異世界戦争.   作:ロングキャスター

6 / 11
運命へのカウントダウン

 あの戦いから1週間後…

 

 朝焼けのに輝く草原を貫く1本の荒れ道

 その道はクダ村へと続いている。

 

 軍用四輪自動車(キューベルワーゲン)兵員輸送車(Sd.Kfz.251)の2台がその荒れ道を疾走する。

 

 マイヤーはその四輪車の後席に乗り流れ行く草原を風を受けながら眺める。

 

 

 ──約22時間前──

 

「クダ村へ向かうと?そこは確か第四歩兵中隊を派兵していたな」

 

 マイヤーからの言葉にレデブールは眉をひそめる。

 

「はい。昨日、敵襲を受けたとの事ですので視察する上では適切かと思いまして」

 

「ふむ…しかし同時に危険も伴うぞ?」

 

「帝国軍人になる決断をした時点でその覚悟は出来ております」

 

「そうか…では行って参れ。吉報を期待しておるぞ」

 

「はっ!」

 

 

 

 ──現在──

 

 クダ村に着いた車列を入り口の野戦憲兵が停める。

 

「通行証を」

 

 普段通りにやや横暴な口調で通行証の提出を求める野戦憲兵に四輪車のドライバーは素直に従う。

 しかし、後席に座るマイヤーの襟についた階級章を一瞥した憲兵の表情がハッとする。

 憲兵はやや挙動不審になりながら通行証を検分し通行を許可する。

 村内へ走る車列が広場には着くとそこには綺麗に整列した歩兵中隊の隊員達。

 その戦闘で凛とした姿勢で車両を見つめる一人の男がいた。

 

「お会い出来て光栄であります。マイヤー大佐」

 

「私も光栄だよ、ウーデット大尉」

 

 マイヤーは第四歩兵中隊の中隊長、『カスパー・フォン・ウーデット大尉』と握手する。

 マイヤーはそのまま整列した中隊の観閲を始める。

 

「我がオイローパ中央帝国の誇り高き戦士たちよ! 私は南部戦線総合司令官補佐、ヴィルヘルム・マイヤー中佐である。このクダ村に駐留する諸君らの勇猛果敢なる戦いを視察し、激励に参った!」

 

 マイヤーは演説を始める。

 

「先日の戦闘で、諸君らは異界の敵装甲部隊に勇敢に立ち向かった。結果、15名の同胞が帝国の栄光のために命を捧げ、7名が負傷した。この損失は痛恨の極みだ。彼らは単なる犠牲者ではない。帝国の盾として、家族と故郷を守る英雄だ! 彼らの血は無駄にはならない。総統閣下も諸君らの犠牲を深く悼み、帝国全土がその名を永遠に刻むことを約束しておられる!」

 

 マイヤーの力強い声が村全体に轟く

 

「しかし! その戦いにおいて、諸君らは約30名の敵を撃退し、村の防衛線を維持したのだ! 奴らの高度な兵器と連携攻撃にも屈せず、敵を打ち負かしたのである!この成果は、帝国軍の不屈の精神を証明するものであり、それは諸君らの勇気と日々の類まれな鍛錬の賜物にほかならない!」

 

 

「そして、私の右手に並ぶ彼らを見たまえ。総統府は諸君らの奮闘を認め、即座に補充要員を派遣した。新たな戦士たちが加わり、この部隊はより強固なものとなった。諸君よ、帝国の未来は諸君らの肩にかかっている。この異界戦線は、単なる戦いではない。帝国の誇りと繁栄を守る聖戦だ! 総統閣下の名の下に 諸君らの勝利を信じている!」

 

 マイヤーの演説が終わると部隊の士気は最高潮に達した。 彼はウーデットの元へ歩む。

 

「素晴らしい演説でした…マイヤー大佐」

 

「ありがとう大尉」

 

「ではこちらへ」

 

 ウーデットとマイヤーは中隊長室へと歩み始める。

 

「次期宣伝省を目指されては?」

 

「私はそういうものには興味がない」

 

「そうですか…それはさぞ勿体ない…」

 

「ところで、門番の憲兵だが…いささか横暴な様子が見られたが?」

 

「左様でございますか…ですが、憲兵とはそういうものでしょう…それに戦闘の後ですから疲れが回っていたのでしょう」

 

