メスガキを分からせる為だけに俺は最強になった 作:カレーパン
時は流れて、教師たちからの説明を受けて。
馬車に乗り、王都から離れた場所へと連れていかれた。
その場所は思っていた通りに――霧の森だった。
朝も夜も関係なく。
薄っすらと霧が立ち込める不思議な森。
その広大さは、小さな街一つ分を覆い隠すほどだ。
その中には魔物も生息しており。
通常であれば、騎士団からの許可が無ければ立ち入る事は出来ない。
が、俺たちは騎士見習いであり。
クラス代表戦などがあれば、許可が無くとも立ち入る事が出来る。
『いいか? この球を手に入れるんだ。手に入れれば、信号弾を放って居場所を教えなさい。いち早く、手に入れたクラスには――』
説明は最後まで聞いていない。
聞かずとも分かる事で。
教師が持っていた薄い青い光を放つ球を手に入れれさえすればいい。
そして、到着した教師に対して球を渡せばそれで代表戦は終了となる。
簡単だ。
誰でも理解できて、誰でも達成できてしまう――そう錯覚してしまうほどには、な。
クラス代表戦は、基本的に三日の期間を設定して行う。
それはつまり、それだけ球を探す事に苦労する事を意味している。
それはそうだ。街一つ分はある森の中にある手のひらサイズの球を探すんだからな。
通常であればどう頑張っても見つからない。
唯一、見つける事が出来る方法と言えば――これだ。
「……」
俺は腰につけた――鈴を見つける。
これは特殊な鈴であり、あるものにのみ反応する。
それは例の球であり、鈴は多ければ多いほど音が大きくなり。
より高い精度で、隠された球の位置を示してくれる。
故にこそ、クラス代表戦に参加した生徒たちは――奪い合うのだ。
他を出し抜き、鈴を手にして。
そうすれば、より早く目的が達成できる。
シンプルであり、テストとしては中々であり――が、今回は少し違う。
「「「……」」」
既に代表戦は開始されている。
生徒たちは目隠しをされた上で。
教師たちに運ばれて、適当な場所にて合図があれば目隠しを外すように指示されていた。
その合図は先ほど音で確認し。
目隠しを外せば、森の何処かに俺たちは立っていた。
近くには一応は仲間であるニコとサキとユリがいる。
奴らは周りを見てから、俺の鈴を見た。
「……じゃ、行きなさい。くれぐれも、勝手な真似はしないでよね?」
「もし、逃げたりしたら……承知しないからね?」
「足を引っ張らないでくださいよ?」
「……うん。頑張るよ」
俺はそれだけ言って歩き出す。
奴らの顔は見えないが。
背中に感じる視線は熱がこもっていた。
俺はそれを感じながら、取り敢えずは従順なフリに徹する事にした。
◇
球を探し続けて……1日目は見つからなかった。
既に日は暮れている。
俺たちは焚火を囲う様に座る。
森の中で手に入れた食料を食べていた。
ほとんどがキノコであるが。
ニコたちはサバイバルの知識があるようで。
食べられるものと食べられないものの区別はついているようだった。
……まぁ、案の定、俺の方には毒のあるものを渡してきたがな。
毒性は低いものだ。
少量であれば、すぐに影響はない。
影響が出るとすれば、食べてから数時間後で。
その症状も体の麻痺などだ。
奴らは素知らぬ顔で。
毒があるものを食べているふりをしていた。
口に含んだように見せて、指で千切ったり噛んだものを手に吐いたり。
上手いものであり、普通の人間なら騙されていただろう。
が、俺は敢えて騙されたフリをして。
目の前でキノコを美味しそうに食べてやった。
奴らの口元は僅かににやけていたな……くくく。
食事が終われば寝る時間だ。
夜の時間帯は魔物も気性が荒くなる。
寝ている個体もいるだろうが。
ほとんどが夜行性であり、明かりも無い中で行動するのは迂闊だ。
ニコはさも当然の事であるかのようにそう言って。
