仮面ライダージェネシス   作:かいてつろー

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第3章 拓かれた確執

 虹架町の住宅街。

 そこのある一軒家、二階の部屋にショウヘイが閉じ籠っていた。

 孤独感を覚えながら布団に包まっていると突然扉が開く。

 

「ちょっ、入って来ないでって……」

 

 親が勝手に来たのかと思った。

 しかし相手は思っていた者とは違う存在であった。

 

「はぁ、はぁ……ショウヘイっ」

 

 それはなんとユイトであった。

 全身傷だらけで部屋に入るや否や床に倒れ込む。

 

「え、ユイト……? 大丈夫っ⁈」

 

 慌てて駆け寄ろうとするがショウヘイは彼がヴォイドであり人を殺そうとしている存在だという事を思い出し躊躇ってしまう。

 

「俺を恨んでる……? アライヴって人達に正体話したから……」

 

「そんな事はないよっ、君の力になりたいって気持ちは変わらない……っ」

 

 そう言われて思わず寄り添ってしまうショウヘイ。

 ユイトの傷をハンカチで拭いベッドに寝かせる。

 

「ごめんね、こんな俺を……」

 

「自分でもよく分かってないけど……やっぱり君はたった一人の友達だから」

 

 ショウヘイの目には涙が浮かんでいた。

 

「俺が生み出した理想の友達ってのは分かってるけど……それでも助けになってたよ」

 

 正直なところ孤独を抱えていたショウヘイにとっていくら人殺しと言えど優しくしてくれるユイトの存在は大きかった、罪悪感以上に。

 

「俺はどうすれば良いんだよ……」

 

 このままユイトの思い通りにさせては行けない事も分かる。

 しかし彼を手放したくない気持ちも強いのだ。

 

「ショウヘイ……」

 

 すると部屋の扉が再度開く。

 また両親がやって来たのかと思った。

 しかしソレは明らかに違った。

 

『ヴヴヴヴ……』

 

 人間ではない、恐らくヴォイドだ。

 何故ここにいるのか。

 真っ赤な姿はまるで鬼のようだった。

 

「なっ……⁈」

 

 鬼のようなヴォイドはユイトではなくショウヘイを狙い攻撃して来た。

 

「え……」

 

 振り下ろされる爪。

 動けずにいるとヴォイドに変身したユイトが現れその攻撃を防いだ。

 

『ぐぅっ……⁈』

 

「あっ、ユイト……⁈」

 

『逃げろショウヘイ!』

 

 取っ組み合いの体勢になる両者のヴォイド。

 ショウヘイは訳も分からずその隙に家を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

『仮面ライダージェネシス』

 

 第3章 拓かれた確執

 

 

 

 

 

 

 翌日、拠点でまたニュースを見ていたサトル達。

 そこでは衝撃的な事が報道がされていた。

 

『昨日の事件が起こった中学校の生徒、"荻野ショウヘイ"さんが行方不明となっています』

 

 この事態を重く見たココロはサトルに問う。

 

「もしかして乗っ取られちゃったの……?」

 

「それは無い。昨日の時点で虚空はそれほどデカくなかった、こんな一瞬で広がるとは思えないな」

 

 サトルは右手を見ながら舌打ちをする。

 

「チッ、昨日でストックが切れた。アライヴ任せになっちまうか……」

 

 するとリクトがパソコンでデータを漁りながら声を上げる。

 何か新しい情報が手に入ったようだ。

 

「お、ショウヘイ君はアライヴに駆け込んだって!」

 

 何処から手に入れた情報なのか、ココロは疑ったがサトルは難しそうな表情を浮かべる。

 

「それじゃ俺は動けないな……」

 

 頭を悩ませているとリクトは更なる情報を提示する。

 

「彼の証言なんだけどね。突然別のヴォイドがやって来て襲い掛かって来たらしいよ」

 

「えっ⁈」

 

