ロック・リー転生伝   作:六亭猪口杯

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年度末で阿呆程仕事が増えまして中々更新出来ずすみませんでした…

また、捏造がございますので苦手な方はご注意下さい。





酔拳への道

 

 

 

 

目を覚ますとそこは森の中だった。

 

 

 

既に日が落ちつつあり、辺りが暗くなり始めている。

 

一瞬敵襲か?と身構えようとするも此処が木の葉の修練場である事と、近くに座って話し込んでいるネジやガイ先生を見つけて少し安堵する。

 

何でこんなところに居るのかとぼんやりする頭を捻って記憶を辿る…

 

第三次選抜予選の後。

 

ガイ先生に連れて行ってもらった高級焼肉店でひたすら肉を食わせてもらっている途中から記憶がない…

 

何とか思い出そうと頭を振るとガンガンと内側から殴られている様な痛みが襲ってきた。

 

「……頭痛ぇ…ッ」

 

風邪か?と考えるが熱はない様に思える。

 

やけに重い身体を起こすと声を上げた俺に気づいた2人が心配そうに声を掛けてきた。

 

「気がついたか!?」

 

「…チャクラの流れも問題なさそうだな」

 

一安心だ、と溜息を吐く二人に疑問が浮かぶ。

 

「…何があったんです?」

 

周囲を見渡すと軽く荒れた状態の修練場が目に入ってきた。

 

「まさか…あの男(大蛇丸)の襲撃が!?」

 

もう木の葉崩しが始まったのか!?と慌てて飛び起きる俺を抑えつけるようにして地面に座らせてきたガイ先生が口を開く。

 

「落ち着け!これは俺のせいだ…すまん!」

 

少しやつれた様子で頭を下げるガイ先生に

 

「いや、このバカのせいだろ」

 

ネジが鼻を鳴らしながら俺を見てきた。

 

「……焼肉を奢って貰ってる途中から記憶がないんだけど」

 

テンテンと肉を取り合った後の記憶が無い。

 

一体何があったの?と聞き返すとネジがあきれた表情で答える。

 

「間違えて酒を飲んだお前が暴れ出したんだよ」

 

普通口にする前に気づくだろうが…とバカを見る目で見ながら続ける。

 

「店を壊しかねなかったからな…俺が抑えてる間にガイがテンテンを連れて此処まで来てお前と俺を口寄せした」

 

その後は暴れるお前の相手をしてただけだ。

 

軽く疲れた…と溜息を吐いて話を結んだ。

 

「お前、金輪際酒は飲むなよ」

 

毎回こうなると考えたら被害が洒落にならん。

そう言って周囲を見渡すネジ。

 

「…え?これ、俺がやったの?」

 

ズタボロになった修練場を見て思わず呟くと

 

「そうだ…すまなかった」

 

俺が自分の酒を手元に置いておけば…!と頭を下げるガイ先生。

 

「忍の癖に口にする飲物を間違えるコイツが悪いだろうが」

 

アルコール臭くらい見分けろバカが。と吐き捨てるネジ。

 

「…ご迷惑お掛けしてすみませんでした」

 

ようやく事態を理解した俺は頭を地面に擦り付ける。

 

どうも間違えて酒を飲んだ俺が酒乱を発動して暴れたらしい。

 

原作でもそんな一幕があったように思えるし、君麻呂戦では酔拳を披露してたから酒は口にしないようにしてたんだけどな…

 

自分で制御出来ない力を当てにするのはちょっと…と今まで試さなかったツケがここで爆発した様だった。

 

もっと弱い時期に試しておけばこんな事にはならなかっただろう…と反省していると。

 

「…まぁ、主な被害は此処だけで済んだからな」

 

もう良い…と呟くネジ。

 

「落ち着いたら店に謝罪しに行くぞ」

 

壊したものの弁償と迷惑料を払わないとな。と続けるネジに頭が上がらない。

 

「本当にすみませんでした…」

 

「あ、気がついたんだ」

 

再度頭を下げると同時にテンテンが修練場の外から歩いて来る。

 

「はい、二日酔いに効く薬。それと水ね」

 

いやー、それにしても凄い暴れっぷりだったみたいだね?と周りを見渡して続けるテンテンにも改めて謝る。

 

