ロック・リー転生伝   作:六亭猪口杯

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拙作のリーは都合良い感じに記憶が飛んでいます。ご容赦下さいますと幸いです…



才能の兆し

 

 

「……ここは…?」

 

目が覚めると知らない場所に寝転がっていた。

重い身体を無理やり動かして周囲を確認するように見渡すと簡素なベッドにカーテンが引かれたレール、サイドテーブルに丸椅子が目に入ってくる。

 

…誰がどう見ても病院だな。

 

何でこんなところにいるんだろう、とまだ寝ぼけた状態の頭で記憶を辿る。

 

今日はアカデミーで組み手の実践があった。

その相手を日向ネジに頼んで…

 

「…あぁ、思い出した。」

 

最後の最後で拳を外してぶっ倒れたんだ。

…あれは勝ったと思ったんだけどなぁ。

 

最後の1発、あの時の感覚さえモノにできたなら。

 

「あの時の全能感…アレさえ常に維持できれば…!」

 

倒れる直前まで感じていた、思い通りに身体が動く感覚。

あの感覚を自由に使えるようになれれば日向が反応できない速度で殴る事も…

 

「バカな事を考えてるな?」

 

少し怒気を孕んだ声で我に帰る。

ギギギッと音が鳴りそうなくらい重い首を回すとそこには腕組みをしたガイ先生が立っていた。

 

「ガイ先生、どうしてここに?」

 

「お前が倒れたと聞いてな。急いで仕事を切り上げた」

 

淡々と喋るガイ先生は俺の様子を一通り確認するように見ると大きなため息を吐いた。

 

「お前には驚かされっぱなしだな、リー」

 

呆れたような、感心しているような。

呆れの方が強い様に思える口調で続けるガイ先生。

 

「いつの間に“表蓮華”を習得していたんだ?」

 

聞いてないぞ?と睨んでくる先生。

 

そんな事言われてもそんなお洒落ネームな技を使った覚えがない。

…もしかしてあれか?心当たりのあるモノを口に出す。

 

「鉄山靠…あの肩から入る体当たりの事ですか?」

 

鉄山靠…モドキはなんちゃって中国拳法を再現しようとして練習したものだ。

接近戦でならそれなりに効果が見込めるものの、ちゃんとした足場があるのが前提になっちゃってるので使い所が限られると判明してからはほぼ不意打ちにしか使わない技だ。

 

木の葉流に言い直すと名前が変わるタイプの技かも知れん、と聞いてみたものの。

 

「違う。…その様子じゃ知らずに使ったのか…」

 

末恐ろしいと言うか何というか…と額を押さえるガイ先生。

違うと言われてから記憶を漁っているが…それっぽいものが思い出せない。

 

どっかで名前を聞いた気がするんだけど…

 

表蓮華、表蓮華………あぁ、あのパイルドライバーか!?

包帯で相手を固めてから頭から叩き落とすプロレス技みたいな奴!

 

確か我愛羅に叩き込んでた…よな?

大分記憶が怪しいけど、多分そうだったはず。

 

いやまぁ、あんなん使った覚えがないんだけども。

今の身体能力じゃあんなに蹴り上げるの無理だし。

再現しようとしても変形型低空ジャーマンスープレックスにしかならないと思う。

 

「木の葉の里に伝わる秘術だ。…今は詳しく話せんが禁術の類でもある」

 

…アレが?パイルドライバーが影分身と同じ禁術(レベル)なの?

木の葉って術の認定基準が摩訶不思議だな。

 

訝しげな俺の様子に苦笑しながら

 

「そんな顔をするな。どの道お前にはちゃんと習得してもらう事になるだろう。今は火影様の了承待ちだ」

 

今回みたいに勝手に発動する様では危なっかしくて見てられん。と続けるガイ先生。

…イマイチ要領を得ない。記憶が飛んでるだけで実は勝手に表蓮華(パイルドライバー)をかましてたんだろうか?

