Paradise of the Disqualified:Rewritten World 作:GameMaster
翌日、一同は再びゲーム開発部へと赴いてデータを確認する……前に、寝たままのモモイを起こして身だしなみを整えさせる所から始まった。
ついでにお風呂に入っていないユズも、ユーリによる強制洗浄で綺麗にされた。おそらく彼女達は、長らく続いた日々のずぼら生活によって不衛生な環境に慣れてしまったのだろう。
そこで、ある意味劇薬を使う事にした。
「流石にここまでずぼらだと容赦しないよ?」
「ぐ、具体的……には?」
「洗濯前の使用済み下着を先生にプレゼントする」
"ちょぉっ!?(いや内心嬉しいけど、この場で言わないでっ!!)"
おそらく後日洗濯されて返却されるのだろうが、その前に一体ナニに使われるのだろうか? 流石にユーリとワカモ以外はドン引きした。
その事に気づいて疑問を持ったユウカが後で聞いて見ると、二人して先生に色々行った結果、様々な性癖を開花させてしまったことを聞かされ、ユウカは頭を抱えることになった。
だが、事情を知らない面々としては、先生を変態にさせたくない。そのためにも、規則正しい生活を送らなければいけないと肝に銘じた。
――――とっくのとうに手遅れかもしれないが、言わぬが花だろう。たぶん。
色々と脱線してしまったが、気を取り直してパソコンに保存されたG.Bibleを起動すると、プロテクトがかかっており、パスワードの入力を求められた。
そこでユーリに頼む案も出たのだが、肝心のユーリ本人から、データを保存した際に浸食に対して一応反撃したものの、強固なプロテクトによって阻まれたことを伝えられた。
「嘘っ!? とんでもないロボットに変身したユーリでも無理だったの!?」
「そうなるとヴェリタスに頼むしかないね……」
「セミナーとしてもあまり気が進まないけど……仕方ないわね」
蛇の道は蛇、餅は餅屋ということでヴェリタスへ連絡し、データを確認してもらうことになった。通信越しとはいえデータの確認は可能だった。調べてもらった結果、ファイルの作成日時や転送日時、作業者の情報が、伝説のゲームクリエイターのIPと一致していたという。
「嘘……? 作り話じゃなかったの?」
"(噂は本当だった……? だがおかしい。ただのゲーム作成マニュアルなら、ユーリがあそこまで追い込まれる理由にはならないはずだ。
もしかして初めからゲーム開発部をおびき寄せるためだけに、噂を意図的に作り出した? 一体何の為に? 日時やIPまで偽装してまでやる価値とは? 駄目だ、情報が少なすぎる)"
その事実にユウカは混乱し、先生も違和感を覚えるしかなかった。はっきり言って、都合が良すぎるのだ。だが、詳細を知りたくてもパスワードの解除は不可能らしい。
そこで出された手段が、データを複製してセキュリティ部分を取り除く方法だった。
だが、それには専用のハッキングツール「Optimus Mirror System」……通称「鏡」と呼ばれるものが必要だという。
「あ、それ前にアリスちゃんの学籍偽造の罪で押収した機材の中にあったわよ?」
『ユウカ、一時的でもいいから権限で使用させてもらえないかな?』
ユウカが言うには、以前やらかした際に押収した機材の中にあったらしい。それを聞いたハレが、使わせてもらえないかと頼んでくる。
だが、現実は非情だった。
「ごめん、本音を言うと中身は見たいし、そのことについては協力したいわ。でも、あなた達とゲーム開発部がやらかした経緯を見ると、相当な恩赦を付けないと特例としては無理よ」
『そうか……部長に知られる前に、何としても取り戻したかったのだがな……』
「あなた達、まさか差押品保管所にゲーム開発部を利用して襲撃をかけるつもりだったんじゃぁ……。止めた方がいいわよ。あそこはしばらくの間C&Cが警備しているし。それと、そのことについてはヒマリにも報告済みよ」
その報告をすると、電話口が少しの間静かになった。
そして――――悲鳴が聞こえてきた。
少しすると、そのまま静かになり、電話が切れてしまった。
「うん、無理! 許されるまで待とう!!」
