Nec Plus Ultra,   作:ひがしち

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第14話 騎馬戦

『序盤の展開から誰が予想できた!?今綺麗な着地を決めて一番にスタジアムへ還ってきたその男─────』

 

『───緑谷出久の存在をッ!!!』

 

 

 

☆★☆

 

 

 

……はい。

 

特筆すべきことはなかった障害物競走でした。

まぁ強いていえば、序盤かが緑谷が結構な速度を発揮して、最後の地雷原で後方への大規模な妨害をしてきたことくらいか。

 

正直してやられたと思う。だって緑谷の性格的にそんな事してこないと思ってたから。決めつけは良くないって、小学校からよく言われるわけだ。

 

まぁ俺も、個性が活かしきれない種目で、全体9位は良い方だろう。

 

で、余談程度だが、2週間くらい前に教室に宣戦布告しに来た普通科のアイツ、心操人使ってやつは30位と見事に下位に沈んでいる。

というか、A組が上位をほぼ独占している。

 

気味が悪いくらいに。

 

相澤先生はこれを、立ち止まる短さの差と言っていたが、なんか違う気がする。これはただの感、直感だけど、なんかB組が企んでいる気もしなくもない。ギリギリ下位に留まってやがる。

 

……ま、眉唾だろ。

 

そんなことより次だ次。

 

『ようやく終了ね! それじゃあ結果をごらんなさい!!』

 

障害物競走が終わり順位が表示される。

結局、A組は全員突破。42位までだからB組も全員いるな……で、普通科から一人、サポート科奴もギリ入ってる。

 

『そして次からいよいよ本番!!第二種目はこれよ!!騎馬戦!!参加者は2~4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ!』

 

ルール説明のつもりなのか知らないけど、黒瀬先生と山田先生で八木先生を担いでいる映像が映し出されている。

八木先生は機嫌良さそうに「フジヤマー!」なんて言ってる。

……あの人ならギリ言いそうだな。てかこのメンツだと下ふたりの負担やべぇだろ。黒瀬先生も山田先生もひょろっこいのに。お前が下いけよ平和の象徴。

 

基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど一つ違うのが……先ほどの結果に従い各自にポイントが割り振られること与えられるポイントは下から5ずつ!42位が5ポイント、41位が10ポイントといった具合よ。そして1位に与えられるポイントは……1000万!!」

 

1000万?冗談……じゃねぇな。計算間違いって訳でもなさそうだ。

しかし1000万か。下から5ずつポイントが増えていくわけだから、2位以下の合計は4100ポイントか。なるほど、1位のポイントさえ取ってしまえば、全部解決ってわけだ。

 

「最終種目に進めるのは、上位4チームのみ!つまり上位のやつほど狙われちゃう……下剋上サバイバルよ!!個性発動ありの残虐ファイト!でも……これはあくまで体育祭で騎馬戦!!悪質な崩し目的での攻撃等はレッドカード!一発退場とします!それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!」

 

香山先生は説明が終わると同時にいきなりスタートの合図をして、唐突にチーム決めが始まってしまった。

15分の試合なら、ギリギリ幽霊が生きる。使うならここだ。

 

ふと周囲を見渡すと、轟は早々にチームを決め、爆豪もチームを決めたようだから、じゃあ残るは緑谷だ。

 

「緑谷、一緒にどうだ?」

 

緑谷はここ2週間で大きく化けた。2週間前までは、組む相手としては絶対に避けて通りたいところだったが、今じゃ高倍率の好物件だ。

でも一千万のプレッシャーか、ほとんど誰も寄り付かない。

 

「な、永井くん!いいの!?僕一千万故にめっちゃ狙われるけど!」

 

「だから俺だよ。俺なら幽霊を使って逃げ切れる。時間ギリギリまで幽霊使って、最終的に戻せば、最初から最後まで一千万は俺たちのだ」

 

緑谷の機動力に俺の頭脳だ。正直これだけでもうほぼ最強だがの緑谷の負担を少し減らそう。

緑谷の負担は俺の体重だけだから、つまり、

 

「デクくん!一緒に組も!」

 

「麗日が最適解だな」

 

重力は即ち地球が俺を引っ張る力。麗日の個性は無重力、重さをゼロにできる。

ただ麗日の場合、自分に個性を使うと、吐き気が襲ってくるらしい。だから緑谷は負担麗日一人分。多分、俺一人より麗日一人の負担の方が軽いはずだ……多分。むしろそうあって欲しい。

