ロック・リー転生伝   作:六亭猪口杯

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ゴリゴリの捏造が入ります。ご注意下さい。




歪な才能

 

 

サムズアップして走り去ったリーを見送った後。

慣れない事をしてしまうほど嬉しかったのだろうなぁ…としみじみ思っていると俺の背後に音も無く降り立った男が話しかけてくる。

 

「…俺は野暮用か?」

 

僅かに不満がにじみ出ている声に思わず苦笑しながら答えた。

 

「すまん、他に良い言い方を思いつかなかった!」

 

これは俺が悪い!と謝罪した後に問いかける。

 

「それで、どうだった?」

 

「どうもこうもまだ子供じゃないか」

 

呆れた様な声で片目を木の葉印の額当てで覆った白髪の忍…はたけカカシが答える。

 

「表蓮華だけとは言えあの歳の子供に八門遁甲は早すぎる…と思ってたんだが」

 

まぁ普通はそう思うだろう。本来ならもっと身体を仕上げてから教える予定だった術だ。

 

でもあれを見せられちゃあね…とリーが去っていった方を見ていたカカシが続ける。

 

「才能の多寡でいえば下の下、良く言って下の中と言った所だろうが…八門遁甲に限れば話が変わる」

 

()()()()()()()()()

 

そう呟くカカシ。

 

 

特化型。

 

あくまで便宜上そう呼んでいるだけだが…ある特定の術にのみ対応するチャクラを性質変化させるのに()()()()()()()忍をそう呼称する事がある。

 

過去には火遁に特化した者や風遁に特化した者が居た。

要は少し珍しいチャクラ特性を持って生まれた突然変異の様なモノだ。

 

血継限界や感知タイプとの違いはチャクラを変性させる型が最初から決まっているため得意な術の覚えは格段に早いが…チャクラの性質を変更する事がほぼ不可能なため得意な術以外の忍術は使()()()()()()()()()

 

メリットよりもデメリットの方が大きい特異体質だ。

 

 

重いため息を吐きながら確認を取る。

 

「やはり()()見えるか?」

 

「ちゃんと調べないと何とも言えないが…少なくとも、あの子は八門を開ける(リミッターを解除する)事に限れば天才と言って良い」

 

歪な才能の持ち主だ。と続けたカカシの顔は見えないものの、何処か同情の滲む声だった。

 

無理もない…それが意味するのは()()()()()()()()()()()()という事なのだから。

 

「…お前が見てもそう感じる、か」

 

もともとは螺旋丸の習得を手伝ってもらう為に捻出してもらった時間はリーが開門を解き放った事で白紙に戻ってしまった。

 

だから今回の事を火影経由で知ったカカシが監視、いざという時の後詰めを申し出てくれたのは棚から牡丹餅の様なものだったんだが…まさかこんな結果になるとはな。

 

「この為に俺を呼ぼうとしてたのか?」

 

据わった目で睨みつけられる。

…最初から八門遁甲のために時間を作って貰おうとしてたと思われてるな?

 

「いや、本来はこれじゃなくて別件で頼みが有ったんだ!」

 

慌てて説明すると取り敢えず聞いてくれるのか先を促すように視線を向けてくる。

 

「四代目の術に独学で至ろうとしていたからな。詳しい部分が不明瞭だからその手伝いを頼もうと…」

 

そこまで話した辺りで雰囲気が変わったのを感じた。

 

「四代目の…?」

 

呟くように聞き返すカカシ。

先程までも真剣だったが今はそれ以上だな。…無理もないが。

 

「螺旋丸…高等忍術の1つであるあの技術の極みに挑戦している最中だ」

 

今は表蓮華に専念させてはいるが…と続ける途中で割って入る声。

 

「どの程度使えるんだ?」

 

「チャクラコントロール自体はまだまだ未熟だが…それでも完成形が朧気に見える程度には」

 

そう告げるとカカシは一度大きく息を吸って、吐いた。

ただ感心している…って訳じゃなさそうだな。

 

「…あの子、なんて名前だったっけ?」

 

「ロック・リー。今は孤児だそうだ」

 

先の戦争で両親を亡くしている。

物心がつく前の事で…何かを託されているとも考えにくい。

 

「そんな子があの歳で螺旋丸に行き着く道筋を立てたっていうのか…」

 

信じ難い、と胡乱げな目を向けて来るカカシ。

 

「まだお前が教えたって方が説得力があるよ」

 

「おいおい、それをお前が言うのか?」

 

齢10かそこらで新術の開発に着手していたはたけカカシの言葉とは思えないな、と言い返すと。

 

「俺とあの子じゃ地力(ベース)が違う。…あれじゃ碌に忍術も使えないだろうに」

 

当然のことだが忍術を使用することに不便を感じたことのないカカシとそもそも忍術を使えないリーとではスタートから違う。

 

「だからこそ、だろう」

 

他の子が当たり前に使えるモノを自分は使えない。

それが努力でどうにかなる問題では無いと知った時、リーはどう思ったんだろうか?

