色々言いたいことはあるけど、タツキ先生連載お疲れ様でした。
あと久しぶりの投稿になって申し訳ございません!作者はマイペースなのでかなり間が空くこともありますが気長にお待ちください……
(※後半、1部BL要素が含まれております。ご注意下さい)
幼いマキマがドアの前に立っている。中から聞こえてきたのは大好きなチェンソーの声。
「開けちゃダメだ」
そこでマキマは夢から覚める。心拍数が上がり、冷や汗が垂れる。
ベッドの上ではニャーコが佇んでいた。可愛らしい声を上げてマキマの声を伺っていた。
「ニャーコちゃん……」
「…また変な夢みちゃったよ」
いつも通りマキマ、姫野、ビームの3人で朝食を食べる。ただしマキマはボーッとしながら俯いており、ビームはニャーコを抱き抱えながらぶつくさと文句を言う。
「ニャーコ、オレがいない間マキマと寝てた…それにオレが帰ってきてもマキマと寝てる…」
「ニャーコの飼い主はオレ!えーっとウラギ…リ?っていうやつ、よくない!!」
そんな発言には目もくれず、ふとマキマは姫野が飲んでいるコーヒーを見た。
(コーヒー……コーヒーといえばヨシダ君…)
夜まで待ったが結局来なかったヨシダの事を思い浮かべ、脳内にはヨシダの事で頭がいっぱいだった。
(私のハートはヨシダ君に奪われちゃった。もう一生喜んだり悲しんだりできないのかもしれない)
そんな風に考えながら支度をしていつも通り公安本部へと出勤する。今日は3人ともデンジに呼ばれており、デンジがいる部屋へと向かう。
どうやらデンジから3人へ提案があるそうで、デンジの提案とはこういうものだった。
「俺しばらく忙しかったからよォ、有給取って江の島に行くンだ。姫野家と一緒に来ねえか?」
「ヤッター!!」
「行きます」
先程の魂が抜けた様子とはうって変わってマキマはデンジの提案に飛び跳ねて喜んでいた。
なお姫野もデンジの提案に即決していた。ビームはというと……
「オレ、その日食い放題の店行く…」
「まだ日にちは決めてねえぜビーム」
ビーム、無念。
「姫野達の都合に合わせンから休める日教えろ」
「私は有給使ってないのでいつでも…」
デンジが姫野と旅行の日程をいつにするか少々話し合っている中、マキマの脳内はデンジとの旅行の事でいっぱいだった。
「デンジさんと旅行なんて夢みたいだ……!生きてきて良かった事ランキングベスト10に入るね!」
するとマキマ達がいる部屋の扉が開き、大勢の公安のデビルハンターが入ってくる。
なんだなんだと思っていると1人のデビルハンターがデンジに耳打ちをする。
それを聞くとデンジは珍しく真剣な表情を浮かべる。
「不味い事になったな」
部屋に置いてあるテレビをつける。そこで報道されていたのは……
『敵か味方か、恐怖デンノコ悪魔』
『町に現れた悪魔をブウンと斬り倒していくのは、公安デビルハンター職員の服を着たデンノコ悪魔だ』
なんとマキマの活躍が報道されていたのだ。マキマとビームはテレビの報道に食いついて見ていた。
その様子を見ながらデンジは呟く。
「公安でこのこと流されねえように頑張ってたんだけど今回はダメだったな。被害がデカすぎてテレビ局止められなかったみてえだ」
「キャキャ!電車でマキマ、戦ってる!」
「これって私の事報道されたらなんか良くない気が…でもテレビに映るのは気分いいな…」
ふとマキマはデンジ達の方を振り返る。するとデンジはテレビの報道画面を見ながらボソッと呟く。
「ヨシダの野郎…仕事ァ果たしたってワケか」
「え?」
マキマはデンジの呟きを上手く聞き取ることが出来なかった。デンジは続けて今の状況とこれから起こるであろう事態を話していく。
「テレビのせいでマキマちゃんが日本にいる事を世界中に知られた」
「アメリカと中国あたりはマキマちゃんを欲しがるだろうなア〜マキマちゃんのような悪魔でも魔人でもねえ存在はよォ、すごく貴重だから」
「ボムはソ連の刺客でしたよね?なんでわざわざ欲しがる敵を増やすんですか?」
「…マキマちゃんが俺の手にさえなければいいっつー事だろうな」
デンジがいつにも増して冷静に思考を巡らせている中、マキマとビームは呑気に江ノ島の話題で盛り上がっていた。
「江の島かあ〜…江の島って島かな?」
「江の島、ウマイものある…?」
するとデンジが唐突にマキマへ大事なことを伝える。
「マキマちゃ〜ん、悪ィが旅行は延期」
「え…?」
マキマは言葉の衝撃により固まっていた。デンジは部下達にテキパキと指示を出す。
「宮城公安の対魔2課から日下部と玉置呼んどけ。京都公安対魔1課からはスバルを」
「はい」
「あと民間にいる××レゼを一月くらいか?雇っとけ」
「はい」
「旅行…?延期…?」
「やった〜!」
