とあるギンガのPartiality INNOCENT   作:瑠和

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三年ぶりです。最近小説を書くことがめっきりなく、イノセントもサービス終了し、この小説は打ち止めになっていましたが新たに投下された魔法少女リリカルなのはDetonationという着火剤が筆を勧めてくれました。そしてあくまでもアキラとギンガの恋愛をベースに進めていけたらなと思ってます。


第六話 旅先

ー夜0時ー

 

 

 

七緒達がきた日の夜、アキラは屋根の上のテントを畳み、旅に出る準備を整えていた。すると、ギンガが屋根に上がってきた。

 

「ん?」

 

「あ、あの…アキラさん……また旅ですか?」

 

「…………ああ。いつ戻るかはわからんが………お前は早く寝ろ」

 

それを聞いてギンガは少し残念そうな表情をする。

 

「明日からGWですからちょっと夜ふかしです………それよりアキラさん」

 

「?」

 

ギンガは少し考え、首を横に振って何かを決意したような表情でアキラに向かって叫んだ。

 

「ちょっとそこで待っててください!!」

 

ギンガは急いで梯子をかけ降りてベランダから家に入った。アキラは塀に腰をかけながら言われた通り待つことに。それから20分後、勢いよく玄関の扉が開いた。そこには寝間着から着替え、やたらと大きなバッグを肩にかけたギンガが現れる。

 

「なんだそれ」

 

「一緒に行かせてくれませんか?母さんには事前に許可とってあるので!」

 

「…」

 

アキラは少し考えたがすぐに首を縦に降った。

 

「別に構わんが、基本野宿だぞ?」

 

「大丈夫です、ストライクアーツの訓練だと思えば」

 

「GW中に帰らなきゃ行けないわけか…まぁいいや。行くんなら行こうぜ」

 

「はいっ!」

 

二人は大荷物を抱えながらまだ暗い道の中、歩き始めた。

 

アキラは特に目的もなく歩く。旅先はいつも適当だが、ちゃんと帰り道は覚えている。だからいつでも戻ってこれるのだ。中島家に。帰るべき場所に………………。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

さて、しばらく歩くとギンガは気になっていたことを尋ねようとした。

 

「アキラさん…」

 

「さっきのことか?だったら話す気はねぇぞ」

 

ギンガが聞く前にアキラはもう何の質問が来るかはわかっていたようだ。先ほど、ウィードがいた時につい見せてしまった、自分の本性のような部分。表情。

 

嫌われないために、勘付かれないように気を配っていたが、流石にあの時はそんな気配りなどできないくらい追い詰められていた。

 

「だいたいのことはクイントさんに聞いた。ノーヴェのお医者さん何だってな」

 

「はい、母さんから聞いたとは思いますが……小さい頃ノーヴェは病気がちで………今は元気ですけど、まだ意外と身体弱くって…」

 

「みたいだな」

 

アキラは基本的に歩いてる時や作業中などの場合は相手を見ずに話すが、ギンガは例え目が合わなくてもしっかりアキラの方を見て話していた。そのまっすぐな瞳が、少しアキラを揺らがせた。

 

「……………俺は………ある場所…には絶対に戻らないって決めてんだ。ウィードはそこと関わりがある」

 

「え……そう………なんですか」

 

「今言えるのはそれだけだ。行くぞ」

 

「あぁ!待ってください!」

 

ちょっと照れ臭くなったのか、アキラは少し歩速をあげた。足の長さが違うギンガは慌ててそれを追いかけて行った。それから、アキラたちは終電の電車に乗り、いくつか駅を移動することにした。

 

「移動は電車なんですね」

 

「ああ、速いし、楽だし、歩きよりか全然マシさ」

 

「そうで……ふあぁ……あ!」

 

アキラの前で大きなあくびをしてしまったギンガは慌てて口を塞ぐ。そして、恥ずかしさで赤くなりつつある顔でアキラをみると、アキラは特に驚いた表情も見せず、自身の肩に頭を寄りかからせてくれた。

 

「考えてみたら寝てねぇもんな。俺は大丈夫だから寝てていいぜ」

 

「すいません………ありがとうございます…………」

 

言葉に甘え、ギンガはアキラの肩に寄りかかり、眠りについた。疲れていたギンガはすぐに眠ってしまい、ノンレム睡眠に入る。彼女は、その時、夢をみた。ここではない、別の次元の自分の夢を………。

 

『アキラ君!!!!』

 

『……………』

 

『誰でもいい………何でもいい!私にチャンスを!!!!』

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

ー朝8時ー

 

 

「……………ついたか」

 

アキラは改札を通り、近くのベンチで荷物を下ろした。ギンガもベンチに寝かせる。

 

「…ふぅ……」

 

