オーバーロードにTS転生者を叩き込んでみた   作:連載として再構築

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序章 3 運命との邂逅

人の理想って何があると思う?

 

立身出世の果てを極める? 確かにそれはありだな。

自らの肉体の限界に挑み、他を圧倒する力を手に入れる。うん、それもいい話ではある。

 

けれども、僕の場合は少し違うかな。

僕にとっての理想とは、女性にこそ存在する。

 

そう、

 

風に揺れる青みがかった銀色の長い髪。

 

幼さから少し脱却し、それでも幼さを含んだ容貌。

 

抱きしめれば砕けてしまいそうな程柔らかな、控えめな曲線を描いた身体の線。

 

白磁のような白さの肌。

 

口を開けば万民を魅了する、鈴を転がしたような声。

 

鼻腔をくすぐる甘く艶めかしい香り。

 

そんな、現実ではお目にかかれるはずのないような、美少女。

いつの日からかは分からないけれども、僕の脳裏にはそんな少女の姿がずっと居座っている。

前に茶奈姉さんに話したときは鼻で笑われたけれども。

 

『あのね~、龍也。あんまり女性に夢を見ない方がいいわよ』

 

そりゃあ、自分だって分かってるよ。

独り言ちながら、僕は今日から通うこととなる中学校へと歩いていた。

 

「亜理紗、大丈夫か? 中学までついていかないで平気か?」

「もう、悟兄さん考えすぎだって。兄さんだって今日学校でしょ?」

 

そんな都合のいい女の子、現実にいるわけないって。

にしても後ろから聞こえる女の子、いい声してる。

自分の理想の少女みたいだ、心地よくていつまでも聞いていたくなる。

 

「そうは言っても、亜理紗は可愛いすぎるから心配なんだよ」

「ふふっ、大丈夫よ兄さん。小学校の頃だって――」

 

そこまで言って女の子は僕の後ろから前へと少し走り出した。

僕の視界の端に銀色の髪が舞った。

同時に甘く艶めかしい香りが僕の鼻腔をくすぐる。

 

「えっ?」

 

銀色の髪に、甘い香りに惹かれて、視線を声の主へと向ける。

そこには――僕の理想がいた。

 

夏用の制服であるシャツから見える肢体は幼さを含み、肌は透けるくらい白かった。

制服のリボンからすると、彼女は僕と同じ中学に通う新入生らしい。

 

「今までだって問題なかったじゃない。だから大丈夫、悟兄さん♪」

 

そう言って、振り返りながら彼女の言うところの兄に微笑みかける少女。

その笑みは僕に向けられたものではない。

そう分かっていても、顔から火が出そうなほど血が上っていくのを止められない。

 

うそだ。

 

こんな子が現実にいるなんて。

 

しかも、同じ学校で同じ学年。

 

彼女に近づきたい、彼女のことを知りたい。

 

もっと、もっと――

 

 

 

ペロロンチーノというハンドルネームを作ったばかりの僕、風野龍也はその日――運命に出会った。

 

鈴木亜理紗という運命に。

 

 

時が経つのは早いもので、転生したわたしも12歳となり中学生となった。

両親もまだ健康を維持できており健在、もう高校生である悟兄さんの環境に限って言えば原作ブレイクもいいところである。

 

でもそのことについては、わたしはもう考えないことにしている。

原作における現実世界の描写自体少なかったはずだし、そもそも兄さんの人と為りの過半はユグドラシルをプレイしていた時期に培われたものだったはず。

 

だから、もう細かいことは気にするのはやめた。

 

決定的な事項として、ユグドラシルさえプレイしてもらえる事が原作を維持できるなら、その他は私の生きたいように生きることにしたのだ。

とりあえず、第一目標としては兄さんが成人するまで両親には健在でいてもらって、親子で和やかにお酒を飲むところを見たい。

わたしにはできそうもないことだから。

 

「……」

 

この現実世界では、小卒の兄さんが就職していたように児童の労働禁止なんてものはないので、中学生になったわたしももう働くことができる。

 

わたしが幼いころに養子縁組の話を持ち掛けてきた人と小学校の時に会う機会があったのだが、両親が健在でありわたしたちの一家が崩壊していないことに気づいた彼らは、中学生になった後の時間限定の労働の一つとしてモデルなどの仕事をしないかと持ち掛けてきた。

 

わたしとしても、そのことで家計の助けになるのなら断る理由はない。

この入学式とクラス紹介が終わった後に、事務所で契約を締結し、最初の仕事をする予定となっていた。

 

「……」

 

えーと、ずっと隣からチラチラわたしに視線を向けてくる男の子、だれだろ。

小学生の時は見た覚えがないので、ほかの小学校から中学校に来た子なのかな。

 

「?」

「……――っ!」

 

彼に視線を向けると、視線が交わって彼の瞳に映ったわたしが見える。

どれだけわたしのことを見ていたんだろ。

視線が交わったことに気が付いて、彼は慌てて目をそらした。

 

ふふ、かーわい。

 

逆に彼の方に視線を向けていると、彼はいたたまれなくなったらしい。

冷や汗を垂らしながら端末をいじりはじめた。

 

「――」

 

そうこうしているうちに彼の端末画面の一部が見える。

そこにはペロロンチーノと書かれているSNSのプロフィール画面があった。

 

……え?

 

ペロロンチーノってあれよね?

ユグドラシルにおける兄さんのギルドのメンバーよね。

 

確か――シャルティアの創造主。

 

と、そこまで考えて一つ気が付いた。

 

長い銀色の髪。

 

白い肌。

 

幼さをはらんだ容貌の美少女。

 

――はっはっはっ、なるほど。

彼の理想そのものじゃないか、自分は。

 

そりゃ理想そのものな女の子が脳内から現実に飛び出して来たら、挙動不審にもなるか。

そうわたしは納得しながら、ペロロンチーノの現実世界での存在に再び視線を向ける。

端末の画面には、確かに銀髪の美少女のイラストとかがチラチラと目に入ってきた。

 

でも、目の前の女の子より端末に意識を逸らすのは1点マイナスだよ。

ペロロンチーノさん、ううん、風野龍也くん。

名札にそう書かれていたので、間違いはないだろう。

 

「ねえ、風野龍也君?」

「え、嘘。どうして僕の名前を?」

「ふふっ、入学生の名札、胸につけているでしょ? わたしも、あなたも」

「あぁ、そうだった」

 

そんな会話を交わしながら、わたしは今後どう振る舞うか考え始めていた。

 

だって――

 

ごめんなさい、元男だったとしても――

 

エロゲーはプレイしていたし、そういうのが好きな人がいるのもわかるのだけれども――

 

 

さすがに、エロゲーマスターのズ〇ネタに自分がなるっていうのはちょっと流石に。

 

 

 

どこかの不定形スライムが、うちの弟はそんな輩ではないと怒っているような気がしたが、知らない。

しらないったらしーらない。




亜理紗、ペロロンチーノの脳を焼く。
こんな幼馴染がいて彼は立派なエロゲーマスターになれるのか

なお、
茶奈 → 茶 → ぶくぶく茶釜
龍也 → 龍 → ロン → ペロロンチーノ
の流れでリアルネームでっちあげました。

読者皆様のアリサの相手候補の意向確認

  • モモンガ
  • ペロロンチーノ
  • ジルクニフ
  • ガゼフ
  • ラナー
  • クレマンティーヌ
  • イビルアイ
  • ラキュース
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