ガチレズ少女は百合ハーレムイレブンを作りたい!   作:イナイレスカウトキャラ振興委員会

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スカウトキャラって可愛いですよね




第一話 ガチレズ少女は百合ハーレムイレブンを作りたい

 

 

「ねぇ、すーちゃん!一緒にサッカー、やらない!?」

 

幼馴染にそんな提案をされた少女は、困惑した。

だって、幼馴染はこれまでサッカーの話など一度もしたことがない。この年齢……中学生になるまで、興味がある素振りもまるで見せたことがない。

唐突すぎる提案だった。それでも、いつものように不健全(少女から見て)な動機で何かを始めるより、スポーツに精を出すのならまあいいか、とも思った。

 

……次のセリフを聞くまでは。

 

「とりあえず手始めに、私好みのカワイイ女の子集めて百合ハーレムイレブン作りたいんだよね!」

 

ぶん殴ってやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

片梨 刃奈(かたなし・はな)という少女は、他人に言わせれば破天荒(誤用)だ。豪快で大胆、いっそ強引なほどのリーダーシップがあり、男子に負けないくらいヤンチャだと。実際、そんな彼女に惹かれる女子は割といる。つまり(女の子に)結構モテる。

 

しかし、幼馴染としての視点では違う。あの子はアホだ。アホで考えるより先に本能で動いているだけ。

本能とはずばり、「カワイイ女の子」だ。アレは大の女の子好きで、女の子の気を引くために様々な趣味に手を出してきた。

 

問題なのは、それらが大体うまく出来てしまうことだった。大体うまく出来てしまうし理解もできてしまうから、多様な趣味の女の子と趣味の話ができ、他の人に理解できないようなことも共感できる。腹立たしいことに、そこがモテるコツでもあるのだろう。

 

そしてその「大体うまくできる」は、突然提案してきたサッカーでも同じことだった。

 

 

 

 

 

 

 

「むぅ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!

むぅう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

「ベータ、そろそろ帰ろうよ……こんなやつら相手にする必要なかったんだって……」

「だって!!!このベータちゃんが、こんな、こんな!!!

こんな旧時代のサッカーに負けるなんて!!!!」

 

 

こんな風に。

 

ぴっちりめなスーツ?だかユニフォーム?だかを着た、明らかに普通じゃない人たちが、私たちにサッカーで負けてめちゃくちゃ悔しがっている。かわいそうに。

 

「さーて、ぷろとこるおめが?さんでしたっけ。私がサッカーで勝ったんだから、約束は守って貰うよ?」

「くっ……!」

 

さっきまでむくれて地団駄して大暴れしていた、あちらのキャプテンであろう青い髪の選手の元まで近寄ると、私たちのキャプテン──刃奈(はな)は、その顎をくいっと持ち上げた。

 

「ちゃんと約束したもんね?あなたたちが勝てばサッカーを消す、私も犬になる。私たちが勝ったら──あなたは私のものになるって。ね、ベータちゃん?」

「……っ!」

 

かぁっと顔を赤くする、ベータと呼ばれる向こうのキャプテン。ああ、本当に可哀想だ。特にあっちの副官ポジションであろうピンク髪の人。名前は……オルカさん?って呼ばれてたっけ。お互いにキャプテンが勝手にあんな約束をするからこんなことになったのだ。

 

 

 

『こんにちは、旧いサッカーしかやってない時代遅れの皆さん。私たち、未来からサッカーを消しに来ちゃいました♡』

『へー、そうなんだ。じゃあサッカーで勝負しよ?あなた達が勝ったら私たちは抵抗しない。でも私たちが勝ったら……あなた、私のものになってよ』

『はぁ?本気で言ってますぅ?ぷぷっ、実力差が分かってないアリさんはかわいそうですね〜♡いいですよぉ?アリさん(あなたたち)(わたしたち)が負けるわけないので♡私たちが勝ったら、身の程知らずなあなたには私のワンちゃんになって貰います♡』

『それはそれで美味しい……その条件でいいよ!』

 

 

 

……で、結果がこれである。いや、そりゃ相手はめちゃくちゃ強かった。サッカーを消すだの、私たちをアリさん呼ばわりだの言うだけあって、ギリッギリの勝利だった。それでも勝ってしまったのだ、私たちは。

 

──このチームでは初の試合だったにも関わらず。

 

「ふふ、顔真っ赤にしちゃって。もしかしてウブなの?ベータちゃんったらかわいい♡」

 

もう私のものになった、と言わんばかりに顔を近づける刃奈に、ベータさんはさらに顔を赤くして腕で突っ張るように刃奈を押し退けようとした。しかし、恐怖ゆえが羞恥ゆえか、腕が弱々しく震えていてどうにも力が入っているように見えない。

 

「へ、へんたいっ!」

「…………ちょっと待って。そんなカワイイ声で抵抗されたら私ゾクゾクしちゃうじゃん。ダメだよベータちゃんそんな声出しちゃ」

「なんなんですかほんとにぃ……!?」

 

同じチームのメンバーから向けられる冷ややかな目線を気にも留めず、刃奈はベータさんを口説いている。……はぁ、この辺で止めようか。

 

「刃奈、そこまで。嫌がってるでしょ?」

「え、そうかな?実はベータちゃんも内心──」

 

刃奈の注意が私の方に逸れた瞬間、ベータさんは刃奈の手を振り解いてバッと離れ、サッカーボール大の機械のようなものを操作し始めた。

すると、段々ベータさんたちプロトコル・オメガと名乗ったチームの姿が光に包まれていく。

 

「あ!どこ行くのさベータちゃん!」

「べーだ!べーっだ!!次こそはぜったい!!ぜーったいボコボコに負かして!!足元に跪かせてやりますからね!!!ばーかばーか!!!!」

 

顔を真っ赤にして目尻に涙を溜めながら、小学生レベルの負け惜しみをぶつけると、止めようとする刃奈の目の前で彼女達は光の中へと消えていった。最後にオルカさんが私の方に軽く会釈していたので、私も会釈を返す。お互い苦労するようだ。

しかし、目の前で普通に消えてしまった。虚空から急に出てきたことと言い、サッカー中に背中からなんかすごいのを出してきたことと言い、もういちいちツッコミを入れるのも面倒くさい。

 

「あーあ、行っちゃった。次はちゃんと約束守ってもらわないとなぁ」

 

懲りない様子の刃奈に、背後からギラリといくつもの眼光が刺さる。あーあ、もうどうなっても知らないからね。

 

「……刃奈ちゃ〜ん?」

「また女の子口説いて……ちょっと反省が必要だよね?」

「あはは……もう私のこと飽きちゃったんですか?」

「……ばか」

 

じりじりとチームメンバーから詰め寄られる刃奈。「す、すーちゃん……」と捨てられたポメラニアンみたいな目を向けてくるので思わず助けてしまいそうになるが、ここは刃奈のためにも心を鬼にした方がいい。

 

「たまには反省しようね?刃奈」

「そんな殺生なー!?」

 

全ては「百合ハーレムイレブンを作りたい」などとほざいた、アホな幼馴染の自業自得なのだから。

 

 

 





・片梨刃奈
 主人公。ガチレズ。

・すーちゃん
 幼馴染。苦労人。一体何者なんだ……

・ベータちゃん
 今回の被害者。羞恥と動転と困惑でいつもの毒舌が出てこなくなっちゃった。ドSで攻め攻めなベータちゃんもいいけど、わからされて赤顔涙目で弱々しく抵抗するベータちゃんもかわいいね……。

・オルカさん
 ベータちゃんのお友達。苦労人。すーちゃんとちょっとシンパシー。
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