デンジは黒瀬と天童を後ろに連れて京都の街をスタスタと歩いていく。
歩きながら襲撃の件について話し合っていく。
「今すぐ東京に応援へ行きますか?」
「今から行っても間に合わねえだろうな〜」
「多分敵の目的はマキマちゃんだぜ。ここで対応するか」
そう決めたらデンジは二人にこれからする為に必要な事をお願いする。
「黒瀬、法務省からヤベエ犯罪犯したヤツらを30人くらい借りてこい」
「天童、近くにあるめっちゃ高えとこにある神社を一つ貸し切ってくれ」
「あとそろそろ俺の着替え用意してくれ〜!」
一方東京の方ではマキマを車に運ぼうとてんやわんやしていた。
「急げ」
「しばらく私はもう戦えないから」
「おう」
頭がチェンソーな事もあり上半身だけでも重く、運ぶのにはだいぶ苦労する。
マキマを運んでいる仲間の一人が他の仲間に協力を申し出る。
「重い…!お前も手伝え!!」
「はいはいはい」
「そっち持て!」
「げ〜…!どこ持ちゃいいんだよ……」
そうぶつくさとボヤいていると、体に何か違和感を感じて急に立ち止まってしまう。
それに苛立った仲間が必死に問いかける。
「おい!持てよ!」
「おい!」
他の仲間も急に立ち止まった奴を不審に思いながら見つめる。
「…なんかっ、なんだコレ…………」
「テンパってんじゃねえ!持て!」
「おい!なんか変な感じだ!!」
大量の汗を流しながら仲間に必死に叫び出す。その様子は決して嘘のようには見えず、本当に何かがおかしいと感じているように見えた。
「ああ?」
「変な感じって———」
大男が叫び出した仲間に問いかけた時だった。突如その仲間の肉体が弾け飛び、体内の血液を周りに勢いよくぶち撒けながら絶命してしまう。
「えっ」
「うわあ…!!」
一体何が起きているのだろうか。訳が分からないが大男はトランシーバーを使い別班に連絡する。
「E班!C班に再度デンジの死亡を確認させろ!」
「こちらE班、こちらE班。さっきからC班との連絡がア〜!!」
顔がぐにゃりと潰れ、先程の仲間と同様に肉体が弾け飛び絶命する。
トランシーバー越しにその破裂音が届き、冷や汗を流しながら困惑する。
「あの野郎…」
一方、京都のとある神社では地面に何人もの終身刑以上の大罪を犯した囚人が手を縛られ正座されられたまま目隠しを付けられていた。
黒瀬と天童も奥で目隠しをしている。
そしてその先頭にデンジが立っていた。
黒瀬は目隠しされた意味が分からず呟く。
「なぜウチらも目隠しを…?」
その呟きに天童が答える。
「デンジさんは内閣官房長官直属のデビルハンターだ、一端のデビルハンターじゃ契約している悪魔を知る事は許されねえ」
デンジが一人の囚人に近付き命令をする。
「三島シュウゾウ……って言え」
「…ミシマシュウゾウ……」
するとデンジは勢いよく子供のように手のひら同士を叩く。
東京の方ではその三島にあたる人物が勢いよく何かに圧力をかけられ肉体が弾け飛ぶ。
「三島!?どういうこと……!?」
先程名前を言った囚人は魂が抜けたかのように前に勢いよく倒れる。死んでしまったのだろうか。
デンジは別の囚人に近付きまたもや命令する。
「井上タカシって言え」
「井上タカシ…?」
そう言った瞬間、バチンと手と手を叩く。東京の方ではまたもや圧力がかけられて肉体が弾け飛ぶ。
「ッハハ…」
「ハハハ!ギャハハハ!!」
狂ったように笑い出しながら何度もバチンと手と手を叩き、その度に囚人は倒れていく。
東京の方では何度も何度も誰かの肉体が弾け飛び、地獄を作り出す。
「ギャハハハハッダハハハハッ!!」
「アハハッハハハハハッ!!」
黒瀬と天童には唐突に笑いだしたデンジの声や、バチンという音や、誰かが倒れる音が聞こえており、一体何が起きているのか分からず困惑していた。
「おい!オイイイ!!誰か助け」
また肉体が弾け飛ぶ。助けを求めてもそれが無駄だというように阿鼻叫喚の地獄を作り出す。
「ギャハハハハハッダハハハハッアハハハハハッギャッハハハハハ!!」
「ギャハハッ…ハハッ……は〜……」
先程まで狂ったように笑い散らかしていたというのにいきなり笑い声が落ち着きを見せる。
東京の方では先程まで起きていた阿鼻叫喚の地獄は終わりを見せており、その場には金髪女と大男が残されていた。
「止まった…?」
京都の方では連れてこられた囚人全員が倒れており、この身に何が起きたのか理解する間も無かった。
「…外していいぞ〜……」
「は〜……俺疲れちまった……東京戻るか」
