛇丸周りの案件でゴタゴタしてるからかも知れないが。

 

 

それはともかく。

 

「…一ヶ月後、ね」

 

原作通りの流れになって一安心…ともいかないか。

 

俺やテンテン、山中家のお嬢さんが勝ち残っているのは原作と外れてる結果だ。

 

トーナメント自体は途中で木の葉崩しによる妨害で中止になる可能性が高いからあまり気にしてもしょうがないんだが…

 

「一ヶ月か…リーの左腕も間に合いそうだね?」

 

テンテンが吊り下げられた俺の左手を見ながらそう言うと

 

「…2週間目辺りから普通に使ってても不思議じゃないが」

 

ネジが白眼で状態を確認するように見て呟く。

 

「左腕にチャクラを回さないようにしてるのは何故だ?」

 

吊り下げた左腕以外へと迂回させながらチャクラを回しているのに気づかれた。

 

まぁ隠すような事でもないけど…

 

「医療忍術で別の人のチャクラが入った後だから」

 

その時に纏めてぶん回そうとして怒られたし念の為程度のものだが。

 

少なくとも微妙な違和感が抜けるまではこの状態を維持した方が良さそうだからな。

 

安静にしてれば左腕にチャクラを回してても問題なさそうでもあるけど…まぁこれもコントロールの修行にはなるし。

 

「最後の大技(螺旋丸)でちょっと経絡系に負荷かけ過ぎたみたいだからね」

 

暫く大人しくしてるよ、と答える。

 

「そうか…」

 

経絡系、医療忍術か…と呟くネジ。

 

使()()()()()()

 

何かを思いついた表情になる。

 

…考えて見れば経絡系を見れる白眼と相手の体内にチャクラを叩き込む柔拳は医療忍術とそこそこ相性が良いのか?

 

それでも一月で(すぐに)使えるようになるとは思えないけど…

 

「…大分難易度高いよ?」

 

繊細過ぎて意味わかんなかったし。と伝えるが。

 

「お前には、だろう?」

 

俺にはこの眼(白眼)が有るからな。と軽く指先で眦を叩くネジ。

 

「一見では分からずとも試行回数を重ねればその仕組み(術理)を見抜けるはずだ」

 

やっぱり瞳術系統の血継限界は無法だな…と若干呆れているとネジが話を続ける。

 

「そもそも俺達の中でまともに治療する手段が無いのは問題だと思ってた所だ」

 

今のところはテンテンの口寄せによる医療キットでの応急処置が精々だぞ?前衛が二人…ガイも含めれば三人も居る俺達がだ。と続けるネジ。

 

それに…と何かを言いたげな目でチラリとテンテンを見る。

 

あー…でもやり過ぎた時には相手は多分死んでるんじゃないかな?

 

そんな思いを込めてネジへ視線を向けると。

 

…お前のせいだからな?ちゃんと管理しろよ?と言わんばかりの目を向けられる。

 

無言でやり取りしている俺たちを不審げに見ているテンテンが何かを言おうとするのを遮るようにネジへと答える。

 

「…まぁ、確かに。俺もネジも近接戦闘メインだから怪我しやすいし…俺に至っては八門使用後の反動もあるからね」

 

…釈然としない顔で開きかけた口を閉じるテンテン。

何とか誤魔化されてくれたか。

 

咄嗟に言った言葉だがこの3人の中で一番継戦能力が不足しているのが俺なのは間違いない。

 

八門遁甲を主力武器にしているから仕方がない話ではあるが。

 

リミッター解除系の術故の弱点…経絡系の強化による時間の延長と反動の軽減には一応成功しているがネジにギリギリ見てから反応されるレベル(三門)でも二十分が限界だ。それ以上は反動が大きくなるから実用的ではない。

 

今できる限界の出力(五門)だと良いところ五分、それ以上(六門)はほぼ一分で自分で動けなくなるレベルの反動になる。

 

それでも五門まで開けば一人でも試合時の我愛羅レベルまではどうにか出来るのが分かった。

 

三人揃ってるなら三門までのガイ先生くらいの実力者相手なら逃げ切ることも可能だろう。

 

でも格上を撃退、撤退出来てもその後が続かない。

ギリギリまで戦うと前衛の俺が完全に足手まといになる。

 

