Paradise of the Disqualified:Rewritten World 作:GameMaster
朝早く起きたユーリは、先生とワカモのために朝食を作り、書き置きを残してアビドスへと転移した。次に向かったのは、簡易監獄エリア。捕虜たちの世話と朝食の準備が待っている。
当初は1フロアもあれば十分だと考えていた校舎の改造だったが、結果として校舎の大半を使うことになってしまった。二段ベッドを導入して4人部屋を6人部屋に変更するなど、工夫を凝らしながらもなんとか全員を収容でき、ひとまず安心している。
そんな中、ひときわ目を引く部屋が一つあった。
それは――幹部やボスなど、重役用に設けられた“特別室”である。
「おはよう、入るよ」
「て、てめぇ……」
これまでに捕らえられた団員たちは、次々と心の防御を打ち砕かれてきた。
それは同居している幹部たちも例外ではなく――そして今、いよいよボスの番がやって来たのだ。元幹部の二人は、かつての上司に哀れみの視線を向けた。
「美味しい食事に、快適な寝床。……堪能してくれた?
大人しく降参してくれるなら、手荒な真似はしないよ」
「だ、誰が……!」
気丈に睨み返すボスの視線を、ユーリは正面から受け止めた。
その瞬間、彼女の表情がふっと緩み――とろりと蕩けた。
ユーリが用いたのは、主に魔族系列が使う“魔技”と呼ばれる種族能力で、その中でも“瞳術”と呼ばれる特殊技能の一つ。
彼女の使う『誘惑の魔眼』は、その中でも快楽を引き金に精神を揺さぶるタイプだった。*1
ボスは必死に身を震わせながら抵抗を試みるが、それはほとんど意味をなさない。
なぜなら、
ユーリは誘惑の魔眼で視線を外さないままゆっくりと尋問を続けていく。
「ねぇ……どうして、アビドスを狙ったの?」
「あ……あ……い、依頼……」
「ふうん。依頼ね。……どこから?」
「しら、ない……報酬が、多かった……し、武器も……くれた、から……」
「連絡手段は?」
「いっぽう……てき。毎回……違う電話番号、だった……」
ユーリは、焦らず、責め立てることもなく、静かに一つひとつ問いを重ねていく。
まるで氷を溶かすように――心の奥深くへと、ゆっくりと語りかけるように。
そして最後に、言葉を選びながら、やさしく、しかし揺るがぬ意志を込めて、問いかけた。
「ねぇ……真面目に働きたい? ちゃんと、学校に行きたい?」
「行き、たい……! 行きたい!!」
心の防御が崩れ落ち、本音が溢れ出た瞬間だった。
やはり、彼女たちは自ら望んで堕ちたのではない。ただ、積み重なった不運によって、運命を狂わされてしまったのだ。
ならば――その堕ちた魂を救い上げるのもまた、シャーレの使命なのかもしれない。
彼女の本心を確認したユーリは、そっと瞳術を解除して、落ち着いた口調で指示を出した。
「後でヘルメット団の全員を体育館に集めて。そこで、貴女から組織の解散宣言と、アビドスとシャーレに降る、という意思表明をお願い。
――それ以降は、私たちの仕事だから」
「……よろしく、おねがいします」
小さく頭を下げた彼女に、ユーリはふと思い出したように、最後の問いを重ねる。
「そうだ。肝心なことをひとつ、聞き忘れてた。貴女の名前と、もし言えるなら――元々どこの学校にいたか、教えてくれる?」
……その直後、彼女の口から飛び出した言葉は、ユーリにとってあまりに予想外で――
思わず頭を抱えるほどの、とんでもない“爆弾”だった。
「私達、カタカタヘルメット団は――この時をもって、解散する!」
カタカタヘルメット団は体育館に集められ、ボスがそう高らかに宣言したのち、先生が続けた。
"以後、あなた達はシャーレに“仮所属”となります。
ただし、希望する者は罪滅ぼしとしてアビドスに正式に編入しても構いません。