 驚くココロと対照的に項垂れるサトル。

 

「はぁ、また面倒な事になったな……」

 

 頭を抱えるサトルにココロは問う。

 

「これってどういう事なの……?」

 

 あくまで推測に過ぎないがサトルは考え得る事を伝える。

 リクトもその意見に賛同していた。

 

「宿主を狙ったって事は生徒の中の誰かが現状を不満に思ったな、そこを付け込まれたか……」

 

「その可能性は大いにあるね。もう一人がアライヴに行ってる以上僕らが接触するべきはそっちかな」

 

 悩むココロ。

 ヴォイドが現れる事で更に他の者まで巻き込み新たなヴォイドが生まれる。

 その実情を知り身を震わせる。

 

「あの……!」

 

 立ち上がるココロ。

 二人は彼女を見る。

 

「それ、私にやらせてくれないかな……?」

 

「え、何で君が……?」

 

「お姉ちゃんに繋がるかもってのもあるけど……何より心の穴って話なら何かせずにいられなくて」

 

 それを聞いたサトルは少し考える。

 そして仕方なく了承した。

 

「ま、良いだろ。俺が行くよりかは可能性がある」

 

 許可を得たココロは静かに頷き準備を整えた。

 

「ジャーナリストだから、任せてよ!」

 

 そしてココロは出掛けた。

 生徒たちの心の穴に寄り添うために。

 

 

 ココロは事件の起こった中学校付近を彷徨いていた。

 通りすがりの方々に聞き込みをしながら情報を集めて行く。

 そんな中で一つ有力な情報が手に入った。

 

「あそこの学生ならよく近くのショッピングモールで遊んでるよ」

 

 その情報を元にココロは指定されたショッピングモールを訪れる。

 するとまだ昼間だと言うのに女子中学生らしき子供たちが集まっているのが見えた。

 恐らく休校になり暇で遊びに来たのだろう。

 

「ねぇ君たち、ちょっと良いかな?」

 

 女子中学生たちに声をかけるココロ。

 

「どなたですか?」

 

「こういう者なんだけど」

 

 名刺を差し出すココロ。

 ジャーナリストという文字を見て女子たちは目を見開く。

 

「取材か何かですか? 警察も誰も本当のこと信じてくれなかった、ちゃんと聞いてくれます?」

 

「もちろん、実は私も少し関わりあるから」

 

 その言葉に真実を話しても良いと考えた女子たちはフードコートに移動しココロに話をした。

 

 ***

 

 フードコートでアイスを食べながら話す女子たち。

 対するココロは無料の水を飲んでいる。

 

「あの化け物のこと知ってるんですか?」

 

「うん、私のお姉ちゃんもその関係で行方不明になってね。探しにこの街に来たんだ」

 

「じゃあ……転校生が化け物だったみたいなんです」

 

 俯きながら語る女子生徒たち。

 

「クラスに一人暗いヤツがいて、ソイツが呼び出してたみたいで揶揄ってた奴を消してたみたいで……」

 

「アイツのせいで学校にも行けないし友達も居なくなるし」

 

「私たちまで巻き込んで最悪ですよもう」

 

 その話を聞いたココロはある違和感を覚える。

 

「そうなんだ……」

 

 そしてその違和感を聞いてみる事にした。

 

「何で君たちはその子が呼び出したってこと知ってるの?」

 

「えっ」

 

 女子生徒たちの顔色が一瞬にして変わる。

 

「分かってるのは揶揄ってた子が襲われたって事だけだよね?」

 

「う……」

 

 するとココロのスマホにメールが届く。

 相手はリクトだった。

 

『アライヴの情報によるとショウヘイ君はもう一体のヴォイドに襲われたらしいよ』

 

 その文面を読んで違和感は確信に変わる。

 ココロはもう一度女子生徒たちに向き直り真剣に質問した。

 