先生もC&Cについて詳しく知らないが、ヴェリタスの悲鳴よりもモモイがあっさり諦めたことを考えると、相当な強者なのだろう。
先生がそんなことを考えていると、ユウカが説明してくれた。
メイド部とも呼ばれているが、正式名称は『
「ただ、毎回毎回やりすぎるのよ……。『あれは絶対に傷つけるな』『壊すな』『穏便に終わらせろ』って言っても、絶対に聞かないのよ。そのおかげで度重なる賠償金でセミナーの予算はいつもカツカツなのよ。下手すると毎日、破産申請するかしないかの瀬戸際よ」
その言葉に、部屋が静まり返ってしまった。もしミレニアムが破産申請を行い、それが通ってしまった場合、最悪の場合は翌日には学籍も、通う学校も、全て消えてしまうのだ。
「その、ユウカ、ごめん……。私達、ちゃんと働いて借金を返すね」
「何言ってるのよ、モモイらしくない。それにシャーレから支援も受けているし、しばらくの間は大丈夫よ……しばらくの間は、ね」
モモイもC&Cを知っているということは、当然ミドリも知っている。武勇伝の数だけ相当な損害賠償を請求されているのだとしたら、間違いなく支援が間に合わなくなる可能性もある。
そうなるとミドリも、ユウカの「しばらくの間」という言葉に嫌な予感しかしなかったが「それ絶対大丈夫じゃ無い奴じゃん……」としか言葉が出てこないのだった。
ちなみにシャーレからの支援だが、正確にはアビドス解放戦の際にカイザーから鹵獲したパーツなどを売却した際の利益である。
それでも、必要とあればシャーレからの支援を行うつもりではあるのだが。
―――その時ユウカに天啓が走る。*1
「そうよ、襲撃よ。C&Cへ襲撃すればいいのよ。何が依頼達成率100%よ。
達成したのは目的だけよ、それ以外は何も守ってないし達成していないじゃない。これを機会に、一度こっぴどくやられればいいのよ!!
うふふふふ……あはははははははははは……。あーっはっはっはっはっはっ!!!!!」
「うわーん!! いきなりユウカが壊れました!!」
「ごめんねユウカ!! 必ず借金は返済するから元に戻って!!」
ユウカは突如何かを閃いたらしく、その計画が成功すると確信したのか、精神が壊れたかのように上機嫌な笑い声を上げ始めた。
唐突に
「ごめんごめん。
もちろん、ただの訓練だと怪しまれるから、まともな実績を出さずに部費だけを
つまりユウカは、
それと同時に、ミレニアムの害になるような部活に対してエサを撒き、こちらの罠へと誘い込んで駆除するということだ。
「……申し訳ないけど、最終的にユーリさんに頼ることになるけど」
「ああ、なるほど。餌に食いついたかと思ったら、それは猛毒だったと。罠としてはこれ以上ない最上、そして適材適所ね」
察しのいいユーリの理解に、少し遅れてモモイも理解した。
一歩間違えれば、意気揚々と罠に飛び込んでいたのは自分達なのだ。
「さて、打ち合わせも必要だけど、先に契約書を作らないとね。多すぎず少なすぎず、かつ読む気が微妙に失せる内容に巧妙な罠を仕掛けて……うふふふふ。ノアにも口止めをお願いして、秘密裏に進めないとね……うふふふふ」
不穏に笑いながら、ユウカは契約書を作成するため、一同に断って帰って行った。
あまりの恐ろしさに一同は引きながらも、今後ユウカには優しくしようと心に決めたのだった。
数日後、ミレニアムサイエンススクールで防衛訓練イベントが開催されることになった。
それは規定されたルート通りに敵が攻めてくるため、防衛したい場所を各自で防衛してくださいという、かなり大雑把なものだった。
大抵の生徒は無関心だったが、そこには大きく「成功時にはシャーレから
だが、主催者はセミナー。そして最終防衛ラインにはC&Cが控えており、さらに防衛レベルに応じて報酬が増えるという、あまりにも美味しいイベントだった。
そのため、ここぞとばかりに普段から部費を
それをモニタールームで、ユウカが半ば呆れ返りながらも確認していた。
「よくもまぁ、有象無象がこんなに集まったわね……。最悪、
"こんな時は『ハハッ、見ろ! 人がゴミのようだ!! ハッハッハッハッハッハッ!!』とでも高笑いして見下せばいいんじゃないかな?"