「ご迷惑お掛けしてすみません…」

 

謝罪と同時に薬を口に放り込まれた。

…苦い。

 

「私はそんなに困らされて無いから良いよ。ネジと先生にはちゃんと謝らなきゃ駄目だけどね?」

 

ハイ水。と渡されたボトルから水を飲む。

…美味い。

 

「…もう良い。無傷で止めるのが面倒だっただけだ」

 

店を壊さないように受け流すのに骨が折れたが。

と鼻を鳴らしながら答えるネジ。

 

本当にすみません…恐縮です…

 

より縮こまる俺に

 

「無意識だろうが左腕を庇ってたからまだマシだった」

 

妙な動きのせいで上手く点穴を突けなかったのは俺の力不足だったがな…と悔しそうに口にするネジ。

 

「妙な動き…?」

 

「酔っぱらいの様な動きのくせにこちらの意表を突く様な攻防一体の体術…あんなの何処で覚えたんだ?」

 

ネジが純粋に疑問なんだが。と聞いてくるけれど…

 

「記憶にございません…」

 

多分無意識なんじゃないかな…

 

「…そうか。意識的に切り替えられるなら脅威になると思ったんだが」

 

その分なら警戒する必要も無さそうだな?と笑う。

 

「そんなにやり難かったの?」

 

「普段と違いすぎる。まるで別人だったぞ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ネジ視点、回想

 

 

 

第三次選抜予選が終わって打ち上げの時のこと。

 

 

『これ美味しいね!』

 

パクパクと焼いた肉を頬張るテンテンを眺めながら箸を進めていたリーが

 

『あ、それは俺が育ててたのに…!』

 

と悔しそうな声を上げる。

 

…焼肉を育てるとは一体?と疑問を浮かべながら自分の分を確保して食べる。

 

まぁまぁだな…家で出るものとそう変わらない味だ。

内心でそう呟きながらガヤガヤと騒ぐ二人を尻目に飲物を注文しているガイに

 

『今日は珍しく酒を飲むんだな?』

 

いつもノンアルコールで済ませているガイが酒を頼んでいるのを見て思わず言葉にすると

 

『今日ぐらいはな…何せ全員本戦出場だ!』

 

一杯だけ、見逃してくれ!と笑うガイに苦笑を返しながら

 

『…好きにしろ』

 

節度を守って飲む分には何も言わん。

 

『お待たせしましたー』

 

運ばれてきた酒をテーブルに置いて去る店員を横目にようやく落ち着いてきた二人を眺める。

 

『…OK。此処からこっちは俺、そっちはテンテンさんね』

 

『それで手を打ちましょ』

 

…どうやら網の上で境界線が引かれた様だった。

 

『…で、俺達は何処から取れば良いんだ?』

 

それだと俺とガイの分が無いだろうがバカ共。と軽くリーの頭を叩く。

 

『…確かに』

 

失念してたわ…と頭を下げる二人。

 

少し変なテンションになっているのは普段と違う店に来ているからか全員本戦出場で浮かれているからか…

 

『まぁまぁ!今日は無礼講だ!細かいことは気にするな!!』

 

ハッハッハ!と笑いながら運ばれてきた肉を網の上に乗せるガイ。

こういう所はマメだな…と感心していると。

 

『頼んでた飲物も来てたんだね…丁度喉乾いてたんだ』

 

ラッキー、とジョッキを呷るリー。

 

『あ、それは…!』

 

と慌ててジョッキを奪い取るガイだが一足遅く。

 

『…ありゃ?』

 

一口飲んだリーが机に突っ伏した。

 

酒弱すぎじゃないかコイツ…いやそもそも飲む前に気づけよ、と呆れていると。

 

『大丈夫か!?』

 

すぐに肩を揺らして意識の確認をするガイ。

 

『…むぁ?』

 

ムクリと顔を上げるリーだが…目が据わってるな。

 

『ちょっと、大丈夫?』

 

テンテンも心配そうにしている。

 

『バカが、普通飲む前に気づくだろうが』

 

全く…と溜息を吐くと同時に。

ゆらりと立ち上がるリーがふらふらとした足取りで歩き出す。

 

『何処に行く』

 

吐きたいなら逆方向だぞ、と肩に手を置こうとした瞬間。

グニャリと倒れ込むリー。

 

『おい…ッ!?』

 

地面とほぼ平行になりながらアッパー気味に殴ってきたのを咄嗟に弾く。

 

防御が間に合わなかったら顎に直撃する所だったぞ…?