「だといいが… 」

 

 2人は中隊長室こと旧クダ村村長宅に入る。

 

「ここは?」

 

「元村長宅です…駐留の際に快く明け渡してもらいましたよ」

 

「快く?」

 

「ええ」

 

 マイヤーは少々引っ掛かったが、そのまま椅子に腰掛ける。

 

「多くは疎開させましたが一部は残り、また一部からは抵抗がございまして…それらは残念ながら」

 

「そうか…」

 

「コーヒーはいかがでしょう?」

 

「いや、結構…戦闘時の詳細を教えてくれ」

 

 ウーデットはテーブル上の作戦地図の前に立った。

 

「敵はまず、この道から侵攻しこの地点で散開…戦車2両を盾にする形でこちらと交戦しました」

 

 ウーデットが地図を指しながら説明する。

 

「戦車と言ったが、どんな物だった?」

 

「2両とも同型で主砲は機関砲でした…なので軽戦車かと思われます。そして車体後部に兵員を乗せているようでした」

 

「後部に?」

 

「はい」

 

 マイヤーは神妙な顔になる。

 

「戦車と兵員輸送車を組み合わせたものなのか…」

 

「恐らくは…我が方のハノマーク(Sd.Kfz.251)を発展させたような物であると考えております」

 

「なるほど…部隊規模や攻撃法を見るに恐らく威力偵察の線が濃厚だな」

 

「はい…私もそう考えております」

 

「となるとより大きな戦いが起きる可能性が…」

 

「先の戦闘から1週間…敵方は侵攻に向けた地盤固め中かと…大佐はいつ司令部にお戻りになるので?」

 

「しばらくはここに居るつもりだ…まだ決めてはいない」

 

「こちらのⅡ号戦車の砲は通用しなかったと聞いているが?」

 

 マイヤーは視線を地図からウーデットに向ける。

 

「はい…非貫通だったか当たりどころが悪かったのかはわかりませんが」

 

「どちらにせよⅡ号戦車では役不足だろう…Ⅲ号戦車を手配しよう」

 

「感謝します…ところで、空軍の方はいかがでしょう?」

 

「うむ…2日前にようやくレーダーサイトが完成した…これで敵方の航空機の動きを事前に察知できるようになったな」

 

「それは素晴らしい…」

 

 ウーデットの言葉の後、マイヤーは思い出したような表情を浮かべた

 

「そういえば、試験配備したモンドラゴンの評価は?」

 

「概ね良好です…1歩兵の火力が増加致しましたし泥濘地ではない為かは不明ですが、心配されていた信頼性も申し分ありません.…ですがやはり自動故の弾薬消費はKar98kより激しいのが現状です。また、モンドラゴンは7mmマウザーであるのに対してKar98kは7.92mmモーゼルです…弾薬互換性が無くどちらかへの統一が望ましいかと」

 

「そうか…それに関してはモーゼル社に新型自動小銃の開発を急がせている…それが完成すればモーゼル弾で統一出来るだろう」

 

 マイヤーは再び視線を地図に落とす。

 

「この戦い…帝国の勝利には敵方との技術格差を早急に埋める必要があるな…」

 

 マイヤーは拳を強く握り締めた。

 

 

 ────────────────────────ー

 

 

 マイヤーがクダ村に着いた日から2日後…

 

 ──ロックナプル前哨基地──

 

 昼下がりのこの日、ロックナプルは今まで以上に活気に満ちていた。

 

「よし!そのまま!行け行け!」

 

 そういう声があちこちから響く。

 

 この日、暇を持て余した隊員達は部隊対抗の「ストリートボール」で親睦会を開いていた。

 

「グレック!交代だ!」

 

 藤原は息を切らせながらコート外に出てベンチに腰掛ける。

 汗を拭き、水分補給取った所で背後からハリーがやって来る。

 

「どっちが優勢だ?」

 

「ウチが第1小隊より2点リードです」

 

「ほう」

 

 2人は複数の観衆に紛れて試合を見つめる。

 

「隊員達が元気なのは非常にいいな」

 

「ええ…元気があり過ぎるのも困りものかもしれませんが」

 

「言えてるな…お?あれは君とこの篠原君だったよな?小さいのにやくやるな…」

 

 小柄ながら次々に相手をドリブルで抜いていく篠原の姿にハリーは感嘆する。

 