「昨日もう一体化け物が出てショウヘイ君を襲ったんだって。君たちが事情を知り過ぎてるのと関係あるかな?」

 

 ココロは分かっていた。

 後は本人から直接聞き出すだけだ。

 

「えっと……」

 

 突然口籠る女子生徒たち。

 しかしその中の一人が恐怖から真相を語り始めた。

 

「突然変な帽子被った男が来て……私たちの学校に行けなくなった怒りが使えるって言ったんですっ」

 

「ちょっと……!」

 

 告白した女子生徒を他の子は静止しようとするがココロはもう知ってしまった。

 

「そう、何て事……」

 

 俯きながらココロはヴォイドについて説明する事を決めた。

 

「あの化け物は君たちの心の穴から生まれるの、そして望む事をしてあげて広がって行く。それで心が埋められてると勘違いさせて精神を乗っ取ろうとしてるんだよ」

 

 それを聞いた女子生徒たちは顔を真っ青にしてしまう。

 

「じゃあ私たちの事を乗っ取ろうとしてるんですか……?」

 

「そう。君たちがショウヘイ君に怒ってるんだとしたら彼がやられたら……今度は君たちが危ない」

 

「そんな……どうすれば良いんですか⁈」

 

 必死に懇願してくる女子生徒たち。

 ココロは何とか心を強く持ち伝えた。

 

「大丈夫、私の仲間が何とかしてくれる」

 

 怯える女子生徒の肩を優しく撫でながら決意を固めたのだった。

 

 

 一方でここはアライヴ本部。

 駆け込んで来たショウヘイの話をある専属のカウンセラーが聞いていた。

 隣ではシンジも立って話を聞いている。

 

「それで君はどうしたいのかな?」

 

 ミディアムパーマを靡かせた若い男のカウンセラーが優しい表情を浮かべながら問う。

 ショウヘイは苦しそうに答える。

 

「分かりません、本当はユイトは倒されるべきなのは分かってます。でもたった一人の友達なんです……っ」

 

 ユイトの事を想うあまり答えが導き出せない。

 

「確かに気持ちは分かるよ、でも彼は友達を装って君を蝕んでる。……だからと言ってせっかくの友達を失うのは悲しいよね」

 

 そこでカウンセラーはある事を思い付く。

 

「だったらさ、クラスで友達を作ってみるのはどう? 勇気出して一歩踏み出してさ、大変かも知れないけどそうすれば解決できないかな?」

 

「え、でもそれは……」

 

「ヴォイドは君の寂しさから生まれた、ならその寂しさを埋めてしまえば自然と力は弱まるはず。君の勇気が解決に繋がるんだよ」

 

 そう言われ少し考えるショウヘイ。

 

「確かに俺も皆んなの輪に入れればと思ってた、友達が欲しいと思い始めたのもそこからなんです」

 

「だったら尚更だよ。機会を作ろう、君と皆んなで話し合う場をね」

 

 ***

 

 カウンセリングが終わった後、シンジとそのカウンセラーは外で話していた。

 

「確かに心の穴を埋められればヴォイドは弱ります、いい作戦ですね有明さん」

 

 有明と呼ばれたカウンセラー。

 首から下げた名札には"有明リョウガ"と書かれている。

 

「僕がカウンセラーになった理由でもあるからね。心の穴を最初から埋めてしまえばヴォイド殲滅にも繋がる」

 

 シンジは早速動き出す事を考える。

 

「では早速動きましょう。クラスメイト達の連絡先は聴取の時に数名から聞きました、彼らに呼び掛けます」

 

「じゃあ上に話をつけてこよう。それから頼むよ」

 

「はいっ!」

 

 こうして作戦が開始した。

 ショウヘイとクラスメイト達を話し合わせ仲直りさせるのだ。

 

 ***

 

 拠点ではサトルとリクトがその情報を掴んでいた。

 彼らは溜息を吐く。

 

「いやいや、クラスメイト達も宿主なんだから危険でしょ……」

 

