チェンソーウーマン   作:やまなお

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でいどりーむ大好き!


ジョンは教会で眠った/バン バン バン

 

ヨシダが謎の男と対峙している中、マキマは教室の机に仰向けになっていた。

 

「チェンソー…好きな人が二人できちゃったよ…誰だと思う…?」

 

心臓となったチェンソーに問いかけながら、マキマは色んな人を妄想していく。

 

「天使君は…一応男だけどちょっと中性的すぎるからな……」

 

「コベニちゃんとバディ組んでる魔人…名前なんだっけ、体つきは良さそうだけど顔見えないしな……」

 

「ビーム君は今でもたまに私に噛み付いてくるし、食いしん坊で凶暴で静かにできないし服着るのも時々拒むじゃん」

 

浮かび上がってきた下着姿の男性陣に対してケチを付けていくマキマ。次にマキマは目を瞑り、2人の人物を思い浮かべる。

 

「どうしよう……目をつむると……」

 

「二人になっちゃったよお〜!」

 

そうして浮かび上がってきたのは下着姿のデンジとヨシダであった。マキマの妄想の為、かなり魅惑的に二人が描かれていた。

 

「チェンソーはどっち選ぶ?」

 

なおそんな妄想をしている間にも、ヨシダは謎の男から必死に逃げ続けていた。

机を倒してなるべく時間稼ぎをしていたが、急ぐあまり転んでしまう。

 

「ハア、ハア、ハア……!」

 

 

「なんで逃げるんだ?連れション行くって約束したろ?」

 

 

「はっ…」

 

ヨシダは何とか立ち上がり、階段をかけ上る。後ろから男の不気味な声と足音が聞こえてくる。

それでも何とか足を動かし、やっとの思いで屋上の扉を勢いよく開ける。

外はザーザーと土砂降りの雨が降っており、すぐに服はびしょ濡れになってしまった。

 

「お〜い、もしも〜し、キミは屋上でションベンすんのか〜?」

 

男が屋上に上がってくる。ヨシダは震えた声で男に問いかける。

 

「キミは…キミはなんなんだ!?」

 

 

「そういう事聞く自分こそ己が何者なのかわかっているのか?」

 

「俺はお前を知っているぜ、お前はチーズだ」

 

ヨシダの事をチーズだと表現する謎の男。続けて男は自分の目的をヨシダに話していく。

 

「ネズミを表に誘き寄せる為のチーズ」

 

 

「何を言ってるんだ…?お願いやめて」

 

男は気持ち悪い舌なめずりしながらヨシダに今から自分が行うことを話していく。

 

「これからお前の顔の皮を剥いで、目をくり抜いて、チェンソーに見せつけてこういうんだ」

 

「キミの大切な男性はまだ生きているよ」

 

「するとなぜだかだいたいみんな俺の言う事を大人しく聞いてくれるんだ」

 

そのように語る謎の男を真正面で見つめながら、ヨシダは右の瞼をピクつかせていた。

 

「だから後は殺すだけ、お前の体で欲しいのは皮と目だけなんだ」

 

 

「命は、いらない…!!」

 

 

「アあ、あああアアア!」

 

ナイフを持って襲いかかってくる謎の男に恐怖で叫び出すヨシダ。しかし叫び声を上げながらヨシダは男に飛びつき、足で男の胴体にしがみつくとナイフを持っている腕を強引に後ろに回し、自らの体を男の後ろに持っていく。

何が起きているのか分からない謎の男。そんな彼に容赦なくヨシダは自らの手を交差させて、空いた部分に男の顔を入れると、そのまま後ろに倒れる。

腕でギュッと首を絞めているので、男がヨシダの腕から抜け出そうと必死に足をバタバタさせている。足をバタバタさせる度に水しぶきが舞う。

 

「アぱ、ぱアパ、ぱ、パ、あ、ア、ア、ぱ」

 

何度も何度も足をバタバタさせるのでバシャバシャと水しぶきが舞う。

無表情で男の首を絞めるヨシダであったが、ふと、口を開き歌を歌い始める。

 

 

 

День моего свидания с Джон

 

Все готово

 

Утром мы пойдем вместе в церковть

 