先程の狂った笑い声は一体何だったのだろうか、黒瀬と天童は目隠しを外しながらいわゆるドン引き状態に陥っていたのだった。
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金髪女と大男は仲間の肉体がいきなり弾け飛び絶命した状況に冷や汗をかいていた。
「こんなクソッタレな力は多分デンジのだ!大丈夫な間に逃げるぞ!」
「なんで…!殺したんじゃ無かったのかよ…!」
金髪女がマキマの肉体を車に運ぼうと手に触れた時だった、向こうの方から誰かがやってくるのに気付く。
こちらに向かってきたのは一人の公安デビルハンターの女もとい、コベニだった。片手には包丁を持っている。
これよりも前、道案内した老婆によって一緒に行動していた荒井の首に銃弾が当たる。
老婆は続いてコベニに銃口を向ける。しかし荒井が咄嗟にコベニの前に出て代わりに頭に銃弾を撃たれてしまう。
コベニはその様子をただ怯えながら見ることしか出来なかった。
そして今、トランシーバーを片手に、血がびっしりと付着した包丁を片手に震えながら問い出す。
「貴方達…銃撃犯、ですよね……?」
後ろにいる大男が困惑しつつも契約している悪魔を使役する。
「ヘビ、尻尾!!」
蛇が出てきてその尻尾がコベニに向かって勢いよく飛んでくる。しかしコベニはそれに触れると勢いよく飛び上がり駆けていく。
「猿!?」
そして銃口を構えている金髪女の腕を所持している包丁でスパンと切る。
相手が持っていた拳銃を奪うと、その相手に何発が銃弾を放つ。
続いて大男に向かって銃口を向けて撃とうとするが、カチカチと音がするだけで銃弾が出ない。弾切れだ。
咄嗟にコベニは近くにあったマキマの上半身を使い、大男が撃ってくる銃弾を防ぐ。頭のチェンソー部分に当たった銃弾は勢いよく軌道を変えてしまう。
「う…うあ…」
大男は焦りながらも血を流し続ける金髪女を背負って車に急いで向かっていく。
「車の中で死ね!」
車内に勢いよく放り込むと運転席に乗り込み全速力で逃亡する。
コベニは怯えながらも去っていく車を見つめる。するとマキマの方に目を向けてふと呟く。
「この間は殺そうとしてゴメンね…」
コベニは少し沈黙したかと、唐突に笑い声を漏らし出す。
「フフフ…!」
「殺そうとしてゴメンって…!なんだソレ…!フフフフフフフフフ…!」
「フフっ…!ダメだ…ハイになっちゃってる……」
あの状況はコベニが対処した。撃ってきた老婆はコベニが殺した。しかしコベニを庇った荒井は撃たれて絶命してしまった。
「私を庇って…私…私のせいで…!私…フフフ…!」
「もうダメだ………この仕事してたらおかしくなる…」
「早川先輩に会ったらやめるって言おう…」
しかしその早川は既にこの世にもういないので、コベニは辞めることを伝えられない。
一方で、黒瀬と天童を連れて東京に戻ってきたデンジ。すると向こうから血まみれの状態になった公安デビルハンターがやってくる。
「お〜円生きてたか!特異課はどれくらい生きてるんだ?」
そうデンジに問われたので円は現在の状況を答える。
「特異1課2課3課4課共に銃撃に遭い、人外以外はほとんど死にました」
「特異課だけを狙った銃での襲撃ィ……銃の悪魔が関わってンだろうな」
続けて円は上からの通達をデンジに伝える。
「上から通達です。人員不足の為、特異1課2課3課は4課と合併。以降公安対魔特異4課をデンジさんの指揮下に置きます」
「あとこれを」
「何だ?」
デンジに渡されたのは細長い封筒だった。円がその封筒の説明をする。
「私の辞表です」
「ええ〜やめんのかァ?」
「特異課がきな臭くなってきました。やめるか殺されるかの二択ですよ」
「そっかア〜………」
デンジは少し惜しみながらも円の意見を聞き入れる。すると円はデンジに問う。
「最後に教えてください。デンジさんは今回の事態をどこまで想定していました?」
円の質問に対するデンジの答えは……
「あァ〜…もう辞めちまったヤツに公安の中の事は教えらんねえな」
「円〜今までありがとな!これ渡しとくぜ」
公安の内部事情は話せないとの事だった。デンジ達は去っていき、円も逆方向に去っていく。
黒瀬と天童は困惑しながらデンジに聞き出す。
「あの…デンジさん、私達特異課に入るワケじゃないですからね……?」
「指導に来ただけですからね…?」
「一週間ですぐ京都に戻りますから…」
そのように話す二人にデンジは振り向かず残念そうな声を上げる。
「そりゃ残念だな…東京にはウマイ店、たくさんあンのに…」
わらび餅大好き!