TSアルビノ美少女inわたなれ   作:ガテル

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第2話

 

午前の授業も終わり昼休み、早速机を囲む王塚グループの面々を見て俺は「そ、そのっ……ちち、ちょっとお手洗い行ってきます」と言って一旦教室から出て今は人気のない階段で1人小さく丸くなるように座り込んでいた。何故トイレに行くわけでもないのにこんな嘘をついたのかと聞かれれば、それはこれから起きるであろうカオスに向けての対策を少しでも練りたかったからだ。

 

昼食時に発生し避けられないイベント―――スクールカーストトップ陽キャ美少女達によるマシンガン女子トークである。

 

 

「今は女の子だけど前世はオシャレのオの字も無いようなただの地味な陰キャ男子高校生、そんな俺が今流行りのドラマやメイク等のTHE女子トークについていけるわけないんだよなあ……」

 

グループに入って1ヶ月半ほど経ったが、未だに慣れる気はせず毎度適当な相槌を打つのが精一杯だ。男子だった頃から超美少女にTSしても結局中身は変わらぬまま、服にお金を使うならその分ゲームや漫画が欲しいと思ってるオタクである。後これは誰にも言っていない事なのだが……メイクなんてどうやっていいかまるで分からないため普段学校にもノーメイクで来てるのだ、まあ正直方法云々以前に抵抗感があってやれないのも大きい。ちょっとゆるゆるで天然な母さんからは「女は普通メイクするものなのよ、でも文歌はすっぴんだろうと関係ないぐらい超きゃわいいじゃない。ホント羨ましいわ!その可愛さと若さを少しでいいから分けてもらいたいぐらいね~!」

 

呆れながら母さんに分けてもらったら何したいの?と聞いたら「―――原宿竹下通りをJKのコスして歩くわ!!」って満面の笑みでとんでもねえ爆弾発言ぶち込んできやがったので無言で自室に戻った。こっわ。

 

 

「何か思い出したら気分悪くなってきた、教室戻るか……結局何の対策も思いつかなかったな」

 

 

二度目の人生で初めて俺を特別扱いせずに接してくれる人達と出会った、こんな機会はもう今後訪れるかも分からないし絶対に嫌われたくない……ただその気持ちがあろうが現状は無策であり困り果てている。

 

俺はため息をつきながら、教室へ戻る為の長い廊下を沈んだ表情で歩いていた。

 

 

「お、おい見ろよ、何だか姫がとても辛そうにしてるぜ……?」

 

「本当だ……もしかしてどこか体調でも悪いんじゃない!?わわ、私保健室に連れてくよ!」

 

「いっ、いや姫は私が連れてくから!そしてそこで仲良くなって家に連れて帰って美味しく頂きま―――何でもないです」

 

「おい聞こえてんぞ??文歌さん食おうとかまいふみ推しの私が許さないからね」

 

 

言い忘れていたが姫扱いは芦ヶ谷高校でも変わらず続いており、王の王塚真唯さんと姫の加藤文歌こと俺は芦ヶ谷二大美少女扱いでCPとしてもまいふみは人気だそうだ。実在の人物でCP作るのやめなさいよ……呆れながらもそれ以上に身の危険を感じた俺は早歩きでその場を駆け抜け教室の近くまで何とか戻ってきた。

 

何かもう素直にお家帰りたい。

 

 

「―――ちゃん、ふみちゃん」

 

「……えっ?」

 

 

俯いて思考の渦に陥っていたから、声をかけてくる人物の存在に気づくのが遅れてしまった……もしあのお持ち帰り女子だったらどうしようかと震えながら顔を上げるとそこにいたのは。

 

 

「ふみちゃん大丈夫?顔色悪いよ……?」

 

「せっ、瀬名さん……!?」

 

 

