目は口ほどに物を言う   作:豆腐メンタルの化身

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 コメントと評価ありがとうございます。
 来るたびにニマニマ気持ち悪い笑みを浮かべてしまいますね。へへへ

 新たな地名を生やしました。任務にあった地名を参考にしましたんでそこまで違和感はないかと。多分……

 では、続きをどうぞ


第十一話  寡黙な店主

 

 

 

「私の不注意だったのはそうなんだけどさぁ~?」

 

「ごめんねぇ……?」

 

「まぁまぁ、部長も悪気があった訳では……」

 

「イズナちゃんもなんで止めなかったのかなぁ?」

 

「あっ、えっと……それはですね……」

 

 

 

 あの後、身支度を整え目的地へと歩き出した三人。しかし納得がいかなかったサリは、二人に文句を言っていた。

 

 

 

「あれでしょ? 二人そろって反応が気になるから~って思ってたんでしょ?」

 

「「……」」

 

「やっぱり……」

 

 

 

 沈黙は肯定とはよく言った物だ……二人は下を向き申し訳なさそうな顔をしてる。

 

 これじゃどっちが悪者かわかんなくなるじゃん……?

 

 

 

「もう……二人だから良いけどさぁ?」

 

「「サリちゃん!」」

 

「わわっ!」

 

 

 

 急に抱き着くなぁ!危ないって!転んじゃうって!もう……さっきまでの空気はどこ行ったのぉ……?

 

 まぁ、でも……悲しんでるよりこっちの方がいいか。

 

 

 

「……ミチルっちに一つアドバイスね?」

 

「な、なにぃ?」

 

「コンプレックスに思ってそうな時には、感想も大事だけどちゃんと肯定する事! ──感想だけ言われたら人によっては落ち込むよ?」

 

 

 

 私は、あの時に感じた恥ずかしさ、そしてなんて思われているか分からない不安感を思い出しながらそう口にした。

 

 

 

「は、はぁ~い……分かったよぉ~」

 

 

 

 ミチルっちの感情に悲しみと罪悪感が浮かんでいるのを確認できる。

 恐らく想像したのだろう。少しばかりしょぼくれながら、ミチルっちは了承した。

 

 そして、私の言葉は、しれっと少し離れたイズナちゃんも例外ではないからね?

 

 

 

「イズナちゃんもだよ?」

 

「あわわ、わかりました!」

 

 

 

 まさか自分も言われるとは思っていなかったのだろう。イズナちゃんは少し挙動不審になってたが、すぐに元気よく返事をした。

 

 

 

 少し思ったけど、皆って感情が見えてる訳じゃないんだよね……つまりあの不安感をずっと抱えているんでしょ?

 

 ……私には耐えられないなぁ。

 

 

 

 私はそんなことを思いながら二人を連れて最寄り駅に向かった。

 

 


 

 

 電車に揺られる事数十分……到着したのはD.U.イーストパーク第6地区。

 近代的なビル群に囲まれたTHE都会といったD.U.イーストパークだが、ここは外側に位置しているのもあってか中心部と比べて少し寂れているような、そんな印象を受ける。

 

 

 

「ついたよぉ~!」

 

「D.U.ってほとんど行かなかったけど中心部は首が痛くなってくるくらい高いビルが乱立してたね……ここはそうでもないけど」

 

「そうですね! 高層ビルを縦横無尽に駆け回り任務を遂行する……! 今なら出来る気がします!」

 

「ちょっとぉ!? 駄目だからねぇ? でも、街に溶け込みアンブッシュ……! とても忍者っぽいかもぉ……」

 

「イズナちゃん……ミチルっち……? やめようね?」

 

 

 

 目を輝かせている二人に笑顔で圧を掛けて暴走を止める。

 

 正直イズナちゃんもミチルっちも出来そうだなぁって素直に思っちゃう。何なら誰も察知できないんじゃないか?ってぐらい二人とも気配消せるようになってるから尚更ね……

 

 

 そう、忍術研究部の二人……体の動かし方はイズナちゃんが教えて、忍術、忍具はミチルっちが教えてと割と真っ当に忍者出来そうなくらい技量が高い。しかも、隠密の技術は私が教えたのもあって弱点が無い。

 

 ……強いて言うなら正式な部になるための認可に必要な活動実績と他の部活動から推薦が無いのでそこをどうにかしないといけない……というかイズナちゃんはまだ中学生。まだ人数にカウントされないので現状メンバーは一名なのだ。

 

 私……?前にも言ったけど、忍者も忍術も興味が無いので入らないよ?せいぜい親友として手伝いと応援をするくらいだよ。

 時折イズナちゃんの修行に付き合っているからか、私も多少動けるけど……私の夢は私で決めるのだ!流されないからね?

