わぁぁぁぁ!評価に色がついている!本当にありがとうございます!
モチベが上がりました。
どう序章を終わらせるか非常に困っているのはナイショ。
キャラ崩壊はある程度抑えるように頑張りますが、二次創作である以上諦めてください。お願いします。
「少し稽古を付けてくれませんか? 図々しいのは分かってますけど……」
「別にいいけど、うちには来ないの……?」
「ごめんなさいナグサさん……でも、ようやく見つけた道ですから」
あの時の怪我が治り数日たったある日。いつものごとく百花繚乱紛争調停委員会の拠点である調停室にお呼ばれされて私は机に出された焼き鳥を食べながらナグサさんと話していた。
ある程度世間話をしたタイミングで稽古を付けて欲しいとお願いをする。それは何故か?
SRTに入る上で足りない要素である戦闘技術。それが一番鍛えやすいのがここだと思ったからだ。
百花繚乱の関係者という訳ではないのにそんなことをお願いするのはどうかとは思ったが二つ返事で承諾される。これは私に恩を感じているからなのだろうか?
「でも、SRTに入ったらこうやって話すことも難しくなりますね……」
「む……」
ナグサさんがすっごい不機嫌そうな顔をしてる。
いや、私としても少し寂しい気持ちにはなるけどね?でも、そもそも部外者だし……SRTなんて超法規的組織の人員を中に入れるのは憚られる物でしょう……?
「まぁ、まずは合格するところなんですけどね……? アハハ……」
私は不安を誤魔化すように笑った。
SRTの選抜試験は年を跨いですぐだ……学力は問題ないだろうけど、運動能力と射撃能力がどうなるか。そこがすっごい不安だ。
この不安が消えるのは入学が決まった時なのだろう。
「そういえばアヤメさんは?」
「うん? アヤメなら一年生の二人と外回り。もうすぐ帰ってくると思うけど」
「え? じゃあナグサさんは? ……まさかサボりですか?」
ナグサさんが目を逸らす。露骨すぎる……
「またアヤメさんにコテンパンにされますよ?」
「サリとお茶する方が大事だから……!」
「えぇ……それで良いんですか?
「うん。上に立つ人間はこれくらい緩い方が良いと思うし」
「……本当は?」
「面倒くさい、逃げたい、焼き鳥食べたい」
「あぁ、うん……正直な人は好きですよ?」
彼女、御稜ナグサはあの日から何回も何回もアヤメさんに勝負をしては負けてを繰り返してきた。
だが、先日ついに勝負に勝って委員長の座を受け継いだらしい。
ここ数年起きなかった継承戦による委員長交代。その出来事は百花繚乱内で大きな話題になり、今までアヤメさん負担になっていた物は全部ナグサさんに移ったようだ……だけどナグサさんは意外と強かなようで、こうやって良く逃げ隠れしてはアヤメさんに引きずり出されて渋々仕事するというスタンスが確立していた。
アヤメさんは委員長だからと頼られて続けてた状態から解放されて自分の好きに人助けできるようになってるらしいし、押し付けられそうになったらナグサさん含め事情の知っている人間が圧を掛けて止めに入ると……だいぶ健全な状態になりつつあるようだ。
とても幸せそうな顔をしながら焼き鳥を頬張るナグサさん。とてもリラックスしているのは分かるが、
そんなことを思っていたらナグサさんの後ろにある襖が静かに開いていく。彼女にバレないようゆっくりと……
「あ……」
「うん? 急にどうしたの? そんな何かを悟るような顔して」
「え~っと……そのぉ……」
「……?」
「ナグサ」
「!!!」
ナグサさんにバレないよう忍び寄っていた人物が声を掛けた瞬間、ナグサさんがまるで猫のように体が跳ねてゆっくりとその人物を見ようとする。
そう、お察しの通りアヤメさんです。
「こっちは寒い中、後輩連れて外回りしてたっていうのに……まったく良いご身分だね?」
「えっと……アヤメ? これは違うの」
「ふ~ん? 私からはやらなきゃいけない事から目を逸らしてちっちゃい子を呼び出して餌付けしてる様に見えるけど?」
「ちっちゃい子……餌付け……」
「あの、その……」
ナグサが周囲を確認し逃げ道を探しているようだが、退路はアヤメさんの後ろにいた二人の人間に阻まれていた。
一人は、猫耳の黒髪ボブで色白の肌をしている落ち着いた雰囲気を感じる人物。
もう一人は、額に大きな一本角が付いている赤毛のポニーテール。如何にも体育会系という雰囲気を感じる人物。
桐生キキョウさんと不破レンゲさんである。
そんな二人はこの光景がいつもの事と言わんばかりに呆れた顔で見ている。
アヤメさんは淡々と言い訳出来ないようじわじわと詰めていく。
「なんだっけ? 面倒くさい、逃げたい、焼き鳥食べたい……だっけ?」
「え!? どこまで聞いて……」
「さて……ナグサ? ──覚悟はできてるだろうね?」