「シノ!そのまま行け!」

 

 彼女の姿に藤原も大声で叫んだ

 ゴール直前で高く跳んだ篠原はそのままシュートを決める

 

「よぉし!!」

 

「すごいな…」

 

 篠原の姿にハリーのみならず、複数の観衆が感嘆の声を上げる。

 

「たまにはこういうのもいいな」

 

「ええ…まったくです」

 

「さて、私はそろそろティータイムにしてくるよ…結果を楽しみにしてるよ」

 

「了解です…おい!マックス!何やってんだよ!」

 

 ハリーへの返答を軽くあしらうように流し、藤原は試合に夢中になる。

 その様子にハリーも薄っすらと微笑みながら自室へと歩き続けた。

 

 

 ────────────────────

 

 

「つうわけで!乾杯!」

 

 日中の試合を終え、少し肌寒さを感じる夜。

 第2小隊はリックの号令で宴が始まる。

 

「結果は俺達が51ポイント、第1小隊が47ポイントで俺達の勝ちだったわけだけど…」

 

 マックスが篠原を見る

 

「今回のMVPは我らがマドンナことシノ!」

 

 マックスの言葉を引き継ぐように篠原の隣に座っていたイムレイが彼女の右腕を高く上げる。

 その様子に他の隊員達は口笛や拍手で篠原を讃える。讃美の主である篠原は照れくさそうに微笑む

 

「いや…本当に凄かったぞシノ」

 

 藤原は言う

 

「一応小中高でバスケ部でしたので…」

 

「その身長で?」

 

「失礼ですねぇ!まぁ当時もよく言われましたけど」

 

 グレックの言葉に頬を膨らませる篠原。

 

「お前の身体能力の高さはそこから来てるんだろうな」

 

「えへへ…」

 

 藤原の一言に照れ笑いをする篠原。

 

「よ〜し…出来たぞ!テキサス式バーベキュー、特製ソースを添えてだ」

 

「やっとか!待ちくたびれたぜ!」

 

「昨日狩ってきたマ・ドゥのロース肉だ。一番いいところだけ拝借してきたんだ」

 

 傍のバーベキューコンロで調理中だったテックスの一言にマックスはそそくさと席を立って料理を受け取りに行く。

 

「ちょい待ち。MVPが先だ」

 

「おっとそうだったな…レディーファーストだ」

 

「なら遠慮なく〜」

 

 篠原はテックスから料理を受け取る。

 それに続いて第2小隊の各隊員が代わる代わる配膳を受けていく。

 料理を受け取るとそのままベンチに腰掛けて食事が始まった。

 

「お前は近接格闘が強かったからてっきりジュードーでもやってたのかと思ったんだけどなぁ」

 

 グレイがフォークで篠原を指しながら言う。

 

「まったくだ…ケイも格闘が強かったけど…格闘技とか何もしてなかったんだろ?」

 

 ミゲルが藤原に問い掛ける

 

「ん?ああ…そもそもクラブチームとかも入ってなかったし」

 

「そりゃスゲェや…そういや、ケイはウチのブートキャンプ卒だったよな?」

 

 グレックが問う

 

「そうだけど?」

 

「だいたい、俺を含めて殆どの社員連中は前職で兵役がある奴ばっかりだ…何でわざわざ?」

 

「ん〜…なんとなくかな?」

 

 グレックの問いかけに藤原は釈然としない返答を返す。

 

「なんとなく?」

 

「ああ…これと言った深い理由はないけど…強いて言うならガキの頃に世話になった人がこの会社だったからかな」

 

「あ~前に軽く言ってたな?」

 

 藤原の言葉にランディが思い出したように頷く

 

「何者なのそいつ」

 

 エドワードが問う

 

「当時は…アメリカ支局担当のMP(ミリタリーポリス)だって言ってたな…今は辞めて故郷のモンタナで隠居暮らしらしいけど」

 

「そういや少尉はLA(ロサンゼルス)出身なんでしたよね?」

 

「うん」

 

 篠原の問いに藤原は応える。

 

「ご両親もまだLAに?」

 

「いや、ガキの頃に日本に帰化してるから…国籍も日本だよ」

 

「そうだ!シノは元陸自だっけ??」

 

 グレイが思い出したように問いかける

 

「え?そうですね」

 