 

「デクくんが騎手?」

 

「いや、俺が騎手だ。緑谷は騎馬、足回りだ。お前は俺を軽くしてくれ」

 

現在この騎馬の合計ポイントは1000万飛んで305ポイント。注目度を増すために、もう少しポイントが欲しいな。

でも、ほかの高ポイント組はもうほとんど他チームに持ってかれているけど……ま、これ以上下手に人数増やしの緑谷の負担を増やしても仕方ねぇ。

 

そんなことを考えていると、一人の女子生徒が近づいてきた。

 

「私と組みましょう!1位の人!」

 

俺たちのクラスの階じゃ見たことない顔だ。普通科……いや、装備品があるからサポート科か。

 

「発目明!サポート科です!」

 

「第一種目の順位は?」

 

「41位です!」

 

「帰れ回れ右だ」

 

「ちょ、永井くん!」

 

いや、だって41位だろ?下から2番目、10ポイントじゃねぇか。いてもいなくても変わらないくらいだし、そもそもヒーロー科じゃないなら体力とか……重さ的な話に不安が残るし。

 

「だからって帰れは……ちょっとくらい話を聞い手上げても……なにか事情があるかもしれないし……」

 

「緑谷、これは感情の話じゃない。リスクの話だ。サポート科の、しかも女子生徒がお前のスピードについてこられると思うか?アイツになにかの事情があるのなら、俺にもお前にも事情がある。彼女の事情を考慮するのなら、俺達の事情は誰が考慮するんだ?」

 

「それは……」

 

「そういうわけだ。悪いが他を当たってく──」

 

「私、個人携行のホバークラフトを装備しているので、一位の人の速度にもついていけますよ」

 

「ようこそチームへ。一緒に決勝目指そう」

 

「「永井くん!?」」

 

なるほど、それを持ってるなら話は別だ。

しかも聞くに、まだ他にも装備があるってんだろ?俺が一番欲しかった奴だ。

 

「緑谷は先頭に、右翼左翼は麗日と発目、どっちでもいい。騎手は俺だ。幽霊使うタイミングはこっちで言うから、それまでは緑谷と発目主軸で行くぞ。」

 

そして15分が経過し、

 

『さァ上げてけ鬨の声!!始まるぜ血で血を洗う争奪戦!!』

 

「始まるぞ。組め」

 

「「うん!」」「はい!」

 

緑谷1000万ポイント、俺170ポイント、麗日135ポイント、発目10ポイント。この騎馬の合計は1000万315ポイント。1種目の上位と下位が揃ったデコボコ騎馬だ。

 

『準備はいいかなんて聞かねえぞ!いくぜ!残虐のバトルロイヤル、カウントダウン!3!2!1!START!!』

 

「来るぞ!」

 

「実質それ(1000万)の取り合いだぁ!!」

 

スタートの合図とともに突っ込んでくる多数のチーム。残りは、漁夫の利を狙って足踏みしている。

 

「永井くん!」

 

「まだ……まだ……」

 

緑谷は焦ったように俺を見るが、まだだタイミングはな何よりも重要。それを間違えれば取り返しがつかなくなる。

だから誰かの個性で騎馬が沈められても動揺するな。焦りはミスを誘発する。焦らず……冷静に腰を据えて……

 

「──今!」

 

「Take off!!!」

 

次の瞬間、俺の背中が強く叩かれ、騎馬ごと地面から離れる。

発目明作、グラビティジェットパック。脱着式ハーネスの採用によりなんと装着時間はわずか20秒、最大速度は時速100kmの航続飛行距離6kmという性能。さらにはAIによる姿勢制御システムも搭載しており、初めてつけた俺でも簡単に使いこなせる。

ちなみにこれめっちゃ楽しい。いいなこれ、コスチュームに使おうかな。

 

「お値段200万ほどです!」

 

却下で。

 

「着地するぞ!ホバーON!」

 

「了解です!」

 

着地の衝撃をホバークラフトによって作り出された空気層で和らげ、できるだけ着地後のタイムラグを縮める。あとは緑谷の機動力で──

 

「右から来るぞ!衝撃に備えろ!」

 

