ガチレズ少女は百合ハーレムイレブンを作りたい!   作:イナイレスカウトキャラ振興委員会

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HEROが落ちません




第三話 ガチレズ少女は世話焼き系妹が欲しい

 

「びっっっくりするくらい、人が集まらない!!」

「そうだね……」

 

今日も今日とてサッカーチームのメンバー集めは捗っていない。最近はいつも、放課後に声をかけた後すーちゃんと2人で公園に行ってシュートの練習をするばかりの日々だ。ちなみに、必殺技が出そうな気配は微塵もない。まあその辺はアニメの染岡さんだって苦労してたし仕方ない、ゆっくりやろう。

 

問題はびっくりするくらいメンバーが集まらないことの方だった。

 

「なーんでこんなに集まらないんだろ?」

「うーん……」

 

作戦会議場所はいつもの公園。首を捻る私の横で、すーちゃんはスマホをポチポチと弄って何かを調べているようだった。後ろから抱きつくようにして、すーちゃんのスマホの画面を見る。

 

「何調べてるの?」

「うん?少年サッカーについてなんだけどね……」

 

すーちゃんが肩越しに私に見せてくれた画面には、フットボールフロンティアの出場チーム募集要項が書かれていた。

……文章量が多い。

 

「どれのこと?」

「真ん中くらい」

「なになに……『フットボールフロンティアは、サッカーを愛する少年少女の健全なる育成と少年サッカーの繁栄に寄与するためのものとして開催されるものである』……」

「参加資格のところも」

「えっと……『参加資格:中等教育学校にて普通教育を履修中、かつその学校のサッカー部に所属する満15歳以下』……つまり?」

 

何が言いたいのかを聞き返すと、すーちゃんは少し厳しい顔で口を開いた。

 

「つまり、参加資格に性別は含まれてないんだよ」

「ふむん?」

「調べた限り、最近の少年サッカーならフットボールフロンティア以外の大会もそうみたいなんだよね。サッカーやりたい人は女子でもサッカー部に所属して、男子と一緒に大会に出るから、わざわざ私たちみたいに個別で集まってサッカーやろうって人は少ないってこと」

 

「ええ〜……」と思わずため息が出る。話が違うじゃないか。私が見ていたイナイレではフットボールフロンティアの出場選手はみんな男子だった。一部女子みたいな顔の人もいたけど。

 

「いっそ一回サッカー部に行ってみる?サッカーやりたいなら普通に所属するのも手だよ」

「ええ〜やだ〜。私男には興味ないもん」

「まあそう言うと思った」

 

そうなるとどうしようか。またうーんと2人で考え込む。

 

「あの……お困りごとですか?」

 

そんな時、私たちに声をかけてくれたその人は、まさに天からの救いの手だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サッカー……ですか」

「うん。私たちサッカーやりたいんだけどさ、なかなかメンバーが集まらなくて」

「なるほど……」

 

2人だけでは行き詰まっていた私たちは、声をかけてくれた少女に現状の悩みを相談していた。

青みがかった黒髪を肩まで伸ばし、白いリボン付きカチューシャをつけた彼女は、そのぱっちりした緑色の瞳を何度か瞬かせ、数瞬考えてから再度口を開く。

 

「あの、実はなんですけど。お二人がサッカーの勧誘をしているところ、少し遠目から見てまして」

「あ、そうなの!?」

「は、はい。それで思ったんですけど……お二人の勧誘の仕方では、メンバー集めは難しいかもしれないです」

「勧誘の仕方……?」

 

聞き返すと、彼女は一つ頷いた。

 

「サッカーやりませんかーって声をかけるの、お二人がサッカーをやりたいということは伝わるんですけど、その……外から見ていると、大変近付きにくいんですよ」

「なる……ほど?」

「何と言えばいいんでしょう……大きめのスーパーの中で大声で呼び込みをしている、ケータイキャリアの特設セットのキャッチさん?みたいな」

「なるほど」

 

彼女の喩えには、すーちゃんが納得した。わかるんだ。

 

「不特定多数の人たちに向けて募集の発信をすること自体は間違ってないですけど、近づきにくいというか、近づくのが恥ずかしい形だと人が寄り付きにくいんじゃないかと思いまして」

「確かにね」

 

うんうんと頷くすーちゃん。かわいい。

 

