メスガキを分からせる為だけに俺は最強になった 作:カレーパン
「「「……」」」
「……ふむ……まぁまぁだな」
俺は魔物の肉を焼いたものを――喰らう。
目の前では、メスガキ共と――“監視役の教師たち”が跪いていた。
ニコたちを見れば、悔しそうな表情を浮かべている。
こいつらは恐らく、一部始終を見ている筈の教師たちが。
自分たちを助けに来てくれる……何て思っていたんだろう。
が、そんな甘い考えなど――見通しているに決まっているだろう?
クラス代表戦が始まる前。
俺は既に、監視役の教師が誰なのかを突き止めていた。
分かれば後は簡単であり。
監視者となる教師たちの“精神を支配”し、奴らを俺の傀儡とした。
メスガキでないのであれば、どうという事はしない。
ただの人形であり、跪かせているのはただの気まぐれだ。
俺は肉を喰らい。
食べ差しの肉をニコたちの前に投げ捨てる。
土が掛かったそれを奴らはジッと見つめていた。
「食え」
「「「……え」」」
「食え――三度目は無い」
「「「……!!」」」
奴らは慌てて骨を掴んで肉に喰らいつく。
他のメスガキ共を見れば、羨ましそうに眺めていた。
ニコたち以外は、完全に分からせる事に成功したが。
こいつらの精神はかなり強靭であり。
単純な快楽漬けではどうにもならないだろう。
殺してしまえばそれで済むが……それは分からせではない。
マサハルが俺に教えてくれたんだ。
分からせという素晴らしい思想を。
メスガキ共を屈服させる――喜びを。
俺は実行する。
マサハルが出来なかった事を俺がしてやるんだ。
例えどれほど強大で、どれほど数が多くとも――全て、分からせる。
それが、シン・ナルミとして。
同じ時をループする力を得た――俺の使命だからだ。
「……取り敢えずは、だな……ふぅ」
「「「……?」」」
俺はメスガキから腰を退ける。
Cクラスの代表生徒の黒髪を束ねた鎧女で。
座り心地が悪くなるという理由で鎧は脱がせてある。
今のこいつは普通の服装であり、剣と盾だけは携帯を許可してやった。
一応、他の奴らと合わせて名前も聞いてやった……確か……そうだ。アンだったな。
「はぁはぁはぁはぁ……うく♡」
「ご苦労……休め」
「は、はいぃ♡」
奴はだらしのない顔で返事をする。
俺はそんな奴を冷めた目で見てから。
教師に対してある事を命じる。
「今から俺が球を取って来る。お前たちは此処に残り、こいつらを見張っていろ」
「「「……了解」」」
魂の抜け殻のような無機質な声。
目つきの悪い女教師やそばかすの女教師、それと坊主頭の男の教師。
奴らははそれだけ呟いて立ち上がる。
傀儡にしただけであるからこそ、人間の感情は今だけは封じている。
テストが終われば解放してやるつもりだった……さて。
俺はBクラスとCクラスから奪った鈴を持つ。
微かに音が鳴っているように聞こえるが……あっちか。
俺は静かに音が強く反応する方向を見て――飛ぶ。
地面を蹴り飛べば、一気に景色が流れて行く。
無数の大木を蹴散らして。
そのまま高速で飛んでいき――方向を転換する。
九十度で曲がり。
そのまま速度を落とす事無く翔けて。
そのまま地面へと落下し、地面を抉る様に進んで――止まる。
「……ふむ」
三つの鈴を掲げれば、音がかなり強くなった。
周りに向けてやれば、あまり変化はない。
三つであれば此処までが限界で――関係ない。
俺は意識を集中し――魔力探知を開始する。
魔力探知とは、己の内包する魔力を周囲に放ち。
その範囲内にある魔力の流れるものを感知する技術だ。
魔力の総量が多ければ多いほど、探知範囲は広がるが。
少なくとも、薄く展開する技術があればある程度までなら延長は可能だ。
俺は薄く周りへと展開し……あったな。
俺は地面を蹴り飛ぶ。
そうして、一蹴りで長い距離を移動し。
そのまま地面に足をつけて、ゆっくりと歩いていく。
歩いて、歩いて、歩いて――土の中に腕を差す。
手を動かせば何かに当たり。
それを掴んで引き抜けば……四角い木の箱が出て来た。
箱を火の魔法で燃やし尽くし。
中にあった青い光を放つ球が出てきた。
俺はこれで終いだと確信し……ほぉ。
「――見たな」
一瞬、ほんの一瞬だ――視線を感じた。
遠見であり、俺の位置を特定した者がいる。
教師ではない。
感じた視線を逆探知すれば、生徒の一人で。
恐らく、俺の姿はハッキリとは見えていない。
ぼんやりとした影だけであり……くくく。
中々に楽しませてくれると思った。
が、今回は既に大きな獲物を喰らった後だ。
満たされた状態では、分からせの楽しみ甲斐もない。
今は十分であり……ふっ。
「次、だろうかな……くくく」
俺は笑う。
そうして、意識を集中させて――“元いた場所に一瞬で戻る”。
「「「え!!?」」」
「……何を驚いている? そんな間抜け面を見せられると……そそられるじゃないか」
「「「……っ!」」」
俺が姿を現せば。
正座をしていたメスガキ共が驚きの声を上げる。
中でも、ニコたちは口をパクパクと開けていた。
俺が目を細めながら、奴らに対して熱のこもった視線を送れば。
奴らは顔を赤らめて、口をきゅっと結んでいた……まぁ後で良いか。
俺は持ってきた球を傀儡に渡す。
すると、そいつはそれを確認し。
胸ポケットから笛のようなものを出して――吹いた。
テストの終わりを告げる音であり。
これにて、クラス代表戦は終了だ。
本来であれば、この瞬間に他のクラスの監視者たちも姿を現し。
生徒たちを先導して、霧の森の外へと出る。
そして後は、監視者となる教師たちが。
自らの目で見た記録を魔法によって“上の人間たち”に見せるだけだ。
……が、傀儡たちの目や脳には細工がしてある。
記録として流れる映像は自動的に加工されたもので。
どう頑張っても、奴らはそれを正しい情報だと認識しているからこそ。
それがフェイクであると見抜ける奴は誰もいない。
最初から仕組まれたテスト。
俺の都合のいいように進めるだけだった。
間抜けにも、この馬鹿なメスガキ共は俺の掌で踊り……奴らが熱のこもった視線を俺に向けて来る。
「くくく、本当にお前たちは哀れで可哀そうで――可愛いなぁ?」
「「「……っ!!」」」
俺の言葉に数名がだらしのない表情になる。
ニコたちは俺を睨んでくるが。
先ほどから足を動かしているのはバレバレだった。
釣った魚に餌をやるつもりはなかったが……楽しめそうではある。
俺は心の中で、親友であるマサハルに感謝する。
俺の知らない世界を教えてくれて。
俺に素晴らしい体験をさせてくれた親友……会いたいな。
今すぐに会って、アイツにもこの体験をさせてやりたい。
アイツが望んだ理想郷であり、きっとアイツも喜んでくれる筈だ。
俺を救ってくれて、俺に幸せをくれた親友。
何時の日か、その恩に報いたい。
そして、今度こそ――アイツをこの手で救うんだ。
俺は空を見上げながら。
此処にはいない親友を想って――拳を強く握った。