サキが交代で番をしようと提案していた。
ユリは仕方が無いと言った顔で同意し。
俺に対しては有無を言わさぬ圧力をかけて来た。
俺は特段、否定することはせず。
最初の番をする事を申し出たが――奴らは慌ててそれを拒んだ。
『私が最初にするから! アンタは寝てなさい! ……そう、アンタは疲れてそうだし?』
『そうそう! 寝てろって。眠れないなら……子守歌でも歌ってやろうか♡』
『寝込みを襲わないで欲しいですからね……まぁ、火の近くにはいさせてあげますよ♡』
「……」
奴らが何かを企んでいるのは一目瞭然だ。
が、俺は敢えてそれに乗り。
奴らに感謝しながら、横になって目を瞑る。
時間が経っていく中で。
奴らが音を立てる事無く動き出すのが分かった。
何かをしており……離れていったな。
何をするのかと俺は期待する。
待って、待って、待って――――火薬の音がした。
「……へぇ」
俺はゆっくりと目を開ける。
すると、振り返れば白い光が木々の隙間から白い光が見えていた。
俺は此処にいるぞと言わんばかりの光で。
それは、球を手にした時の信号弾ではなく――仲間を呼ぶ為のものだ。
決闘を申し込む為のもの。
力に自信のある生徒が使用するもので。
本来であれば、罠として使う生徒もいたと聞く。
それを真夜中に使ったという事は……来るな。
音がしている。
木々がざわめいていて、鳥たちが羽ばたいていく。
複数の生徒の気配も、魔物たちの気配を感じる。
真っすぐに此方を目指していて……はは。
奴らは俺を信じているのか。
生徒たちをけしかけたつもりなんだろう。
が、魔物まで呼び寄せてしまっている。
此処までくれば、俺の事を高く評価していたんじゃないかとすら思ってしまう。
しかし、実際にはそこまで考えていなかっただけだろう。
俺はゆっくりと立ち上がる。
ニコたちの気配を探れば……だいぶ離れたな。
今の奴らなら視認できる距離ではない。
恐らく、魔物が来る気配を察知して慌てて距離を取ったんだろう。
昼間であれば、魔物は来なかっただろうが。
敢えて夜にしたのは……いや、いい。
奴らの企みの全てなど考える必要は無い。
大切な事はこれから此処に魔物たちと――メスガキたちがやって来ると言う事だ。
俺はゆっくりと立ち上がる。
そうして、拳と肩を鳴らして静かに息を吐く。
クラス代表戦……いや、もう違う。
今この瞬間から、内容は大きく変わった。
これから行われる事は、分からせであり――
「――蹂躙だ」
「「「――――!!」」」
俺が呟くと同時に。
家ほどの大きさのある猿の姿をした魔物たちが姿を現す。
毛は逆立っており、眼は真っ赤に充血していた。
だらだらと涎を垂らしながら、奇声を発して俺を威嚇している。
他の気配を探れば、木の上から様子を伺うメスガキ共がいると分かる。
奴らは俺を見下ろしながらくすくすと笑っていた。
恐らくは、自分たちが手を下すまでもなく。
魔物に食い殺されると思っているんだろう。
奴らは他の代表生徒も来ているだろうと考えている。
だからこそ、俺から鈴さえ奪えばすぐに退散するだろう。
そういう魂胆が見え見えであり――俺はゆっくりと髪を流す。
瞬間、猿共が飛び上がり襲い掛かって来て――体に大きな風穴が開く。
「「「――ッ!?」」」
猿たちはそのまま後ろへと吹き飛び。
ぴくぴくと痙攣したかと思えば――静かになる。
冷静だった魔物たち。
すぐに飛び掛かってこなかった奴らは――理解した。
今、この場において最も怒らせてはならない存在は誰か。
自分たちが次にどう行動するべきかを。
理解した瞬間に――奴らは逃げ出した。
「「「……っ!」」」
瞬間、木の上のメスガキたちも逃げようとし――俺の結界に阻まれる。
「――何処へ行く?」
「「「――え」」」
一瞬で、メスガキの中へと降り立つ。
奴らが声に反応し振り返ろうとしていた。