「ヤツらその件はまだ掴んでないのか?」

 

「最悪の場合二体のヴォイドが鉢合わせになる、余計危険だよ……」

 

 そこでサトルが動き出す。

 外出の準備を整えていた。

 

「どうするの?」

 

「手を打っておく」

 

 そしてサトルはバイクに乗り移動を開始した。

 

 ***

 

 ここはショウヘイの部屋。

 ベッドにまだユイトが寝ていた。

 

「ん……?」

 

 気がつくと窓が空いており風が吹き抜けている。

 警戒するユイトは辺りを見渡す。

 すると部屋の中にサトルが立っているのを見つけた。

 

「お前っ……」

 

「落ち着け、今は手出しするつもりはない」

 

「じゃあ何で……っ」

 

「取引をしたくてな」

 

 そしてサトルはユイトにある作戦を告げるのだった。

 

 

 アライヴ本部の前、外部にショウヘイとシンジが立っていた。

 他に特殊部隊が影に隠れてスタンバイしておりカウンセラーのリョウガも共にいる。

 

「お、来たぞ」

 

 ショウヘイの肩を叩くシンジ。

 前方に停まった車からクラスメイト達が続々と降りて来た。

 

「あ……」

 

 緊張を隠せないショウヘイ。

 それはクラスメイト達も同様であった。

 

「えっと、話って何ですか……?」

 

 ショウヘイに対する警戒心が見え隠れしている。

 彼もそれを感じ取っていたがシンジが背中を押す。

 

「ほら、行けよ」

 

 勇気を振り絞りショウヘイはゆっくりと前に出て行く。

 そしてクラスメイト達の目の前に立った。

 

「な、何……?」

 

 そして思い切り彼らに向けて頭を下げた。

 

「ごめんなさいっ!」

 

 キョトンとするクラスメイト達。

 何故謝られたのか分からなかった。

 

「え、どういう事……?」

 

「俺が生み出したヴォイド……いや、俺のせいで怖い思いさせて……っ」

 

 そしてショウヘイは自らの想いを吐露していく。

 

「ずっと友達が欲しかったんだ、でもこんな事は望んでなかった。俺これから変わるから、皆んなと仲良くなれるように努力するからっ……信じて欲しい……!」

 

 全て吐き出したショウヘイ。

 シンジは胸の中で彼の勇気を讃えていた。

 

「……っ」

 

 一瞬の沈黙。

 クラスメイト達は何やら考えているようで。

 

「どう、かな……?」

 

 ゆっくりと顔を上げるショウヘイ。

 すると以前襲われたイジメっ子が口を開いた。

 

「そ、そんなこと言われてもっ! 現に二人行方不明のままだぞ! それはどうすんだ⁈ 俺だって襲われたってのに!」

 

 ショウヘイの顔に落胆の様子が浮かぶ。

 便乗して他のクラスメイト達も声を荒げた。

 

「そうだ、俺たちの友達は居なくなっちまったってのに都合よすぎるよ!」

 

「私たちだって危ないのに!」

 

「こんな事を機会に自分だけ変わろうだなんて、信じられるか!」

 

 シンジも驚愕の表情を浮かべる。

 

「そう言って油断させて襲うつもりだろ、騙されねぇぞ!」

 

「そ、そんな……」

 

 全身をプルプルと震わせ絶望するショウヘイ。

 シンジも黙っていられなくなり前に出る。

 

「君たち言い過ぎだ!」

 

 しかしクラスメイト達の疑いはもう止まらない。

 

「コイツはもう一線を越えた! 今更友達になんてなれる訳ないだろ!」

 

 その言葉を受けシンジは地面に膝をついてしまうショウヘイに寄り添う。

 クラスメイト達の怒りの視線を感じていた。

 

「そんな、こんな事って……」

 