 

『…何のつもりだ?』

 

上半身を倒しながらふらついているリーに問いかけるが…

 

『…手合わせ?』

 

そのまま掛かってこい!と手招きするのを見て頭を抱えたくなるのを抑えつつ

 

『バカな事を言うな。(こんな所)でやる訳ないだろうが』

 

良いからさっさと…と言いかけた時、右の抜き手が飛んできた。

 

咄嗟に防ごうとするが途中で軌道を変えて襲い来るそれを完全に逸らすことができず、軽く背後へと殴り飛ばされる。

 

『このッ…!?』

 

ギリギリで踏みとどまり壁にぶつからずに済んだが…冗談で殴るにしては威力がイカれすぎてる!

 

一度止めなくては、と体勢を整えて一気に詰め寄る。

 

柔拳で封殺してやれば酔いが覚めるまで転がして終いだ!

 

いつもの模擬戦の時の様にフェイントを交えて突くが直前で半身になったリーに躱された。

 

開門無しで完全に避けられた…?と思うより速く真下から蹴り上げてくる足を掴んで入り口の方へと投げる。

 

猫のように着地したリーが地面スレスレを擦るように飛び掛ってきた。

 

この阿呆、状況がわからなくなってる!

 

『この大馬鹿野郎が…!』

 

と吐き捨てるように言いながらガイに

 

『コイツ、見境なくなってやがる!テンテンを連れていつもの修練場に走れ!』

 

着いたら直ぐに()()を口寄せしろ!と指示しながら殴りかかってくるリーに組み付きながらその場に転がそうとするが

 

『んお?』

 

不思議そうな声と共に蛸のようにヌルリとすり抜けるリー。やり難い…!

 

それを見て一瞬迷った様子のガイが走り出す。

 

…それで良い。俺じゃテンテンを担いで走るのは難しいし、ガイが抑え込むには此処は狭すぎる(障害物が多い)

 

『…分かった!行くぞ!テンテン!』

 

『あ、え、ちょっと!?』

 

言うが早いかテンテンを担いで離脱するガイを見送る…会計なんて後で良いから早く行け!

 

店員に頭を下げつつ走り去るガイとテンテン…端から見たら攫われてる様に見えなくもないが、これで時間稼ぎだけで何とか成りそうだな。

 

『よし…おい、リー』

 

表に出ろ。

 

先ほどの攻防で位置が入れ替わり、今は俺の背後にある店の出口を親指で示すが

 

『…表?』

 

じゃあ裏は何処だよ!と意味不明な事を言いながら飛び蹴りを仕掛けてくる。

 

『慣用句だこの阿呆が!』

 

蹴り足を掴んで受け止めながら勢いをそのままに一緒に後ろに吹き飛ぶ。

 

…扉が壊れたな。後で弁償しなければ…

 

『お客様!?』

 

店員が慌てて厨房らしき場所から出てくるのを制止する。

 

『連れが酔っぱらった!後で謝罪と弁償に伺うから今は顔を出さないでくれ!』

 

何とか通りに引っ張り出すことは出来たが油断は禁物だ。

 

今のところ俺だけが標的だが修練場と勘違いしてるなら周りの物全てを武器や障害物として扱いかねない。

 

そうなった場合、扉一枚では済まないぞ…と何とか被害を抑える方向で考えていると

 

『喰らえ!』

 

ソイッ!と言う掛け声と共に振ってきた回転蹴りを防ぐ。

 

(左腕を使ってこない?)

