ロック・リー転生伝   作:六亭猪口杯

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表蓮華…八門遁甲に関する捏造がございます。
また、リーの才能に関しても下駄がありますのでご注意下さい。


木の葉の蓮華

 

 

修行場に到着した俺に対して、既に待っていたガイ先生は厳かに言う。

 

「今日は修行の前に表蓮華について説明しておく」

 

適当に座れ、と先生も切り株に腰掛けて座学の時間になった。

 

禁術を学ぶとあって少々緊張している俺に構う事なく続ける先生。

 

「木の葉の蓮華…表蓮華とは木の葉流体術の秘奥、八門の一・開門を開く事で使用する体術の総称だ」

 

八門遁甲!

あの時の全能感はリミッターが外れてたからか!

内心で納得と大事に至らなかった幸運を噛み締めていると、先生は地面に図を描きながら説明を続けてくれる。

 

「八門遁甲、即ち人体にはチャクラを制御する門の様なものが8ヶ所存在する」

 

右脳に開門(第一の門)、左脳に休門(第二)、胴体の上から順に生門(第三)傷門(第四)杜門(第五)景門(第六)驚門(第七)…心臓に死門(第八)

 

頭に2つ、中心に沿って5つ、心臓付近に1つ。

名前を言う度に印を付けられて行くそれは8つで止まる。

 

この簡易的な人体の絵に描かれた8つの丸がそれだと説明する先生。

 

「1つ開けるだけでも相当な力を得られるが…当然リスクも大きい」

 

頭にある2つを交互に指しながら。

 

「前回、お前が開けたのは一の門・開門と二の門・休門の2つだ」

 

もっとも、休門は中途半端だったようだが…1つ半程度の出力でもその脅威は分かっただろう?と問われた。

 

「はい…あの瞬間は身体が思う通りに動きました…最後は力みすぎたのか外してしまいましたけど。更にその後倒れてしまいましたが」

 

先生は重々しく頷くと

 

「火事場のバカ力を無理矢理引き出している様なものだからな…使用後の反動も相応だ」

 

六門も開けば俺でも暫くの間は動けなくなる。と続ける先生。

 

…さらっととんでもない事言ってないか?

俺は一〜二門だけだったとはいえ開いた後で鼻血出してぶっ倒れてるんですが…

俺の顔を見て苦笑しながら答えてくれた。

 

「俺とお前では身体の仕上がり方が違う。成長途中の子供と同じ様にはならん」

 

それはまぁ…そうなんだけれども。

あれ以上の反動に耐えられるくらいまで鍛え上げてるのか。

そりゃ後半で活躍する訳だ。

…少なくとも同じくらいまで鍛えないと話にならないってことでもあるんだけども。

 

目指す目標の高さに少し気が遠くなるがまだ始めたばかりだ。心が折れるにはまだ早すぎる。

気合いを入れ直した俺に満足そうに頷くと

 

「続けるぞ。仮に八門全てを開いたなら今のお前でも俺以上の力を得られる。…極短時間だがな」

 

反動は使用者の死だ。例外はない。そう告げる先生は何処か悲しそうに見えた。

 

「…先生でも、ですか?」

 

俺はその結果を知っている。

マダラとの戦いで死門まで開いたガイ先生の勇姿を。

…その結果、忍者としての生を絶たれた事も。

 

それでも確認しておきたかった。

現実になったこの世界なら、もしかしたら…

 

「俺でもだ」

 

死門の代償は死だと断言された。

絶対に使うな、と念押しされた様なものだ。

 

…最後まで使ったら死が確定する様な術を教えてくれようとしているんだから当たり前の話ではあるが。

 

第七(驚門)までなら、鍛えれば届きますか?」

 

「リー。お前は無意識に開いた反動で倒れたんだぞ」

 

質問した俺を窘める様に諭す先生。

 

…俺はまだそんな事を心配するレベルではない。

初歩で死にかけた俺が考えるにはまだ早すぎる事だ。

そんな浮ついた気持ちで禁術に手を出させる訳にはいかないと言う事だろう。

無意識に焦り始めていた自分に気づいて深呼吸を1つ。

 

 

「すみません…少し気が逸ってました」

 

「気付いたのなら良い。…大切なことだからな」

 

危険な術であると心得ているなら構わん…と話を続ける。

 

「とにかく一度開いてしまった以上、お前はその制御を学ばなければならないと火影様は判断された」

 

禁術を偶然とはいえ子供が発動させたという事実は上層部で軽い騒動になったみたいだが。と少し軽い口調で話す。

 

(表蓮華)でそうなるならナルト(多重影分身)の時はもっと凄いことになりそうだな。と場違いな事を考えそうになる頭を振って先生の話に集中する。

 