 

普通なら絶望し、忍の道を諦めるだろう。

でもアイツはそうしなかった。

 

茨の道だとしてもあがき続ける事を選んだんだ。

自分に出来る事を磨き続けて。

他の者たちに追い縋り、追い抜くための方法を探し続けている。

 

そう話を結ぶと、カカシは訝しげに聞いてくる。

 

「その結果が螺旋丸の原型になったって?」

 

確かに螺旋丸はチャクラさえ操れれば誰にでも使える可能性がある形態変化系統の術だ。…普通にそれ以外の忍術を学んだ方が効率が良いから流行らなかった変態技術ってだけで。

 

それを良く知っているカカシは疑問を浮かべた顔をしている。

 

「あぁ。本人はチャクラコントロールの一環だと言っていたが」

 

あの不器用なリーが曲がりなりにも形を成すまでに磨き上げた技術。一体どれほどの修練の果てに辿り着いたのか…

 

「ただの偶然って線は?」

 

当然そう思うだろう。でもな…

 

「俺でも分かるくらいだ…お前なら一目瞭然だろう」

 

それにチャクラのコントロールを磨くならもっと他にやり方がある。

それこそアカデミー生が閲覧できる書籍にも載っている様なものが。

それでもあの形にこだわる理由があるならば。

 

「あれはリーが自分なりに忍術を模索した結果だ」

 

印を結んでも発動しないなら。

印を必要としない術を作れば良いと考えたんだろう。

 

お前なら掌で回すチャクラの塊を見れば絶対に気付く。

アレが単なるチャクラコントロールの修練ではなく、攻撃用の忍術の修行だという事に。

 

 

遠距離戦を捨てて至近距離戦闘に特化させたそれは、自身の適性を考えた末に体術と絡めて直接叩き込めば良い。と決めた結果だ。

 

 

その潔さが、選んだ道を迷わずに進み続けて自分の選択と心中する覚悟が、螺旋丸に至るための細い道筋を選ばせたんだろう。

 

「それにアイツは不器用ではあるが…試行回数では他の追随を許さないぞ?」

 

恐らく今のアカデミー生でリーに勝る練習量の者は居ない。と冗談混じりに言うと。

 

「そうか…ま、実際に確認してみてからだな」

 

あの子がねぇ…とまだ少し疑問の残る声だったが。

俺の顔を見て真剣だと気づいたのか声色が真剣なものへと戻る。

 

「どちらにせよ表蓮華の修行が終わってから、だな?」

 

「あぁ。それが三代目の出した条件だからな」

 

 

『完璧に制御出来るようになるまで他の修行を禁ずる』

 

 

許可を得た際に言われた言葉を思い出す。

…三代目、思ったより早く終わりそうですよ。

心の内で三代目の言葉に返答する。

 

あの調子だと開門だけなら一週間もあれば自在に操作出来るようになるだろう。…反動の大きさを考えるとまだ使用は厳禁だが。

 

それでも発動後に自分で止まれるかどうかは術者の生死に直結する。

いずれ来るであろう解禁の日に向けて修行させるに越したことはない。

 

そんな事を考えているとふいにカカシが忠告してくる。

 

「…ガイ、言うまでもない事だが…ちゃんと面倒見てやれよ?」

 

あれは放っておくと勝手に死にかけるタイプだ。そう告げてカカシは日の沈んだ里へと消えた。

 

「…当然だ」

 

俺はあの子の師匠だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へブシッ…!風邪でも引いたかな…」

 

すっかり暗くなった里の道を歩いていると急に寒気が襲って来た。

最近めっきり寒くなってきたからなぁ…

 

「あ…!おーい、リー!何してんだってばよ!」

 

声のする方を向くとそこには満面の笑みを浮かべたナルトが立っていた。

 

「修行が終わって帰るとこ。…うずまきくんは?」

 

「ヘヘッ!俺も同じだってばよ!」

 

ナルトが修行?…忍術の練習だろうか?