 

一応理性がギリギリ働いているのか吊り下げた左腕は使って来ないな…戦力ダウンしてるとはいえこのバカ(リー)相手に油断は出来ないが。

 

『それも見えている!』

 

舐めるな!とカウンターで点穴を突こうとするのをチャクラの回転で逸らされる。

 

酔ってるならそれ相応に弱体化しているかと思えば模擬戦時と同等の威力と正確さだ。

 

…まだ八門を開いていないのが救いだな。

これで五門…いや三門も開かれていたら初見では防ぎきれなかっただろう。

 

内心で読めない動きを繰り返すリーに舌を巻いていると

 

『俺がお前を舐めてる…?舐めるものかよ!』

 

俺は何時だって本気だ!とふらつきながら踏み込んでくる。

 

千鳥足の様な動きのくせにやけに速い…!

 

上半身と下半身の動きがバラバラ故に予測した速度と実際の速度に差が出ているせいか?…それでも!

 

『それはさっき見たぞ!』

 

緩く握られた拳を掴もうと手を伸ばす。

一度掴んで抑え込めれば口寄せまでの時間を稼げると踏んだんだが…

 

その拳に触れる寸前で高速の踏み込みを入れて上半身を後方に倒しながら半回転…器用な奴だな!

 

鍛え上げた体幹と筋力で無理矢理バランスを取りながら逆に俺の伸び切った腕を掴むリー。

 

『取った!』

 

掴んだ袖を引きながら肩口から当たる体当たり…鉄山靠といったか?…を仕掛けてくる。

 

『取らせてやったんだ!』

 

引かれる力に身を任せて飛び上がるとリーの上を飛び越えた。

その序に空いた手で点穴へと柔拳を見舞うが…

 

『噴ッ!』

 

急激に増えた回転するチャクラに巻き込まれて着弾点を逸らされる。

 

開門を開いたか。いよいよもって不味いかも知れないな…

このままズルズルと続けてはいずれ五門まで開きかねない。

 

『此処からは我慢比べか!』

 

面白い!とリーはそう言いながら掴んだ袖を再度引いて空中の俺を引き戻そうとするが…

 

『何度も通じると思うな!』

 

付き合ってられるか!と咄嗟に引き抜いた苦無で袖を引き切って離脱。

 

一度距離を取って睨み合う…リーの視点はフラフラと定まってはいないが。

 

『やっぱりお前は凄い奴だ…』

 

うんうん、と頷きながら話し出すリー。

…そう言えば、酔ってるからか胡散臭い話し方じゃなくなってるな。

 

『そんなお前に勝てれば、俺も…』

 

と何かを言いかけた瞬間何かに引き寄せられる感覚が襲ってくる。

ようやくか…

 

『続きは酔いを覚ましてからだな』

 

そう言いながら煙に包まれると瞬きの間に視界が変わった。

 

俺の背後にテンテン、目の前にリー、その正面にガイ。

 

『んん〜?』

 

不思議そうに辺りを見回すリーに

 

『…ここなら多少暴れても大丈夫だ』

 

ガイが申し訳なさそうにそう告げると

 

『先生も参加されるんですか?』

 

じゃあこっちもやってやるぜ!と一気に三門まで開くリー。

 

 

これは…目の前にガイを出したのは失敗だったかも知れないな。

 

普段の模擬戦でもガイ相手では常に三門を開いていたからか条件反射で使ったぞこのバカ。

 

『テンテン!一旦離脱!』

 

三門開いたリーの相手をしつつ…しかも今は普段と違って見境がない様に見える…テンテンを庇いながら戦うのは面倒極まる。

 

それにテンテンの手持ちで今の(三門開けてる)リーに通用するであろう物は当て所が悪いと殺しかねないから今は戦力としてカウント出来ない。

 

『了解…!』

 

自分の今の装備では足手まといになりかねないと判断して戦線離脱するテンテン…すまん、殺すならお前は必須なんだが無傷で捕らえるには火力が足りなすぎる。

 

取り敢えず薬と水買ってくる!と走り出すテンテンに

 

『…すまん、助かる』

 

と小さく謝罪と感謝を述べる。

 

そんな俺達には目もくれずガイに飛びかかるリー。

 

そっちに行ってくれるなら都合がいい。

最悪の場合はガイが少し本気を出せば終わるからな…とはいえ。

 

『気をつけろ!普段とは全く違うぞ!』

 

それでもアンタが負けるとは思えないが…と内心で呟く。

 

目の前に現れたリーへ拳を振るうガイだが、リーはそれを見てスウェーの様に回避したままの体勢で死角から殴り返す。

 