「なんでここに来たんだ?」

 

「18歳で陸自に入って、福知山駐屯地で重迫(重迫撃砲)に着任したんですけど、一度災派(災害派遣)に出た後になんか違うなってなっちゃって」

 

「なんだそりゃ」

 

 テックスが問う

 

「ん〜…なというか、普通科でCQB(近接戦闘)とかバシバシ銃を撃ちたかったんですけど、重迫になった事と…災派行った時になんか…わざわざ自衛隊になってまでやる事かなって思っちゃって…」

 

 一同が理解するように小さく頷く

 

「あ、いや!災害派遣も国民の為の立派な仕事なのは十分分かってますよ!」

 

「誰も責めちゃいねぇよ。でも正直、軍隊ってのは武力を持って国民や国家を守るのが仕事だ…言いたいことはよく分かる」

 

 篠原の慌てた姿にイムレイがフォローするように言う。

 

「なるほどなぁ…みんな色々ある訳だな…」

 

 カークスがしみじみとした表情で天を仰ぐ。

 

「なんかしみじみしてだけど、お前はどうなんだよ?」

 

「あ?」

 

「今後の事…決めたのかよ?」

 

 ベアが問う

 

「ああ…ケイには話したけど、次の帰隊を最後に辞めようと思う…」

 

「辞めるのか…」

 

「地元のサンタモニカに帰って警官でもやろうかな」

 

「お前が警官ねぇ」

 

 カークスの言葉にマックスがクスクと笑う

 

「なんだよ?」

 

「いや?別に」

 

 楽しく談笑を続ける第2小隊のメンバーに一人の男が近づく。

 

「随分と楽しそうじゃねぇか?」

 

「ああ…今回で俺達の黒星は2になったな?」

 

 第1小隊の小隊長の言葉に藤原が応える。

 

「まさかあんな伏兵が居たとはな…次はベンチプレスで勝負だ」

 

「別にいいが…これが居るけど勝てるか?」

 

 藤原の背後にそっと立ったベアに親指をで指差す。

 187cm、胸板50cmある巨体のベアが腕を組んで掛かってこいと言わんばかりの笑みを浮かべる。

 

「あんたの身体じゃ勝てない…もっとプロテインを食べな」

 

「クソ…じゃあサッカーで勝負だ…」

 

 彼の諦めたような表情に一同は笑い声を上げた。

 

 

 

 ────────────────────────ー

 

 親睦会の翌日…

 ──ロックナプル前哨基地──

 

 藤原は司令官室の一角にある椅子に腰掛けていた。

 彼の前には基地司令官のハリーが座る。2人は真剣な眼差しで眼前のテーブルに置かれたチェスを見つめていた。

 

「第2小隊の本部帰隊はいつだったかな?」

 

「ウチは1週間後の帰隊ですね」

 

「そうか…次は前哨基地に戻るのは何ヶ月後だ?」

 

「いつもならだいたいニ、三ヶ月後ぐらいですが…次もロックナプルとは限りませんし」

 

「確かにそうだな」

 

 2人は淡々と駒を動かしていく。

 

「カークス軍曹の後任は決めてるのか?帰隊に合わせて彼は退役するのだろう?」

 

「一応目ぼしい候補は決めています…今回は隊の能力的にももう少しレベルを上げようかと」

 

「ほう…それは楽しみだ…そういえば君の所の上等兵…篠原君だったな?」

 

「はい…シノが何か?」

 

 両者は冷静に会話を続けていくが、藤原はゆっくりと駒を失っていく。

 

「前々から勘付いていたが…彼女、君に気があるだろ?」

 

「ああ…大佐もそう思いますか…直接はありませんけど遠回しのアプローチをヒシヒシと感じてます」

 

「そうか…君からは?」

 

 ハリーは藤原のプライベートな部分にズカズカと入り込む。

 

「別に何も…とりあえず鈍感なフリをしてますが…俺を動揺させようって魂胆でしょう?」

 

 藤原はハリーの心理戦に気付き問い掛ける

 

「いや…心理戦を掛ける程ではないよ…チェックメイト」

 

「ああ…クソ…」

 

「戦いとは、常に二手三手先を読むものだよ」

 

「ええ…心得てます…心理戦もそのひとつですか?」

 