 

 

 

「それで……そのグッズとやらの情報は何処で?」

 

「忍具だよぉ……! いやぁ……実は公式情報では無くってぇ……知る人ぞ知る、そんな掲示板にあったんだけどねぇ? 映画にゃっ鳥にゃん蔵のコラボ忍具がこの辺りの店に有るって」

 

「あぁ、あの映画か。やけにド派手な小物使ってた様な気がする」

 

「それです! 綺麗で美しいですよね!」

 

「んじゃ~あのカラフルなクナイとか手裏剣が売ってるのかぁ。もしかして実際に使えたり……?」

 

「ふっふっふっ、気付いちゃったねぇ?」

 

「やはり、サリちゃんは察しがいいです!」

 

「そう!実際に使えるって噂があるんだよねぇ~ そっちはちょっと眉唾物なんだけど……

 

 

 

 途中声が小さくなって何言ってるかわかんなかったけど……実際に使える限定グッズか!もし本当なら欲しくなるでしょうよ……!実用と鑑賞と……保存用に。

 

 ……え?忍者に興味無かったんじゃって?道具はロマンあるでしょう?そうだよね?

 

 

 

「だから私も呼んだのね? イズナちゃん私の事分かってるじゃ~ん?」

 

「えへへ、ありがとうございます!」

 

「ということはぁ……? サリちゃんもぉ?」

 

「買おうかなぁ? もしあればね?」

 

 

 

 見るだけのつもりだったけど、少し興味がわいてきた!

 予算は……最近やけに出費が少なく済むから*1、結構余裕あるね!よし!

 

 

 

「それじゃぁ~行こうかぁ!」

 

「「お~!」」

 

 

 

 こうして私たちはさっきよりも少し足早にお店に歩みを進めた。

 

 


 

 

「……もしかして、ここ?」

 

「えぇ~っとぉ……うん! ここの地下1階だねぇ!」

 

「何の変哲もない雑居ビルですね……?」

 

 

 

 私たちが目にしたのは少し古びた5階建ての古臭い雑居ビルだ……売り物売るにはあまり適さない立地なような気がするが……

 

 

 

「本当に買えるんだよね……?違法な物売ってたりしないよね……?」

 

「そんな心配する必要無いってぇ~ 多分……

 

「忍者にしか知られず買えない道具……! イズナは興奮してきました!」

 

「そうかなぁ? そうかもぉ?」

 

「う~ん……大丈夫かな?」

 

 

 

 階段を下りながらそんなことを言っていた私たちは扉の前に立つ。

 ただの鉄扉──店の中が確認できないが、看板の内容から武器屋であることは分かる。

 

 買おうとしているグッズが実用できるともなればそりゃ武器屋でもないと売れないかと情報の信憑性が少し増した。

 

 店前の照明が暗く、点滅しるのもあってブラックマーケット並みの空気感なんだけど大丈夫かなぁ?

 ……いや、ブラックマーケットに行った事無いからそんな空気感とか知らないけどね。

 

 

 あっ!隣を見るとミチルっちの顔が引き攣っている……!

 軽いノリで進もうとする癖にこういう所でビビっちゃうんだからこの人……

 

 

 

「ね、ねぇ……? ここまで来てなんだけどぉ……帰るってのは──」

 

「行きますよ! 部長! サリちゃん!」

 

「待ってぇ! 引っ張らないでぇ~」

 

「あ~~~!」

 

 

 

 そう言ってイズナちゃんは「たのもー!」と言わんばかりに勢いよく扉を開け、私たちを引きずりながら中に進んでいった……!

 

 こういう時のイズナちゃんの行動力は素直にすごいと思う。ぜひ見習いたいものだ……見習うべきかなぁ?

 

 

 店に足を踏み入れた私たちは驚愕した。

 

 私たちの想像では売っている物が、違法なのか分からなかったり、胡散臭い人が店主のヤバ目な店を想像していたのに、蓋を開けてみれば、眼前に広がるは百鬼夜行ではよく見る和風の内装。ショーケースにはキヴォトスでは珍しい刀剣類も置いてあり、手裏剣はもちろん、鉤縄や撒菱、手甲鉤なんてものまであった。

 

 映画村のお土産屋さんのようなチープな感じは全くしない、忍者を追っかけている二人だけではない。私までもがガチだ……と思わせる何かがあった。

 

 イズナちゃんは目を輝かせており、ミチルっちは目を点にしながら店の中を眺めている。

 

 

 

「……いらっしゃい」

 

 

 

 店主さんだと思われる人物が挨拶してきた。

 

 こういう店の店主はこうだよね!と言いたくなるような寡黙で気難しそうな人だ。

 そうだよ……そういうのだよ。良い……とても良い……

 

 

 

あっ、お邪魔、しますぅ~

 

 

 

 え、声ちっちゃ!ミチルっち……人見知りモード入っちゃった?