『何だと…!?』

 

ガイも咄嗟に首を倒して辛うじて回避に成功した様だが…

 

『む…完全に避けられますか』

 

やはり先生は凄い!と無邪気に笑うリーを見て少し困惑した表情になるガイ。

 

あんな顔出来るんだなアイツ…

 

『お、おぉ…ありがとう?』

 

歯切れが悪いな。珍しい事も有ったもんだ…あんなガイは初めて見た。

 

一瞬緩みかけた空気を締めるようにガイへ話しかける。

 

『さっさと畳むぞ…五門まで使い始めたら洒落にならん』

 

今の状態が限界ラインだ。

 

自滅を待つだけなら後は時間を稼げば良いだけだがその後の反動を考えると今倒す他ない。

 

全く…面倒な奴だ。と辟易しているとリーを挟んで反対側に居るガイから

 

『俺が抑え込もう』

 

点穴を突けるか?と問われる。

 

『当たり前だ』

 

普段誰を相手にしてると思っている?と答えると同時に殴り掛かかってくるリーをいなす。

 

攻撃を逸らした瞬間に手応えの無さに少し驚く。

 

フェイント…アレは体重移動か?

最初から俺への攻撃ではなく背後から迫るガイに対応するためか。

 

後ろに向かって倒れ込むリーを捕らえようとするガイ。

 

地面と一体化する勢いで身体を倒してそれを回避、ゴロゴロと転がりながら離脱された。

 

『…やり難い!』

 

思わずと言ったように口に出すガイ。

 

『同感だ…普段と違いすぎて動きが読めない』

 

そう答えるとガイが小さく否、と呟く。

 

『アレは動きの始まりが読み難いだけだ』

 

だから強制的に後手に回されている。と続ける。

 

『型破りな動きもそうだが…脱力状態からトップスピードに乗るまでが極端に短い』

 

先の先、後の先が取りづらい相手だ。と話を結ぶと。

 

 

『フゥゥゥ…』

 

立ち上がって親指で鼻の辺りを擦って妙な構えを取るリーに油断なく構えながら聞き返す。

 

『じゃあどうする?無傷で、というのは諦めるか?』

 

暫くは流動食生活になるだろうがガイが少し本気を出せば出力の差でゴリ押せる。

 

そう考えての発言だったが…

 

『むぅ…それは流石に…』

 

此処から更に回復期間を延ばすのはしのびない…と続けるガイ。

まぁ、本戦まで一ヶ月しか無いしな…

 

『…仕方がない。投げるからその先で抑え込め』

 

()()()()で見せるつもりはなかったんだが…お前ならタイミングは見れば分かるだろ。と言うと同時にリーへと飛び込む。

 

『八卦二、四、八、十六掌!』

 

二掌から十六掌までを連撃やフェイントを混ぜて叩き込むが例の酔った様な動きの延長線上で全て避けられた…腹が立つなその避け方。

 

『そんな物が今更通じるかよ』

 

フラフラした足取りのリーから文句が飛んでくる。

ヒナタ様に使った時とは違って本気で打ち込んだんだが…何の隙も作っていないならこんなものか。

 

三門開いたコイツはもうそう言う生き物だと思わないとやってられんな…と愚痴が出ると同時に。

 

『お返しだ!』

 

なんちゃって柔拳!と叫びながら蹴りが飛んでくる。

 

三門以上であればリーの柔拳を普通に弾くのは無理だな…奥の手使用のためにも絶対防御で弾く。

 

()()()()()()()()()()…タイミングが合わん、もっと速くしないと…

 

弾いた先のリーを見ながら丁度良いタイミングを測る…後0.2秒速めにするか。

 

背後の木々に飛び退るリーを追いかけてガイが迫るが…

 

『先生は後です!』

 

着地した木をへし折って片手で力任せに投げつける。

 

それを意に介さず拳一発で粉砕するガイ。

 

『止まれ!リー!!』

 

極力傷つけない様にだろう。

普段と違って組みつきに行くガイに

 

『今のリーに組み付きは…!』

 

警告するよりも速くリーを抑え込む様に組み付くガイを

 

『何の!』

 

これしきぃ!と再びヌルリと避けるリー。

 