それを治療(緩和)出来る手段があれば戦線復帰の時間短縮は出来るだろうけど…

 

「別に本戦までに覚えようって訳じゃ無い。今後を見据えての話だ」

 

どうせ一ヶ月はお前も大人しくしてるんだろう?と続けるネジ。

 

「まぁね…流石に組手は無理だろうし」

 

チャクラコントロールと左腕以外の修練になるかな?と答えると。

 

「全員別々に過ごす感じ?」

 

それだとあの男…赤銅ヨロイが来た時にどうしようもなくない?と不安そうに言うテンテン。

 

確かにテンテンが一人だけの時に狙われるのが一番不味い。

 

俺やネジが居るなら多少の時間稼ぎをしている間に何とか出来る目があるが、一人だけのタイミングで至近距離まで寄られると打てる手は限られてしまうだろう。

 

それを懸念してかネジが口を開く。

 

「…それもそうだな。俺やリーなら1人でも逃げ切れるだろうがあの男の狙いがテンテンなのは明白だ」

 

そう言うと少し逡巡した後に心底嫌そうな顔で続けるネジ。

 

「…テンテン。例の巻物を出せ…契約する」

 

ただし変なタイミングで呼び出したら…分かってるな?と圧を掛けるネジに

 

「そりゃ勿論だけど…良いの?」

 

本戦で私と当たったら遠慮なく使うけど?と答えるテンテンに

 

「そこのバカと違って抗える俺にそこまで刺さるとは思えんが?」

 

やれるもんならやってみろ、と鼻を鳴らすネジ。

 

言ってくれるじゃん?

 

「…俺だって暴力に物を言わせればなんとでもできるよ?」

 

仮にそこが起爆札塗れだろうと五門まで開けば爆風より速く走れるし。

 

今此処でやるか?と互いに軽く睨み合いながらバチバチと視線を戦わせていると。

 

「はいはいそこまで!言質取ったからね?」

 

間に入ってきたテンテンに仲裁された。

 

この先は本戦…だと木の葉崩しで無理かも知れないが、いずれ見せてやるよ。

 

互いにフンッと目を逸らす。

 

その様子を見て苦笑するテンテンが開いた巻物を差し出すと迷いなく噛み切った親指を押し付けるネジ。

 

何はともあれ緊急事態に全員集まれる様になったのは大きい。

 

特にこの先を考えると必須かも知れないと考えていたからどう提案するか迷ってたんだけど…まさか自分から言い出すとはね。

 

本当に変わったなコイツ…とネジを見ると少し離れた位置でアスマ上忍やカカシ先生と一緒に話しているガイ先生の方を見ながら

 

「これでいざという時は三人揃うことが出来るな」

 

本当ならガイと契約させておきたいくらいだが…と続けるネジ。

 

それはそうなんだけども。

 

「流石に上忍を呼び出せるようにするのはね」

 

三代目様から釘刺されたじゃん、と嘆息する。

 

「任務の最中に戦力が欠けるのは不味いよ…」

 

ガイ先生を引っ張り出すレベルの案件なら尚更だ。

 

 

木の葉の里における最大戦力の一角を出さなきゃいけない様な大仕事の最中に居なくなったら目も当てられない。

 

任務じゃない時ならどうか?と聞いてみても、そもそも下忍の俺達に上忍が任務についてるかどうかを教えるリスクが高すぎると言われては何も言い返せなかった。

 

…まぁ、任務に出てる=里に居ないだからガイ先生が居ない時を狙えば少なくとも大きな障害が一つ減るもんな。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

俺達で言うなら大蛇丸(赤胴ヨロイ)と敵対してる時にいきなりネジが消えるみたいなもんだよ?と返すと。

 

「…無い物ねだりなのは百も承知だ」

 

それでもいざという時の助っ人にあれ程頼りになる奴もいない。

 

そう言うネジへ続けて話す。

 

「それには完全に同意だけど…俺達でもある程度対処は可能でしょ」

 

あの男相手でも本体が来なければ逃げ切れるだろうし…里の中ならちょっと暴れればすぐに上忍が来てくれるだろうから。

 

その言葉を聞いて少し安心した様子のテンテンが笑いながら答える。

 

「あの人達、里の中で起爆札使えばすっ飛んで来るもんね」

 

