ガチレズ少女は百合ハーレムイレブンを作りたい!   作:イナイレスカウトキャラ振興委員会

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たくさんのお気に入り、ありがとうございます!
もしかしてスカウトキャラって人気なのか……?

ストックが尽きたので、ここから少し不定期になるかもしれません……お待ちいただけると幸いです



第四話 ガチレズ少女は正直に生きたい

 

椎穂ちゃんを勧誘した翌日、私とすーちゃんは放課後にいつもの公園で椎穂ちゃんを待っていた。そう言えばすーちゃんは私が椎穂ちゃんを勧誘していることについてはどう思っているのだろう、と考えていたが、

 

「いいんじゃない?椎穂さん、周囲に気を配れる人みたいだし。私も何となく、あの子とは仲良くやれそうな気がするから」

 

とのこと。全会一致(2人だけど)というわけで、椎穂ちゃんが来るのを今か今かと待っていた。

そこに遅れて現れたのは、椎穂ちゃん──と、もう1人。

 

「椎穂、あの人たちがそうなの?」

「う、うん……」

 

緑の髪を低い位置でツインテールにした、椎穂ちゃんとは正反対に活発そうな、こちらも美少女。何故か手にはレジ袋。

椎穂ちゃんを庇うように前に出たその子は私たちをじろり、と()めつけると、ある程度の距離をとったところで止まり、指をこちらに突きつけて警戒まじりの声をあげた。

 

「あなた達がうちの椎穂を誑かした中学生ね!」

「はいそうです!」

「はいそうです!?」

 

おっと、つい本音が漏れ出てしまった。『誑かす』って言葉、なんかいいよね。ゾクゾクしちゃう。特に年下の美少女を誑かしてる時とか、あー生きてるな〜って。

 

「刃奈、今はまだ年齢差がほぼ無いから捕まらないだけだからね?ずっとそれだといつか捕まるからね?」

「やだなぁ、今の年齢差だからやってるだけだよぅ。ロリをロリって言えるようになったら口には出さないようにするから」

 

まあ捉え方によっては私だってまだロリの範疇だしね。誕生日来てないから12歳だし。

 

緑髪の子は私をキッと睨むと、ズンズンと近付いてきて、手に持っていたレジ袋を私たちに勢いよく差し出した。

 

「お近づきの印にどうぞ!」

「あ、これはどうもご丁寧に」

 

受け取ったレジ袋は、まあまあの重量感がある。警戒している様子なので何かヤバいものでも入っているのかと思い、チラリと中を確認すると、白に緑、赤、黄色……色とりどりの瑞々しい何かが入っていた。

 

「……なにこれ」

「私が育てた野菜よ!」

「や、野菜……?」

「ええ!今年は豊作だったの!特に春キャベツがおすすめよ!ロールキャベツにでもして食べるといいわ!」

「あ、うん。ありがとうね」

 

自慢げに控えめな胸を張る少女を尻目に、すーちゃんに野菜の入ったレジ袋を渡すと、すーちゃんも野菜の鮮やかな彩りに驚いているようだ。

 

「これ、あなたが作った野菜なの?」

「そうよ!私、園芸と野菜の栽培が趣味なの!」

 

すごい趣味だ。見たところ、椎穂ちゃんと背格好はそう変わらない。椎穂ちゃんがこの子の後ろに隠れているところを見るに、椎穂ちゃんのお姉さんとかだろうか。

 

「察しがついたようね、中学生」

「え、なに?」

「ええそうよ!あなたの思った通り、私はマイラブリースイートエンジェル椎穂の双子の姉!門脇瑞菜(かどわき・みずな)よ!」

 

え、なんかナチュラルに思考を読まれた。怖。

それにしても双子……双子かぁ。あんまり外見は似てない気が……いや、目元は似てるかも。この子も可愛いなぁ。あと妹に対する装飾語が多い。

瑞菜と名乗った彼女は、私たちに値踏みするような目を向ける。

 

「それで、あなたが椎穂を誑かした……えーっと……鼻さん?」

「なんかイントネーション違うな?刃奈ね、片梨刃奈」

「あと、乙女座さん?」

「乙女乃です。乙女乃スピカ。いや乙女座だけども」

「そうだったわね!ごめんなさい早乙女さん!」

「乙女乃です」

 

ワハハ、とばかりに笑う瑞菜ちゃん。全く悪びれていなさそう。

それにしても、椎穂ちゃんに双子のお姉さんがいるとは。昨日は「持ち帰って検討する」と言っていたが、ご家族と相談したということだろう。

 

