TS娘が百合の間に挟まれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 作:孔子
あれから、私は勉強した。
来る日も来る日も勉強した。
幼稚園の頃、ずっと家に引きこもり机に齧り付いた私を流石に心配した母が外に遊びに行かないかと誘われても断り、
小学生になり、同じクラスの子が何でそんなに勉強してるの? と聞いてきても無視した。
中学生の頃には、遂にあれはそういう現象か何かだと見限られ、話し掛けてくるものもいなくなった。
それもこれも全て、万が一、億が一にも、芦ケ谷高校に落ちるなんてことが無いように。
・・・
そして、ついこないだやっと念願の芦ケ谷高校の合格通知を手に入れることが出来た!
入試の成績は何と満点!! 文句なしの主席合格らしい!
あまりの達成感と安心感に吐くほど号泣した私は、輪廻は本当に勉強が大好きなのねぇと最近では半ば諦めて接してくれるようになった母に驚かれながらも、良かったわねぇ頑張ったわねぇと頭を撫でながら慰めてもらって、さらに滝のように泣いた。涙を流し過ぎてもう少しで私自身がナイアガラの滝になるところだった。
なんとか落ち着いて来たところで、これまでもし芦ケ谷高校に落ちたらという不安で周りのことなんて全く意識する余裕がない程勉強していたために、この母や家族にどれだけ心配を掛けていたのかにようやく気づいた。
私は、ただひたすらにごめんなさいを繰り返し、ずっと見守ってくれていたこと、そして黙って応援してくれていたことを感謝した。
涙も鼻水も出し切って枯れ果てた後、やがて力尽きて眠ってしまった。
──────
目が覚めたら、今までずっと心配を掛けていたことをもう一度改めて謝った。
母もついに涙をほろりと流しながらも、ううん、大丈夫よ。元気になったみたいで嬉しいわ。と言ってくれた。
私は再び泣いた。
滝のように泣いた。
今世の母がこんなにも優しい人であったことを心から神に感謝した。もし私がこの世界で生まれたのが、この母の元でなかったら、絶対にもっと悪いことになっていただろう。気味悪がって捨てられていたとしても全然おかしくない。
また、母に抱きしめてもらい、頭を撫でてもらいながら慰めて貰っていたら、リビングに誰か入ってきた。
ぼーっと見つめる私を見て、母は妹だと紹介してくれた。
なんと! 私には妹がいたらしい。
名前は
甘織遥奈神は学年も違うためクインテットではないが、敬称に神をつけることを疑問に思うようなヤツはわたなれファンの中にいないだろう。彼女は間違いなく女神だ。異論も反論も認めない。
というか話が逸れていたが、今は妹の春香のことだ。
今までずっと相手にしてなくてごめんと謝ると、は? あんた喋れたんだ。と半ば本気の驚き顔で結構辛辣に言われてしまった。
12……いや13年間(二つ下ということは私が勉強の鬼に取り憑かれるよりも前から生まれていたということだ。どんだけ視野が狭くなっていたんだろう……2次方程式の解法やら、エチオピアのコーヒー豆の生産量だのを覚える暇があるのなら、もっと他に脳みそを使うべきことがあるだろうに……)も同じ家に住んでいたのに存在も認識していなかったようなヤツのことなど当然妹は嫌いらしい。
初対面(そんな訳がない)でかなりの美少女である妹に嫌われてしまったことにショックを受けていると……
ただいまぁ〜
玄関から父の帰ってくる音がした。父のことは存在自体は認識していた。
母がいるのだから、もちろん父もいるのだろうと、母の付属品みたいに認識していた。
ガチャっ。
「ただいま、帰ったよー」
身長175センチくらいのよく言えば優しそうな、悪く言えばちょっと情けないような顔の男が部屋に入ってきた。
「え!? 輪廻ちゃんがリビングにいる!!」
男はリビングにいる私を指挿してそんなことを言い放った。
……何だコイツ。私がリビングにいて何が悪いんだ? ここは私の家だぞ? (どう考えても10000対0くらいで自分の父親をコイツ呼ばわりしているコイツの普段の行いが悪い。彼は悪くない。)
「おかえりなさい、あなた、輪廻合格したのよ? 今日はお赤飯を炊いたんだから」
母が私が泣き喚いていたことなど一言も言わず、それだけ父に伝えた。
……この人も実は女神なのではないだろうか。ここまで優しくて私の節穴を通して見てもめちゃくちゃに美人なんだ。そうに違いない。
何だ、私は女神から産まれたのか。この人が神様転生させてくれた女神様だったのか。通りで世界を光で覆い尽くすほどの美人な訳だ。
全ての辻褄が合ったような感覚だ。
私がこの家に転生したことも、妹の顔が天使と見間違うほどかわいらしいのも、全て彼女が女神様だったなら説明が着く。
私は何だか、大いなるものに触れたような感覚になって祈りを捧げた。
「おおぅ、何故か輪廻ちゃんがママに祈りを捧げている……」
真剣な祈りを捧げている私に、情けない顔の男が何か言ってくるが無視する。
「ふふふっ、さぁそれじゃあみんなでご飯にしましょ?」
母という女神様がそう言ってくれたので、私はすぐさま祈りを中断して、食卓向かった。
その日のご飯は今世に生まれてこれまでで一番美味しく感じた。
父はいい人なんです。15年間も口を利かなかったような愚か者に普通に娘として接してくれているんですから、聖人と言って差し支えないでしょう。
本当は父にも思いっきり感謝するような描写を入れるはずでしたが、書き終えてみれば何だコレは…どうしてこうなった…
ほぼ初めて小説を書くので、投稿機能周りのミスや文章の内容におかしいところがあることも多々あるとは思いますが、何卒どうか温かく見守って頂けますと幸いです。