畑を耕す任務の時に地中にある竹の根を焼き切る用途で起爆札を使った時の事だな。

 

畑の地面が軽く浮くレベルで爆破したから目的は達したものの即座に上忍が来て三代目の執務室まで連行されて叱られるわ、依頼人からも怒られるわで散々な目に遭った記憶が蘇った。

 

同じ事を思い出したのかネジも少し苦い顔になってるじゃん…

 

「…一応、里の中では使用禁止だよ?」

 

分かってるよね?と念を押す。

 

 

『里の中で使うなって明言されてないし少しなら良いかなって…』

 

少しバツが悪そうに言うテンテンに対して

 

『そのせいで余計な一文が増えたんじゃが…』

 

溜息を吐いていた三代目を思い出しながら注意するが…

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

禁止されてる起爆札を里の中で使ったバカを引っ捕らえない理由は無いし…

 

「なによりも殺されるよりは叱られる方がマシじゃない?」

 

と悪びれなく言うテンテンに

 

「それもそうだね」

 

「違いない」

 

二人して同意する。

 

あの化物とやり合う(殺し合う)のにルールもヘッタクレも無いわ。と全員の心が一つになった瞬間であった。

 

 

「あ、ガイ先生の話も終わったみたいだよ?」

 

こちらに歩いてくる先生を見て

 

「全員本戦出場だからきっと豪勢なものを奢ってくれるよね?」

 

先程までの雰囲気を変えるように少し明るい声で言うテンテンに

 

「回らない寿司とか?」

 

便乗して俺が高い食べ物筆頭を上げる。

 

「何でもいいだろ…」

 

それにネジが適当に答えた。

 

いつも通りの何処か気が抜けている会話をしていると。

 

「待たせたな!」

 

カラカラと笑いながら合流したガイ先生はそのまま足を止めず。

 

今日は本戦出場祝いで豪勢に行くぞ!!と意気揚々と先導する先生に続くのだった。

 

 

 

 

マイト・ガイ視点

 

 

「…お前さん、一体どんな指導してんだ?」

 

予選終了後にアスマから問われた。

その言葉に頷くカカシ。

 

「たった数年であのレベルまで鍛えられるか普通…」

 

ヒナタも頑張ってたみたいだが…と軽く引いた様子のアスマ。

 

紅はヒナタの付き添いで居ないが恐らく同じ感想だろうよ、と続ける。

 

「いくら日向の天才児とはいえ限度があるだろ…」

 

「近くに切磋琢磨出来るライバルが居るからな!そりゃあもう必死に努力した結果だな!」

 

リーが初めてネジと引き分けたと報告して来た日から。

ネジの目の色が明らかに変わったのが分かった。

 

それまでも軽く意識していた様だがあからさまに態度が変化し始めたのもその時期だしな…

 

「あの体術使い…ロック・リーか」

 

お前、やり過ぎ。と軽く項垂れるアスマ達。

 

「砂隠れの秘蔵っ子…ありゃどう見ても人柱力だろ」

 

あそこまで抑え込めるレベルまで鍛え上げるのにどれだけの時間が要るのだろうか。見た所体術以外に長所が無い様にも見えたんだが…と呟くアスマに答える。

 

「リーには体術しかないからな…」

 

流石に螺旋丸周りの情報は伏せる。

 

アレらは初見殺し性能が高い。

 

態々人の目がある所での使用を控えていたのは写輪眼を警戒しての事だろうしな。

 

それを見て何か言いたげな様子のカカシを無視して話し続ける。

 

「他の忍が忍術、幻術を鍛える時間を全て体術とチャクラコントロールに注ぎ込んだ。その上で常に格上とやり合う事で経験を積み続けた」

 

リーの努力量は今も尚他の追随を許さない。

人が休む所で後一歩…五歩は進もうとする様な子だ。

 

「体術に関してなら既に下忍のレベルにはない。俺との組手も開門を使用してのものだからな」

 

既に素の力だけでは修練にならん。と続けると

 

「…お前が、か?」

 

驚きを隠せない様子のカカシが思わず、と言った口調で聞いてくる。

 

「正確に言うなら相手は出来るがあの子の為にはならない、だな」

 

リーは格上との試合を望んでいる節があるからな…その向上心に応える為なら多少の無理は押し通すとも。

 

「他の二人も同様か?」

 

探る様に聞いてくるアスマ。

 

全員本戦に進めたのはうち(第三班)だけだからかやけに警戒されているようだな?