が、それよりも早く小柄な赤髪短髪の女の横腹に――拳を打ち込む。
「ぐはぁ!?」
バキバキという骨を折る感触。
それと同時に、メスガキは血反を吐き吹き飛ぶ。
見れば、仲間であろうローブを纏った長髪の女が杖を向けて来た。
「ファイヤーボールッ!!!」
空中に六つの火の球が形成され。
それが一斉に俺に向かって飛んできた。
初球の魔法であるが、威力は高そうだ。
俺は片手を向けて――奴の放った火球を打ち消す。
「そんな馬鹿なッ!? この――うごぉ!?」
「――のろい」
ローブの女は別の魔法を放とうとした。
が、俺は一瞬で接近し。
そいつの背中を掴んでから、膝打ちを喰らわす。
女は大きく胃の中のものを吐き出しながらぐったりとする。
俺は痙攣するメスガキを投げ捨てる。
すると、気配を断ちながら影より迫る存在を感知した。
「「――シィ!!」」
死角から迫った二人。
互いに持っていたのは双剣であり。
魔力が籠った一撃が首へと放たれ――砕かれる。
「「――!?」」
奴らは驚きながらも距離を取る。
俺は静かに息を吐き――瞬きの合間に、奴らの頭を掴んだ。。
「「うあぁぁぁ――あ、あ、あ、あぁぁぁ!!!♡」」
掌を通して、死ぬほどではない電流を流す。
脳に直接撃ち込まれた電流によって。
暗殺者のような黒尽くめのメスガキ共は、体を激しく痙攣させていた。
そうして、股から大量の汁を垂れ流す。
俺は哀れなメス共を投げ捨てた。
二人のメスガキは地面に激突し。
痛みすらも忘れて快楽に狂っていた。
無様であり、哀れであり……さて。
俺は木の上から降りる。
そうして、ポケットに手を入れながら。
この状況でも隠れる選択肢を取っている馬鹿共に伝える。
「五秒やろう――姿を見せろ」
「「「……!!」」」
俺が殺気を少し出せば。
奴らは慌てて俺の前に出て来た。
剣と盾を持っている女がリーダーだろう。
金属製の鎧を着こみ。
黒い髪は後ろで束ねて、身長はやや高めで……172か。
プロポーションは悪くはない。
鍛えられた体は引き締まっている。
肌は暗がりだが、小麦色だと分かる。
細い目は黒であり、たらりと汗を流して緊張している。
他は回復役らしき錫杖持ちと弓を構える弓兵。
錫杖の女は緑を基調とした法衣のようなものを着ている。
髪は水色であり、結んだ一房を肩から垂らしていた。
法衣の上からでも分かるほどには肉付きが良く、たれ目の下には泣きほくろがある。
身長は165ほどか。
弓兵の女は黒髪短髪で。
こんがりと焼けた肌にスレンダーな体系だ。
胸はまな板であり、目つきは獣のように鋭く真っ赤だ。
身長は163ほどで、こいつがこの中では一番機敏そうだ。
今にも矢筒から矢を抜き攻撃しようとする気概を感じる。
後一人は――“時間切れだな”。
「――“狂え”」
「――うがぁ!!? ああぁぁ、あ、あ、あ、あぁ!?♡」
「「「……!?」」」
俺が声を発した瞬間。
隠れていた最後の一人が――地面に落下した。
ちらりとそいつを見れば。
白目を剥いて痙攣していた。
びくびくと体が揺れており、服は体液でべしゃべしゃだ。
見るも無様な姿に、仲間であろう奴らを見れば……ガタガタと歯を鳴らして震えている。
俺はゆっくりと顎を撫でながら、奴らに質問をした。
「お前たち……俺を見て、どう思った?」
「え、あ、ぃ……つ、強いと、思いました」
「そ、そうです! とっても……た、逞しいです!」
「か、かっこう、いいです! へ、へへ」
奴らは引きつった笑みで俺をほめたたえる。
勝てないから、逃げられないから。
その場しのぎに匙を俺に飛ばしている。
メスガキとしての本能も鳴りを潜めるほどの――恐怖。
俺はそれを見て笑みを浮かべて頷き――空中に映像を投影した。
『またいるじゃんアイツぅ……本当に懲りない男よねぇ。一人でご飯食べて……本当にぃぃみじめぇぇ♡』