次の瞬間、濁流のような爆風と熱波が俺を襲う。ほとんど直撃だ。こんなことする、できるのは一人だけだ。個性的にも、躊躇のなさ的にも。

 

「不死身野郎ォ!!」

 

「デケェ声出さなくても聞こえてんだよ!」

 

爆豪騎馬だ。あれの軌道と速度を爆豪がよく見ていたのはも空中からでが確認できたから、それ見越して相た離れたつもりだったんだがな。もう追いついた上に着地狩までされるとはな。見くびってたぜ。

 

「永井くん!逃げよう!」

 

「ああ!走れ緑谷!」

 

爆豪相手じゃこちらの火力が足りない。緑谷を機動力に回したぶんのシワ寄せだ。だから逃げの一手しかない。

でもそれは当然、向こうも予測しているわけで、

 

「おっと!行かせるかよ!」

 

「瀬呂くんのテープ!?」

 

逃げる方向に視線を向けた瞬間に、瀬呂のテープが俺の胴体に巻き付いた。不味いな。機動力と馬力に優れ安定した緑谷ではなく、騎馬上で不安定な俺に巻き付かれたらば下手に動いたら崩れるのはこっちだ。

 

「発目!なんかないか!?」

 

「ドラえもんじゃないんですよ!?あるもので工夫してください!」

 

「なら文句言わないでくれよ!顔逸らせ!!」

 

物がない時は、知恵と工夫と勇気で補うのが定番だ。

俺は発目に借りたジェットパックの小型ロケットを一斉にフルパワーで点火。強烈なバックファイアが瀬呂のテープを焼き切り、また空を飛ぶことで爆豪チームから逃げ切る。

 

「あぁ!?今ので燃料半分切りましたよ!?」

 

「しょうがねぇだろ!?アレを脱出するにはこれしかなかったんだよ!」

 

今ので燃料半分……燃料効率に改善の余地アリだな。

だが何度も同じ手を使うと、当然相手チームも迎撃体勢を整えてくる。現にほら、耳郎がイヤホンジャックをこっちに向けてきてる。

 

「迎撃システム起動します!」

 

だが次の瞬間には発目が迎撃システムを起動。俺が背負ってるバックパックから2機の小型ドローンが出撃し、耳郎のイヤホンジャックに向かってBB弾を撃った。

……え、迎撃システって空対空システムなの?

 

「痛ったぁ!?」

 

「どうですベイビーの火力は!もちろん威力は市販のエアガンと同じくらいですけど、制圧力と威圧性はバッチリです!」

 

「お、おう……」

 

すまん耳郎。まさかこんなのが載ってるとは思ってなかったんだ。ドローンがあるのは見てわかったけど、てっきり偵察用かと。

 

でも観客の反応は上々だ。いい感じにこの騎馬の株が上がってる。とりあえず着地して体制を整え──

 

「着地待って!」

 

緑谷がいきなり叫び、俺は思わずまたジェットパックのロケットを一斉に点火してしまった。今ので多分、残りの燃料3割切ったと思う。

 

「どうしたん!?」

 

「着地地点に峰田くんのもぎもぎがいっぱいあった!着地を狙って来たんだと思う!」

 

「峰田……?」

 

その言葉を受けて高いところからま周りを見渡すが、周囲に峰田の騎馬が見当たらない。電光掲示板にはしっかり峰田チームと……いや、そういう事か。

 

「緑谷!風圧で峰田のモギモギに対応しろ!」

 

「了解!」

 

俺の指示通り緑谷は左腕を突き出すようにして構え……『デコピン』の要領で指を弾く。

 

「デラウェア……スマッシュ!!」

 

弾いたところから空気の弾丸が飛び、迫ってきていたモギモギを叩き落した。

 

峰田の居場所……それは巨漢障子の背中の上。障子の恵まれた体格と峰田の小柄な体型を活かした、言うなれば歩兵戦闘車だ。

だが俺は知ってるぞ。歩兵戦闘車……いや、戦場における車の弱点。

 

「プログラミング終わりました!」

 

「出せ」

 

先程の空対空ドローンではなく、手のひらよりも小さなドローンが、発目が背負ってるバックから数十機飛び出す。これはさっき説明を受けた。洞窟の瓦礫の中の被災めの捜索するための超小型ドローンだ。

車両の弱点。それは歩兵に比べての死角の多さ。それがガラス窓がない装甲車ならなおのことだ。

 

