ガチレズ少女は百合ハーレムイレブンを作りたい! 作:イナイレスカウトキャラ振興委員会
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この世界が「イナズマイレブン」の世界だと気付いたのは、比較的最近のことだ。
私、「片梨 刃奈」は転生者……と言っていいのだろうか?多分そういう存在に分類される。ちなみにかわいい女の子が大好きな、いわゆるレズである。え?興味ない?
私の元いた世界では、「イナズマイレブン」というゲーム・アニメが存在していた。超次元サッカーRPGと銘打って、物理法則をことごとく無視したド派手な必殺技を打ち合うやつである。
ゲームとアニメ、あと漫画で展開されていたが、私は大体アニメを見ていた。円堂守を主人公とする無印まで。主人公を交代し、松風天馬という主人公になったGoというシリーズも放送していたようだが、生憎私はそこまで見てはいなかった。単純に時間の問題である。
なぜなら、私は円堂守が世界を獲ったところまで見た直後くらいに転生?したからだ。
転生直後から最近まではまるで状況を理解していなかったが、まあそれなりに普通の家庭で、それなりに普通に育てられた。かわいい幼馴染にも恵まれ、2週目っぽい人生を楽しく過ごしていた。
この世界がイナズマイレブンの世界観だと気付いたのは、中学校に上がってから。
小学校の頃はサッカー部が無かったから気付かなかったが、初めて見たこの世界のサッカーは異常だった。炎が、氷が、稲妻が、ラジコンにUFOに正体不明の謎のエネルギーが飛び交い、意味不明なことになっていた。実況も何食わぬ顔で必殺技の解説をしている。ここにきてやっと、この世界の異常性を認識した。
そうとわかると、急にサッカーをやりたくなってきた。元々、別に自分がサッカーをプレイすることにまるで興味はなかったが、超次元サッカーなら話は別だ。
イナズマイレブンは超次元サッカー作品であるので、メインになるのはサッカーだ。他のスポーツでは別に炎とかは出ない。つまり、この世界の超次元を体感するなら絶対にサッカーでなければならないのだ。
「ねぇ、すーちゃん!サッカーやらない!?」
そんなわけで、私は幼馴染のすーちゃんこと
「私たちとサッカーやりませんかー!?」
「刃奈、ほんとに0からだったんだね……」
サッカーを始めるため、とにもかくにも人数が揃わないといけない。私は一旦、学校でメンバーを集めるところから始めることにしたのだが、なんやかんやですーちゃんも私を手伝ってくれている。可愛くて優しい幼馴染、万々歳だ。
「うーん、学校で声かけてもなかなか集まらないねー。サッカーチームって」
「そりゃそうだよ……。どんだけ見切り発射だったの?」
結局、夕方になっても参加してくれるという人はいなかった。仕方なく、すーちゃんと一緒に買いたてのサッカーボールだけ持って公園のベンチで黄昏ていた。
「でもいつもは何か声かけたら大体何人かは集まらない?」
「コミュ力と顔面偏差値だけは高いもんね」
「テストの成績もいいけど?」
「腹立つなぁ」
言いながらも、すーちゃんの顔は少し困ったように笑っていた。
この時間の公園は、既に小さい子供達は親御さんに連れられて
「サッカーってさ、2人じゃやっぱりできないのかな?」
「え?……そりゃできないんじゃない?」
「そっかぁ」
2人でもできればよかったのになぁ、と独りごちる。
少しの沈黙。すーちゃんは私の手の中にあるサッカーボールに触れて、小さく口を開いた。
「あのさ」
「ん?」
「刃奈は、なんでサッカーやりたいと思ったの?最近まで全然興味なかったじゃない」
「んあー……」
そう聞かれると回答に困る。ここがイナイレの世界だと知らなければ、サッカーを愛する少年少女には大変失礼なことだが、私だってサッカーには興味がなかっただろう。
有り体に言えば、サッカーがサッカーじゃなくて超次元サッカーだったからだ。これをどう言えば伝わるかな……。
「いやさ、サッカーってなんかズドーンって炎が出たり、バリバリーって雷が出たりですごいじゃん?あれカッコいいなぁって」
「なにそれ?サッカーってそういうものでしょ?」
「知らなかったんだよー。ついこの間までさ」
「ふーん?」
ちょっと疑わしげな視線。ど、どうしよう。
「あとそのー、あれ、あれだよ!合体シュートってあるじゃん!?あれ、すーちゃんと一緒にできたらきっと楽しいだろうなーって!」
「……!」
それもまたやりたいことの一つだ。超次元サッカーができるなら、すーちゃんと一緒にやりたいことが山ほどある。2人でファイアトルネードとかやってみたいし。
チラと様子を伺うと、すーちゃんは少しだけ目を見開いていた。どういう反応?