「それで、お姉さんは今日はどんなご用で?」

「決まっているでしょう?妹が入りたがってるサッカーチームがどんな奴らなのか見にきたのよ!お姉ちゃんとしてね!」

「あはは……その、姉と両親に相談したら、姉がどうしても一緒に来たいと……」

 

椎穂ちゃん、入りたいっていう前提で話してくれたんだ。嬉しいなぁ。ということは、椎穂ちゃん自身の意思は決まっている。あとはこのお姉ちゃん(試験官)さえ攻略できれば、初のチームメンバー獲得なわけだ。

 

「それで、瑞菜ちゃんから見てどう?私たち、大丈夫そう?」

「大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば……大丈夫じゃないわね!」

「ですよね」

 

待ってすーちゃん、納得したように頷かないで。何が大丈夫じゃないって言うの?こんなにKEN☆ZENなのに。

 

「どの辺が健全なのよどの辺が」

「小中学生女子がキャッキャウフフしてスキンシップし合うのは健全じゃんね」

「下心がなければそうかもね」

「知ってる?刃奈の『刃』の下に心をつけると……『(SHINOBI)』」

「どういう誤魔化し方?」

「ほんとだわ!!すごいわ椎穂、本当に『忍』になるわ!!」

「誤魔化されるんだ」

 

ノリが良いのか単にちょっとアホの子なのか、それとも小学生だからこれくらいが普通なのか。私の雑な話題逸らし術に引っかかる瑞菜ちゃん。おめめキラキラでかわいいね♡

で結局、何が大丈夫じゃないんですか瑞菜ちゃん。

 

「あなた昨日、椎穂に『お前が欲しい』って迫ったそうね」

「はい!」

「返事だけはよろしい」

 

その話を出されると、あれだ。流石に私キモかったかもってなる。なるけど、ここで返事に言い淀んだりすると私が悪いことしてたみたいになるじゃん。

 

「この幼馴染、野放しにして大丈夫なのかな……?」

「ともかく!そんな上辺だけの言葉で迫るのが大問題なのよ!椎穂がどれだけのクラブや部活から声をかけられてるか知ってる!?椎穂はその全てを断って、ボランティアを頑張ってきたのよ!」

 

瑞菜ちゃんの言い分からするに、椎穂ちゃんは学校でかなりの人気者らしい。まあでも昨日の印象通りではあるな。椎穂ちゃんめちゃくちゃ良い子だし、聞き分けが良くて頭が回る。そして頼まれたら断れなさそうなあの性格。あと顔がかわいい。頼りにされるのは当然だろう。しかし、「ボランティアをするから」という理由でこれまで明確にどこかの組織に所属するのを断ってきている。それ全部断ってやることがボランティアなの、現代の聖人か何か?

そんな椎穂ちゃんが、突然こんなよくわからんサッカーチームですらない集まりに甘い言葉で勧誘されたことがけしからん、と。理解はした。

 

……でも、その一言だけは許容できないよ、瑞菜ちゃん。

 

「言いたいことはわかった。でもね瑞菜ちゃん、私は上辺だけの言葉を吐いたつもりは1ミリも無いよ!私は椎穂ちゃんが欲しいし、椎穂ちゃん以外じゃもう満足できない!絶対椎穂ちゃんはチームに必要なの!」

「……へぇ」

「あうあう……」

 

瑞菜ちゃんのくりくりした瞳が細められ、剣呑な光を帯びる。あと後ろの椎穂ちゃんがまた赤くなってほっぺに手を当てている。かわいい。

とにかくこういう時は眼力(めぢから)で負けちゃダメだ。瑞菜ちゃんと睨み合う。

瑞菜ちゃんの眼力に負けず睨み合っていると、瑞菜ちゃんは「ふう」とばかりにそれを弱めた。

 

「まあいいわ。椎穂に対する最低限の気合いはありそうね」

「ほっ……」

 

安堵するのも束の間、瑞菜ちゃんは「でも、もう一つ聞かなきゃいけないことがあるの」と目を鋭くした。

なんでも来い、と体勢を整え直した。

 

「椎穂を勧誘した理由よ。あなたが椎穂を欲しいと思った理由、それを教えて」

 

そう問いかける瑞菜ちゃんの顔は……今までの警戒し疑うような様子とは違って、真剣そのものだった。

おそらくこの回答で私たちを見極めるつもりだろう。

 

「刃奈、慎重に答えた方が良さそうだね……」

「……」

「……刃奈?」

 