ビームは江の島旅行が延期になった事に大喜びしていた。デンジは振り返りマキマに伝える。
「これからしばらくはよぉ、いろんな国の刺客がマキマちゃんを殺しに来る。しばらくは自由がないと思っとけ」
デンジ達は部屋の外に出ていき、扉がバタリと閉まる。マキマは口をポカンと開けたまま突っ立っていたのであった。
デンジ達は廊下を一斉に歩いていく。するとデンジは後ろにいる姫野に歩きながら話していく。
「ゴタゴタが続いちまってるけどよ、来年には銃野郎と戦うから、姫野も作戦に参加してもらうぜ」
その言葉に姫野はそれは本当かという表情を浮かべていた。
「今回のやつで死なねえようにな。銃の悪魔をぶっ殺すには皆の力が必要だからな!」
その話を聞きながら、ふと姫野は天使の悪魔と中華料理店で昼飯を取った時の会話を思い出す。
「知ってるだろうけど、本当の意味で悪魔が死ぬ事はない。たとえ死んで灰になっても、人がその名前に恐怖する限り別の個体になって蘇る」
「ただし蘇るのはこの世界にではなく、地獄にだけどね」
「そんでもって、嘘かホントか地獄で死んだ悪魔がこの世界に来るらしい。悪魔は輪廻転生をしているんだ」
なんだか言い方的に曖昧であった。それについて姫野は質問する。
「らしいって…君は悪魔でしょ〜?地獄ってのを覚えてないの?」
「キミは母親の子宮にいた頃を覚えているかい?」
天使の悪魔の発言には何も言えない。当たり前だが、覚えている者なんて誰もいないだろう。
「で…なんの話がしたいの?」
すると天使の悪魔は少し真剣な表情を浮かべ、口を開く。
「…こっからする話は誰にもいうなよ」
「特異課の悪魔連中ち聞いても地獄の事を覚えているヤツは誰もいなかった」
「ただみんな……みんな地獄で死ぬ直前に聞いた音は覚えていたんだ」
「音?」
「ああ」
「不思議な事に…特異課の全員が同じ音を聞いている」
「……どんな音なの?」
そう聞かれた天使の悪魔は右手を胸に近付け、何かを引くようなジェスチャーをする。
「この間チェンソーちゃんのエンジンを吹かしたんだ、ブウンってね……それと同じ音だったよ」
その時の会話が何故だか姫野の脳内に残り続けるのであった。
場所は変わって自由の国、「アメリカ」。その国の何処かにある家にはとある三姉妹がいた。
「お国からお仕事を貰った。今回はデビルハンターの仕事じゃない」
「おそらく人を狩る事になる」
「人を狩る〜?ハニトラ?日本と言えば男だよね」
「姉さん達はどの国行っても男じゃん」
三姉妹の長女がフォークを持っている手で武器人間状態のマキマが映っているテレビを刺しながら今回の仕事の内容を話していく。
「このノコギリ女を殺してアメリカに連れてくる。そうすれば200万ドルくれるってさ」
「200〜!?ケタ間違えてない!?」
「危ない仕事だ。おそらく公安と警察に守られてるトコを攫わなきゃいけない。私達の存在が明るみに出てもアウトだな」
それを聞いた三女はその仕事の危険性に臆したのか、この仕事を断るべきだと言う。しかし長女はこう言う。
「私達姉妹は死なない」
「私が死ぬ瞬間を想像できるか?」
三女は全力で首を横に振る。
「この馬鹿が死ぬ瞬間は?」
三女は全力で首を横に振る。
「お前は?お前自身はどうだ?」
三女は目を瞑りながら悩む。
「銃の悪魔に家ごとぶっ壊されても私達は死ななかった。父さんと母さんと婆さんは死んだのにね」
「悪魔に飲み込まれても家火事になった時も、3人で食あたり起こした時も私達は死ななかった」
「だから私達は不死身だ」
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異国の地の銀世界にて、キツネ狩りをする1人の女とそれを後ろから見守る1人の男がいた。
キツネを狩ると後ろにいる男に女は質問する。
「師匠、キツネ狩りに何の意味が?」
「××、命を殺した感覚はあるか?」
「そうですね…弦の振動しか感じませんね」
「そうか」
死んだキツネの毛皮を剥いでいく。そこでまた男は彼女に質問する。
「××、命を殺した感覚はあるか?」
「…毛皮は家の仕事で剥いでましたからね、特に何も…」
キツネの肉を使い、シチューを作る。食卓にて男はまた彼女に質問する。
「××、キツネを殺した感覚「ありません」
シチューの入った鍋を食卓に置きながら女は即答する。
「そうか」
「××…今回の仕事はデビルハンターの仕事ではない」
男は懐から1枚の写真を飛び出して女に見せる。写真に映っているのはマキマだった。
「この16歳の少女を殺すのが仕事だ」
「…まあ…私はできますよ」
暖炉から火のパチパチとした音が聞こえてくる。男は手を合わせて大事なことを話す。