シャーレの支援活動が性に合っているなら、そのまま所属してくれてもいい。
どこにも属したくないというなら、去っても構いません――ただし、敵対するというなら、その時はこちらも、遠慮も容赦もありません"
そして最後に、きっぱりと念を押す。
"また、カタカタヘルメット団の再結成は、シャーレの権限において――認めません"
こうして、アビドスに混乱をもたらしたカタカタヘルメット団は、正式に解散を迎えた。
とはいえ、結局団員たちは全員そろってアビドスへの編入を選び、シャーレはその仲介に動くことになった。幸いにも学生寮にはまだ余裕があり、全員が問題なく入寮を果たしている。
後日――
アビドスの対策会議室に、委員会メンバーが集まり、定例会議が始まった。
議題は、今回の敵対勢力の壊滅と懐柔について、そして襲撃事件の裏に「依頼人」の存在があることが判明した件についてだった。
その中で、アヤネが報告する。
「そのことで報告があります。回収した戦車を調べたところ、キヴォトス内では使用が禁止されている“違法機種”と判明しました」
その報告に、ノノミも確信をもって答えた。
「車種なり部品なり流通ルートを分析すれば裏にいる存在が明らかになりますね!」
「あー、それと……とんでもない事実がひとつあって」
ユーリが言いにくそうに切り出したその一言で、室内の空気が変わった。
"珍しいね、ユーリが歯切れ悪いなんて"
実力者である彼女が、あからさまにうんざりした表情を見せたことで、場の空気がぴりりと引き締まった。一同の視線が集中する。
「ヘルメット団のボス――『
実は元トリニティ生だったことが判明したの」
「え˝ッ!?」
誰のものか分からない叫び声が会議室に響く。それは一同の動揺を象徴していた。
「あんのトリカス共が……」
忌々しげに呟いたユーリの罵倒に、場が一瞬沈黙する。
その空気の中で、先生が少し困ったように口を開いた。
"えっと、ユーリ? 一応“トリニティ”って名前くらいは知ってるけど……。
そこまでみんなが驚くような話なの? 何か特別な学校なの?"
ユーリの怒りにやや引きつつも、事情に詳しくない先生が慎重に問いかける。
その問いに、ユーリが深いため息をつく。
「トリニティ総合学園。
規律と伝統を重んじる、お
ユーリはそこまで一息に語って、少し肩をすくめる。
「――でね、何が厄介って……。
表向きは清廉潔白を装ってるくせに、裏じゃ陰湿な行為が日常茶飯事。
“堂々と撃ち合いや殴り合いなんて、下品な真似はいたしませんわ~”とか言っておきながら、裏じゃ精神的に追い詰めるわ、不良生徒を使って殺人まがいのことまでやってるの」
"……っ"
先生が息を呑む。
「しかもね、学校内にはいくつも分派や派閥があって、表では“仲良し”を装ってるけど、実際には水面下で牽制や中傷の応酬よ。
裏では貶し合いや堕とし合いが日常茶飯事。成績、家柄、立場、恋愛関係に至るまで、足を引っ張れる要素があれば何でも道具にする。
陰湿な噂を流したり、誰かを陥れるために証拠を捏造したり……そんなことが日々繰り返されてるの。ゲヘナの方がまだマシってくらい、ドロッドロの“トリ頭”の巣窟よ」
"……な、なるほど"
あまりにドロドロとした実情に、返事というより反射のように言葉が漏れ、何とも言えない空気の中でただ小さく呟くしかなかった。
「うへぇ……“お約束”の罵倒句まで飛び出すほど嫌ってるなんて。
もしかしてユーリちゃん、ゲヘナ出身だったりする?」
「うん。事故で記憶はすっ飛んじゃってるけどね。
でも、トリニティより嫌いなのは、基本的に頭空っぽで好き勝手やるゲヘナの連中。
次に嫌いなのが――人の嫌がることを優先してやる、トリ頭のトリカス共」
"な、なるほど……説明ありがとう。そうなると、元トリニティの生徒をうっかり転入させたってバレたら……また面倒なことになるかも?"
