チェンソーウーマン   作:やまなお

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サバ大好き!
(忙しくて更新が少し遅れました、すみません)


100点満点/もっとボロボロ

 

病室のベッドでは公安デビルハンターが練馬で大規模戦闘した事が報道されていた。

姫野は意識が回復し、何か音がする方を向く。そこにはマキマとビームが漫画を読みながら、マキマはリンゴを食べていた。

すると病室が騒がしくなり始める。

 

「ギャッ!そのリンゴ食わせろ!腹減った!!」

 

 

「ダメ、全部私のだから!!」

 

「敵から逃げた子に食べさせるリンゴはないから!!」

 

 

「ギャッ…それは……」

 

 

「ほらね!!怖がって逃げたんだからこれ全部私のね!!」

 

 

「ヴヴヴ……!!」

 

二人がリンゴの事で争っていると、目覚めた姫野が二人に質問する。

 

「4課は誰が生き残ってる…?」

 

そう問われたのでマキマは事実を伝える。

 

「コベニちゃんって子と…メガネの女も生き残ったみたいだけど公安やめたんだって」

 

姫野はそれを聞くと何も言わず沈黙の状態に陥る。

マキマとビームは病室の席を立ち、姫野に伝える。

 

「私とビーム君はデンジさんに呼ばれてるから帰るね」

 

 

「リンゴ食いに来た!ヒメノ、お大事に!!」

 

よく見ると先程マキマが食べていたリンゴをさらっと自分の物にしていた。

マキマは姫野の方を少し見つめると、棚の上にリンゴを一つ置く。

 

「りんご1個だけ残しとくね。じゃあね」

 

病室の扉が閉まり、先程の賑やかさが嘘のように消え失せていた。

姫野は床に置いてあった釘を手に取り、鞘から少し出す。

 

「カース……私はあと何年生きれる?」

 

 

「2年…」

 

 

その事実を聞いて少し下を向く。気分転換にいつも通りタバコを吸おうとした。

ケースからタバコを一本取り、口に咥える。そして所持しているライターで付ける。何度か歯車の部分を擦るが火花が飛び散って思うように火が点火しない。

けれど無事に点火した。そんな時に思い出したのは、タバコを吸う際にライターを取り出してくれた早川の姿だった。

ふと、口からタバコが落ちる。それを指でつまむと、耐えきれず涙が溢れ出てくる。

病室のベッドの上で姫野が身をかがめてすすり泣いている中、実はその音をマキマは病室の外から聞いていた。

 

「ぐ…うう……」

 

 

(忘れた漫画取りに戻ったら泣いてるんだけど……)

 

残念ながら姫野が心配で戻ってきたということでは無いらしい。残念ながら。

 

(まあそりゃあ泣くよね〜大勢仕事仲間が死んだらしいし…バディの早川さんも死んだワケだしね)

 

ふと早川の姿を思い浮かべながら自分の心境を確かめてみるマキマ。しかし姫野と違って涙なんてものは一筋も出なかった。

 

(あれ〜………ん〜?)

 

(私は全っ然泣けないんだけど…)

 

(え…いやでもチェンソーが死んだときは悲しかったし泣いたよね)

 

(でも早川さん死んでも…ん〜…?はじめて友達になろうって言ってくれた人なのに…私酷くない…?)

 

自販機を楽しそうに見つめるビームを少し見つめるマキマ。

 

(ビーム君が死んだら泣けるかな?う〜ん…泣けないかな)

 

ビーム、無念。

 

(姫野さんが死んだら?…泣けないな)

 

姫野、無念。

 

(……デンジさんが死んだら…?)

 

マキマが大好きな人であり、命の恩人でもあるデンジ。少し考えてみてマキマが出した結論はこうだった。

 

(デンジさんが死んだら……多分私はしばらくヘコむけど……3日後には楽しく毎日を過ごせると思うな。だって…朝昼晩食事して睡眠してお風呂入れれば私最高だもん…)

 

デンジ、無念。そこでマキマが感じてしまった事は一つ……

 

(あ…)

 

『心臓だけじゃなくて人の心までなくなっちゃったの…?』

 

そう考えてしまうマキマ。しばらくはその事で頭を悩ませる生活に突入する———

 