まだ少しフワフワした頭で考えるが答えは出てこない。

まぁ強くなれるなら否やはないけれども。

 

「それについてはまた後で話すとしてだ…良くやったな、リー」

 

まさか日向ネジに挑むとは。と続ける先生。

 

「現状での差がどの程度なのか、知りたくなりまして」

 

少しは近づけたのか、はたまた遠ざかったのか。

結果は満足の行くものだったけど…倒れてしまっては本末転倒だ。

 

「ご心配おかけして申し訳ございません」

 

ベッドの上で頭を下げた。

それで先生に心配かけてしまったのは反省しなければならない。

俺はガイ先生の弟子なんだから。

 

「顔を上げろ、リー」

 

病室だからか小さめの、しかしよく通る何時もの声で叱咤される。

 

「今回の事は事故に近い。お前が謝る必要はない!」

 

寧ろ責められるなら俺だろう。と呟いて。

 

そんな事は無い、と言う前に続けて話し出す。

 

「弟子のできることを把握しきれていない、半人前の師匠だ」

 

自嘲する様に笑いながらそう言う先生に、思わず口に出してしまう。

 

「そんな事はありません!先生は立派な方です!」

 

 

忍術や幻術を使えない、半端者の俺を真剣に応援してくれたのは先生だけだ。

 

努力以外の取り柄が無い俺に手を差し伸べてくれたのは先生だけだ。

 

結果ではなく、ひたすらに積み上げ続けた修練を評価してくれたのも先生だけなんだ。

 

 

「だから…」

 

言葉に詰まった。何を言えば良いのか分からなくなったから。

…俺はこんなにも口下手だっただろうか。

もっと言えることはあるだろうに…!

 

「…そうか。そうだったのか」

 

静かにそう言うと、俺の肩に手を置く。

 

「すまなかった。もう二度と言わないと約束しよう」

 

自慢の弟子が胸を張って誇れる様に。

 

そう言って暑苦しい笑顔を見せてくる。

 

「笑え、リー!俺の弟子なら何時までもメソメソしていてはいかんぞ!」

 

「メソメソなんてしてませんよ!」

 

誰が泣くか!

 

「良し、その意気だ!」

 

そんな風に喧々諤々とやり合っていると。

 

 

「…病院内ですので、お静かにお願いしますね?」

 

 

やけに凄みのある看護師に怒られて2人してシュンとしてしまった。

その様子がおかしく感じられて少し笑いが漏れる。

 

「…怒られちゃいましたね」

 

「失念していたな…反省だ」

 

互いに顔を見合わせて静かに笑った。

 

 

「…さて、無事も確認できたことだしそろそろお暇させてもらうとしよう」

 

また明日様子を見に来る。

そう言うと病室を後にするガイ先生。

上忍だし、俺に構ってばっかりも居られないのだろう。

そんな中顔を出してくれた事に少し顔が緩んだ。

 

「恵まれてるな、俺は」

 

こうして心配されて、修行の面倒も見てもらえて。

強くなる道筋をつけてもらっているんだから。

 

期待に応えなければ。

先生の誇れる弟子であるために。

 

 

 

 

 

「もう大丈夫なのか?」

 

数日後、久々に教室に顔を出すと開口一番に日向からそう聞かれた。…意外と気にしてくれてたのか?

 

「医者が言うにはもう問題ないって。…今回の事はなんかの反動らしいから次は問題なくぶっ叩けると思うよ」

 

そのなにかについては今日の修行で説明してくれるっぽいし。

 

そう言うと日向はニヤリと笑いながら

 

「次は徹底的にやってやる」

 

本気で潰す、と言外に宣言された。

面白い。天才が俺に本気を出してくれるとは!

 

「それは楽しみだ」

 

思わず口角が上がる。

互いにバチバチと目線で火花を散らしていると。

 

「はーい、そこ席につけー」

 

いつの間にか教壇に上がった先生の言葉で其々の席に戻った。

授業はちゃんと受けとかないとな。

 

卒業まであと少しだし……んん?

俺って(原作では)どうやって下忍になったんだ?

例年通りなら卒業試験は分身の術辺りの()()だったはず…

 

不味い、全く覚えてない…!

 

思わず頭を抱えたくなる現実に直面して顔が青褪める。

 

「…リー?大丈夫か?」

 

横から日向が小声で確認してくる。

…なんのかんの言いながらいい人ではあるんだよな。

 

「大丈夫…ちょっと目眩がしただけ」

 

先のことを考えて、とは言わない。

…どうしたものか後でガイ先生に相談してみよう。

 

「本当にもう大丈夫だから」

 

「そうか…無理そうなら早退しろよ」

 

万全のお前でなければ意味がない、とそっぽを向く。

 

日向はあれから雰囲気が柔らかくなった…気がしなくもない。

少なくとも以前までの塵芥を見るような態度じゃなくなった。

 

これも青春ですかね?ガイ先生。

 