 クラスメイト達の怒りはもう収まらない。

 それに呼応するように鬼のような雄叫びが辺りに響いた。

 

『グオォォォッ!』

 

 アライヴ本部の一同は警戒する。

 ヴォイドらしき声が聞こえたのだ。

 

「もう終わらせたいんだ……」

 

 クラスメイトの一人がそう呟く。

 するとその背後から真っ赤な鬼のような姿をしたヴォイドが現れる。

 

「なっ……⁈」

 

「コイツは……」

 

 ショウヘイは思い出す。

 自身を狙い部屋に現れたヴォイドだった。

 赤鬼のようなヴォイドはジリジリとショウヘイに向かって進んで来る。

 

「くっ……」

 

 シンジは慌ててベルトを巻き前に立つ。

 そして起動させた。

 

「変身っ!」

 

 仮面ライダーアライヴへと変身しヴォイドへ殴りかかる。

 しかし前回のユイトより遥かに強力であった、全く歯が立たず吹き飛ばされてしまう。

 

『ぐあっ……』

 

 特殊部隊も前に出て銃を撃った。

 

「撃てぇぇ!」

 

 しかしヴォイドには効果が薄いようで怯む事なくショウヘイへと歩みを進める。

 

「ひっ……」

 

 鋭利な爪をショウヘイに向けて構える。

 そして振り下ろされた。

 

「た、助けて……ユイトっ!」

 

 唯一の友達に助けを求める。

 そしてとうとう爪の攻撃は命中した。

 

 ***

 

「……え?」

 

 ショウヘイは無事だ。

 ゆっくりと目を開けて前を見る。

 

「あぁっ!」

 

 するとそこには自分を攻撃から庇うヴォイドと化したユイトの姿があった。

 

『怪我はないかショウヘイ……?』

 

 ゴリラのような太い腕で爪による攻撃を防いでいた。

 しかし前のダメージが大きいのか既に全身傷だらけである。

 

 

 ショウヘイを庇うように現れたユイト。

 アライヴへと変身したシンジは状況が理解できずにいた。

 

『なっ、ヴォイドが庇った……⁈』

 

 遠くから見ていたカウンセラーのリョウガはその意味を推測し無線でシンジに伝えた。

 

「宿主が死ねばヴォイドも消える。恐らく自分の延命のために庇っただけだ、油断はするな!」

 

『ま、そんな所だよなっ』

 

 立ち上がるアライヴ。

 そのまま赤鬼のようなヴォイドを蹴り飛ばした。

 攻撃から解放されたユイトは地面に膝をついてしまう。

 

『ぐっ……』

 

「ユイトっ、来てくれたの⁈」

 

『当然だよ、たった一人の友達だからね』

 

 どちらを攻撃すべきか悩んでいるアライヴ。

 すると無線が特殊部隊を含め全員に届く。

 

『ゴリラと協力しデーモンを撃破せよ、後の事は現場に任せる』

 

 その声を聞きシンジは声を上げた。

 

「長官⁈ いらしてたんですか!」

 

『私の事はいい、今は指示に従ってもらおうか』

 

「しかし長官、相手はどちらもヴォイドですっ」

 

『シンジ、アライヴを受け継いだ身なら見極めろ。穴を塞ぐ最善の方法をな』

 

 その言葉で初心を思い出したシンジは長官の指示に従う事を決めた。

 

『……了解っ』

 

 立ち上がるアライヴ。

 そしてユイトに手を差し伸べた。

 

『立つんだ、宿主を守るんだろ?』

 

 ユイトは一瞬警戒したがすぐに真意を読み取った。

 しかし手は取らず自力で立ち上がる。

 

『今回だけだ』

 

『それで結構』

 

 そして二人は赤鬼ヴォイドを睨む。

 それぞれ拳を構えた。

 

『おぉぉっ!』

 

 一斉に走り出し攻撃を仕掛けて行く。

 しかし赤鬼ヴォイドがまだ一枚上手だ。

 