 

「もう卒業試験も近いしね?」

 

「あー!思い出したくなかったのに!」

 

おっと、違ったか。

ごめんごめん、と謝りながら同じ方向に歩き出すナルトと歩幅を合わせて歩き出す。

 

「…リーはさ、自信あんの?」

 

自信、か。

例年通りの内容だとしたら間違いなく無理だな。

というか先生にどうしたら良いか相談するの忘れてたわ…

 

「全く。俺は忍術が使えないから」

 

そう言うと少し表情が明るくなった後、難しそうな顔をするナルト。

…大方、仲間ができて嬉しいけど喜ぶのは失礼だと思ってんだろうなぁ。

 

少しの間表情をグルグルさせていたナルトが提案してきた。

 

「じゃあさじゃあさ!一緒に修行しねぇ?」

 

ワクワクとした顔で聞いてくるナルトに、どう返したものか悩む。

今の俺に無駄な忍術の修行をしている暇はないんだよな…

 

うーん…ま、良いか。本当の事を言っちまおう。

 

「ゴメン、俺には適性が無いから術を発動する事ができないんだ」

 

だからいくら頑張っても忍術で卒業するのは無理。

 

そう言うと衝撃を受けた様な表情で固まるナルト。

あー、まぁ…そう言う顔になるよね。

 

「えっ…と、それじゃどうするんだってばよ?」

 

「そこが問題なんだよね。…一応先生に聞いてみるけど」

 

ダメなら留年かなぁ…と続けると。

 

「きっと大丈夫だってばさ!先生もちゃんと話せばわかってくれるってばよ!」

 

励ます様に肩を叩いてくる。

…まぁ原作でも卒業してたし、多分なんとかなるとは思うんだけども。

その気遣いはとても嬉しいものだった。

 

「ありがとう。そう言ううずまきくんは…」

 

試験は大丈夫なの?と聞く前に。

 

「ナルトで良いってばよ!その、なんていうかさ…」

 

ゴニョゴニョと聞き取れない言葉で呟くナルトを横目で見ながら歩く。

うん、まぁ言いにくいとは思ってたし、そう呼んで良いなら喜んでそうさせて貰う。

 

「わかった。それで、ナルトくんはどうなの?受かりそう?」

 

早速名前で呼ぶと呟くのを止めて顔を上げたナルトが何処か嬉しそうな顔で答えてくれる。…別に呼ばれ慣れてるだろうに変な子だな。

 

「全然!…まぁ修行すればどうって事ないけどさ!」

 

凄い自信だ…根拠も無いだろうに言い切れるメンタルが強さの秘訣か?

 

「それは重畳。互いに卒業できたら良いね」

 

多分、ナルトは来年の合格で下忍になるから一年遅れになると思うけど。

その努力を応援するくらいは許される…よな?

と内心で複雑な思いをしながら言うと。

 

「そん時はライバルだな!」

 

負けねぇぞ!と元気よく拳を突き出す。

その枠(ライバル)は俺じゃないと思うよ…と遠慮気味に出した拳がぶつかった。

互いに目が合って自然と笑いが溢れる。…いや、コレ俺の役割じゃねぇな?

 

我に返った俺が拳を引っ込めると同時にナルトから質問が飛んできた。

 

「…そうだ、夕飯はもう食った?」

 

「いや、帰ってから…偶には外食でも良いか」

 

話してる最中でラーメン屋が目に入った。

まぁ偶にはラーメンで済ませちゃっても良いだろ。

 

「じゃ、行こうぜ!」

 

「…ん?あ、おう!?」

 

いきなり手を引かれて驚きの声が出る。

八門遁甲の反動が抜けきれてない今の俺じゃ踏ん張りが利かない…!

無様に引っ張られながらラーメン屋・一楽へと入店するのだった。

 

結局美味しくラーメンを頂いて解散した訳だけども。

まさかガイ先生以外と一緒に飯を食う日が来るとは思わなかったわ…

 

久しぶりに自身の成長以外で楽しいと思えた一時だった。

先生とラーメン食べた時はそれどころじゃなかったからなぁ…

また今度一緒に来てもらえないか頼んでみても良いかもしれない。

 

…ある程度修行が形になってから、だけど。

 





八門の開閉が得意です!とかいう割とどうしようもない才能を差し込みました。

チャクラの形質変化はカブトのチャクラメスや一点集中の綱手パンチが基本的なもので、性質変化は火遁や風遁などの属性への変更だと解釈しております。後からでも鍛えられると記述があったので印(変換用回路)さえしっかり作れれば通常は使えるモノとさせて下さい…
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