『この全能感…!今の俺は無敵だ!!』

 

ガイからの攻撃?を防いでテンションが上がりすぎている様子のリーが世迷言を吐く。

 

ヒャッハー!とのたまいながら周りの木々を次々と弾丸にして投げつけて来た。

 

『馬鹿力が…!』

 

ガイは力任せに、俺は絶対防御で弾くと

 

『ネジぃ!』

 

勝負だ!と飛んできた木の陰から飛び出すリーへ

 

『いい加減寝てろ酔っぱらい!』

 

『俺は酔ってない!』

 

そもそも酒はまだ飲んじゃいけないだろうが!ともっともな事を言ってくる。

 

うざったい…!

 

『ホゥアチャー!』

 

最早ただの奇声を上げて突撃してくるリー。

 

何時もの基本に忠実な型は見る影もない。

 

我流にも程があるソレは無駄な動きが多く、避けるだけなら容易い。

 

『…甘い!』

 

俺がそう考えて回避すると読んでただろお前。

 

軌道を変化させて左胸部へと叩き込もうとされていた右拳が直撃する直前で絶対防御のチャクラが捕らえた。

 

完璧に嵌った…これなら!

 

『こいつはとっておきだ…!』

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

急激なベクトル変換で一瞬前後不覚になったのか抵抗すること無く回転に巻き込まれるリーを確認して思わず笑みが溢れた。

 

 

 

絶対防御。

 

ほぼ全ての攻撃を弾けるこの技に明確な弱点は存在しない…と思っていたが。

リーやガイとの模擬戦で嫌というほど思い知らされた事がある。

 

これだけでは後が続かない。

 

最初の方こそ弾いた相手に追撃を入れられたが次第に慣れてきた体術バカ共(リーとガイ)は弾かれ方を学びはじめた。

 

今では安易に追撃すると手痛い反撃を食らう始末。

 

そのため折角弾いてもその後に待っているのは仕切り直した状況だけという有様。

 

何ならガイ相手だと相手のターンが継続するというギリギリの所で少しだけ延命出来るレベルでしかない。

 

要するに弾いた後に俺が一方的に殴れるターンが存在しないのだ。

ノーリスクで追撃するなら起爆札を巻いた苦無を投げるくらいしか無いか…と半ば諦めかけた時に思いついた。

 

防御しながら殴れば良い、と。

 

そこで考えた内の一つがこの()()()()()()()()()()()()()()()()という訳だ。

 

殴りかかって来た敵を1層目の弾くチャクラで方向を逸らし、2層目の吸着するチャクラで捕らえ、全身で回転させたチャクラと共に地面に叩きつける攻防一体の術理。

 

弾くチャクラと吸着するチャクラの両方を上手い具合に展開するのに手古摺ったが…これは初見では防ぎようが無いだろう。

 

知られた後でも通常版と投げ技を見分けられないならガイ相手でも状況のリセットを行える可能性が跳ね上がる…と良いんだが。

 

アレはまだ無理かもな…と明後日の方向に飛びかけた意識を目の前のリーへと引き戻しながら

 

 

『我流柔術・廻天!』

 

 

螺旋掌や螺旋丸に触発された訳ではないが…俺が初めて作り上げたオリジナルの攻撃用術理だ。

 

『ガイ!』

 

『任せろ!』

 

本来は叩きつける先は地面、頭から落とすんだがコイツは仲間だしな。

 

白眼で確認し続けていたガイの方に叩きつけるように投げると、イカれた身体能力で衝撃を緩和しながら完璧にキャッチするガイ。

 

『大人しくしろリー!…リー?』

 

ヤケに静かになったリーに疑問符を浮かべているガイが覗き込むと

 

『うぷっ…』

 

吐きそうな顔で青ざめているリーと目が合った。

 

あー…酔った状態で人間洗濯機の如く振り回したからな。

 

『しまらない奴だ…』

 

吐くのを我慢してそれどころではないリーの点穴を突いて強制的にチャクラの流れを切ると。

 

『おぇぇェ…』

 

強制的に八門を解除された反動で耐えてたモノを吐き出してそのままグッタリとするリー。

 

『ようやく止まったか…』

 

スヤスヤと寝息をたてて眠るバカを見て溜息を吐く。

 

『…とんだ祝勝会になったな』

 

全く…と辺りを見渡せばズタボロになった修練場が目に入る。

途中で足場にした木や俺達の目を逸らすための弾に使われた大木が転がっている様を見ていると

 

『…その割には少し嬉しそうじゃないか?』

 

ガイから思いがけない言葉を掛けられた。

 

嬉しい?この状況で?

