刀人間に居合で斬られ、その場に崩れ落ちてしまう姫野。胸部からは絶え間なく血が溢れ出ており、後ろからは刀人間がコツコツと音を立てて姫野に近付いてくる。
大男が刀人間に忠告をする
「まだ生きてるぞ、デビルハンターのスーツは頑丈だからな」
「トドメをさせ」
絶体絶命の状況下で、早川がビームに頼み事をする。
「俺はいいから……姫野を助けろ…」
「ギャッ…!アイツの動き、見えない…!」
そう言われてしまったので早川は狐を呼ぶ。
「コン…!」
「嫌だね、あの男は恐ろしすぎる……」
そう言って立ち向かうのを拒んでしまう狐。顔に何か違和感があり確かめると鼻や口からも血が溢れてくる。
このままだと姫野は刀人間にトドメをさされて死んでしまう。朦朧とする意識の中早川はある決断をする。
「俺の全部をやるから……狐の全部、使わせろ……」
狐はその言葉を聞くと真の姿を現す。現れたのは大型の狐で刀人間よりもずっと大きかった。
早川は最後の力を振り絞って狐の力を使っていく。その中で早川は姫野に対しての心境を心の中で語り始める。
『姫野は泣く事ができる』
『デビルハンターは身近な死に慣れすぎて涙が出なくなる』
『でも姫野はすぐ泣く』
『面倒見てた新人が死んだ時なんかは、隠れて泣いていたから面白かった』
『……あれだけ思って泣いて貰えたら嬉しいだろうな』
体の一部がどんどん消滅していく。契約がしっかりと実行されていっている証拠だ。
狐の手足が幾度となく刀人間の肉体を貫き、大きな口が喰らい尽くしていく。
「ちょっ…オイ…!助けろ!!」
そう言われたので大男は手を伸ばして何かを構える。
「あ…ああ…ああ…」
早川は敵に狙いをしっかりと定めて攻撃していく。しかし両腕が契約により消滅する。
体のバランスが崩れるが何とか胴体を起こす。腕の部分にあたる服の部分が風でたなびく。
姫野は肉体が段階的に消滅していく早川を見て信じたくない表情を浮かべている。
そんな彼女に早川は遺言を遺していく。
「…………っ、姫野は死ぬなよ…」
「俺が…死んだ時…泣いてほしいから…」
「ヘビ、丸飲み」
大男がそう呟くと狐の肉体を巨大な蛇が丸飲みする。肉体の全てを捧げた早川が何だったのかという程だった。
「帰れ」
そう命令すると蛇はこの空間から姿を消した。煙が舞う。
姫野の目に映ったのは早川が着ていた服だった。先程までそこには人がいたということを残酷に伝えてくる。
大男は早川の死を確認する。すると刀人間が呟く。
「魔人が逃げたぞ……」
「目的はチェンソーの心臓だ、追わなくていい」
ビームは恐らく地中に潜ってこの場から姿を消した。するとこの空間に残っていた狐の手が、よろよろと動き始め、倒れているマキマの胸のスターターを引く。
チェンソーのエンジン音が鳴り響き、マキマの頭からはチェンソーが生える。
「次は真っ二つにしてやる…」
「心臓は傷つけるなよ」
エンジン音が絶え間なく聞こえてくる。煙から頭にチェンソーが生えたマキマが現れる。
「……なんかわかんないけど、アナタ達が悪いヤツっていう事だけはなんとなくわかったよ」
「悪いヤツは好きだよ〜?ぶっ殺しても誰も文句言わないからさ〜」
「もう一回殺してやる」
マキマと刀人間が同時に足を踏み出し、互いに己の武器を垣間見える。
第2ラウンドの開始だ———
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大男は剥がれた爪を確認しながら、所持しているトランシーバーで現在の状況を仲間に報告する。
「俺だ、練馬西大ビル3階でチェンソーと戦闘してる。援護しに来い」
大男の向こうには未だ崩れ落ちている姫野。床には血溜まりが出来ていた。
ふとチェンソーのエンジン音が迫ってきたかと思うと、すぐ目の前で両者のバトルが繰り広げられていた。