「あっ、あの……サリちゃ~ん? 助け──あれぇ!? 居ない!? えっとアヤメぇ?許して欲しいなぁ……?」
ナグサさんはいつの間にか居なくなっている私に気付いて顔を真っ青にする。その後ゆっくりとアヤメさんを見た。
とてもいい笑顔である。
──その顔に影がかかっている事を気にしなければではあるが。
え?私は何処にいるかって?ナグサさんが私から目を離した瞬間キキョウさんの後ろに逃げましたよ。
「あの……キキョウさん?」
「……相変わらず凄い隠密移動だね? どうしたの?」
「いや、私も怒られないのか不安で……」
「ふふっ、大丈夫。 十割ナグサ先輩が悪いから。 いつもの事」
「なら良いんですけど……」
「怖がらせたお詫びに撫でてあげる」
「あっズルいぞ! キキョウ! 私も~」
どこぞの猫と鼠のドタバタギャグアニメのごとき叫び声を出して引っ叩かれているナグサさんを尻目にキキョウさんとレンゲさんにモチモチされたりナデナデされた。
うん……私に悪い印象を持っていないようで良かった。
──その後──
「着弾位置がズレてる! 持ち方をしっかりしろ。それだけで反動も狙いも変わる! これはどんな銃にも言えるぞ」
「は、はい! レンゲ教官!」
「今度は長物の適性を見るからな!」
「はい!!」
「ん~! こういうのやってみたかったんだ!」
レンゲさんに射撃を見てもらい──
「サリ? あんまり芯の部分は教えられないからあくまで基本を教えるね? そもそも、それ以上は進学してからしっかり教え込まれるだろうし」
「お願いします! アヤメさん!」
「元気でよろしい! 銃を持ちながらの移動では──」
アヤメさんには戦闘時の動き方を教えてもらい──
「戦闘に限らずだけど、物事はいかに俯瞰で見れるかが運命を左右するの」
「ふむふむ……?」
「ふふっ……ゴホン。例えば、敵が何を目的にしてるか分かればある程度動きが予測できるでしょう?」
「あぁ……なんとなくわかります」
「見つからない様に動いているか、目立つように動いているか。余裕なのか、焦っているか。これである程度大まかに相手のやりたい事の予想が立てれる……。 だからどんな時も冷静に物事を見極める事」
「は~い!」
──キキョウさんには戦術、物事の考え方などを教わった。
え?ナグサさん?時々、アヤメさんの代わりに教えてくれるけど……百花繚乱の仕事(主に書類関係)から逃げる為か外に出ていてあまり見かけない。どうやらパトロールはしているらしい……。
そう言えば私と同い年の子を助けてやけに懐かれたとかいう話を聞いたなぁ。
さて、百花繚乱から稽古を付けてもらってる訳ですが……体を動かす事に関してはもっと適任の人達がいます。
「──ということで、イズナちゃん! ミチルっち! この山を利用した何でもありの鬼ごっこの時間だよ!」
「急だねぇ? サリちゃん……暇だったし良いよぉ?」
「昔とは違う所を見せる時です!」
「よ~っし! じゃあ私が全力で捕まえに行くから頑張って逃げてね!」
気合い入れて頑張るぞ~!って思っていたら何やら考え事をしているミチルっち……何だろう?
「……ところでサリちゃん?」
「なんです?」
「この山の使用許可とかって……」
「取ってないよ?」
「ちょっと? 大丈夫なの?」
「だいぶ辺境の誰も足を踏み入れてない場所なので大丈夫! 最悪、百花繚乱に見つかってもトップとは顔見知りなのでどうにか出来ます! ……多分」
「……不思議に思うけどサリちゃんのその交友関係の広さは何?」
「……忍者として、とても優秀なのではないでしょうか?」
あっ!なんか凄いジト目で二人に見られてる……なんだよ~気になるじゃんかよ~
「さて、行くよ? よ~い、ドン!」
合図と共にイズナちゃんとミチルっちが姿を消す。かまぼこ突風伝で見たって感じのシュッ!って消えるあれ。生で見たの初めてだけど出来るんだなぁ……。カッコいいし今度やり方教えてもらおう。
暫くしてから私は目を閉じて周囲に意識を向ける。風が流れ木々が揺らぎ音が鳴る。聞こえてくる音に違和感は一切ない。
正直二人とも足音はもう出ないくらい完璧に消せている訳だが、やられっぱなしな私じゃないよ?
私は最近、新たな能力を身に着けたのだ!気付いたと言った方がいいのかな?
私は人の目を見る事で感情が分かるが、なんとそれだけでは無かった。
確証はないけど他人の感情が高ぶった時、暖かさのような感覚で感じ取れるらしい。範囲は集中すれば結構遠くまで感じ取れる。疲れるからあまり長くは維持できないけどね。
逃げる行為は結構焦りを感じたりする。心拍数も上がる。するとどうだろう?
「──! そこか!」
位置を把握した私はその方向へダッシュ!ただの走りじゃないよ?なんと
そうやって走っていると木の上でしゃがんで隠れているイズナちゃんを見つけた!