 

 

 

「部長! これ凄いですよ! 珍しい形のクナイや棒手裏剣まであります!」

 

「そ、そうだねぇ? このクナイ、所々錆びついてるしこの形、土を掘ったりするのに適してそうな? 店主さん……これもしかして──」

 

 

 

 ミチルっちの言葉に店主の口角が少し上がったように私は感じた。

 

 

 

「……嬢ちゃん達、モグリじゃねぇな? お察しの通りだ、本物だよ」

 

「「わぁ~~~!」」

 

 

 

 さっきまでのビビり具合何だったの……?って位テンション上がってるんだけど……あぁ、気付けばあんな遠くに……

 まぁ、本物ってなったらそうもなるかぁ。私も少し心が躍ってるし?

 

 しかし私はふと思った。世間では架空の存在と言われている忍者。その道具の本物……もしそうなら──この人は何者だ?

 

 

 

「……」

 

「……どうしたんだ?そこの嬢ちゃん」

 

「いえ、本当に本物か気になりまして」

 

 

 

 この店主さん……私たちをよく見ている。

 

 

 

「……心配するな。あれは非買品だ。嘘をつく理由が無い」

 

「それもそうですね。すみません、疑ってしまって」

 

 

 

 嘘はついていない──しかも驚くほど感情が動いていない。本当に何者だ?この人……

 

 

 

「……いや、良いんだ。碌な大人が居ないしな。警戒するに越したことはないだろう」

 

「理解してくれて助かります」

 

 

 

 店主さんが発言している最中、苛立ちや悲しみの感情が見えた。感情があまり動かなかったのにこの時だけ動いたことから、この人は悪い人ではないとそう思った。

 

 

 

「不思議に思ったんですが、百鬼夜行に店を構えない理由は?」

 

「……内装を見て疑問に思ったか? こういう所に店を構えたほうが都合が良いんだ」

 

「都合……?」

 

 

 

 質問の答えに更に疑問が深まった時、二人が帰ってきた。

 

 

 

「部長! そろそろ……」

 

「あっ! そうだねぇ? 店主さん! にゃっ鳥にゃん蔵のコラボ忍具があるって噂を聞いたんですけど……!」

 

「……ん?あぁ、あれだな? 少し待っててくれ」

 

 

 

 そう言って店主さんは店の奥へ向かって行った。

 

 

 

「ねぇねぇ……? サリちゃん?」

 

「どうしたの? ミチルっち?」

 

「さっき店主さんと何話してたのぉ? 凄い雰囲気出てたけど……」

 

「そうです! まるで映画のワンシーンのようでした!」

 

「見てたのね? ただの世間話だよ? 店主さん雰囲気は怖いけど、良い人だね」

 

「ほへぇ~怖そうな人だけどぉ、サリちゃんがそう言うんだったら間違いはないね」

 

「そんな絶対的な信頼置かないで……?」

 

「いえ! サリちゃんは人の事を良く見てますので!」

 

「照れるなぁ……」

 

 

 

 そんな感じで和気あいあいとしてたら台車を転がす音が聞こえてきた。

 

 

 

「……持ってきたぞ」

 

「待ってましたぁ!」

 

「すぐ確認するのです!」

 

 

 

 そういうと台車のすぐ近くまで寄ってグッズを確認する二人……

 寡黙な店主とハイテンションな二人の温度差が少しシュールだなぁって思うのは私だけかなぁ?

 

 店主さんが私たちの邪魔にならない様にと台車から少し離れた。

 私は思考を巡らせながら二人と一緒に台車にあるグッズを眺める。

 

 

 百鬼夜行向きの内装なのに都合が悪い……胡散臭い立地に店を構える理由……知る人ぞ知る掲示板にしか情報が出てこない……私たちへの反応……そして──

 

 そう考えながら、台車に並べられた商品を確認する。そこには、コラボグッズの割には、地味で重厚な作りをしている。手に持ってみるとかなりずっしり来る。ケースに入っている為、触れはしないが、クナイ、手裏剣、といった物の刃の部分を見ていると、ちゃんと研がれている本物なのではないかと感じさせる。つまり──私はこれが実際に使える物だと確信した。

 