「当然だが完全に制御できるまでは()()()()()()使用を禁ずる。その条件での許可だと言うことを忘れるな」

 

真剣な表情で俺を見つめる先生。

 

「良いな?」

 

念を押すように。

 

「はい。…先生の許可が下りるまでは、ですね」

 

この世界でも無法な部類の術を伝授してくれるというのだ。

どんなリスクでも、無茶な条件でも飲もう。

俺にとっては喉から手が出る程に欲しい術だから。

 

ソレ(八門遁甲)は、格上に相対した時にどうしても埋められない力の差を埋められる数少ない手段だ。

 

そんな俺の目を見て覚悟を認めてくれたのか、静かに話し出す先生。

 

「…良いか、リー。これは本来ならもっと後…お前が成長してから教える予定だった術だ」

 

身体が出来上がり始めてようやくモノにできる可能性がある、そのレベルの術だ。

滔々と続ける先生の言葉を頭の中で反芻する。

 

先生の意図は分かる。

禁術指定される程の危険性がある術だ。当然今の俺では使いこなすことなんて夢のまた夢だろう。

 

それでも中忍試験までに最低でも杜門(5つ目)、出来るなら景門(6つ目)までリスクを無視して使えるレベルにならなくては話にならない。

 

…再度、覚悟を決めた。此処からが本番だ。

 

「螺旋丸の修行は一旦中止、暫くはこっちに専念してもらう。当然今までの修行とは比べ物にならない程厳しいものになるが…」

 

構わんな?と聞いてくる先生に。

 

「はい!お願いします!」

 

深々と頭を下げた。

 

「その意気や良し!」

 

早速始めるぞ!と意気込んでみたものの…

 

 

 

「先生…!これを閉じる、コツはありますか!?」

 

開門を開ける…リミッターを外すのは比較的直ぐに出来た。というか出来てしまった。

 

一度外していると言うのもあるだろうし、感覚的に外せると思っていた部分もあったからだろう。

 

だが案の定、外した箍を嵌め直す…止める術の方は難易度が桁違いだった。

 

溢れ出るチャクラを押さえ込むので精一杯で蓋をするどころの話ではない…まるでバルブが壊れた水道管にコルク栓を嵌めようとしているみたいだ…!

 

「チャクラを押さえ込むのではなく道筋を作って逸らすんだ!」

 

拳でも足でも良い、一瞬の空白を作って閉じろ!

 

先生はいざという時の封印術を構えながらそう続けるが…

 

これは…ちょっと想像以上だぞ…!?

自分の身体から溢れ出る力を制御しきれないなんてとんだ道化だな俺は!

 

そうして少しの間自分のチャクラと格闘していると。

 

「…そこまで!」

 

ガイ先生が飛び込んで俺に封印術を施す。

身体の内から溢れ出ていたチャクラの奔流が収まった。

 

「すみません、ガイ先生…」

 

深々と頭を下げる。

 

「1回で出来るようになっていたらそっちの方がおかしいんだ。気にするな!」

 

しかしまぁ…とマジマジと俺を見て

 

「開く方は驚くほどすんなり出来たな?」

 

それは想定外だった。と感心した様子の先生に答える。

 

「…感覚的に出来る、と感じました」

 

内側から開こうとする扉を開ける様なものだから閂を外すだけで良い。

 

そんな曖昧なイメージを伝えると。

 

「…成る程、では閉める時はどうイメージしているんだ?」

 

閉める時…

 

「…内側から溢れる流れに逆らって力技で閉める、ですかね」

 

途中からは流れる方向を逸らそうとしてみましたが…と続けると。

 

「そうか、では先にイメージしてみるとしよう!」

 

俺の場合はチャクラを誘導してカウンターを入れるイメージだ。

と、自分の例を教えてくれた後に問いかけられる。

 

さっきのを踏まえてどうすれば良いと思う?と。

 

…答える前に少し考えてみる。

 

 

内側から開き続ける扉を閉めるにはどうするか?

 

力技ではダメだ。さっき失敗している。

 

原因(チャクラ)を根本から絶てるか…?それが出来れば苦労はないがその時には俺は死んでいるだろう。これは無しだ。

 

では先生が言っていた流れを一度逸らす方向ではどうか?…これも難しい。

チャクラコントロールには慣れてきたつもりだったがいつもの倍以上の量は制御しきれない。

 

……制御しなければ良いのか。

抑えようとしているから上手く流れを作れていないんだ。

要は閉められれば良いわけだから、両開きの扉を片方ずつ閉めるイメージで…

 

「…半分ずつなら…同時じゃなければいける、か…?」

 

これはただのイメージだが。

両開きの扉を閉じるのに両方同時にやろうとしていたのがさっきのやり方だ。

それを片方ずつ、負荷を片側に寄せて順番に行えたなら。

 

 

「…何か思いついたか?」

 

俺の顔を見て察したのか再度問いかけてくる先生。

 

「はい。…試してみても良いですか?」

 

出来るかは分かりませんが…と答えると。

 

「良し、やってみろ!」

 

と再び封印術を準備する先生を前に集中する。

 

 

「……いきます!」

 

 

開門・開!