「ま!シリアスな事は考えなくていいよね!」

 

「楽しくない事考えても楽しくないだけだからね!デンジさんの言う通りだ!」

 

わけがなかった。マキマの切り替えっぷりは恐ろしい。デンジの教えも恐ろしい。

ビームが不思議そうに見つめながらも、マキマは病院内から出ていく為に駆けていく。

 

「早くデンジさんに会いに行こ〜!」

 

 

「ギャッ…憂鬱…」

 

二人が駆けていく中、姫野がいる病室に二人の来客がやってくる。

 

「失礼します」

 

 

「ども〜」

 

病室にやってきたのは黒瀬と天童だった。

姫野は先程まで泣いていたので、目尻に涙を浮かべながらやってきた二人を見つめる。

 

「あれ、泣いてたか?」

 

 

「1回俺達出ていく?」

 

 

「なにアンタ達……」

 

姫野が目を擦りながら質問すると二人は質問に答える。

 

「俺達デンジさんに頼まれて京都から特異4課を指導に来ました」

 

 

「そのりんご食べてもいいですか〜?」

 

そのように伝えられ、姫野は一言。

 

「指導…?」

 

一方その頃、マキマとビームはデンジに連れられて墓地を歩いていた。

二人は後ろに着いていきながらデンジが話している内容を聞く。

 

「ホテルのやつと今回のでマキマちゃんが敵に狙われてるっつーことがわかった。だから4課を強化しようと思ったんだがなあ〜ほとんど死んぢまったな」

 

 

「デンジさんが指導してくれるんですか!?」

 

マキマが期待の表情でデンジに言うと、こちらを振り返りデンジはこう伝える。

 

「悪ィけど、俺は忙しくなっちまうからいいヤツ紹介すんぜ!」

 

 

「お前らを指導すンのはコイツだ」

 

マキマ達の目の前にいるのは、全体的に黒の服装で包まれた女性らしき人物だった。マキマ達には背を向けている。

デンジは彼女の紹介をしようと思うのだが……

 

「コイツの名前は「シー、黙れ」

 

 

「私の質問に答えろ」

 

デンジの言葉は遮られ、彼女はマキマ達になんの前触れもなく質問を開始するようだった。

人差し指を立てて質問が始まる。

 

「仲間が死んでどう思った?」

 

 

「別に」

 

 

「死んだ!腹減った!」

 

続いて人差し指と中指を立てて二つ目の質問をする。

 

「敵に復讐したい?」

 

 

「復讐とかは、暗くて嫌いだなあ…」

 

 

「オレも!腹減った!」

 

そして3つ目。薬指も立ててこのような質問をする。

 

「お前達は人と悪魔、どっちの味方だ?」

 

そう聞かれて二人が出した答えは……

 

「私を面倒みてくれるほうかな」

 

 

「ウマそうなほう!!」

 

そこまで質問すると彼女はマキマ達の方を振り返り、酒を片手にこう伝える。

 

「お前達100点だ」

 

 

「え?」

 

 

「キャ?」

 

 

「お前達みたいなのは滅多にいない、素晴らしい」

 

「大好きだ」

 

唐突にそのように言われて固まる二人。ビームはマキマの方を向いてこう呟く。

 

「ギャッ…恐い」

 

彼女はデンジの方を向くとこう言い放つ。

 

「デンジお前は帰れ、今すぐこいつらを指導するからな」

 

デンジは少し戸惑うが、背を向けてこの場から去っていく。

 

「じゃ、後はよろしくな〜!」

 

 

「デンジさん!?」

 

すると二人の元に彼女が近付き、両手をそれぞれの肩に乗せながら自己紹介を始める。

 

「私は特異1課でデビルハンターをやっている。先生と呼ばれると気持ちよくなれるから先生と呼んで欲しい」

 

「好きなのは酒と男と悪魔を殺す事」

 

 

「は?」

 

 

「ギャッ?」

 

二人は意味が分からず彼女に殴りかかろうと拳を用意する。しかしその瞬間、二人の首にとんでもない程の衝撃と痛みが浴びせられ、いとも簡単に首の骨を折られてしまう。

骨が折れていく音が響きながら、二人の顔は悶え苦しんでいた。

 

 

 

—————————————————

 

 

 