「……ふーん。ほんとかなぁ?」
「ほんとだよぅ!信用無さすぎない!?」
「だって刃奈、普段から女の子のことばっかりじゃん。今回だって本当は百合ハーレムイレブンだっけ?だか何だかが目的なんじゃないの?」
ほんの少しだけ、すーちゃんの目が揺らいだ気がした。
「それは違うかなぁ」
「……そうなの?」
「私がサッカーやりたくなっただけって言うのがほんとのところだよ。別に2人でできるならすーちゃんと2人だけでもよかったんだけどね」
「…………そっか」
「まあやるからには自分が嬉しい方がいいから、百合ハーレムイレブンは作りたいけど!」
「……サイテー」
「ごめんごめん」と頬を掻く。これで納得してくれるだろうか。そう思いながらそっぽを向くすーちゃんを見ると、すーちゃんの顔は夕焼けの逆光で少し暗くなっていたけれど、ほんの少し、いつもより赤くなっているように見えた。
私の視線に気付いたのか、すーちゃんは顔を隠すように、ベンチで体育座りをして自分の膝に顔を埋める。
「……私でよかったの?」
「嫌だった?」
「……ううん」
「えへ、よかった。すーちゃんに嫌って言われたらどうしようかと思った」
「なんで?別に私がいなくても人を集めたらできるじゃない」
なんで?変なこと聞くなぁ今日のすーちゃん。
「すーちゃんとはずっと一緒じゃなきゃやだもん。それに、約束したしね」
「約束?」
「すーちゃんは覚えてないかもだけどさ」
過去の思い出に想いを馳せる。
幼馴染として出会ったばかりの頃。まだ小学生に上がる前くらいの話。すーちゃんは今よりもずっと泣き虫で、怖がりだった。
暗くなるまで遊んだ後、帰ろうとしたすーちゃんは、遊んでいた公園のすぐ近くにある家の場所がわからなくなってしまって、公園の遊具の中で泣いていたことがある。
もちろん私は転生者だから迷うことはない。すーちゃんを見つけ出して、手をぎゅっと握って家まで連れて行った。
家に送り届けた後、すーちゃんのお母さんに預けようとしたのだが、すーちゃんは手を離してくれなかった。
『ずっと一緒にいて』
何度もそう言って、すーちゃんのお母さんがお泊りを許可してくれるまでぐずっていた。
その時に約束したのだ。
『絶対すーちゃんから離れたりしないよ。ずっと一緒だから』
幼い頃から自我が強い転生者だからこそ覚えているのだろうあの約束を、私は勝手に今でも守り続けている。きっともうすーちゃんも覚えていないだろうし、守って欲しいとすーちゃんに言われたわけでもない。
それでも、私はこの幼馴染のそばにずっといたいと今でも思っているし、すーちゃんがいない生活なんて考えられない。私が勝手に続けている、私の勝手な趣味みたいなものだ。
「だから、すーちゃんがサッカー嫌だって言うならやめるつもりだったよ。別にいいかなって」
「……なにそれ。変なの」
そう言ってさらに顔を埋めるすーちゃん。やばい、私の発言さすがにキモかったか?
「覚えてるの、私だけじゃなかったんだ」
「なに?」
「なんでもないっ」
すーちゃんは勢いよく立ち上がって、私の手からサッカーボールを奪い取った。
「2人じゃ試合はできないけど、練習ならできるんじゃない?」
「え?」
「2人で必殺シュート、するんでしょ?」
すーちゃんの手が、私の方に差し出される。自然に手を取ると、ぐいと引き起こされた。その勢いで、私の顔とすーちゃんの顔が極限まで近くなる。あと少しでも近づいてしまえば、キスでもしてしまいそうな、そんな距離。
そんな距離で、私は……夕焼けに照らされて赤くなったすーちゃんの綺麗な顔に、見惚れてしまっていた。
元から可愛いとは思ってたけど……私の幼馴染、こんなに可愛かったっけ?やばい、何故か心臓がドキドキする。
「さ、やろ!」
「う、うん!」
手を引かれるまま、私達は公園でサッカーボールと一緒に駆け始める。いつかの幼い日、暗くなるまでずっと一緒に遊んだ、あの日のように。
・片梨 刃奈
主人公。転生前から女性で、生粋のレズ。イナズマイレブンはアニメの3期までしか履修していない。アニメ見て「マネージャーさん達かわいい〜」「塔子ちゃんかわいい〜」「うおっマキュアちゃんかっわい……」「クララ様〜!」とか言ってたタイプ。
顔立ちは整っているし転生者ゆえの学力もあるし、さらに大体のことは器用にこなすスパダリ系。周りを巻き込んで振り回すタイプ。
レズを自称するくせに自分の幼馴染に対する想いについて無自覚。
・すーちゃん
本名:乙女乃スピカ。元ネタはイナズマイレブン3に登場するスカウトキャラ。火属性シューター。
基本的には主人公のストッパーでありブレーキだが、一番拗らせている。
彼女のことについてはまた別の話で。