瀬名紫陽花さん、俺のクラスメイトであり同じ王塚グループに所属している。緩くウェーブのかかった髪、ぱっちりとした大きな瞳に甘い顔立ち、見た目に限らず性格もとても優しく二次元から飛び出してきたかのような理想の女の子。芦高の大天使と呼ばれている、もしも前世の男性時代に彼女がいたら俺は間違いなくガチ恋からの勇気持って告白をして見事玉砕していただろういや振られちゃうのかよ。

 

 

「え、えっとその、瀬名さんはどうしてここにいるんですか」

 

「ちょっとお手洗いに行っててね、教室に戻ろうと歩いてたらふみちゃんを見かけたんだ。でも何だか具合悪そうにしてたから心配になっちゃって……もし辛いなら保健室行く?私一緒に付き合うよ」

 

「そそ、そんな付き合ってもらう必要なんてないですよ、顔色の件は……今日は朝ご飯抜いたせいでちょっと血流が悪いだけですから」

 

 

俺は瀬名さんに変な心配をかけまいと朝食抜いたと嘘をついた、この切り抜け方は自分でもどうかと思うけど超ハイパーコミュ障の俺に事の詳細を上手く伝えられる自信など微塵もないのだ。まあ仮にコミュ障じゃなかったとしても、お持ち帰りされる危機を逃れました!とバカ正直に伝えるわけにはいけない。

 

とりあえずこれで安心と思ってたのだが、何故か瀬名さんはちょっと不機嫌そうに可愛らしく頬をプクッと膨らませていた。そして自らの手を伸ばし彼女の人差し指が俺のおでこに触れる寸前まで近づき。

 

 

「ふみちゃん、朝ご飯抜くなんて健康に悪い事はNG―――めっ、だよ」

 

 

まるで幼い子供に対し優しく叱りつける母親のよう、何より瀬名さんの表情と声色からは本当に俺を心配しているのが伝わってきて……元よりコミュ障な俺だが今回ばかりは口から言葉が出てこなかった。大天使のあまりの眩しさと純粋なる他者を思いやる優しさ、この二つが合わさって俺はただ黙って頷く事しか出来ない。

 

 

「うんうん、分かったなら良しとしようかな」

 

 

花の咲くような笑顔を浮かべながら瀬名さんは俺の頭を優しく撫でてきた、ちなみに今回が初めてではない。この1ヶ月半接して分かったのは理由は知らないが……どうやら彼女は小さい女の子が可愛くて仕方ないらしいのだ。俺より数センチ大きいぐらいの同じグループの美少女、芦高の妹こと小柳香穂さんの事を瀬名さんはよく自分の膝の上に座らせて可愛がっている。

 

その行動に対し小柳さんもかなりノリノリで、膝に座った状態から瀬名さんの両手を動かしてシートベルトみたいに自分のお腹に当てさせてるぐらいだ。需要と供給が見事に成立している。

 

 

「ふみちゃんの髪って本当にサラサラで撫でてると気持ちいいねー、よしよーし」

 

 

こうして説明してる今も瀬名さんは嬉しそうに俺の頭を撫で続けていて……え?俺はこの行為に対してどう思ってるかって?そんなの決まってるじゃん。

 

 

「……へ、へへっ」

 

 

―――大天使瀬名紫陽花さんのナデナデだぞ?最高以外に言い表せる言葉なんてこの世に存在しない!美少女な俺万歳!!

 

美少女にTS出来てよかったと思える事なんて、周りから姫扱いされ始めぼっち化してから殆どなかった。だがこの瞬間だけは文句無しに肯定できよう、それほどまでに瀬名さんのナデナデは幸福度MAXなのである。さっきはもうお家帰りたいって嘆いてたけどあれは完全撤回、学校生活って最高だね。

 

 

「ふふふっ」

 

「うへへっ」

 

 

 

 

「まいふみも良いけど……あじふみもいいよねえ」「マジ分かる」

 

 

このときは夢にも想像してなかった、まさかこの後―――例のアレ(昼食時による女子のマシンガントーク)で俺がやらかしてしまう事など。

 

 




先に言っておくとシリアスさん展開にはなりません、完全にギャグですのでご安心ください。
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