「××、これから俺達はこのキツネにした事を16歳の少女にする」
その言葉を聞くと女は表情を強ばらせる。続けて男は説明していく。
「少女を殺して、心臓をもぎ取り、それを仕事にし生きる」
今までのキツネ狩りの流れはこの仕事を行えるかのチェックだったのだ。女は少し間を置く。そして口を開く。
「師匠…私は殺せます」
「お上の方々が約束してくれた。次の仕事が終われば師匠はデビルハンターをやめられる…」
「師匠はあと半年しか生きられないんです。余生は平穏に過ごして欲しいんですよ、私は」
「××……」
寒い寒い雪国にある家の空間は何処か寒く、何処か儚かった。
場所は変わって繁華街軋めく「中国」。店も車も人の通りも多い中、何処かの施設にあるベッドにて男と男が舌を絡めたキスをしていた。
ベッドの上では1人の武器人間の男が4人の魔人の男と全裸で身を寄せあっていた。
「はあ〜…キシベ様よかったです〜…」
「ハロウィン!ハロウィン!ハロウィン!」
後ろの結びがお化けのようになっている者や、頭の半分が脳みそ丸出し及び片方の眼球が飛び出た者、2本の角を生やした者、顔や身体の複数箇所が縫い付けられている者、そしてその4人を従える、口から左側を塗っている者……なんとも個性豊かな面子であった。
その5人に軍隊のような服を着た男が、マキマの映った写真を持って話しかける。
「仕事だ。日本に行ってこのノコギリ女を捕まえてこい」
「褒美は?」
「今回は今までで一番危険な仕事だ。要求はできるだけ聞くと元帥様が言ってくださっている」
その言葉を聞くと武器人間の男は4名の魔人それぞれに望みを聞く。するとそれぞれ自分の望みを答えていく。
「や〜った!ドーナツ!僕ドーナツ100コ!!」
「血」
「ハロウイ〜ン!」
残り1人は何も答えなかった。それを聞いた武器人間の男は自分の望みを答える。
「俺の男達に人権と義務教育を」
「検討する。成功したらな」
場所は戻って日本の首都、「東京」。デンジとクァンシが横並びに歩きながらこれから来る刺客達について話し合っていた。
「中国からキシベが刺客として来るそうだぜえ〜?」
「ま、多分仲間の魔人達と一緒に来るだろうな。どうやって向かい討つかなあ〜…」
「アイツには近づきたくはないな。全人類が集まって素手で殴り合う競技があったなら1位がキシベだ」
「とにかくやりにくい男だよ」
クァンシはキシベの実力についてよく知っているようだった。実際に会ったことがあるのだろうか。
デンジは続けて刺客について話していく。
「こっちに来るヤベエ奴はアイツだけじゃねえな」
「…キシベは警戒しても仕方ないか。警戒すべきは……」
「ドイツのサンタクロース」
クァンシの言葉に続くようにデンジが発言する。クァンシはデンジにそのサンタクロースが来ると思うか質問をする。
「ど〜かな……寿命で死んだっていう噂もあンけどよ……」
「アイツに悪魔を使われたら終わりだからな。天に召されてるのを祈るか」
場所は変わって西洋の街、「ドイツ」。街中の公園のベンチには1人の老人が新聞を読みながら座っていた。その隣に白と黒を基調した料理人に似た服装を着る男が座る。
その男は隣の老人に対して呟く。
「……少し早いがクリスマスだ」
「……プレゼントは誰に?」
その男はプレゼントはマキマに向けるものだと伝える。老人からは報酬を問われ、男は何が欲しいかと質問する。
少し間を置くと、老人は自分の欲しいものを伝える。
「性別は問わない。美男美女を4人ほど養子にしたい」
「……目的は?」
「3人は契約に使う。一人は趣味だ」
「…用意する」
男は立ち上がって去っていく。老人だけが1人ベンチに取り残されるのであった。
場所は変わってまた東京。マキマは自宅の廊下に横になっていた。ボンヤリと見つめる先にはテレビがあった。
マキマは唐突に変貌したこの状況に対して一番の疑問が脳内に蠢く。
(なんで私の心臓みんな欲しいんだろ…)
(…そもそもチェンソーは何者なの?あと、あの時言ってた自分よりも前にチェンソーと一緒にいた人も一体誰なんだろう……)
(なんで……)
「なんでデンジさんと旅行行けないの……」
姫野はそんな状態のマキマを見ると、マキマの背中を椅子代わりに座る。
上が重くなったのでマキマは姫野に文句を零す。すると姫野はマキマのためになることを話していく。
「一生ずっと殺し屋に命狙われるわけじゃないよ」
「今回来るのを全員捌けば相手も様子見してくる。そうすれば旅行に行ける」
「デンジさんは旅行を中止とは言ってない。延期なんだよ」
姫野の言葉を聞いたマキマは活力が漲ってくるのを感じ取る。
「な〜んだじゃあ簡単じゃん」
「全員ぶっ殺せば、江の島行けるっていう事か!」
岸辺さん大好き!