すーちゃんの言う通り、ここは慎重に答えるべきなのだろう。それでも、私が答えるべき答えは最初から決まっている。

 

「私が椎穂ちゃんを欲しいと思った理由。それは──」

「…………」

「そんなの……

 

 

かわいいからに決まってるでしょ!」

 

「…………はい?」

「椎穂ちゃんがベリベリキュートラブリーエンジェルだったから!!私は椎穂ちゃんが欲しいと思ったの!!!」

「アア、オワッタ……!」

 

横ですーちゃんが項垂れているのがわかる気がするが、こと女の子のことにおいて私は嘘をつけない。ただ思いの丈をぶつけるだけだ。

それでダメだったのなら──私の『百合ハーレムイレブン』なんて計画は、そもそも無理だったと言うだけの話。

胸を張ろう。私は自分に正直に生きる!

 

「……椎穂がかわいいから、勧誘した。そういうことね?」

「はい!」

 

瑞菜ちゃんが顔を俯ける。この場にいる全員が、瑞菜ちゃん(裁判長)の判決を待っていた。ごくり、と誰かの喉が鳴る。

 

「…………ご」

「ご?」

 

 

 

 

「合格よ!!!!!!!」

「!?!?!?」

 

満面の笑顔で下された判決に、横のすーちゃんが目を白黒させているのを尻目に、瑞菜ちゃんは勢いよく近付いてきて私の両手を握ってぶんぶんと振った。

 

「最高よ刃奈さん!!あなたになら椎穂を任せられるわ!!!」

「やったー!!やったよすーちゃん、椎穂ちゃん!!」

「は、はい!ありがとうございます!これからよろしくお願いしますね!」

 

3人で輪になってはしゃいでいると、まるで納得していなさそうな顔のすーちゃんが「あの……」とおずおずと手を挙げた。

 

「ごめん、瑞菜さん。なんで刃奈の回答で合格だったの?どう見ても下心満載だったと思うけど」

 

妥当めな疑問に、瑞菜ちゃんは椎穂ちゃんの手を取って「そうね」と口を開いた。

 

「今まで椎穂を勧誘してた人たちはみんな、口々に言っていたわ。椎穂は器用でなんでもできるとか、椎穂なら人の役に立てるとか……。確かに椎穂は誰かの役に立つのが好きな子よ。けど、だけどね……

椎穂はかわいいのよ!!!」

「……え、えぇ」

「かわいいのよ私のウルトラキュートギャラクシーゴッデス椎穂は!!それは誰が見ても明らかなはずなのに、みんな椎穂が可愛いから勧誘しているはずなのに!誰も『かわいいから椎穂が良い』って言わないの!そんなのおかしいでしょう!?」

 

またしても異様な多さの装飾語に「や、やめてよお姉ちゃん……」と椎穂ちゃんは少しばかり恥ずかしそうだが、私には何となく瑞菜ちゃんの言いたいことがわかる気がする。

 

「あなたはこれができるから必要だ」「あなたはこういうことに役立つから必要だ」と言われて必要とされることと、「あなただからあなたが欲しい」と言われることは別なのだ。

部活やサークル、クラブ活動だけじゃなく、就職などの場面においても、大抵の場合、後者の意図は隠されて前者の理由をもって合否が通達されることが多い。これは私の持論だが、日本人は相手を勧誘(スカウト)したり採用したりすることに、感情が介入することを極端に嫌う傾向がある。その人本人の魅力や印象よりも、何ができるか、どう役立つか、ということを理由にしたがるのだ。まあ就職の場面では会社の利益に関わるため、仕方ない部分もあるだろうが。

 

要するに瑞菜ちゃんは、それを憂いていた。椎穂ちゃん自身を見て、椎穂ちゃんという人間を求める相手にこそ任せたいと思っていた、ということなんじゃないだろうか。

 

「その点、刃奈さんは椎穂の可愛さに惹かれて、椎穂自身を欲しいと言ってくれた。……それに、初めてだったの。椎穂が私たちに『参加したい』って相談してきてくれたのは」

「……どういうこと?」

「椎穂はね、頼まれたら断れないタイプなの。先生に仕事を任されたらすぐに手伝っちゃうし、学級委員長を頼まれたら『私でよければ』って引き受けちゃうし、放課後の掃除を押し付けられたら1人でやっちゃう。なんなら、自分から率先してそうしようとする」

 

瑞菜ちゃんは、少し悲しげに目を伏せた。「お姉ちゃん、それは……!」と椎穂ちゃんが何か言おうとするが、それは瑞菜ちゃんに制された。

 