 

まぁ別に隠すような事でもないから構わんが。

 

「俺は体術以外はてんでダメだからな…仮想敵として模擬戦を行う事で実戦経験を積ませるのに終始しただけだが」

 

実際に戦う事で其々の工夫や努力が見える。

 

何が出来て、何が出来ないのか。

その中で今の自分に必要なモノは何か。

 

常に考えながら戦う癖をつけさせた。

自分たちよりも格上の相手に対した時に生き延びるため、必要な事を。

 

…まぁ、その三人が俺に通じる様にと考えて来た手段を片っ端から叩き潰していった訳だが。

 

通じないと分かると直ぐに別の方法を考えて来るテンテンやリー、それらを上手く使って追い込もうとするネジといった形になるまでそう時間は掛からなかったぞ?

 

そう言うと若干引いた顔で見てくる二人。

 

…別におかしな事は言ってないと思うんだが?

疑問符を浮かべながらも話し続ける。

 

「リーとネジの二人を同時に相手をするなら休門(二門)まで使わされる事も多くなってきているし、テンテンも加えた三人相手では撤退を許さない様にするには生門(三門)以上が必須に成りつつある」

 

最初の頃は手加減しても数十秒で全滅してたが最近では数分間は持つからな…流石に傷門(四門)まで開ければ瞬殺だが。

 

うちの連中は強いぞ?と自慢する。

 

「…そりゃまだ早いと言う訳だ」

 

悔しいが今のうちの連中(第七班)じゃ歯が立たないだろうな…

 

そう言うと何か考え込むカカシ。

 

…うちはの写輪眼も九尾の人柱力も大概だと思うぞ?

 

内心でそう呟くと同時に

 

「ネジとリーについては分かった…ライバルが近くにいて互いに追い抜こうと切磋琢磨しているなら自然と追い込む形になるのも頷ける」

 

それでも異常な成長度合いだが…と何とか飲み込んだ様子のアスマが続けて質問してくる。

 

「…あの口寄せは何なんだ?」

 

あんな使い方、下忍がしていいものじゃないだろ…とテンテンについても言及される。

 

思い返せばネジが変わり始めた頃だったか…テンテンの迷いが消えたのも。

 

あの頃のテンテンは一気に強くなりつつある二人に暗い劣等感の様なものを抱いている様だった。

 

「アレはなぁ…」

 

俺にもわからん!と言い切ると二人の肩が落ちた。

 

「分からんてお前…」

 

恥ずかしながらテンテンの迷いを取り払ったのは俺ではない。

 

「実際、テンテンについては俺よりもリーの方が詳しいぞ?」

 

そもそもの発端はリーだからな。

そう言うと少し目を見開く二人。

 

「リーが?確かあの子は忍術を使えないはずじゃ…」

 

言い難そうにそう言うアスマに

 

使()()()()()()()()はイコールじゃないだろう?」

 

 

あの子(リー)は使い方次第でどんな忍術でも脅威になると思っている。

 

自分には使えないからとそこで思考を止めずにその術の使用方法を常に考えているのだ。

 

いつか使えるようになるかも知れない、そう考えているのだろうかと遠回しに聞いたことがあるが…

 

"俺が使えないからといって相手が使って来ない訳じゃありませんから"

 

体術しかない自分が足元を掬われる可能性を一つでも潰す為だと言う。

 

"俺の考えつく様な事なら相手もやってくる可能性があるでしょう?"

 

その思考の柔軟さがテンテンの新たな術理の扉を開いた訳だが…普通はそこまで考えなくても良いのだ。

 

八門遁甲は他の全てを上から殴りつける事が出来る術法。

 

同格相手なら相手が動く前に圧倒的な身体能力で叩き潰すのが基本的な戦術になる。

 

実力を上回る相手と相対した場合でも戦力を埋める…ひっくり返す事すら可能な術理なのだから。

 

八門使いを相手に通じる様な忍術の使い方をして来る奴はビンゴブックでも高額賞金首に限られる。

 

それでも、まさか下忍がそこまではして来ないだろうとは考えないのだあの子は。

 

