其処には援軍として来てくれた各地のプリキュア達の姿があった。プリキュアは背に光の翼を纏いキュアサニーの視界にはキュアブラック、キュアマーチの側にはキュアメロディ…、キュアビューティの後ろからはキュアブロッサムがひょっこりと顔を出して笑っていた。
「みんなの翼可愛い、どうしたのソレ!?」
ハッピーは彼女達の翼に魅とれキュアハートは苦笑いをして答えてあげる。
「此は皆の思いで造り上げた翼よ、これで空中戦も苦戦せずに済むわ。」
みゆきはわたしも欲しいと目を輝かせ、アーカードは彼女達の参戦に呆気に取られ、思わず口笛を吹く。
「此は此は、まさかお仲間がこんなにいたとは…、流石のわたしも驚いたぞ。」
普段と変わらぬ嘲笑の中に僅かだが珍しくおどけた仕草を見せるアーカード。
ハッピーはみんなと再会を喜びながら、その視線はアーカードに向けられた。
「アーカードさん…やっぱり無事だったんだね?」
「あぁ、遂先程仕事を終わらせた。
もう【塔】は存在しない。“七原文人”を殺せば…終わりだ。」
しかしアーカードの残忍な笑みが他のプリキュア達には受け入れ難く、ブラック・ブロッサム・メロディ…そしてキュアハートは彼を警戒する。キュアブロッサムはアーカードの言葉の意味を険しい表情でハッピーに尋ねた。
「ハッピー、あの人が言った事は…どういう意味?」
キュアブロッサムの問いにハッピーは…スマイルプリキュアは悲痛な表情を取り、アーカードは更に醜悪な笑みを刻んだ。
キュアハッピーは答えられず、サニーもピースもマーチもビューティも…スマイルプリキュアはキュアブロッサムの問いに口をつぐむが、アーカードは彼女達の問答する様を愉しげに見つめる。その彼の視線に気付いたのか、キュアハートはアーカードを睨みつけて彼に問い質した。
「貴方…、何が目的なんですか!?」
アーカードは下卑た笑みのまま、キュアハートに視線を向けた。
「お前は他の娘より頭が良さそうだ。
いや、青木れいかもずっと疑問に思っていたかも知れないがな?」
突然名前を出されたキュアビューティは驚きながらもアーカードを睨む。…確かに彼女は疑問には思っていた。何故彼は星空みゆきに近付いたのか…、何故血みどろの戦いに巻き込みながらもその身を呈して…時に自分達まで諭し導いたのか。英国…ましてや主であるインテグラの為とは到底思えず、この残忍極まりない化け物が何を考えて動いているのか全く理解出来ずにいた。
キュアハートもビューティに視線を送るが、彼女は二度首を横に振りそれを見てまたアーカードに視線を戻した。
「くだらん事に気を回すか。
…そんなに知りたいならこの“戦い”が終わってからだ。
全てが終わったら、聞かせてやろう。」
ハッピー達を助けに来たプリキュア達はこの戦いとアーカードの邪悪な笑みに強い反感を持つ。…だがキュアハッピーがアーカードとプリキュア達の間に割り込み、今やるべき事を皆に思い起こさせた。
「みんな、今上で美樹さんと杏子ちゃん、マミさんが戦ってるの。
敵に捕まっているほむらちゃんを…魔法少女のみんなを…助けに行かなきゃっ!!」
ハッピーの戦意は未だ衰えず、サニー達も彼女に強い信頼の眼差しを闘志を再燃させる。そんな五人にキュアメロディは心強さを感じ、キュアハッピーに賛同した。
「分かったよハッピー。
わたし達はこのままスマイルプリキュアの露払いを続けるわ。
この戦いの繊細は解らないけど…、勝たなきゃならないのは理解出来る。
魔法少女のみんなだってあの怪物達の上陸を命を賭して阻止してるんだ。わたし達も限界越えて頑張らなくちゃ“プリキュア”がすたるわっ!」
グッと握った拳でガッツポーズを取るキュアメロディにアーカードに疑念を持ちながらもキュアハートも同意した。
「そうだね、わたし達はプリキュア。
大好きな人達を守る為に戦うのがわたし達の使命だもの!」
キュアブラックとキュアブロッサムも皆の言葉に強く共感する。
「ぶっちゃけ、プリキュアはどんな奴等だって敵じゃないっしょっ!」
「そうです、わたし達みんなが集まればどんな荒野も綺麗な花で一杯に出来ます!!」
四人はハッピー達を熱い瞳で見つめ、拳を突き出す。キュアハッピー達もまた彼女達に拳を突き出して円陣を作った。キャンディは嬉しげにハッピーの頭の上に移動してプリキュア達の強い絆を見守る。
「さあ、プリキュア達よ。
仲良く会話を楽しんでいる間に魔獣と古きものがまた徒党を組んで襲ってくるぞ。
…どうする、小娘共?」
アーカードは迫り来る魔獣と古きものの群を見ながら構えもせずにプリキュア達の様子を伺うが、キュアメロディは自信満々に彼に言葉を返す。