「じゃあどうしたらいいかな?」

「そうですね……不特定多数の人に発信するなら、掲示板やポスターを利用するのはどうでしょうか。細かい募集要項を決めておいて、イラストとか添えて……そういうのが定石かと」

「ふんふん」

「あと、サッカーをやりたい人は女子でも大体サッカー部に入ってしまってるかなと思うので……」

「あ、やっぱりそうなんだ」

 

さっきすーちゃんが調べてくれたことの裏付けが取れた。この子、なかなか物知りだな。いい子だし、めっちゃかわいいし。

 

「なので、新規開拓はどうでしょうか?」

「というと?」

「今サッカーをやりたい人を集めるというよりも、今別に何も思っていない人にサッカーをやりたい気にさせる、というか……どう言えばいいんでしょう?」

「あー、なんとなくわかった」

 

要は、「サッカーやりたい人寄っといでー」じゃあ限界があるから、サッカーをやりたいと思ってない人にも声をかけないとってことだよね。なるほど、かしこい。

 

「ありがとう!参考になったよ!えっと……」

「あ、私、門脇椎穂(かどわき・しいほ)と言います。お力になれたならよかったです!」

「うん、椎穂ちゃんね!私は片梨刃奈だよ!で、こっちがすーちゃん!」

「ちゃんと紹介してよ……乙女乃スピカです。ありがとう、門脇さん」

「いえいえ、とんでもないです……あ、私のことは椎穂でいいですよ」

 

椎穂ちゃんは立ち上がって一礼する。ほんと、とことん礼儀の良い子だ。それに優しい。顔も好みだし……これは、チャンスか。

 

「じゃあ椎穂ちゃん、教わったやり方、今から試してみるね!」

「はい!幸運を……え、今から?」

「うん!椎穂ちゃん、私たちと一緒にサッカーしよ?」

 

椎穂ちゃんは、自分に言われると思っていなかったのか、大きな緑の目をぱちぱちと瞬かせている。

すーちゃんが隣で「また始まったよ」とばかりにため息を吐くのが聞こえた。

 

「私たち、椎穂ちゃんの力が必要なんだよ!椎穂ちゃんと一緒にサッカーしたい!」

「え、えっ!?」

「椎穂ちゃんかわいいし!優しいし!」

「そ、そんな……」

「ね?だから一緒にサッカーしよ?」

「え、えぇ……?」

 

「あうあう」と困惑の極みにありそうな椎穂ちゃん。このまま押せばいけるんじゃないか?

と思っていたのだが。

 

「ちょっと強引すぎじゃない?椎穂さん、ごめんね。この子こういう子だから」

「あ、いえ……」

「もー、何で止めるのさー」

「刃奈、今「押せばいけそう」とか思ったでしょ?ダメだよそういうの。ほぼ詐欺じゃない」

 

ぐぬぬ。流石幼馴染はなんでもわかっている。

でもなー、椎穂ちゃんはぜひ欲しいんだけどなー。

 

「その……お誘いは嬉しいんですけど……」

「嫌だったらちゃんと言っていいんだからね?」

「い、いえ!嫌だなんてとんでもない!私を必要としてくださるなんて嬉しくて……けど……」

「……何か問題が?」

 

椎穂ちゃんは不安げな顔で頷く。

 

「そもそも、私ってチームに入ってもいいんですか?」

「そりゃ……うん、ダメなの?」

「いえ、だって私……

 

 

 

まだ小学生ですよ?」

 

 

 

 

「「……え?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、あまりにもしっかりしてるからてっきり同い年かと」

「あはは……よく言われます。すみません、ややこしくて」

「そっか、1学年下か……来年中学生なのね」

「そうなります」

 

話を聞くところによると、椎穂ちゃんは現在小学6年生。私たちが中学1年生だから、1つ年下ということになる。

そう言われると、確かに椎穂ちゃんの懸念も尤もだ。

 

「小学生と中学生が混じってると、大会とかは出られないよね」

「そうだね。フットボールフロンティアの大会規約だと、『中学校のサッカー部所属』で規定されてるし、他の大会も大体そうなはず」

「もっと大きな……世界規模のU-15とかであれば小学生も出られるかもですが、今のところそこまでの予定は無いんですよね?」

「そうだね〜」

 

「うーん」とみんなして考える。

私としては椎穂ちゃんはぜひ欲しい。気遣いができて健気で可愛い年下の女の子……なんてそそられる存在だ。

……いや、待てよ?そんなに難しく考えることか?