だからこそ仲間の術(口寄せの術)の突拍子もない応用法が出てくるんだろう。

 

あの発想の柔軟さは本人が基本的な使用方法を知らないから出てきているフシがある…皮肉なものだが。

 

螺旋丸を見るに四代目様と同じ視座に到れる可能性がある発想力…忍術が使えないのが惜しいと三代目様が度々言われる訳だ。

 

それでも(術を使えなくとも)前に進もうとする意思を俺は評価している訳だが。

 

思考が明後日の方向に向かい始めたのを自覚して苦笑を浮かべつつ話し続ける。

 

 

「体術のみでは咄嗟の場面で切り抜ける方法が限られる。だから事前に考えておくんだそうだ」

 

火遁を封じるには?風遁は?土遁ならどうする?

 

其々の術の弱点や強みを知っておけば対処出来るものが増える、とはリーの言葉だ。

 

「やや偏った(捻くれた)知識ではあるがな。そのせいでアカデミーでは赤点スレスレだったみたいだしな!」

 

カラカラと笑う俺に信じられないものを見るような目で見てくるが。

 

「言わんとしている事は分からないでもないが…」

 

一体何が彼をそこまで駆り立てるんだ?と疑問を顔に浮かべるアスマ。

 

「夢の為さ」

 

"忍術が使えなくても立派な忍に成れると証明する"

 

出会ったあの日の言葉を思い出しながら。

 

「その途中で色々と増えたみたいだが…それもまた青春だろう!」

 

リーも、ネジも、テンテンも。

あの子達の青春はまだ始まったばかりだ。

 

ネジが試合から帰ってきた時の光景を思い出して思わず口の端が上がりそうになるのを抑えつつ。

 

「とにかく、伸び悩んでいたテンテンに道を示したのはあの子だ。担当上忍としては恥ずかしい限りだが」

 

弟子が仲間…友人の為に動いた結果、いい方向へと進みだした事は情けない(師匠)の少ない誇れる一面である。

 

「三代目の元へちょくちょく通ってるのもそれか?」

 

カカシがようやく得心がいったと確認してくる。

 

「少し口添えはしたが…気に入って貰っている様だな」

 

三代目様からはその分胃痛の種が増えた…とも言われたが。

 

危険すぎるものはその場で報告しに行くようになって顔を合わせる頻度が上がったが…注意や小言も貰うが個人的に気に入っているのは間違い無さそうだ。

 

「…割れ鍋に綴じ蓋とはよく言ったもんだ」

 

砂隠れの風遁使いを影分身と口寄せで手玉に取り独自のスタイルを築き上げつつあるくノ一。

 

その根幹を築いたという一尾の人柱力を抑え込んだ八門使い。

体術に偏重…全てを掛けている一点特化型の異端の忍。

 

それらに追い付かれまいと努力を重ねる日向の麒麟児。

 

全てが上手く嵌った結果が全員本戦出場という結果か…と呟くと懐から煙草を取り出す。

 

「それにしてもあの嬢ちゃん…テンテンか。最後に全員挑発してたが大丈夫なのか?」

 

試合の後に言い放った言葉はその場の全員を絶句させるのに十分過ぎた。

 

"殺すのが目的じゃないから"

 

その言葉の真意はともかく…その場で聞いた全員が思ったはずだ。

 

"()()()()()()()()()()()()()()()()()"、と。

 

ただの()()で見せるのはこの程度で構わないだろう?と言われた様な気分だろうよ。と呟くアスマ。

 

「舐めてんのか…と言いたい所だろうが」

 

アレを見せられちゃ何も言えねぇやな。と煙草に火を点ける。

 

うちのも珍しく真剣に見てたみたいだしな?と続ける。

 

「相手が不調そうだったとはいえ完全に手玉に取っての勝利だ…見てる側でもキツいのにやられた方はたまったもんじゃねぇだろうよ」

 

その上で手加減してやったんだぞ、と来たもんだ。

底が知れない(精神的な)怖さって点ではリーやネジを超えてるな…

 

そう話を結ぶアスマに苦笑しつつ答える。

 

「うーん…テンテンにそんなつもりは無いと思うが…」

 

純粋に禁じ手無し、殺し技無しでやったよ?くらいの感覚だと思うぞ?