普段だと少しかっこよさというか、凛々しさが混じるギンガの表情だが寝ている時は無防備で、可愛い顔だった。少し喉が渇いたのと小腹が空いたので、アキラは近くのコンビニに向かおうとしたとき、ギンガが小さく動いた。

 

「ん…?あれ、私寝ちゃって…」

 

「起きたか」

 

「ここは…」

 

寝ぼけ眼で回りを見渡す。視界に入るのは、海鳴市でよくみるビルやマンション等ではなく、山、田んぼ、ただの案山子ですな。駅をみると錆びれた単線の駅。

 

「…どこですか?」

 

「しらね、どっかの田舎」

 

アキラの応答に、ギンガは顔を青ざめる。

 

「か、帰れるんですか?」

 

「心配ない。俺を信じろ」

 

若干の不安はあるにせよ、今までちゃんとアキラは帰って来ている…。だが、不安だ。

 

「さ、行くぞ。いつまでもここにいるのはデータ収集が…………あ、何でもない。いくぞ」

 

「はい………」

 

(………ど田舎で目覚めたから驚いて忘れかけちゃったけど……さっきまで見てた夢って、……)

 

「………?」

 

(ギンガのやつ…どうしたんだ?なんか様子が変だが………旅先が田舎でつまんなかったのか?年頃の女の子だもんな………都内に憧れるんかなぁ………)

 

とまぁアキラはとんだ見当違いのことを考えながら、いつものサバイバルの道具を準備した。どこを旅するかによって変わるが、大抵同じだ。だが、今回は食べ盛りのギンガがいる。食料は少し多めに持ってきて置いた。

 

「そういえば、どんなところに野宿するんですか?」

 

「ああ、山んなか」

 

「山…………」

 

 

 

ー山中ー

 

 

 

アキラについてきたギンガは軽く後悔していた。どこに行こうと別にどうでも良かったが、まさか山を登らさせらるとは思ってなかったからだ。まぁトレーニングの一環と思えば悪くはないのだが、思ってたのとは違かったのだ。ちなみに、ギンガの思ってたのとはアキラと二人でデートと言ったものだった。

 

「たまには自然と触れ合うのも悪かねぇだろ」

 

「そうですね…………」

 

結構体力に自身のあるギンガだが、中々この山の坂はきつかった。アキラの後を何とかついて行くので精一杯だ。それに比べ、アキラは大量の食料と荷物を持っているに関わらず、坂をどんどん登って行く。

 

「この山は今までよりかキツイな、ギンガ、大丈夫か?」

 

「はぁ、はぁ、はい、まだなんとか……」

 

言葉を続けようとした瞬間、ギンガのお腹がなる。ギンガは慌ててお腹を押さえるが、音は止まらない。一気に赤くなる。朝、電車であくびをした時以上に赤くなった。恥ずかしさに耐えきれなくなり、ギンガがしゃがみ込むとアキラは腕時計を見る。

 

「まだちぃと早いが…………昼飯にすっか?」

 

ギンガはかるく頷いた。

 

 

ー岩場ー

 

 

二人は周りの景色が見れる岩場まで来た。壮大な山、田んぼ、空。山を超えた先に、大きなビルが見える。意外と海鳴からは近いのだろうか……。そんなことを考えていると、アキラからおにぎりが手渡された。

 

「ほれ。俺が握ったやつだが………食うか?一応コンビニで買ったのも……」

 

「あ、いえ、いただきます」

 

ギンガは普通のより二倍程大きいおにぎりを受けとる。コンビニのおにぎりが小さく見えるレベルだ。

 

「大きいですね」

 

「ああ」

 

「はんっ…………おいしいです♪」

 

「そっか」

 

二人の楽しい昼食中、ギンガがふと近くの茂みを見ると、葉っぱに妙な四角いものがついているのに気づく。

 

「?」

 

それに触ろうとすると、四角いものは不自然に葉っぱの一部となった。

 

「???」

 

「どした?ギンガ」

 

「い…………いえ」

 

昼食を食べてから、二人は山を再び登り始めた。だが、その先でも不可解なことは起きた。

 

「アキラさん…」

 

「んあ?」

 

「あれ…」

 

ギンガが指差した先には木にくっついているカブトムシ。

 

「カブトムシがどうかしたか?」

 

「あれ、アトラスオオカブトです…日本にいるはずないのに…どうして………。そもそもいまの季節はカブトムシはいないはずなのに…」

 

「…まぁ、なにかしら理由があるんだろ」

 

アキラは気にせずそのまま進む。さらにその後も不可解なことが続いた。

 

風邪もないのに揺れる草木、海もないのに聞こえる波の音、季節外れの果物のなった木…etc。

 