「先生は私を何だと思っているんですか……。おおむね言いたいことは理解できてしまいますけど、流石にやりませんよ? おそらく。
あと、ムスカの演技が意外と上手だったから、落差が酷すぎです」
ちなみにこの時、ユウカは内心『うわぁ! いきなり落ち着くな!』と叫んでいたのは言うまでもない。そりゃ、いきなりムスカのものまねをした挙句、何事もなかったかのように元へ戻れば誰だってそうなる。
そんなアホなやり取りをしている内に開始時間が近づいてきたので、スピーカーのスイッチを入れ、今回のネタばらし……という名の罠について説明することにした。
『みんな、お疲れ様。セミナー会計の早瀬ユウカよ。それぞれ予定があるのに防衛訓練に参加してくれて感謝するわ。まぁ、シャーレから報酬が出るって言えば、全員そろって普通に飛び込むよね……。それはそうと、契約書をちゃんと読んだ人はいる?』
その言葉に、モニタールームに映し出されている生徒たちはお互いに確認を取ったり、まったく読んでいないことを示すように首を横に振ったりしていた。
間違いなく参加した全員が、まったく契約書を読んでいない。
ユウカは計画通りに事が進んだと確信し、ものすごく悪い顔をしていた。向こう側からはこちらの声だけしか届かないため、その顔を見たらモモイやミドリなら、思わず有名な『計画通り』系のコラ画像にしたくなるほどの悪い顔である。
『そうよね……。一応、念の為に任意で「確認しました」のチェックを入れられるようになっていたのよ。必須ではないから見逃してもしょうがないけど……。
契約書にサインした時点で契約解除不可能ってことも、誰も読んでないとはねぇ……』
ちなみに契約書には、サインした場合に不利になる内容ばかりが書かれており、少しでも確認すれば間違いなく罠だと分かる内容だった。
つまり、任意での確認チェックは『この契約は罠ですけど、それでも受けますか?』と優しく警告している通知なのだ。それも一つではない。各自に設定された契約内容すべてに、確認のチェックを入れられるようになっている。
つまり参加した全員が、報酬という目先のエサにつられた挙句、目の前に用意された罠から一切目を逸らし、自ら好んで罠に飛び込んだという、愚か者の集まりだったのだ。
そして、スマホから改めて契約書を確認した参加者たちから、不満の声や罵声が飛び交う。
だが、ユウカはそんな言葉を慈悲なく斬り捨てた。
『ちゃんと契約書をよく読むようにって書いてあったでしょ? 全てに確認の為のチェックを入れられるようにしていたのに、読まなかったあなた達の落ち度よ』
「ふざけんなッ! なんであたし達だけこんなにペナルティが大きいんだよッ!!」
そう叫んだのは、メイド部ことC&Cのリーダーこと
『はぁ……何回も注意事項を伝えても守らないでしょ? 一応、無条件で参加辞退する事も出来たのに、契約書を読まずにサインしたのはあなたでしょ? あなた達が出した被害総額、一体いくらだと思っているの? 既に億を超えているのよ?
明日いきなり財政破綻でミレニアムが廃校になってもおかしくないのよ? 今はシャーレから支援を受けているから、辛うじて持たせているだけよ』
その言葉に、参加者からC&Cへ一斉に冷たい視線が突き付けられた。
仮に明日はおろか、今この瞬間に廃校を告げられてもおかしくない被害総額。そのせいで自分達まで路頭に迷う事になったら、責任を他人に押し付けて好き勝手に破壊活動をするこいつらのせいなのだ。だがユウカからしてみれば「この
「勝てばいいんだろ! 勝てば! そうすればあたし達がそんな金払わなくてもいいんだろ!」
周囲の視線に耐えきれず、ネルはそう叫んでいた。しかし周囲もユウカも「本来払うはずの賠償金を踏み倒すなよ」と言わんばかりの非難の視線を投げかけていた。
(見え透いた罠だろうが策略だろうが関係
そして防衛訓練と言う名の、地獄の釜の蓋が開く。
今回のサブタイトルは、WendyBellの「妖花の園」からです。
会話や地の文に色を付ける事に関してアンケートです。活動報告にも詳細を書いてあるので一度目を通してください。文字に色を付ける事に関してどう思いますか?
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