『マジでそれなぁ! てか、アイツ……はは、カレーって。いっつもじゃん……ふふ、貧乏人♡』
『……ねぇねぇ。さっきすれ違う時にさぁ……媚薬、いれっちゃったぁ♡』
『えぇ? 嘘ぉ……どうなるかなぁ、アイツ♡』
『『ふふふ♡』』
俺の記憶にある光景。
俺を惨めだと罵る黒髪のリーダと。
俺を貧乏人だと言い放つ弓兵の女。
そして、俺の食事に媚薬を混ぜたという錫杖の女。
全て事実。
全て俺が認識していた過去だ。
それを空中に投影してやれば、奴らは顔面蒼白でそれを見ていた。
恐怖の頂上であり……俺は目を細めながら言葉を掛ける。
「さて……遺言を聞こうか」
俺がそう言い放てば――奴らは慌てて動き出す。
「ま、待って!!! 待ってください!! 私は、私は……あ、貴方様に忠誠を誓います!!」
「わ、私もです!! 何でも、何でもします!!」
「お金、お金なら幾らでも!! だから、だから、命だけは……ど、どうか」
奴らはその場で土下座をする。
必死であり、助かりたい一心だ。
俺はそんなメス共を眺めながら――靴を出す。
「舐めろ」
「「「……え?」」」
奴らは俺の発言に目を丸くした。
が、俺が笑みを消せば――靴に群がる。
「「「ぅ、ぅぇ……ぇぇ、ぃ……ぅ」」」
「く、くくく、くふ――お前たち、哀れだなぁ?」
俺が聞こえるように言ってやれば。
奴らは目に涙を浮かべて顔を真っ赤にし。
せめてもの抵抗として睨みつけて来た。
俺はそんなささやかな抵抗するメスガキ共を――蹴る。
奴らは悲鳴を上げながら地面に転がる。
俺は虫のように這いつくばる奴らを見ながら――警告する。
「自分たちの立場が――理解できんか?」
「「「……ッ!!!」」」
奴らは体を起き上がらせて額を地面にこすりつけた。
「も、もうしわけ、ありません……抵抗しません。逆らいません……だ、だから」
「だから? 何だ? お前たちは……何だ?」
「……っ。わ、私たちは……弱くて、哀れな、雌、です……貴方様に、負けた……クソ雑魚です」
「それでぇぇ? お前たちの立場はぁぁ?」
「……っ。わ、私たちは、貴方、様の……こ、駒……! ど、奴隷です!」
「何でも、します。な、何でも……お、お願い、します。命、は……うぅ」
「う、ぅぅ…ぅく♡」
奴らの命乞いを聞く。
そうして、俺はそれならばと自らの指の皮を切り。
奴らの前に血を垂らした。
「飲め。主従の誓いを結ぶ……分かるな?」
「「「……!!」」」
主従の近い――血の契約とも呼ぶ。
主人となる存在が。
自らの血を飲ませて、契約の術式を対象へと刻み。
対象が承認した瞬間に、相手は主人に対して逆らえなくなる契約だ。
絶対支配権であり、貴族であるこいつらなら知っていて当然だろう。
奴らは目に涙をためる。
そうして、ガチガチと歯を鳴らしながらそれだけはと言って――俺は錫杖の女の前に立ち、頭を踏みつける。
「うぐぇ!! や、やめ――うあああぁぁ!!?♡」
「「……っ!?」」
女の頭を踏みながら電流を流す。
すると、痛みによるうめき声ではなく。
快楽による喘ぎを漏らしていた。
奴は必死に手を動かして抵抗するが――更に快楽を流す。
「あああああああぁぁぁ――ぁ♡」
足を退ければ、無様な顔で女は横たわる。
舌を出しながら、地面を濡らしていた。
二人を見れば、恐怖と――好奇心をその顔に出していた。
「……時間は、まだある……そうだな。飼い犬の躾を――してみようか?」
「「……っ……ぅ♡」」
奴らは喉を鳴らす。
メスガキの本性が。
強い雄の登場によってさらけ出される。
本来、こいつらはこういう存在だ。
自らが強いと思い込み、傍若無人に振舞ってはいるが。
本来は、抵抗されて打ち負かされて、屈服する瞬間を――誰よりも望んでいる。
俺は弧を描くように笑う。
そうして、恐怖以上に期待を向けて来るメスガキ共の頭に――手をおいた。