アキラはそれらに関してすべて「気のせいだ」「たまたまだ」と返すだけ。ギンガはだんだん自分が夢の中にいるんじゃないかと思い始めてきた。

 

そして極めつけは…。

 

「きゃぁぁ!」

 

ギンガが悲鳴を上げてアキラに飛び付いた。

 

「どわっ!どうした!?」

 

「木が…」

 

「木?」

 

アキラが後ろを見ると、木が一つ、荒ぶっていた。振動したり上下左右に動きまくっている。それどころか空も荒ぶり始め、周りの景色がどんどんノイズまみれになって行く。

 

「あー…」

 

アキラはなにか諦めた表情をする。

 

「これは夢なんでしょーか…」

 

「いんや……………グランツさん!流石に誤魔化しきれねぇ!終了だ!」

 

『んーやっぱりまだ安定しないなぁ…』

 

「え?え?」

 

どこからともなく声がした。ギンガが戸惑っていると、突然風景が真っ暗になった。そして世界がバラバラになり、空いた空間から本来の世界が見えてくる

 

「!」

 

ギンガが目にしたのは田舎の山等の風景ではなく、何処かの施設。立っていたのは山の中ではなく何かの機械の上。窓がないのをみると地下だろうか。そんなことを考えているとどこからともなく女性の声がする。

 

「お疲れ様です。アキラさん」

 

「ああ………やっぱまだ調整が必要そうだな」

 

声の主は赤い髪の三つ編みの女性。アミティエだが、ギンガははじめましてなので名前を知っているわけがない。というかここが何処かすらわかっていない。ギンガが一体何が起きているのかアキラに尋ねようとしたその時、アキラたちが乗っている機械が煙を上げ始めた。

 

「え…」

 

「あ」

 

アキラは慌ててギンガとアミタを脇に抱え、部屋を飛び出した。その直後、機械が爆発する。アキラは爆風に軽く吹っ飛ばされながら部屋の外に飛び出した。

 

「はぁ………相変わらずだなあの人の研究は…」

 

「あははすいません………あとで強く言っておきます」

 

しばらく呆然としていたギンガだったが、少し経ってようやくアキラに聞いた。

 

「アキラさん!?ここは一体なんですか!?いまの世界って………ていうかあなた誰です!?」

 

「まぁ落ち着け。順を追って説明するからよ………」

 

 

ー事情説明ー

 

 

アキラはいつも通り旅に出ようとしたがギンガがついてきたため、安全面を考慮した旅をどうしようかと思っていた。そしてグランツ研究所のバイトを休むことを伝えようとした時事情を話したところ

 

「なら今作っているシュミレーターで山に行ってみないかい!?そのギンガちゃんへのサプライズに」

 

との提案。もしシュミレーターが故障してもフローリアン家のというか研究所の空き部屋に泊まらせてくれるとのことでアキラはバイトも兼ねられると承諾した。

 

 

「だからここに……」

 

「悪かったな、驚かせて」

 

「いえ…………いいんです。アキラさんと一緒に冒険できなかったのは少し残念ですが、こういうのも楽しいです♪」

 

「私はこの家の長女、アミティエ・フローリアンです。アキラさんには庭師としてのお手伝いとこのゲームの研究及び実験のお手伝いのバイトをしてもらっています」

 

「そうなんですか……というかよかったんでしょうか…私みたいな部外者が入ってきて来て……」

 

ギンガは知らなかったアキラの一面を知れて嬉しかったが、いつもこの女性と会っていたと思うと、何となく胸に引っかかるものがあった。なんとなく不機嫌になっていた時またどこからか声がした。

 

「おい!なんの騒ぎだ」

 

「え?」

 

バタバタと少女が駆けてくる。黒と白の短髪の少女。

 

「あ、ディアーチェ。皆さん。すいません」

 

「よう、ディアーチェ」

 

「なんだ、またうぬか。ん?そこの少女は?」

 

やってきた少女はディアーチェ、シュテル、レヴィという名前の三人だった。ディアーチェはギンガを見付けると部外者が入ってきたんじゃないかと思い、ギンガにずいっと詰め寄る。

 

「あ…あのぅ…私は」

 

「俺の…身内みたいなもんだ。グランツさんにはちゃんと許可取ってる」

 

「む、客人であったか失礼した」

 

ディアーチェはコロッと態度を変える。

 

「ディアーチェ、今日からGWの間ウチに泊まるお客さんです。ちょっとシュミレーターの実験に付き合ってもらってました……まぁ、爆発しましたが…。これからディアーチェ達にも知らせようと思って」

 

「ならそうと先に言え。ちょうど我の作ったクッキーが焼きあがったところだ。皆を集めるとしよう」

 

ギンガが状況をほとんど呑み込めず困惑している間に話は勝手に進み、居間に移動することになった。

 

 

 

続く

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