「正確には、“彼女を追い出したトリカス共”が、トラブル抱えて押しかけてくるのよ」
"……そんな
「鴨葱……そう、鴨葱よ……いい響きね……うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……。
トリ頭のトリカスを調教して洗脳すれば、万事解決よ」
凄まじく不穏な雰囲気を纏うユーリに、一同はただただドン引きするしかなかった。*3
まあ、仮にトラブルが起きても、闇に葬られるのだろう。間違いなく。
ユーリの怒りがようやく和らぎ、少し落ち着きを取り戻したところで、次なる議題――学校が抱える膨大な負債の返済についての話し合いが静かに始まった。
だが、みんなの提案は一言で言えば全然ダメで、まるで話にならなかった。
しかもユーリの怒りがまだ尾を引いていたため、その案はことごとくボロクソに論破される羽目になったのだった。
結果的に言うとセリカは泣き崩れ、ホシノとシロコは強烈なアイアンクローの痛みで気絶し、真面目な意見を返したのがノノミだけだった。
後でホシノとシロコに抗議された際、ユーリはこう返した。
「外まで吹っ飛ばす鉄拳制裁を顔面に叩き込まれないだけ、ありがたく思いなさい」
「「ごめんなさい」」
二人は鉄拳制裁を
ちなみにその時、先生とワカモは――ユーリのあまりの剣幕に近寄ることもできず、会議室の片隅で静かに見守ることしかできなかった。
そしてこの瞬間、シャーレの面々は重大な事実を、まるで全員で口裏を合わせたように、すっかり忘れていたのだった。
――そう、
「それで、なんでまた柴関ラーメンに?」
「いえその……怒らせたお詫びに、ラーメンを奢らせてください……」
昼食どき、アビドス組の面々には妙な、そして本能的な嫌な予感があった。
このまま下手な行動を取れば、絶対にロクなことにならない。
そんな確信めいた危機感から、全員一致で「ラーメンを奢る」という無難かつ安全な提案に即行動したのだった。
だがこの選択は、ただの逃避やお詫びではなく、ある意味“英断”だったと言える。
なぜなら――
もし誰も動かなければ、ユーリは昼食に“麻婆豆腐”を作るつもりだったのだ。
しかもそれは、
口から火を噴くほどの超激辛麻婆豆腐だった。
当然、その麻婆豆腐はユーリの手で三馬鹿の昼食として“ねじ込まれる予定”だった。
結局、様子を察したのか、セリカだけは逃げるようにバイトへと向かっていった。
言い訳もそこそこに脱兎のごとく去っていく姿に、誰も問い詰めようとは思わなかった。
ユーリは、ラーメンという無難な選択に渋々折れ、それ以上は追及しなかった。
内心では、ちょっとだけ舌打ちしていたが。
「……しょうがない。今回は、見逃してあげる」
そんな時、店の入口から入ってきたのは――今にも「お金がありません」と口にしそうなオーラを放つ貧乏学生だった。
しかも一人ではない。次々と似たような風体の仲間たちが入ってきて、気づけば貧乏感全開の“四人組”が勢揃いしていた。
接客に出たセリカは、なぜか完全に情に流された様子で、目をうるませながら声をかけた。
だがその裏で、最初に異変に気づいたのはワカモだった。
表情一つ変えず、静かに先生の袖を引いて耳打ちする。
「あなた様……念のため、聞き耳を立てていただけますか?」
同時に、手話に近い簡素なハンドサインでユーリにも「聞け」と指示を送る。
耳を澄ませば、案の定、会話の内容は物騒なもので――
――そんなにアビドスの連中って強いの?
――どーせ何も考えずに大量に傭兵雇ったんでしょ?