Мы будем пить кофе и есть омлеты в кафе

 

Мы пойдем в аквариум и увиде* любимых Джон, дельфинов и пингвинов

 

После обеда мы отдохнем

 

Итак, что мы сделали утром

 

Мы будем говорить об этом пока не вспомним

 

Мы не вспомним

 

И ночью мы будем спать в церкви

 

 

 

ヨシダが今歌った曲は、普通の恋人同士のデートの歌であった。一説によると、人を殺害するのにかかる時間がこの歌の長さと一致するらしい。

誰もいない学校の体育館や図書室、音楽室などは酷く不気味だった。

姫野と天使の悪魔はタクシーに乗って、外から聞こえる激しい土砂降りの音と共に移動していた。

デンジは東京本部にてジュースを飲みながら書類を確認していた。少しジュースが書類に零れており、ジュースが入ったカップを手に取ると、外の土砂降りの様子を見ながらカップを揺らしていた。奇しくもヨシダが歌っているリズムと合っているのは、偶然だろうか。

 

男はヨシダにより窒息死させられた。あれだけ足をバタバタさせていたというのに、酷く大人しくなっていた。

ヨシダは立ち上がると、屋上にある排水溝に近付く。ヨシダは誰もいないはずの排水溝に話しかける。

 

「嵐で学校に閉じこめたのキミだろ、台風

 

 

「ヨシダ様ガイタトハ、知リマセンデシタ」

 

排水溝の中からは幼い甲高い声が聞こえてきた。それもそのはず、中には『台風の悪魔』がいるからである。

 

 

「今回の事を見逃すからしばらくオレに服従な。あの男の死体は処理しておいて」

 

 

教室ではマキマが窓ガラスに顔を擦り付けて、外の土砂降りの様子を見つめていた。

すると廊下からこちらに向かってくる足音が聞こえる。ヨシダが帰ってきたと思い、扉の方を見るマキマ。

 

「バア!」

 

 

「わぎゃっ!?」

 

見えない所からいきなり顔を出してマキマを驚かせるヨシダ。マキマはヨシダがびしょ濡れな事に気付き、ヨシダにツッコミを入れる。

 

「トイレ行ってなんでそんなに濡れてるの!?」

 

マキマの指摘はごもっともである。ヨシダはどのように誤魔化そうと考え、マキマの横に移動して話題を変える。

 

「アレ!?マキマちゃん!!あれってUFOじゃない!?」

 

 

「え!?ユーフォーって何!?」

 

 

なんとも子供騙しな話題の切り替え方である。それはともかく、約束通り夏祭りには二人で参加することになった。

輪投げをしたり、綿飴やりんご飴を食べたり、金魚すくいをしたりなど、様々な屋台を巡っていった。

そして二人は小高い丘の上に登る。

 

「この場所カフェのマスターに教えてもらったんだ。花火が一番見えて誰も人来ないマル秘スポットなんだとよ」

 

 

「ふ〜ん」

 

マキマは柵の上に腕を乗っけてボーッと先を見つめていた。ヨシダは少し離れた所に立っていたが、マキマの方を見て呟く。

 

「ねえマキマちゃん」

 

 

「ん?」

 

 

「いろいろ考えたんだけどさ、やっぱり今のマキマちゃんの状況おかしいよ」

 

「16歳で学校にも行かせないで悪魔と殺し合いさせるなんて、国が許していい事じゃない」

 

マキマがヨシダを方を向くと、ヨシダが両手でマキマの両手をギュッと握る。

 

「仕事やめて………オレと一緒に逃げない?」

 

「オレがマキマちゃんを幸せにしてやる、一生守ってやる」

 

「お願い」

 

 

 

—————————————————

 

 

 

ヨシダからの提案。マキマはまず気になった事を聞いてみる。

 

「遠くに…逃げるって…どこに?」

 

 

「知り合いに頼めば絶対に公安から見つからない場所があるんだ」

 

「そこだったら……すぐは無理でも、いつか一緒に学校いけるよ」

 

 

「なんでヨシダ君がそんなコト……」

 

一番の疑問をヨシダに聞く。ヨシダからの返答は実に簡単なものだった。

 