目視した辺りで走るのを辞めてゆっくりと近付く……一歩また一歩とイズナちゃんを見ながら焦らずにバレない様に……
パキッ
「!?」
「あっ……」
やらかした……小枝を踏んでしまった。
「えっと……ドロンっ!」
困惑した顔を見せながら完璧な印を結びイズナちゃんは足元に煙玉を投げて煙に紛れて逃げ出した。
煙が晴れてイズナちゃんを探す。すぐに再補足できたが……木から木へぴょんぴょん飛んで進んでるのが見えた。何あれ……すっご。流石にあれを追いかけるのは難しいなぁ。
イズナちゃんを追うのを諦めて気配を探っていたら今度はミチルっちを見つけた。
──隠れずに森のど真ん中で仁王立ちしている。
なんですぐに見つけられなかったんだ……?
え……?これ
考えた末、私はそこまで非情にはなれないと普通に近づき話しかける事にした。
「ミチルっち? どうして隠れてないの……?」
「ふっふっふ。 何でもありの鬼ごっこ……なんでしょぉ?」
「……はっ! まさか!」
「そう! こうするのだっ!」
そう言いながら印を結ぶ……結ぶ……ぐちゃぐちゃじゃないか!全くできてないよ?良いのか忍術研究部部長!
ひとしきりやり終えた後に指を立てて顔の横に持っていき口を窄める。
その構えはまさか!火遁──
ボフッ
「「……」」
口からちょっと火が出た。そうちょっとだけ……
空気が凍る。時間の流れが止まったかのように感じカラスが鳴いている幻聴が聞こえる……気がする。
凄く長く感じた一瞬の静寂──先に動いたのはミチルっちだった。
「に、忍術研究部の部長を舐めるなぁ~!」
そう言って涙目になりながら懐から火のついた煙玉を投げつけてくる。余りに急な出来事で固まっていた私はその煙幕をもろに受けてしまう。
結果、視界が真っ白になった。そして、煙が晴れた時……ミチルっちは姿を消していた。
「えぇ……?」
残された私は、困惑の声しか出なかった。
逃がした二人を探して森を進んでいくと荒れた道を見つけた。気になって先に進むと建物が見えてくる。
外観は少し古臭い学校……植物が外壁に伸びており人が来なくなって結構な日数が立っている事を教えてくれる。
建物の外周が柵で囲われており簡単に進入は出来ない様になっている。その柵を沿って周りを歩いていくと正門と思しき場所にたどり着いた。
植物が生い茂っている事を除くと普通の正門……そこには
「百鬼夜行連合学院第38校舎……」
と、そう書かれている。
旧校舎……?こんな場所にあったんだ?
こういうのなんて言ったっけ……ノスタルジックだっけ?感じるよね。
そう思いながら携帯を見る。一応、電波は届いている事を確認する。
気になるし二人を呼ぶかぁ……とそう思いモモトークを開きメッセージを飛ばす。
「気になる建物を見つけたからちょっと中断して私の所まで来てくれない?」
『え?』
「座標は──」
──数分後──
「おぉ……こんなところに校舎ってあったんだねぇ? これぞショッギョ・ムッジョ……!」
「見た所イズナ達以外の足跡は無いようですし……いた痕跡も無いですね?」
「陰陽部も存在を知らないんじゃない? 調べれば出てくるだろうけど」
合流できた私達はこの場所についての感想などを話し合っていた。
何か思いついたのかミチルっちが悪い顔をし始める。こういう時って大抵変な事考えてる訳だけど……
「ふっふっふっふ……」
「どうしたのミチルっち?」
「ここを部室にする!」
「え?」
ミチルっちは凄い決め顔で堂々と不法占拠を宣言した。
「ようやく部室が出来るのですね? 楽しみです!」
イズナちゃんはちぎれそうなくらい尻尾を振り回している。かわいい。
「良いのか……?まぁ、楽しそうならいっかぁ……。 中がどうなってるか確認してから決めようね?」
「そうだねぇ! 善は急げだよぉ中に入ろうか!」
「わかりました部長! サリちゃん、早く行きますよ!」
「善ではない気がするけど……。あ~はいはい、分かったから引っ張らないでぇ~」
二人の熱気に何も言う事が出来ずにイズナちゃんに引っ張られて、建物の中の確認を手伝うのだった。
ちなみにおびただしい数の虫を見つけて卒倒しかけたのはここだけの話だ。
あとがき
「これは名誉忍術研究部員……」
百花繚乱の名誉マスコットでもある。一年生になったら来る頻度が激減して全体のQOLが下がりますが……身共ことユカリの純粋っぷりで復活するのはまた別の話。
忍者に興味ないとか言っておきながらバッチリ影響受けてるの可愛いよね?ね?
分かっていると思いますが、現実はナンバ走りしても足音が少なくなる事はありません。これはフィクションです。そういうものだと思っててください。
あとサリちゃんは漫画のような走り方ではなく、ちゃんとした方です。