チラチラと確認する様に見てくる日向に笑いを堪えながら授業を終えた。

 

その後もちょくちょく見ていたようだが、特に問題なく授業に臨む姿を見て安心?したのか午後には普段通りの日向に戻っていたけど。

 

何はともあれ無事に一日の授業を受け終わると直ぐに荷物を纏めて教室を出る。

 

 

廊下を怒られない程度の速さで歩いていると

 

「おっと…!ゴメン、急いでて…」

 

「どこ見てんだってばよ!…あ、ゲジマユ!」

 

角で出会い頭にナルトとぶつかった。

…久々に会った気がする。まぁ別のクラスだから仕方ない事なんだけども。

 

「大丈夫?」

 

俺にぶつかって弾き飛ばされたナルトに手を伸ばす。

 

「へへん、こんなん大したことないってばよ」

 

直ぐに立ち上がって笑う。

相変わらず良く笑うなコイツ。

 

「それにしてもどんな身体してんだ?」

 

まるで岩にでも当たったかと思った…と呟くナルト。

不思議そうな顔に少し笑いながら

 

「鍛えてるからね」

 

その辺の大人とぶつかっても当たり負けしないと思う、と続けると目を輝かせて聞いてくる。

 

「すげぇ!どんな修行してんだゲジマユ!?」

 

…うーん、教えても良いものか。

 

ガイ先生との修行について、ぶっちゃけ個人的には言っても構わないんだけど、ナルトが想定以上に強くなっちゃった場合サスケと組めなくなるんじゃないかと言う懸念がある。

 

うちはサスケと上手いことやれるのはうずまきナルトだけだろうし。

 

少し悩んだ末に口を開いた。

 

「…地道に筋トレ、かな?」

 

毎日走ったり…と続けるとうへぇ…と舌を出すナルト。

まぁそういう反応になるよね。

 

「なぁんだ…すげぇ術とかそういうのじゃねーんだ…」

 

「残念ながらね」

 

基礎を固めてるだけだと知って少し落胆するナルトに苦笑しつつ。

 

「何事も基本が大事なんだよ」

 

だからこうしてアカデミーで学んでるんでしょ?と言うと。

 

「そりゃそうだけどさ…」

 

口を尖らせるナルトを見て思う。

 

ナルトの様にチャクラ量の暴力があればある程度の基礎は無視しても大丈夫だろうよ…影分身を3桁以上出せるならそれから基礎を固めても十分お釣りが返ってくる。

 

流石にそんな事口に出せないけれど。

 

「ま、何事も一歩ずつ進むしか無いって事だね」

 

俺にはそれしか無いからそうするだけだが。

才能の塊(ナルト)に多少嫉妬するのは仕方がない…でも羨んでるだけで終わる気もない。

努力でその差を埋めてみせる、と気持ちを新たにナルトとの会話を切り上げる。

 

じゃ、俺はもう行くから…と立ち去ろうとすると。

 

「おう!またなゲジマユー!」

 

…そう言えば名前、教えてなかったっけか?

 

「ロック・リーだよ、うずまきくん。まぁ好きに呼んでくれて構わないけれど」

 

そう呼ばれるのも悪くないし。

ロック・リー=ゲジマユなのはまぁ既定路線ではある。

そんな事を思っていると…

 

「!…リー!またなー!」

 

直ぐに訂正して手を振ってくるナルト。

性根が真っ直ぐな人だ。こりゃ皆好きになる訳だわ…

 

「またね、うずまきくん」

 

手を振り返して先を急ぐ。

 

あれだけ根明でコミュ強なんだから少し話してみれば友達なんていくらでも作れそうなもんだが…親世代が毛嫌いしてるこの里じゃ難しいのか。

 

いずれ報われると知っているけれど、何も出来ないのももどかしい。

 

…今考えてもしょうがない事だな。

頭を軽く振って思考を切り替える。

 

 

何はともあれ今日からようやく修行復帰だ。

今までの遅れを取り戻さなくては…!





ゴリゴリにハードルが跳ね上がっていて吐きそうですが投稿します。

私はNARUTOが好きですが設定なんかは結構なぁなぁで読んだライト層なので矛盾や目に余る点が散見されるかと思います。
特にチャクラの形態変化や性質変化、陰と陽あたりは曖昧に理解してるかな?程度のものです。
原作様との違いは『あーコイツ分かってねぇな』とスルーして頂けますと幸いです。

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