「な、なんだァ!?」

 

「見えました!カエルの人とブドウの人がいます!」

 

攻撃のための僅かな隙間から小型ドローンが侵入。隠れて蛙吹の存在までさらけ出させた。

さらには小型ドローンの幕により、障子も足踏み状態だ。

 

「蛙吹は無視でいい!峰田にはこのままドローンで撹乱を続けろ!」

 

この場合の脅威はこちらの動きを制限させる峰田のモギモギだけ。蛙吹の伸びる舌くらいなら、俺の反射神経でどうにか捌ける。あんま他人の舌に触りたくないから、とっとと離れるけど。

 

「緑谷!行け!」

 

「うん!ちゃんと捕まっててね!」

 

俺と緑谷の自主トレの成果、フルカウル。緑谷の超パワーを一肢にのみ集中させるのではなく、全身にくまなく分散させることで、持続的で安定した個性発動を可能にさせた。

分散させた故に、過去の自爆させるような超パワーは発揮されないが、それでも十分人間離れした馬力を発揮できる。

その速度を十分に活かすため、発目が持ってきた個人装着ホバークラフトを騎馬全員が装備。緑谷の負担は自分自身の重量だけ。ほぼ人力車だ。

 

「──っと、止まれ」

 

大体の騎馬から離れたところで、落ちついて状況を整理しよう。

現状、ぶっちぎりトップはこの騎馬だ。2位は物間チーム、3位は鉄哲チーム……4位は拳藤チームか。それ以外の騎馬はゼロポイント。なるほど、やっぱ企んでやがったか。

 

しかし状況としては悪くない。A組とB組とでは個性の傾向が違う。純粋な火力で押し出せるA組に対し、B組は工夫で強くなる個性が多い。真っ向から戦うなら、A組が有利だ。

 

そもそも、攻撃三倍の法則と言われるくらい、守備は圧倒的に有利なのだ。

俺たちが負ける筋合いはない。

 

「永井くん!轟くんたちが来てる!」

 

「ああ、見えてるよ」

 

現状、爆豪は物間の相手で手一杯。来るならコイツだけだ。

面子は轟に百さん、飯田に上鳴だ。おおよそ、上鳴の電撃で痺れさせて、そこから凍らせるという戦い方だろう。飯田は緑谷と同じ機動力の要。百さんは創造を使った便利屋枠だろうな。

 

だが俺たちの相手じゃない。

 

轟は氷しか使わないし、上鳴は続くB組戦でショート寸前、飯田も桁外れのスピードはあるが、反応できない速度じゃない。百さんの個性はたしかに便利だが、百さん自信が咄嗟の判断力にかけるところがある。

 

「冷静に対処しよう。発目、小型ドローンの充電はどのくらいある」

 

「ぎりぎり試合終了まで持つかどうかです!何せ小型なもので、積めるバッテリーも限界が!」

 

「十分だ。麗日、お前の個性も、まだ持つか」

 

「ぜんっぜん余裕!」

 

緑谷は当然持つだろうし、俺に関してはまだなんのアクションも起こしてないから、余裕とかそんな次元にいない。今のところジェットスーツで遊んだくらいだ。

全員まだまだ動けるし、動かせる。

 

「手数で圧倒しよう。緑谷、デコピンを連中の足元に撃ちまくれ。直撃させると妨害判定食らうから気をつけろよ」

 

「うん!デラウェア──スマッシュ!!」

 

「八百万!」

 

緑谷のデコピンに衝撃波が、百さんの創造で作った盾で受け流された。

あの百さんの反応速度、事前に対策マニュアル作ってやがったな。でも、マニュアで程度でこの俺を上回れると思ったら大間違いだ。

 

「そのまま撃て。お前の火力なら轟の氷を粉砕できる。麗日、ほかの騎馬に注意。発目は上鳴対策で長アンテナを地面に刺しておいてくれ」

 

1000万は依然として俺のところにある。無闇に責める意味はない──轟はそう思ってるだろうな。だから、

 

「発目、上げられるだけ、()()()()()()()()()()

 

「了解です!」

 

ドローン群、総突撃。

 

「いや……いやいやいや!うっそだろォ!?」

 

突如として現れた、空を埋め尽くさんばかりのドローンの集団飛行。曰く、昨日のうちにドローンの射出ポットをセッティングしていたらしい。

 