――ヘルメット団はあの程度の人数だから負けたんでしょ。
彼女たちは、完全に油断しきっていた。
“周囲に聞かれていない”つもりで、堂々と襲撃の作戦会議を始めてしまったのだ。
それを盗み聞きしながら三人は対応プランを着々と練っていった。
「……なるほど。あの四人が、カタカタヘルメット団にとどめを刺した張本人ってわけか。
――にしては、あまりにも詰めが甘い。襲撃の作戦会議を、こんな場所で、しかも周囲に聞かれてないと本気で思ってるなんて……どこまで能天気なのよ」
「とはいえ、このあと確実に攻めてくるはずですわね。いくらあの子たちが無防備に見えても、拠点を潰すほどのことをしたのですもの。ならば当然、次の段階――制圧のプランくらいは準備していると考えるべきです。
……それに、傭兵を拘束するという行為、建前上はルール違反ではありませんの? 問題になりませんか?」
"いや……“傭兵”って扱いなら、たしか一度戦闘不能にしていれば、その後は再雇用も可能だったはず。現場の回収がなされてないなら、今は宙ぶらりんの扱いになってるかもしれない。
むしろ、こちらから条件を出してリクルートし直すには絶好のタイミングかも。話のわかる相手なら、案外すんなり交渉成立するかもしれないしな……"
―――それが便利屋
"大きい声で襲撃計画話すなんて……なんてぽんこつなんだ"
「ドゥブッハァ!!」
「うわっ、どうしたの!? 大丈夫!?」
(ぽっ、ぽぽぽっ、ぽん…こつ…ッ!!)
あまりにも真っ直ぐすぎる先生の感想に、ユーリは飲んでいた水を盛大に噴き出した。
その横で、ワカモは顔を伏せたまま震えている。
肩が小刻みに揺れているのは、決して怒りでも焦りでもない。
――そう、必死に笑いをこらえていたのだ。
「い、いや、何でもないよ……」
そんなとき、超大盛りのラーメンが運ばれてきて、貧乏四人組――通称便利屋68の面々は歓喜に沸いていた。みんなが自分たちのことみたいに大喜びして、にこやかに話しかけて歓談している。
ユ―リはその光景を眺めながら、ぽつりと呟いた。
「……ゲヘナだったのか」
"ユーリ、ステイ"
しかし彼女は軽く手を振って応えた。
「大丈夫、大丈夫。ちょっと脅すだけだから」
そう言うと、話している仲間たちの間をすり抜けて、洗面所へ向かったのだった。
「おまたせ。ずいぶん仲良く話してるじゃない?」
「あの、ユーリさん、さっきはどうしたんですか?」
「ちょっとむせちゃってね。顔のメイクが少し落ちたけど、こういうことはよくあるのよ」
便利屋68の何人かが、ユーリの傷に気づいたようで――警戒心を露わにしている。
そこでユーリは、わざと軽い調子で笑った。
「大将、ちょっと調理場を借りていい? 私も一品作りたいんだけど」
「おっ、セリカちゃんがべた褒めしてた子の料理か。俺も気になるから頼むわ」
ユーリは大将の許可をもらい、手を洗ってから調理場へ入った。懐から、オーラを纏った
「なっ…!! 嬢ちゃん、その包丁…派手な見た目とは裏腹にとんでもない逸品じゃないか…! 一体どんな素材を使えばそんな包丁が出来るんだ…!?」
「じゃあ、軽くチャーハンでも作りましょうか」
まさに神業と呼ぶにふさわしく、数十秒も経たないうちに食材は切り刻まれ、米粒は炎の中を舞い踊るように宙を飛ぶ。そして数分後には、大盛りチャーハンが三皿完成していた。
「おいおい…これを“軽く”で済ませるとは…想像以上だ。久しぶりに
大将も思わず負けを認めるレベルで絶賛し、チャーハンは全員に大好評だった。
(料理人系上級職の『トリプルコック』をマスターしている大将も十分凄いけどね。いい人だから、これくらいのサービスはしておこうかな)
彼の人柄を称えて、こっそりと大将の職業を料理人系最上級職『味皇』へ“昇格”させておいた。
いつかまた彼の店に来て、驕らずアビドスのために料理を振る舞い続けていれば、マスターするのも時間の問題だろう。