 

そう続けると。

 

()()()?」

 

なんだそりゃ?と疑問符が飛ぶ二人に言ってなかったか?と続ける。

 

「テンテンは三代目様から事前に注意喚起されてるからな」

 

中忍試験での起爆札や口寄せの使用方法に制限が掛けられている…詳しくは他言厳禁だが。と小さな声で続けると

 

「…もし、その制限がなかったとしたら。あの子の試合はどうなってた?」

 

同じく声を潜めたアスマから質問された。

 

その質問に答えるには少し前提条件がいるが…

 

「何でもあり、最初から殺すつもりでと言う想定で良いか?」

 

構わない、と答えるアスマに返答する。

 

「初手で舞台ごと無くなってた(吹き飛ばしてた)だろうな…出費は大きいだろうが確実に葬るつもりなら()()()()潰しててもおかしくは無い」

 

これは口には出さないが…本当になんでもありなら自分の番が来る前に天井か屋上部分に口寄せ用の苦無を仕掛けるくらいはするだろう。そこから起点口寄せで互乗式の大岩で押し潰すか起爆札で吹き飛ばして終いだ。

 

さらに言うなら俺達や三代目様(親しい者たち)木の葉の里の皆(同郷の仲間)がその場に居ない状況なら。

 

事前に会場の外に影分身を待機させておけば、自分を口寄せさせて逃げられるから容赦なくその場の全員を巻き込むだろうよ。

 

嫌な想像が浮かんだのを軽く頭を振って追い払う。

 

テンテンにはネジやリー(仲間兼ストッパー)が居る。そう言う事態にはならんはずだ。

考えても意味の無い事だな、と頭の隅へと追いやりながら。

 

「試合でも見せていた通り、相手の裏をかきながら逃げる先を潰すのと同時に相手の防御を超える飽和攻撃を行うのがあの子(テンテン)の基本戦術になる」

 

故に制限を掛けられてる訳だ。と続ける。

 

距離を離した状態、ヨーイドンで大質量をぶつけに来られたら下忍では対処が難しいだろう。

 

「リーやネジはもう慣れてるからテンテンの殺し技へも対応可能だが…見た感じ他の下忍では少し厳しい」

 

()()()()()()()()()()()()()

 

禁じ手に対抗するなら純粋な暴力(俺レベルの身体能力)絶対防御(ネジ)の様な無法に近い防御手段、もしくは逃げ切るだけの(リーの様な)速さが要る。

 

「禁じ手の一つを使われた事があるが…咄嗟とは言え八門を開かざるを得なかったからな」

 

アレには驚かされた。と苦笑するとアスマから質問がとんできた。

 

「口寄せか?」

 

「ノーコメントだ」

 

一月後には本戦だっていうのに手の内をバラす担当上忍がいるか、と軽くチョップを食らわす…普通に避けられたが。

 

「ダメか…ま、うちのも大概だからな」

 

本気を出せばお前のところにも負けないぜ?と挑戦的に笑うアスマ。

 

「それは楽しみだ」

 

強者との試合で得られるものは多い。

 

今回の予選ではリーも大きく成長した事だろうし、テンテンや砂隠れのテマリ、ネジと戦ったヒナタも得られた経験値は今後の糧になるだろう。

 

「…そろそろ戻るか。聞きたいことは聞けたしな」

 

お前の所の連中もチラチラ見てきてるしな?と揶揄う様に言うアスマに

 

「そうだな!俺もあいつらを更に鍛え上げてやらないといかん!」

 

あー…と声にならない声を上げる二人に軽く手を振って離れる。

 

 

こちらを見て何やら話していた二人が期待を口にしているのが分かった。それをネジがどうでも良いと言っているのが見える。

 

本戦出場を決めたというのにいつも通りな連中に思わず頬を緩めながら歩いて行く。

 

今までの努力の成果を見せたご褒美としては微々たるものだろうが、今日は盛大に祝ってやらないとな!

 

 

 

…財布が許す範囲で、だが。

 






ヒナタ視点を入れるかどうかで悩みましたが何度書いてもこれじゃない感が拭えなかったためカットしました。

一ヶ月の修行パートは少し巻いて行くと思います。




感想、評価ありがとうございます!
ご指摘頂いた箇所は適宜修正していきますのでご容赦頂けますと幸いです…

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