1年生で、この数のドローンの開発と、それらを操るプログラミング技術。間違いなく、今年の一年で一番の天才は、発目明だ。

 

「ただの小型ドローンだ!上鳴!放電で一斉にショートさせてやれ!」

 

「お、おう!」

 

バチバチっと、放電をする上鳴。悪くない判断だが、勉強不足だ。

 

「ううぇ!?」

 

ドローン群は一機たりとも墜落せず、異常なく飛行を続けている。

このドローンを市販のやつと一緒にされたら困る、とは発目のセリフだ。

 

「このご時世ですからね!ドローンの外殻にはアルミ合金を主体とした炭素繊維強化複合材料を使っていますので、電気は表面伝導し、スタティック・ディスチャージャーで空気中に電気を逃します!そして電撃ヴィランの電気で充電も可能です!」

 

「それでも……ただのドローンカメラの集合体だ!飯田!突っ切──」

 

「──いいや。俺から向かうぜ」

 

勝負は一瞬だった。

そもそも、ドローンの飛行統制は発目がリアルタイムで行っている。攻め込むタイミングでドローンを一時的に散開させるのも、守りのタイミングで密集させるのもこちらの如何だ。

 

だから、ほんの一瞬、ドローンに一本道を作らせ、姿勢制御AIによる空気抵抗が一番少ない姿勢を保ち、無重力下をジェットパックを一斉点火。現代技術フル活用の人間砲弾。

 

これで、俺たちはプラス615だ。

 

「二本は残してやるよ。あとはそっちで頑張りな」

 

「そんなの……お前の1000万取れば関係ねぇ!」

 

「取れれば、な」

 

無重力というのはすなわち重さがないということ。俺は密集する小型ドローンを足場に、騎馬に帰る。

今のポイントは1000万と930ポイント。仮に1000万が取られても、俺たちの予選通過は確実だろうな。

 

「た、大量やね……」

 

「引くな引くな。見ろよ。ぶっちぎりの一位だ」

 

「まさかこんなに上手くいくなんて……できすぎて不安だよ」

 

「そうだな……で、そろそろいいんじゃないか?発目」

 

「はい!準備整いました!」

 

「え?なに、どういうこと?」

 

「発目の狙いだよ。ったく、商魂逞しい奴だ。あとは好きにやれよ」

 

始めから、発目明の狙いは体育祭一位ではない。一位はあくまでも副次的なもの。

コイツは最初から言っていた。大企業に自分の発明品を紹介したいってな。

 

利用できはチャンスは全部利用する。いいね。俺は好きだ。

 

『あーあー、マイクテスト、マイクテスト』

 

「「「「「……へ?」」」」」

 

突如として、スタジアムのスピーカーから発目の声が出てくる。無線マイクは周波数を合わせれば繋がるから便利だと、始まる前に言っていた。どうやって周波数を調べあげたのかは知らない。

 

『感よし……皆様初めまして!サポート科の発目明と申します!この度はこの場を勝手にお借りして、私のドッ可愛いベイビーを紹介します!』

 

徐々にスタジアムに動揺が広がっていく。その動揺はなんと、競技者達にも伝播し足を止めている者も散見される。

 

『まずはグラビティジェットパック!これは──』

 

まぁそこからは、非常に……まぁ、なんというか、発目の独擅場であった。

 

とりあえず、発目のプレゼンテーション能力は見事ではあった。というか、ほぼ実演販売だった。聞いた話によると、この瞬間に、販売ページをインターネット上に作成、アップしたらしい。

 

まぁそこんとこは置いといて。

 

プレゼンの隙をついてハチマキを狙ってくる騎馬も多かったが、そこでサポートアイテムの本領を発揮。ドローンやジェットパックを強制起動し、それらを回避、または迎撃し、プレゼンのかませにしていた。

 

そのお陰で──制限時間まで、1000万を守りきれた。

 

『TIME UP!!さーて結果発表だ!1位はぶっちぎりで永井チーム!2位は執念の爆豪チーム!3位はとどろ──あれ!?いつの間に逆転したんだ!たごめん見てなかった!心操チーム!そして4位に轟チーム!』

 

第二種目、騎馬戦。十五分にも及ぶ激闘と、五分間のプレゼンも幕を閉じた。

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