 

『目の錯覚だろ…』

 

ただ苦労しただけだ。

 

そう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

リー視点

 

 

 

「…とまぁ、そんな感じだった訳だが」

 

ネジの話を聞いて頭を抱える。

 

所々端折られているが大体の流れは分かった…全部俺のせいだな!

 

「本当に、すみませんでした…!」

 

正座から頭を地面に埋める勢いで叩きつける。

勝手に暴走して皆に迷惑を掛けたとか最悪じゃないか…

 

「気にするな…とは言わん。今後は気をつけろ」

 

特にアルコールの類は一滴も口にいれるんじゃ無い。

そう続けるネジ。

 

それはもう…肝に銘じます…と項垂れる俺に

 

「そうね…アレじゃ連携も取れないでしょうし」

 

あんな不規則に動かれたら誤射しちゃうよ?

 

苦笑を浮かべながら続けるテンテン。

 

…何処かズレてる感想だったが、言ってることは尤もだ。

 

俺達の優れている点は個々の実力もそうだがなによりも強者と相対した時のチームワークにある。

 

ガイ先生を相手に磨いてきた格上との戦闘経験を活かせないならどれだけ強くなろうと意味がない。

 

単独で戦うなら話は別だけど…酔ってる間の記憶がないから頼りにするにも不安しかない。

 

「ま、取り敢えず今日は解散って事で!」

 

もう遅いし…続きはまた今度にしましょ?

 

時計を確認したテンテンからそんな言葉が掛かる。

 

「そうだな。…リー。さっきの店に謝罪に行くぞ」

 

お前を表に出すために扉一枚壊してるからな。と続けるネジ。

 

「俺も同行しよう」

 

さて、善は急げだ!とふらつく俺を担ぎ上げるガイ先生。

 

そのまま猛ダッシュで店まで走るのだった。

 

 

 

後日、俺が酔って店と修練場を破壊したと言う噂が広まって俺は酒を出す店全てから出禁を食らった。

 

「…まぁ、当然の結果だな?」

 

「里ではもう呑めないな…」

 

ネジは当たり前だ、と呟き。

 

ガイ先生は少し肩を落とした。

 

「すみませんでした…」

 

皆を巻き込んで出禁になるとは…と頭を下げる俺に

 

「何のこれしき!少し残念だがそんな事よりもお前が無事なら構わないとも!」

 

さっき少し落ち込んでませんでしたか?と思ったのを察したのか

 

「それはそれ、これはこれだ!」

 

細かいことは気にするな!と肩を叩いてくるガイ先生。

 

本当にすみません…

 

「ま、弱点が判明しただけ良かったじゃない?」

 

とテンテンも慰めて?くれる。

 

暫く修練出来ないからこの一ヶ月はチャクラコントロールと毒物摂取して耐性付けようかと思ってたんだけど…この分だとアルコールも含めたほうが良いかな?

 

そんな事を呟くと

 

「止めておけ」

 

「止めておきなよ?」

 

「流石に許可できん!」

 

と三者三様に止められた。

 

流石に未成年飲酒宣言は不味かったか…

 

止めておきます…全員に頭を下げると。

 

よろしい。と頷く3人を前に俺の酔拳への道は閉ざされた。

 

…せめてその時の動きをトレース出来れば良いんだけども。

 

 

俺がどんな動きをしてたのか今度ネジに見せてもらおう。

 

 

 

後日、俺の願いに応えるために何とか再現しようとしてくれたネジの動きを見て思わず笑ってしまい、ちょっとした喧嘩になったんだが…それはまた別の話。

 






最初はヒナタとネジのコミュニケーション編にしようかと思ったんですがどうも上手く書けず、急遽書き直した物に成ります。

少しずつではありますが隙を見つけては書いているので楽しんで頂けたなら幸いです…




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