マキマとビームが彼女によって首の骨をバキバキに折られた後、地面に放り投げられる。

彼女は瓶から酒を体内に入れ込んでおり、この状況にはとてもそぐわなかった。

 

「うわぁ……」

 

 

「お、起きれ、ない……!」

 

 

「お前達も筋肉と骨の仕組みは私達と同じだ。首の骨を折れば動けなくなる」

 

「ただ人間様と違うのは……」

 

するとビームが突如興奮し始める。

 

「ギャッ!血の匂い!!」

 

彼女が懐から出したのは血液パックだった。二人の口に血液を注ぎ込む。

 

「血を飲めば復活するところだな」

 

 

「うう…」

 

 

「あ〜…ちょっと、何してんのアナタ!」

 

酒をグビグビと飲み干しながら彼女はマキマ達に話していく。

 

「デンジにお前達を鍛えて欲しいと頼まれた」

 

「お前の心臓がなぜだかは知らんが銃の悪魔に狙われている。なのにお前が簡単にやられるサゴだから困っているんだろう」

 

 

「なんでオレ達、シメた!?」

 

ビームの質問にも彼女は答えていく。

 

「私は人間を鍛えた事はあるけどお前達みたいな悪魔は一度もない。酔った私はどうしようかと考えた」

 

「そしてアルコールでやられた脳でついに閃いた」

 

「私は最強のデビルハンターだ。最強の私を倒せる悪魔は最強であるから…」

 

二人に人差し指を向けてこう言い放つ。

 

「お前達が私を倒せるようになるまで私はお前達を狩り続ける」

 

 

「ギャッ!!コイツ、ヤバい!!」

 

 

「だよね。ていうかデンジさんが最強だし…」

 

二人が彼女のイカれっぷりにああだこうだ言い合っているとこちらに接近してくる。

 

「じゃあ再開」

 

彼女は懐から何かを取り出そうとしている。

 

「酔ったおばあちゃんでも殺しちゃったら逮捕だよ!」

 

 

「ヴヴヴ……!」

 

ビームは唸りながら凶暴な歯を露わにして行く。

 

「マキマ、掴まれ!」

 

ビームの体に掴まって戦闘態勢を整える二人。ビームの移動で素早く彼女に近付き、顔面パンチを喰らわせようとする。

しかし一瞬で姿勢を屈めて、懐から取り出していたナイフで何度も刺していく。最終的には顎から頭上までナイフをずっしり刺して貫通させる。

その隙にビームが彼女に襲いかかってくる。

 

「ヴァ!!」

 

しかし彼女はナイフで頸動脈を素早く切り、ビームの動きを止める。

マキマが地面に勢いよく倒れ込む。

 

「ギャウ…!がっ」

 

彼女は破損したナイフを見つめながら二人のことについて呟いていく。

 

「女の方は不死身、魔人の方は半分不死身。咄嗟に人の頭をぶん殴れる脳みそを持っていて、二人に人権はない」

 

「……私は小さい頃から力が強くておもちゃをすぐに壊してしまう。だから壊れないおもちゃが欲しかったんだ…」

 

そして二人の方を向くとこう伝える。

 

「私がお前達を最高にイカした奴らにしてあげるよ」

 

 

「ギャッ…」

 

一方その頃、病室内で姫野は幽霊の悪魔をここに呼び出そうとしていた。

 

 

 

「ゴースト」

 

 

 

しかし呼んでも出てくる気配はなかった。黒瀬はそんな状態を見て姫野に意見を述べる。

 

「…ほら出てこないでしょ?」

 

「キミは幽霊を無茶に使って嫌われた。もう二度と幽霊は使わせてもらえないだろうね」

 

「その刀も呪いの悪魔のヤツでしょ?それも後どれくらい使えるの?」

 

ここで姫野は先程言われた指導の意味を理解する。

 

「……指導っていうのはそういう事か」

 

 

「お察しが良くて助かる〜」

 

 

「俺らは特異課にいる人間組のキャリア相談にきました」

 

「不謹慎やけど、今回の事件でやめどきだと思いましたけど?実際キミの課の人が一人民間にいったし」

 

 

「続けるなら続けるでそれなりの覚悟をキミにはしてもらう」

 

 

「覚悟…?」

 