「椎穂は人の役に立つのが好きだから、そういうのを苦にしてないのは知ってるわ。でも……『人の役に立たなきゃいけないんだ』って自分を追い込んでるような感じがして、私は不安だった」

「お姉ちゃん……」

 

瑞菜ちゃんは、椎穂ちゃんの両手をぎゅっと握った。優しく、でも強く。

 

「だからね、昨日椎穂が初めて『刃奈さんとサッカーをやってみたい』って相談してくれた時、私は嬉しかったの。椎穂が誰かの役に立つためじゃなくて、純粋にやってみたいことができたんだって。いつもは、相談するまでもなく引き受けてるから」

「そうか。瑞菜さんは、椎穂さんが自分自身のために参加できるかどうかが気になってたのね」

 

すーちゃんの言葉に、瑞菜ちゃんは頷いた。

 

「その点、刃奈さんは椎穂の可愛さもわかってくれているし、椎穂自身がやりたいって思ってくれていることを尊重してくれそうだった。だから合格!」

 

再び笑顔を見せる瑞菜ちゃん。その笑顔は、紛れもなく妹を思う姉の顔だった。

……いいなぁ、お姉ちゃん。私もちょっと欲しかったかも。

 

「お姉ちゃん……」

「椎穂、あなたはもっとあなた自身のことを考えていいの。やりたいこといっぱいやればいい。お姉ちゃんは、どんなことだって応援するから」

「……うん。ありがとう」

「……瑞菜さんも椎穂さんも、いい子ね……」

「だね……」

 

抱きしめ合う門脇姉妹。美しきかな姉妹愛、隣のすーちゃんに引っ張られてちょっと私も涙が出てきてしまった。

涙を拭うと、いつの間にか目の前には椎穂ちゃんがいた。

 

「刃奈さん」

「うん、なあに?」

「私を必要としてくれてありがとうございます。私のことを、その……ほ、欲しいって言ってくれたの、私、嬉しかった……です」

「……そっか」

「はい。……だから」

 

椎穂ちゃんが、一歩私に近付いてきた。かなり距離が近くて、赤くなった椎穂ちゃんの顔が目の前にある。

そして、更なる一歩を踏み出すように背伸びをした椎穂ちゃんの顔が迫って──

 

 

 

頬に、暖かくて柔らかい感触が、触れた。

 

 

「……えへへ。これからよろしくお願いしますね♡」

「…………お、おお」

 

流石の私も、顔が熱くなる感覚がする。美少女が恥ずかしがりながらしてくれるのは普通に大好物なのだが、それよりも動揺の方が強いかもしれない。

え、もしかしてめちゃくちゃ好感度高い?マジで?

 

「………………」

 

すーちゃんに至っては、その光景を見て魂が抜けたかのようになってしまっている。物理的に開いた口が塞がらなさそうだ。

 

「あ、それと!」

 

そんな空気をぶった斬って、瑞菜ちゃんが「思い出した!」とでも言うかのように声を上げた。いやこの光景見てテンション変わらないのすごいな。

 

「椎穂がここに入ることを許すのに、もう一つだけ条件があるわ!」

「条件?」

 

今になって条件の提示と聞いて、少し身構える。瑞菜ちゃんはふふんと笑って、自分の胸に手を置く。

 

「私もこのサッカーチームに入れてちょうだい!」

 

……どうやらこのチームが騒がしくなるのは、そう遠くない未来になりそうだった。

 

 





・片梨刃奈
 基本的に欲望に忠実、かつオープン。「百合ハーレムイレブンなんてオープンじゃないと無理」とは本人の談。人並みの情はあるらしい。

・門脇椎穂
 人の役に立つことが生きがいの聖人……かと思ったら、迫り方がエグい。
 人に頼りにされ、それに応えるように生きてきた。そんな時、頼られるのではなく純粋に「門脇椎穂という存在自体を求められる」という新しい経験をし、自分を欲してくれた刃奈に心奪われる。
 瑞菜との姉妹仲は良好。

・門脇瑞菜
 どけ!私はお姉ちゃんだぞ!
 野菜の栽培が趣味の、門脇椎穂の双子の姉。元ネタはイナズマイレブンGOに登場したスカウトキャラ。林属性シューター。
 妹を溺愛しているが、妹がずっと誰かの役に立つことだけを目的に生きていたことに不安を覚えていた。
 最後の最後で加入宣言。

・乙女乃スピカ
 困惑中。
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