『ぐっ……』

 

 ユイトはこれまでのダメージでフルパワーが出せない。

 その分アライヴに頼りっぱなしだ。

 

『(このままじゃ……)』

 

 振り返り心配そうに見つめるショウヘイの顔を見る。

 そこで覚悟を決めた。

 

『フン、死はヴォイドの終わりではないからな』

 

 苦戦するアライヴ。

 そこへユイトが突っ込んで来た。

 

『うぉっ!』

 

 ユイトのタックルで赤鬼ヴォイドは押し出される。

 

『お前っ⁈』

 

 しかし赤鬼ヴォイドにはあまり効いておらず爪を突き立てユイトの腹部を貫いた。

 

『ぐふぅっ⁈』

 

 しかし赤鬼ヴォイドは気付く。

 身動きが取れない事に。

 

『捕まえた……っ』

 

 そしてユイトはアライヴにアイコンタクトを送る。

 シンジは即座にその意味を理解した。

 

『……良いんだなっ?』

 

 そしてベルトのスイッチを押す。

 エネルギーが右足に集まった。

 そのまま全力で飛び上がり後ろ回し蹴りを仕掛ける。

 

「ユイトぉぉーっ!」

 

 ショウヘイの嘆く声が聞こえる。

 その声を聞いたユイトは思っていた。

 

『君に心の穴がある限り俺は何度でも会いに来るさ、次こそ俺が支配してやるからな!』

 

 そしてアライヴの後ろ回し蹴りはユイトごと巻き込み赤鬼ヴォイドに有を植えつけた。

 

『インセプション!』

 

 虚空に多大なる有を植えつけ無理やり攻撃する必殺技、インセプションが炸裂。

 その場で大爆発が起こった。

 

『ググァガァァァッ……』

 

 ユイトの痕跡は完全に消滅した。

 しかしまだ赤鬼ヴォイドは生きている。

 それでもかなりのダメージを負わされてしまい弱体化していた。

 

『くっ、まだ死なないか……』

 

 背後ではショウヘイが涙を流している。

 しかし力が持たずアライヴは変身が解けシンジの姿に戻ってしまった。

 

「後少しなのに……」

 

 地面を殴り嘆くシンジ。

 すると遠くからバイクの音が聞こえた。

 

「っ……?」

 

 現れたバイクは一度赤鬼ヴォイドを轢いた後にその場で漂っていたユイトが遺したヴォイドハートを拾う。

 

「よし、作戦通りだ」

 

 ユイトのヴォイドハートを手に入れたバイク乗りはサトルだった。

 ヘルメットを被っているため顔は見えない。

 そのままシンジの前で止まった。

 

「作戦って、全部お前が仕組んだってのか……?」

 

 シンジは周囲を見渡す。

 そこには泣いているショウヘイと絶望するクラスメイト達が。

 

「せっかく仲直りさせようと……そうすれば穴は塞がってヴォイドも消えたかも知れないのにっ」

 

「甘いこと言ってんじゃねぇよ、こんな奴ら相手に仲直りなんてする必要があると思うか?」

 

「何っ⁈」

 

「自分勝手にイジメたツケが来た、それを許してやろうってのに逆ギレして殺そうとして来るような奴らだぞ」

 

 そう言われてシンジは何も言い返せなかった。

 

「少なくともソイツはこんな奴らよりもっと良い奴らと仲良くすべきだな」

 

 そしてサトルはボーンドライバーを開きヴォイドハートを装着する。

 

「……変身」

 

 仮面ライダージェネシス、ロンリーフォームの登場。

 今回の事件の終局へは彼が誘う。

 

 

 ジェネシスは弱った赤鬼ヴォイドを攻撃して行く。

 しかしそれでもまだ相手には余力が残っていた。

 

『チッ、弱らせても怒り型とは相性が悪い……』

 