「プリキュアはわたし達だけじゃないよ!」
次の瞬間、周囲が凄まじい閃光の嵐に包まれて敵の群へと注がれた。爆発音が連続で飛び交いその煙幕の中をポップはかい潜った。
キュアブラックは周りを見て笑顔を送り声高らかに叫ぶ。
「わたし達は友達の為なら何時でも何処でも直ぐに飛んで来るんだから!」
ブラックとメロディの視線は巨大な野鎚を飛翔する光の天使達に向けられ、スマイルプリキュアも瞳を更に瞳を輝かせた。其処にはこの国で活躍している全てのプリキュア達が此方へと笑顔を向けていた。
キュアブラックのプリキュアマックスハート。
キュアメロディのスイートプリキュア。
キュアブロッサムのハートキャッチプリキュア。
キュアハートのドキドキプリキュア。
そしてプリキュア5、フレッシュプリキュア、プリキュアスプラッシュスターと勢揃いで此方に手を振ってくれていた。
キュアハッピーはプリキュアのみんなが援軍に来てくれた事に強く感謝をし、キャンディと頷き合うと高らかに言い放った。
「みんな、行こう!!」
『応っ!!!!』
五人のスマイルプリキュアは全身から桃・赤・黄・緑・青と“オーラ”を発しその手に蝋燭を模した柄にペガサスを形作った剣の様な武具…“プリンセスキャンドル”が握られ、柄の部分にプリンセスキュアデコルを五人同時に嵌め込んだ。
『ペガサスよ、私達に力を!!!!!』
五人同時の掛け声にプリンセスキャンドルは応え彼女達のオーラを更に増幅…純白のドレスを纏わせ五人は空高く舞い上がる。
獅子を思わせる髪形となったプリンセスビューティ。ポニーテールにボリュームが増したプリンセスマーチ。髪の毛が長くなり全体にウェーブがかかったプリンセスピース。髪を束ねた団子がリボンの様になりロングヘアとなったプリンセスサニー。二束の纏まったツインテールが更に長くなったプリンセスハッピー。
舞い昇る彼女達をエスコートする様に各々の光を纏った五頭のペガサスが出現、スマイルプリキュアはペガサスに跨り雪空を駆ける。
『プリキュア・プリンセスフォーム!!!!!』
スマイルプリキュアは天翔る天馬に乗り、野鎚の頭部を目指す。そしてキュアメロディ達は仲間達の元へと戻り、キュアハートはアーカードに振り返った。
「もし貴方がキュアハッピー達を裏切る様なら…、
私達プリキュアは全身全霊を持って貴方と戦います!
でも、どうかみゆきちゃんの信頼を無にしないで…。あの娘はきっと貴方の事が“大好き”なんだろうから…。」
そう言ってキュアハートも光の翼をはためかせ仲間達と合流して戦いに戻る。アーカードは小さく含み笑いをし、その姿は赤いロングコートから漆黒の拘束具の様なボディスーツとなり、ざんばらであった髪の毛は背中を隠してしまう程のロングヘアとなり、変わらずに両手に拳銃を持ち構えた。
「行かれるでござるか?」
ポップに尋ねられたアーカードは答える。
「私が望むのは五臓六腑を撒き散らす非情の戦場、今その最中に我々はいる。
今行かずして何時往くのだ?」
そう言うとアーカードは急上昇をしてスマイルプリキュアを追う様に野鎚の頭部を目指す。ポップもまた決意を新たに大鷲の姿でアーカードの後を付いて行った。
五光が螺旋を描きながら五頭のペガサスは天高く翔け昇って襲い来る魔獣や古きものを次から次へと討ち倒し、スマイルプリキュアは野鎚の頭部へと辿り着く。その頭のみで山を思わせる大きさは見る者を圧倒し、其処に光る六つの赤色の眼光はその心に恐怖を植え付けようとしていた。
そして、古きもの…野鎚の天辺には暁美ほむらを攫い…野鎚の生贄とした外道の陰陽師が軍服姿に妖刀を携えて五人を待ち受けていた。
「邪魔な小娘共が…、
そんなに死にたいのならば二千年を越えた“まつろわぬ民”の大願に圧し潰されるがいいっ!!」
魔人…加藤保憲は五人の姫騎士を睨みつけ、妖刀を抜く。その傍らにはバッドエンドプリキュアの生き残りであるBEハッピーが付いてキュアハッピーを睨んだ。
「お前、本っ当にウザい!
今度こそアタシの手で殺してやる!!」
プリンセスハッピーは敵意と憎悪を露わにしたBEハッピーと睨み合い、サニー・ピース・マーチ・ビューティもハッピーに連なりプリンセスキャンドルを構えた。
「加藤さん、わたし達はほむらちゃんを助けて貴方達に絶対勝つわっ!!」
「そうクル、本気になったキャンディ達はどんなに怖い相手よりもずっと強いんだクル!!」
プリンセスハッピーとキャンディの口上に魔人の表情は醜く歪むとその鋭く光る眼孔に強い殺意が宿る。敵の本拠地であったセブンスヘブン日本支部本社ビルが崩れ落ち、この荒野と化した埋め立て地にて役者は揃い、最後の戦いは此処に最終局面を迎えていた…。