 

身体からチャクラが溢れ出す。

目に見える変化があるわけでは無いが体内を通るチャクラの量が跳ね上がった。

 

「この、流れを…!」

 

左半身に寄せる!

少しずつ、左側に多く流れ始めるチャクラ。

さっきまでは更に細分化させようと制御していたが…

 

「そんでもって…!」

 

言う事を聞かないならそのまま流れ続けてろ!

その間に右側の手薄になったチャクラの流れを止める!

 

右半身に流れるチャクラ量が通常時と同じになった…!

 

「良し!…この、ままぁ…!」

 

左側に流れるチャクラの奔流を右側に寄せる。

…少しずつだけど弱くなってるな!

 

閉めた右側の扉にぶち当たる水をイメージする。

ゆっくりと、確実に弱くなるチャクラの流れ。

 

「閉まれぇ!」

 

最後は力技で扉を閉めた。

 

身体を流れるチャクラ量が格段に下がった。

…何とか、なったか?

 

 

「良いぞリー!良くやった!!」

 

ガシッと抱きしめられたと思ったら更に力強く締められた。

 

「まさか2度目で止められるとは!お前にはこの方面でも才能があるぞ!」

 

まるで自分の事のように喜ぶ先生。

 

「ありがとうございます…って苦しいです先生っ!」

 

締まってる!とタップすると離してくれたが。

 

「すまんすまん!感極まって…!」

 

滂沱の涙を流すガイ先生。

そこまで喜んでくれるとは…

 

「とにかくだ!閉じる感覚は分かったな?」

 

「はい!…まだ時間は掛かりますが」

 

ふと時計を見ると一分以上掛かっていたのが分かった。

これではまだまだ実戦には使えない。

 

「それは慣れるしかないな…なに、一度やり方を掴んでしまえばそう時間は掛からんさ!」

 

ハッハッハッ!と笑う。

 

「でも今日はここまでだ!2回の発動でチャクラも限界だろう?」

 

そう言われてみれば体内に感じるチャクラが何時もより少ない事に気づく。…そんな事にも気づけないくらい俺もハイになってたんだな。

 

「えぇ、疲れました…」

 

手に力が入らないレベルの虚脱感が襲ってるけれど…()()()()()

 

正規の手順を踏んで発動したからか、開門のみだったからかは定かではないがこの前の無意識での発動後に比べれば雲泥の差だ。

 

手応えを感じて力の入らない拳を握りしめる俺に

 

「…では解散!続きはまた明日だ!」

 

俺は少し野暮用がある!とサムズアップをする先生に対して。

 

「はい!ありがとうございました!」

 

俺も少し震える手でサムズアップを返す。

やっぱ恥ずかしいな、これ…

 

驚く先生を背に修行場を後にした。

 

その時の俺は若干浮かれていたのもあるだろう。

 

なにせこれが初めて俺が挑戦して直ぐに出来た(もの)だったから。

 

才能がないと言われていたがそんな事は無いのだと。

少なくとも表蓮華に関しては人並みの才能が有ったんだと。

 

だからだろうか…ふと、脳裏に過ぎる影に思わず声が漏れた。

 

「彼も、こんな感じだったんだろうか…?」

 

体術の才を伸ばせるだけ伸ばして挑んだ中忍試験での活躍。

まだ下忍ながら第五の門まで八門遁甲を使用出来る努力の天才。

ロック・リー本人なら…

 

感傷を振り払う様に頭を振って歩き出す。

 

どうしたって考えちゃうものだな…

今までは修行漬けで疲れ果てていたから余計な考えが浮かぶ余地がなかったけれど。

 

思っていた以上にセンチメンタルな自分に苦笑が漏れる。

 

どっちにしろ、今此処に居るのは俺なんだ。

比較対象にもしもの自分を上げてもしょうがない。

 

「できる事をコツコツとやって行くしかないんだから」

 

少なくとも今日は一歩前進したんだし。

諦めずに鍛え続ければきっと。

あの綺羅星の如き天才達と肩を並べられるはずなんだ。

 

 

そう信じて進み続けるしか俺に道は無い。

 





禁術指定の八門遁甲・開門の習得回です。

リミッター解除系の鬼門は制御よりも安全に停止出来るかどうかだと思うんですよね…この後は停止までの時間短縮と開門時限定体術の修行に入っていったと思います。

この話を書くにあたって読み直していたら下忍の時点で5つ目まで開けるリーってかなり早熟だったんですね…
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