 そこでジェネシスはある作戦を考える。

 腰に装着された骨のようなパーツを一本取り出した。

 

『フンッ』

 

 そしてまるで切腹するかのようにボーンドライバーに装着されたヴォイドハートに突き刺したのだ。

 それをゆっくりと引き抜くとまるで背骨のような刃が現れる。

 ジェネシス専用の剣、"スパインブレイド"だ。

 

『おぉらっ!』

 

 スパインブレイドで赤鬼ヴォイドを何度も切り割いて行く。

 流石に大きなダメージを受けた赤鬼ヴォイドは絶叫した。

 

 ***

 

 拠点ではリクトとココロが戦いの様子を監視カメラで見ていた。

 

「何でサトル君はこんな……」

 

 心配するような声で呟いたココロにリクトが説明する。

 

「彼自身がヴォイドのようなものだからね」

 

「え⁈」

 

「あ、そのままの意味じゃなくて」

 

 リクトはサトルが抱えている事を話し出した。

 パソコン画面には荒くれ者のように戦うジェネシスの姿が映し出されている。

 

「サトル自身も心が空っぽなんだ、復讐でそれを埋めようとしてる。つまり彼自身が自分にとってのヴォイドのようなものなんだよ、復讐が果たされた所で何も満たされやしないのにね」

 

 その言葉を聞いたココロはより一層サトルの戦いに目を奪われていた。

 

 ***

 

 スパインブレイドの力で赤鬼ヴォイドを追い詰めて行くサトル。

 そして隙を見てスパインブレイドのトリガーを引いた。

 

『おぉっ!』

 

 まるで血粉のようなオーラが放たれ赤鬼ヴォイドを両断する。

 とうとう大爆発を起こし赤鬼ヴォイドは消滅した。

 真っ赤なヴォイドハートがジェネシスの手に渡る。

 

『……怒り型、久々だな』

 

 そしてスパインブレイドを仕舞いジェネシスはクラスメイト達に迫る。

 

「ひっ、何ですか……?」

 

 イジメっ子は腰を抜かしたままジェネシスを罵倒した。

 

「てめぇ、よくも……! アイツが俺たちに何したか分かってんのかよ!」

 

 ショウヘイを指すイジメっ子。

 するとジェネシスは冷たく言い放った。

 

『よく言うぜ、お前らも結局同じ事しようとしただろうに』

 

 そしてジェネシスは本題に入る。

 

『お前ら、誰に会ってヴォイドを生んだ? それだけ答えろ』

 

 震えて声も出せないクラスメイト達。

 そんな中でココロと出会った女子生徒が口を開いた。

 

「全身黒尽くめの……変なハット被った男……」

 

 それを聞いたジェネシスは呟く。

 

『ギデオンか、また厄介な野郎だ』

 

 そのままバイクに乗り去って行くジェネシス。

 シンジは走って問う。

 

「これがお前のやり方なのか⁈ こんなんじゃ心の穴が広がるだけだ!」

 

 するとジェネシスは一度ブレーキをかけ捨て台詞を吐いた。

 

『……後はお前らの仕事だろ』

 

 そして再びバイクを走らせ去って行った。

 その場にいた全員の恐怖や憎しみを一身に受けジェネシスは闇夜の彼方へと消えて行った。

 

「何なんだよ……」

 

 取り残されたシンジは強く歯軋りをした。

 二人の明らかな確執が生まれた瞬間であった。

 

 

 翌日、アライヴ本部では監視カメラに映ったジェネシスの映像を確認しているある男がいた。

 

「いかがでしょう、愛川長官……」

 

 その男とはアライヴ長官である"愛川カナメ"であった。

 初老ではあるがまだまだ若く見えるカナメはジェネシスの映像を見て呟いた。

 

「……まさかこんな形で現れるとは」

 

 明らかに予想外の事態であるという事が彼の様子から察知できた。

 

 

 

 

 

TO BE CONTINUED……

 

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