東方魂霊記   作:古明地こいしさん

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-レミリア・スカーレット-

「紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ」

 

玉座のような椅子に座る吸血鬼、レミリアさんが自己紹介をしてくれたのに見蕩れてしまった。と、ハッとなる

粗相があってはならない、と考え自分の名前を言う

 

「結目結弦です」

 

「結目結弦、いい響きね」

 

「ありがとうございます?えっと、こちらから尋ねておいてなんですがどう言った要件で僕だけを招いたんですか?言ってはなんですが、霊夢さんや魔理沙さんも同席しても問題なかった気がするのですが」

 

静かに首を振るレミリアさん。何か理由があるのだろう

 

「運命が視えたの」

 

「運命...ですか?」

 

確かに今日僕達が来たことに関しては、霊夢さんと魔理沙さんだけなら知り合いのようだし分かるけど僕に関しては幻想郷に来たのは今日が初めて

そんな状況で紫さんのように連れてきた張本人でもなければ知る方法はないはず

 

「えぇ、疑問に思った?」

 

「...いえ、紫さんも外の世界から僕を連れてきたり、咲夜さんも一瞬で移動したりとあるので何かしら能力がある。それが幻想郷なんですよね?」

 

「意外と聡いのね。嫌いじゃないわよ?貴方みたいな子は」

 

きゅ、吸血鬼に気に入ってもらったのは流石に人生初だけど...

 

「私の能力は運命を操る程度の能力よ、それでとある運命を視たの」

 

喉を鳴らす。どんな運命だろうかと、心の準備をしてレミリアさんの言葉を待つ

 

「今日ここに来る外来人が紅魔館の住人を救う、そんな運命をね」

 

「えっ...あっ、すみません」

 

つい普通の人に対してするような反応をしてしまった

 

「いいのよ、普通の反応だから。考えも読めるわ、おおかた霊夢や魔理沙に頼んだ方がいい。そう思ってるのよね?」

 

「...はい、正直に言うと来たばかりの自分よりもそう言った事の専門家の霊夢さんやよく来る魔理沙さんが適任なんじゃないかと」

 

「そうね、"普通"なら託してたわ。霊夢もいいけど魔理沙が一番適任でしょうね。それが"いつも通り"なら」

 

所々強調された言葉で言われ、普通、いつも通り...そこで気づく

 

「誰か何もかも忘れたって人がいるんですか?」

 

「...」

 

今度は黙ってしまったレミリアさん。いや、少し思い詰めたかのような顔だ。悪いことを言ったなら怒鳴られただろうし、何か言い返されてたはずだ

けど違うってことは当たってるのだろう

 

「妹が、ね」

 

「ッ...すみません」

 

「いえ、いいのよ。でも引き受けてくれるかしら?私の妹を正常に...私達を思い出させることを」

 

少し考える。紫さんはこのことを知ってて送り出したのだろうか

でも博麗大結界?とか何か言ってたしそっちもまた問題があるだろうし

 

「僕でなんとかなるなら...」

 

「一応、言っておくけれど妹もれっきとした吸血鬼よ。それに...」

 

まただ。何か思い詰めたような顔

 

「妹、フランはありとあらゆるものを破壊する程度の能力の持ち主、最後に訊くわ。本当に引き受けるのね?霊夢と魔理沙も言っていたでしょうけど危険な場所なのよ。私だけなら自制が効くかもしれないけれどフランは狂気に支配されて自制心すらなくなるわ。それでも?」

 

「引き受けます。ただ...約束を、というよりはお願いを聞いてもらえませんか?」

 

「なに?」

 

「霊夢さんと魔理沙さんにはこのこと、というより今のフランさんの事を説明して僕でしかできないことだと伝えたあと、絶対来ないようにしてください。それこそ皆さんで2人を力ずくでも止めるくらいには」

 

「約束するわ。このレミリア・スカーレットの名において」

 

さて、こんなこと言っておいてどうするか考えついていない。というか飛べないし能力もない僕がそんなチートキャラ相手に戦えるかなんて言われたらNoだ

 

「咲夜」

 

「はい、お嬢様」

 

い、いきなり現れた...というか呼んだだけで来れるって完璧すぎる...

 

「フランの所に、扉の前まで案内してあげなさい。それから霊夢達には説明したあと力ずくでも止めなさい。紅魔館総出でね」

 

「はい。こちらです」

 

案内される。静かだ...途中途中に飛んでる...あれが妖精だろうか。メイド服着てるしメイド妖精?だろうか、がこちらを見ていた

 

「...お嬢様のお願いを聞いてくださりありがとうございます」

 

「いえ、僕も恐らくこの為に幻想郷に呼ばれたので」

 

「八雲紫ですか...なぜこのような事が起きてるのか、こちらでもハッキリとしていないんです」

 

「それは...僕の世界でもです」

 

咲夜さんが外の世界でも?と、聞き返してきた

 

「はい。今日の朝、友達に挨拶したら初めまして、って。最初はイタズラかと思ってその場のノリで自己紹介したんですが他の人達もお互いをそう言い合い続けて...担任...先生もそうなってて、他だと道行く人達も全員、正直異世界にでも来たのかって思いました。気分が悪くなって吐き気もしましたし...なにより家族がそうなってたらって思いました。そうしたら身震いして」

 

「...苦労したんですね」

 

「ははは、それで一歩踏み出したら空にいて、魔理沙と出会って、博麗神社に行って、そこから旅が始まりました」

 

レミリアさんは威圧感があって話しかけるのに苦労はしたけど咲夜さんや美鈴さんは話しかけやすいな、フランさんは...レミリアさんの妹だから怖いのかな...今から死地に赴くのか

 

恐怖心がないのかと言われたら...ある。今もなおやっぱりやめたいと、嫌だと逃げ出したくなるぐらいには声が震えて咲夜さんに話していた

 

「ここです」

 

金庫のような、鋼鉄の扉...まるで閉じ込めるための扉だ

確かに話を聞いた限りじゃ外に出すのは危ないだろうな

 

「最後にいいですか?咲夜さん」

 

「はい」

 

「フランさんのフルネームを教えてください」

 

聞かれるとは思ってなかったのか、でも直ぐに答えてくれた。それも笑いかけて

 

「フランドール・スカーレットです。妹様をどうか、お願いします」

 

深呼吸...落ち着いて...よし

 

「...」

 

キチンと扉を閉めて、辺りを見る。バラバラになった人形

ちりじりに破かれた絵本

 

だぁれ?

 

「結目結弦、初めましてだね。フランドール・スカーレットさん。君を助けにきた」

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