「だってオレ…マキマちゃんが好きだから」

 

ヨシダは目の前でマキマが悩みに悩み抜いてるのを見て、問いかける。

 

「なんでそんなに悩んでるんだ?マキマちゃんはオレの事、嫌い?」

 

 

「好きイ!」

 

即答だった。でもマキマはヨシダの提案に乗る事が出来ない理由を話していく。

 

「だけど…………最近仕事が認められてきてさ…監視がなくても遠くにいけるようになったし…」

 

「暴れん坊で食いしん坊なバディの扱い方もだんだんわかってきた。…それに、イヤ〜な先輩ともやっと仲良くなってきたんだ」

 

「仕事の目標みたいなモノも見つけてさ、だんだん楽しくなってきてるんだ、今……」

 

「ここで仕事続けながら、ヨシダ君と…会うのじゃダメなの?」

 

ヨシダはマキマから提案を拒否されてしまった。口を半開きにしながらマキマを見るヨシダ。そして少し俯き、目線をマキマから逸らすとふと呟く。

 

「そっか、わかった」

 

すると再びマキマの方に視線を戻し、マキマの図星を突く。

 

「マキマちゃん、オレの他に好きな人いるだろ」

 

 

「え?」

 

花火が打ち上がる。それと同じタイミングで、ヨシダがマキマの顔をそっと掴んで濃密なキスを始める。

花火が打ち上がり始めたので、何発も何発も色とりどりの花が夜空に咲いていく。二人は体を密着させて長い間キスをする。

 

しかし、唐突にマキマが後ろに倒れる。キスの気持ちよさから倒れてしまったのだろうか。いや違う。

マキマの口からは血がボタボタととめどなく垂れてくる。ヨシダは舌を出す。そこには噛みちぎられたマキマの舌が乗っていた。

同様するマキマ。ヨシダはそんなマキマに容赦なく、持っているナイフでマキマの首を切る。

咄嗟の判断でマキマは胸のスターターを引こうとシャツに手を突っ込むが、ヨシダに手首を切られ阻止されてしまった。

 

尻もちをついて崩れ落ちるマキマ。そんな彼女に近付くと、項垂れている顔を上げてもう一度濃密なキスをする。酷く強引で、痛みと気持ちよさのマリアージュだった。

 

「痛いな?ごめんな?」

 

「マキマちゃんの心臓、貰うな?」

 

持っているナイフでマキマの胸部に刃を当てる。そして奥深くまで刺していく……しかしそれを阻止するかのように、横から物凄い勢いで誰が割り込んでくる。

 

「待てえええエエエ!!」

 

なんと横からパワーが割り込んできて、マキマの体を抱えて柵の向こうへと慌てて駆けていく。

 

「え!?」

 

草が生い茂る斜面をマキマを抱えて駆けていくパワー。普段は能天気なパワーだがこの時ばかりは非常に慌てていた。

 

「猫と戯れつつもチェンソーの事つけてたんじゃが…なんじゃアイツは!!」

 

「あの血の匂いはヤバいぞチェンソー!」

 

 

「あの匂い!アイツ、ボムじゃああああああ!」

 

 

ヨシダは柵の上に登り、不安定な足場だというのにそこに立っていた。

そしてチョーカーから生えている……いや、()()()()()()()()ピンに手を掛けるとこう呟く。

 

 

 

「ボンっ」

 

 

 

ピンを抜くと、ヨシダの頭部にエネルギーが溜まり、そしてそのまま爆発する。

爆発の衝撃で破損した腕に黒い何かがコーティングされ、胴体にもそれは纏わりつく。

細長い爆弾のような物を腹部から沢山ぶら下げる。頭部は核爆弾を模したような異形頭になっていた。

ヨシダの周りに破損した頭部や腕の肉片がポロポロと落ちる中、下の道路の方にマキマを抱えたパワーを見つける。

 

「泥棒」

 

柵の上に乗ったまま姿勢を屈め、二人がいる場所に向かって、爆発の勢いに乗って突撃する。

着地の勢いで道路が一部粉々に破壊される。その衝撃でパワーとマキマは吹っ飛ばされるのであった———

 




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