姫野はその言葉を意味を知りたいが為に問う。天童が公安を辞めない場合の案を解説し始める。

 

「やめねえならもっと強い悪魔と契約して特異課に貢献してもらわなきゃいけねえみたいです」

 

「公安やめて残りの人生楽しむか、公安続けて地獄を見るか」

 

姫野は二人にそう言われて少し沈黙を作る。しばらくすると二人の方は見ずにぽつりぽつりと呟き始める。

 

「家族を殺した奴も…バディを殺した奴もまだ生きてる」

 

 

 

「なのになんでやめられるんですか…?」

 

 

 

二人の方を見つめるその目は覚悟がガンギマっているのが容易に分かった。

 

「…そですか、わかりました」

 

「じゃあ今日はもう遅いんで帰りますわ〜明日また来て書類とか持ってきます」

 

病院からの去り際、黒瀬はふと呟く。

 

「京都ん先輩の言葉はホンマやったわ」

 

特異課にはまともな奴はいないから気をつけろってね」

 

「もうちょっと自分を客観的に見たほうがいいですよ」

 

姫野は黙り込む。すると黒瀬が姫野に男性のお客さんが来ていることを伝える。

 

「じゃごゆっくり」

 

二人が病室から出ていったあと、続けて一人の男性が手提げ袋を抱えて姫野の病室に入ってくる。

その顔にはとても見覚えがあった。

 

一方、マキマとビームが受けた地獄とも形容できる今日の訓練がついに終わりを迎える。

もう辺りは真っ暗であり、夜中の恐さを象徴していた。

 

「寝るから帰る。明日家に迎えに行くからな」

 

そう伝えてこの場から彼女は去っていく。無心でその場に二人が立っているとマキマは後ろにバタンと倒れ込む。

 

「おぎゃ……」

 

 

「ギャッ?」

 

 

「おぎゃ…んぎゃあ…おぎゃああ……」

 

ストレスによりマキマの精神が崩壊し、幼児退行してしまう。そんな彼女に青ざめたビームは必死にマキマをボコボコに殴っていく。

 

「また頭、オカシクなってる!!治れ!治れ!」

 

「ヴヴヴ!!治れえええ!!」

 

鼻血が出るくらいに顔をボコスカ殴ったので、マキマの意識は正常に戻っていく。

 

「はっ…!にゅあ〜…………私は今日何回殺された!?」

 

 

「えっと…20回は超えてる!でもマキマが死んだとき、オレも気絶してるから、よくわからない…」

 

マキマは立ち上がり、ビームとお互いの意見を言い合う。

 

「あのニンゲン、強すぎる…」

 

 

「こんな生活続いたらホントに楽しくないよ」

 

「楽しくなる為に頑張ってきたのに楽しくなくて頑張るのはゴメンだから」

 

 

「一緒に逃げる?オレ、移動しやすい!」

 

ビームがそのように提案してくる。そうできたら嬉しいのだが現実は複雑なのである。

 

「逃げたら公安から逃げた事になって今度こそ本当に私たちは悪魔扱いになるんじゃない?」

 

真っ暗で先の見えない道路を見つめながら呟く。ふと、マキマは彼女に対する苛立ちが湧き始める。

 

「あのアル中女…!私達をおもちゃ扱いしちゃってさ〜だんだんホントにムカついてきた…!」

 

 

 

「ギャッ!!わかった!!」

 

 

 

唐突にビームが叫び出したのでマキマも一瞬困惑する。何か思いついたようなので聞いてみる。

 

「何が?」

 

 

「あのニンゲン倒す方法!」

 

そしてビーム発案の作戦がマキマに報じられる。

 

「あのニンゲンスゴく強い!!でも酒で頭オカシクなってる!!だからオレら、頭使って戦う!!」

 

知能が低いビームにしては頑張って言葉を捻り出したのが見て取れた。マキマもそれには納得する。

 

「なるほどね…!私最近憧れてたんだ!漫画とかの頭いいキャラみたいに戦えたらいいなってさ!」

 

 

「頭であのニンゲンぶっ殺す!!」

 

 

「ビーム君の足りない知能の分は私がカバーすればいけそう!!」

 

こうして二人による頭脳を使った殺害作戦が立てられるのであった———

 




ネギ大好き!
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