「勿論…恋愛と戦争は手段を選ばないのが我々英国人だ…だから君もどちらとも手加減してはいかん」

 

 ハリーが席を立つ

 

「別に恋愛に奥手というわけではないですよ。気づかないフリして様子を見てるだけです」

 

「はは…なるほど」

 

 ハリーはティーポットを持ちカップに紅茶を注ぐ。2つのカップに注ぎ終えた彼はそれを持って再びテーブルに向かうと片方を藤原に差し出す。

 

「それはそうと、帰隊前に最後の任務を頼みたい」

 

「はぁ…クダ村の件ですか?…アチッ」

 

 藤原は口をつけた紅茶のその熱に顔をしかめた。

 

「そうだ…あの日の威力偵察とその日以降空軍による偵察であの基地の大体の戦力規模は分かった…今回は偵察ではなくクダ村に駐留する敵部隊の排除が目的だ」

 

「なるほど」

 

「また空軍によれば、北西に200キロ程の地点にレーダーサイトが建設されたらしい」

 

「レーダーサイト?オイローパの?」

 

 藤原は眉をひそめる。

 

「北北西100キロ地点にある敵空軍基地と連携したCAS(近接航空支援)が展開される可能性がある」

 

「前回のCASもそこから…」

 

「恐らく…今回はかなり大掛かりになる…陸空合同作戦になるぞ」

 

「今回の部隊規模は?」

 

「君の所と第1小隊…後は本部より2部隊が追加でやって来る」

 

「了解です…開始は?」

 

「4日後を予定している…増援到着は3日後だ」

 

 藤原は頷く。

 

「ではまたその時に詳しく話そう…どうだ?もう一戦行くか?」

 

 ハリーはチェスの駒をチラつかせる

 

「ええ…いいでしょう」

 

 2人は再びチェスを始めた。

 

 

 

 ────────────────────

 

 3日後…

 

「では、作戦会議を始める!」

 

 藤原の号令の元、一同が藤原に注目する。

 

「さて、普段ならうちと第1小隊の2部隊だけだが、今回は本部からさらに2部隊が加入した…よろしく頼む」

 

 藤原の挨拶を受けて増援部隊の各隊員が手を挙げたり会釈したりと簡単に相槌をうつ。

 

「今回は、前回偵察したクダ村の内部に侵入して敵部隊を一掃する。それに合わせて、陸空合同での作戦となる」

 

 藤原は地図が張られたボードを指す。

 

「敵は大胆にもここから凡そ北西200キロ地点にレーダーサイトを建設した。また、北北西100キロ地点には空軍基地も確認され、レーダーと地上からの連携で敵のCASリスクも大いに予想される」

 

 藤原は一呼吸置く。

 

「今回の作戦はスピードが命だ。相手より早く動き如何に反撃の手を鈍らせるか…それが肝だ」

 

「となると陸路での移動はタイムロスとなりますね」

 

 藤原の言葉を聞いた増援部隊の1人が発言する。

 

「そうだ…よって、今作戦はヘリボーンを行う。」

 

「ヘリボーン…」

 

「陸軍64航空隊のCH-47 1機並びに、同航空隊のMH-60が2機とAH-64E 1機によるヘリ降下作戦となる。」

 

「その場合、レーダーに捕捉されるのでは?」

 

 イムレイが発言する。

 

「その為の陸空合同作戦だ。空軍の電子戦術機によるレーダーへの妨害と同時に戦闘爆撃機による敵空軍基地の破壊…これにより敵のCASを妨害しクダ村に侵入する。…侵入は日の出と同時に行い空軍の攻撃の後、この基地から離陸…クダ村上空から直接降下を行う。なお、敵部隊には自動火器の導入が進んでいる。十分警戒してくれ…何か質問がある者は?」

 

 藤原の問いかけに一人の増援部隊の隊員が手を挙げる。

 

「敵の自動火器の数や配置は?」

 

「詳しい数は不明だ…だが、この村には中隊規模が駐留し、その数が100以上思われるが、その半数以上は所持していると考えられる…他にある者は?」

 

彼の問いかけに一同は理解していると言った様子で頷いている。

 

「無いようならこれにて作戦会議を終了する。各自装備の点検に移ってくれ」

 

「諸君!武運を祈る!」

 

 ハリーが締めの言葉を投げかけると、各自席を立って会議室を後にした。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。