その時は料理人系封印職の『料理神』にしておくのもいいかもしれない――そう思った。
「それじゃあ、二人ともよろしくね」
"大丈夫、ぽんこつ相手でも油断はしないよ"
「……失礼……ふふっ。そ、そうですわね。ぽんこつだからって弱いわけじゃないですし……逆に笑いすぎて私たちの方が弱くなりそうですが…」
食後、ユーリは二人とアビドス組を先に帰らせることにした。
理由は単純。先生たちにはすでに迎撃部隊と回収部隊の準備を頼んである。そして――そのことは、アビドス組にはまだ伏せていた。
もしアビドス側で迎撃準備をしていることが漏れれば、敵に気づかれてしまう。だからこそ、この作戦は秘密にしておく必要があったのだ。
そしてユーリが折を見て戻ると校門前では、アビドスの面々と便利屋68との激しい舌戦が繰り広げられていた。そんな最中、先生は密かに指示を出し、ワカモは新生アビドス生徒たちの部隊を率いて傭兵たちの側面へと展開した。
"君たちが仕事で来ていても、それが汚れ仕事なら止めるのが先生の役目だ…"
「絶対に依頼主を聞き出してやるんだから!」
「こっちも仕事なのよ!」
「
"……
その瞬間、傭兵たちの側面からアビドスの制服を身にまとった少女たちが整然と隊列を組み、一斉に敵陣へと襲いかかっていった。
「うわっ、側面からの攻撃!?」
「迎撃しろ、でないとただ働き扱いになっちまう!」
その状況をじっと見つめながら、課長と呼ばれる
あの『
あの冷酷な瞳の奥には、必ず何か緻密な思惑が隠されているに違いないと、確信してしまった。
「必ず
白い制服を身に纏い、冷静に的確な指示を飛ばす
「やっぱり、中隊を率いている人もいるわね。アルちゃん、早めに撤退した方がいいわよ」
傭兵の数は既に半分――十名にまで減り、しかも回収部隊まで配置され、拘束準備が進んでいる。このままでは全滅はもちろん、全員捕虜になる未来が濃厚だった。
アルは、ここで引くべきか、それとももう少し粘るべきかをほんの僅かに迷いながらも、最終的に撤退の指示を出そうと口を開きかけた――その瞬間、
「一班、敵中枢へ突撃!」
「
「姐さんに続けっ!!」
「便利屋めっ! あの時の借りを返しに来たぞ!」
「あたしたちのアビドスをやらせない!!」
それはまさに、便利屋68にとって最悪の展開だった。
『
「この…! 死んでください死んでください死んでください死んでください!!」
「ハルカ!? ちょ、待――!」
真っ先に突撃してきた一団に反応したのは、あの弱気だった少女――ハルカだった。
彼女は叫びながら迷いなく散弾銃を連射し、二人の敵を吹き飛ばす。だがその一人は、あろうことか――ユーリの盾となって攻撃を受けながらも、なおも仲間を守るようにして前へ出てきた。
「姐さん、頼みます! ……トリカスをなめんなぁぁぁ!!」
「――ふざけんじゃないわよ!!」
アルは即座に反応し、突撃してきた少女の剣幕に気圧されながらも狙撃銃を構える。
片手で狙撃銃を構え、冷静さを装って引き金を引く――。
銃声が響いた瞬間、少女は胸元を撃ち抜かれ、ゆっくりと膝をついた。だが――その顔に浮かんでいたのは、どこか満足そうな微笑みだった。
(しまった――)
その一瞬の逡巡――それが命取りとなった。
その間に仲間の三人が次々と叩きのめされ、気がつけば目前には――
静かに刀を突きつける、
「―――
それは、敗北の宣告だった。
便利屋68、完全敗北。
リンクした楽曲
Savior ~from Astral Chain~
本話のタイトルにもなった楽曲です。
戦闘曲候補としていくつかリストアップしていた中の一つで、執筆中の作業BGMとして流していたところ、ふと――「この場面にはこれだ」と確信しました。
まさに、生徒たちを「救う」存在としての彼らを象徴しているようで。
自然と物語の空気と重なっていった一曲です。