 そこで私は店主さんの所へ近づき、ある質問をした。

 

 

 

「店主さん……あれ、本物の刃物ですね?」

 

「……気付くか」

 

「じゃあ、あの非売品たちは私たちをテストする為に?」

 

「……何故か聞こうか?」

 

「目立たぬ立地に、この店の情報の信憑性も低い。それにあの苦無を見た後の発言で少し顔が緩んだ点……」

 

「……ほう」

 

 

 

 店主の感情に驚きの要素が少し入ったことに私は気付いた。ちゃんと見ていないと見逃しかねないくらい微弱な変化だ。ここまでしっかり見ようとすると流石に疲れる。

 

 

 

「それに私たちの動きをずっと見ていたのも踏まえて、私たちがこの店の商品を買うだけの資格があるか見てたのではないかと。まぁ……そういった作品を見すぎだって言われたらそこまでですけど」

 

 

 

 ここまで言っておいて違うなんて言われたら恥ずかしすぎて死んじゃうので、少し誤魔化してしまった。

 そのことも見抜かれてそうな顔を店主はしている……そして少しの間のあと目を閉じて少し口角を上げながら口を開いた。

 

 

 

「……いや、正解だ。若いのに聡いな?嬢ちゃん」

 

「誤魔化さないんですね?」

 

「……悪い事はしない性格をしてそうだし知識も才能も有りそうだしな」

 

「あの二人が目指してるの、多分忍ばない忍者ですけど……良いんですか?」

 

「……そうは言うが、努力すれば化けるぞ?あの二人。お嬢さんもだがな」

 

「え? ……ちなみに不合格なら?」

 

「……映画のようなチープでカラフルなどこでも売っているおもちゃでも出して追い返していたさ」

 

 

 

 良かったね皆……というかこんなフィクションみたいな事あるんだ……

 

 

 

「じゃあ、あのコラボグッズっていうのは……」

 

「……実際にあった物の複製品だ。少々装飾を施しているがな」

 

「え? じゃああの映画って……」

 

「……最大限誇張した実話だな」

 

「え゛!?」

 

 

 

 うっそぉ……今年一番びっくりした気がする……

 

 

 


 

 

 

「皆は何するか決まったぁ?」

 

「「はい!」」

 

 

 

 ミチルっちの問いかけに元気よく答える私とイズナちゃん。

 

 私が選んだのは、フックになってる部分に矢の様なマークが彫られた鉤縄……

 

 イズナちゃんは、苦無……刃の部分に同じ矢のマークが彫られている

 

 ミチルっちは、短刀……無骨なデザインのようだが、鐺*2と鎺*3の部分に同じ矢のマークが彫られている

 

 ちなみに二人はおもちゃの方も買うみたいだ。私は煙玉を買った。何でも普通よりも即煙が広がる凄い奴らしい。

 

 

 

「……まいど」

 

「ありがとうございました! また来ます! 新入部員が来た時もぉ!」

 

「……気長に待ってるさ」

 

 

 

 そう言って私たちが店を去ったあと……

 

 

 

「……未来は明るいな」

 

 

 

 店主は昔を思い出しながら、口角を少し上げて独り言のようにそうつぶやいていた。

 

 



 

 

 店を出た後私たちは百鬼夜行に帰る為に駅へと向かっていたわけだが……

 

 

 

ドカァァン

 

 

 

「なぁぁんでぇぇ! こんな目に遭うのさっ!」

 

「危ないです部長! 隠れてください!」

 

「ひゃぁっ! これはちょっと洒落にならないって!」

 

 

 

 銃撃戦の真っ只中に取り残されていた。

 

 

*1
ナグサがよく餌付けしてくるから。なんで?

*2
【こじり】鞘の先端にある金具。装飾と保護の目的があるらしい。

*3
【はばき】刀身の根元にある金具。鞘に納めた際にぐらついたり勝手に抜けたりしないようにするのに必要





あとがき

「忍び道具に所属のマークを入れるんじゃないって?シャラップ!」


 という訳で、ツクヨ以外の忍術研究部のスキルの装備はここで手に入ることになりましたと。
 あれっすよ、地獄忍魔刀と爆裂手裏剣。
 え?イズナはクナイじゃなくて手裏剣だろって?……そうだけどぉ。クナイっぽい見た目だったしぃ?

 あとしれっとツクヨ加入の前提条件をクリアさせてます。

 店主さん凄い意味深でしたけど……将来有望な忍者候補が三人も来ちゃったら嬉しくなるよね。
 彼、映画にもなった忍者の関係者ですし。そういうの生やしたかったの!ロマンでしょ?

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