 

「あのさ、実は全く気にしなくてよくないかな?」

「どういうこと?」

「いやさ、私たち別に大会出たりとか試合したりとかする予定なくない?」

「…………あ」

「そう言われると、そうだね……」

 

そう、私たちは別に特段の目標があるわけじゃない。サッカーがやりたいだけだ。

 

「別に大会とか出なくてもさ、みんなで楽しくサッカーできればいいじゃんね。どうしても試合したいなら、小学生混じってても大丈夫なクラブとかとやればいいし」

「確かに……」

「だからさ、椎穂ちゃん!一緒にどう?」

 

椎穂ちゃんは特に問題ないことをわかってくれたみたいだが、それでも少し不安そうな顔をしていた。

 

「あの……本当に私でいいんですか?」

「どうして?」

「だって私、サッカーやったことないですし……」

「サッカーに興味なかった人にも声かけようって言ってくれたの椎穂ちゃんじゃん?」

「でも……」

 

椎穂ちゃんは躊躇してこそいるが、「嫌だ」「やりたくない」とは言っていない。そういう素振りがあればすーちゃんが止めているだろうし。

自信がないのだろうか?……だとしたら。

 

「──椎穂ちゃん」

「な、なんでしょうか……?」

 

椎穂ちゃんが目を逸らそうとした方向の壁に手をつく。やっと、ちゃんと私の目を見てくれた。

 

「私ね、椎穂ちゃんのことどうしても欲しくなっちゃったんだ」

「──はいっ!?」

「もう椎穂ちゃんじゃないとダメなんだよ、他の誰でも満足できない」

「はわ、はわわ……」

 

こういう時は、誠心誠意想いを伝えるに限る。顔もヘラヘラしていると揶揄われているんだと思われるから、真面目にキリッと。

 

「……ダメ、かな?」

 

そしてここで、急に不安そうで縋るような目付きに。これが必勝コンボだ。

 

「…………ダメじゃない、です」

「ほんと!?やったー!」

「……本気で落としに行ってない?」

「だって椎穂ちゃん欲しいんだもん!」

「はうっ」

 

顔を赤くしながらも頷いてくれた椎穂ちゃん。めっちゃかわいい。思わず抱きついてしまう。

椎穂ちゃん、すごく優しい匂いがする。すーちゃんもとても良い匂いがするが、それとはまたちょっと違う感じ。

私よりも身長が少し小さいから、私が両手で抱きしめるとすっぽりと胸元に収まった。

 

「椎穂ちゃんかわい……♡このまま食べちゃいたいなぁ♡」

「あうあうあう……!?」

「ちょ、ちょっと刃奈?相手は小学生だからね?」

 

真っ赤な顔から湯気が出そうな勢いの椎穂ちゃん。あまりこういう触れ合いに慣れていないのだろう。

……こういうウブな子見つけちゃうと、スキンシップしたくなっちゃうんだよなぁ。ぐへへ。

 

「…………じゃないって」

「ん?」

「ダメじゃないって言いました、けど……!」

「し、椎穂ちゃん?」

 

椎穂ちゃんの既に赤い顔がさらに赤くなる。流石にただ事ではなさそうな気配に腕を離すと、椎穂ちゃんは私から素早く距離を取り、必死の形相で今日一番の声を張り上げた。

 

「ダメじゃないって言いましたけど!!一旦今日は持ち帰って検討させてくだひゃい!!!」

 

「失礼しましゅ!!」と噛み噛みになりながら私たちに一礼し、椎穂ちゃんは全速力で逃げ去ってしまった。かわいいけどやりすぎた。というか、テンパっててもサラリーマンみたいなセリフが出てくる小学生すごいな。

 

走り去る椎穂ちゃんを見送ってふと横を見ると、すごい顔をした幼馴染がいた。

 

「…………刃奈。私の言いたいこと、わかるよね?」

「……ハイ、反省シテマス……」

 

 





・片梨刃奈
 小学生を「食べちゃいたい」とか言い始める危険人物……のように見えるが、実は年齢としては1歳しか違わない。でも中身はそうではないのでやっぱり危険人物。現行法で裁けないタイプのやべーやつ。

・門脇椎穂
 元ネタはイナズマイレブンGOに出てくるスカウトキャラクター。ボランティア活動が趣味の世話焼き系妹。山属性ミッドフィルダー。
 とても礼儀正しい良い子。彼女の勧誘(という名のセクハラ被害?)は続く……。
 
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