「ウらァ!!」
チェンソーと刀が何度も擦れ合い、戦闘の衝撃で周りの瓦礫が粉々に崩れていく。
刀人間が勢いよく腕を振り下ろしたと思えば、建物に思いっきり大きなヒビが入る。パイプや窓ガラスなどが見るも無惨に破壊されていく。
刀の衝撃でマキマの右肩にも深い傷が入る。
「痛い!!」
傷を回復する為にスターターを引くマキマ。すると刀人間の援護目的で来た二人の仲間がやってくる。
マキマに対して銃口を向けながら刀人間に確認する。
「撃ちますか」
「腕か心臓を狙え」
するとマキマは仲間の一人目掛けて飛びつき、膝で顎を狙いうちする。そしてそのまま足でもう一人をキックする。
刀人間は腕に生えた刀でマキマを吹っ飛ばす。すかさずマキマもチェンソーでそれに対応する。
お互いに姿勢を低くしながら面と向かう。
「い!?イタタタタ〜あれえ!?いつ切られたの!?」
すると顔から血を流しながら倒れている仲間の一人がマキマに向かって銃弾を放つ。
「痛っ!?たい!!」
銃弾を打った一人に対してマキマは迫り、肘で頭上を狙いうちする。
すると腕でそいつの首をがっしりと掴み刀人間に話しかける。
「ねえ!そこの悪者!!この人アナタの仲間でしょ!!」
「それならどうした」
「お〜1ミリでも動いてみなよ〜!?お仲間のお顔がおミンチになるよ〜!!」
「糞女が…」
そう吐き捨てると姿勢を低くして顔を俯かせる。何かを構えているようだった。
「ん〜…?座ってるの、それ……?」
するとマキマの目の前から刀人間は一瞬で姿を消す。
「あれ?消えた!?」
そう思っていると唐突に後ろに刀人間が現れて、人質ごと上半身と下半身を真っ二つにする。
「あっ」
地面に血溜りを作りながらマキマの上半身が落ちてくる。刀人間はマキマの上半身を持ちながら、もう一人の仲間にマキマを運ぶ為の車を用意する事を命令する。
「こいつを運ぶ、さっさと車持ってこい」
「急げ、チェンソーの仲間は全員撃ち殺したハズだけど…」
すると刀人間の状態が解除されて頭からボタボタと垂れる。疲労や焦りから汗を沢山かいている。
「デビルハンターも人だ…!銃には勝てない…!」
各地では銃に撃たれ絶命した者達の死体が道端に転がっていた。一方その頃、新幹線内は銃撃により混沌としていた。
「銃だ」
「ああ!あ…!」
乗客が騒めく中、デンジ達を撃った襲撃班達はこの場から脱出しようと話し合っていた。
「もうすぐ駅に着く。車両移動して民間人に紛れるぞ」
すると襲撃班の一人が、後ろから誰かが来る音がして振り返る。
しかし何とそこには先程撃ち殺したハズであるデンジが血まみれの状態で立っていた。
「うぇ」
意味がわからず咄嗟に銃口を向けながら焦りを見せていた。
そして京都駅では京都公安対魔1課に所属する者達が新幹線を待っていた。するとその二人に報告しにくる人物が。
「東京で特異1課2課3課4課が銃で襲撃されたらしいです……」
「「あ!?」」
まさかの事実に二人揃って声を出してしまう。
「マジ…?デンジさん死んでる?」
「じゃあ俺ら待ち損かよ〜!?」
すると新幹線が京都駅に到着する。大勢の民間人が往来する中、血まみれの状態でデンジが新幹線内から出てくる。
まさかの光景に二人ともギョッとしている。
「黒瀬〜天童〜!新幹線内で銃撃にあっちまった」
「死体あンから片付けさせとけ。会食は中止」
「東京でも銃撃が…デンジさんその血は!?」
「どこか撃たれましたか!?」
慌てる二人にデンジはいつもの態度を崩さずにこう言う。
「これは返り血ィ〜俺は撃たれなかった。ていうか服くれェ〜!気持ち悪ィ…」
新幹線内では襲撃班達の体に大穴が空いており、床や座席を血まみれにしながら絶命していたのだった。
天童さん大好き!