ここから先、オリキャラが増えます。流石に原作キャラの所属を変えるのは許せなかったのでね。おかげでキャラの設定考えるのに時間が掛かっております。
見上げれば青空が広がる清々しい朝。日の光がSRT特殊学園の校舎を明るく照らしており、その光景が舞台のスポットライトが当たっているようで胸が高鳴っていく。入学式にこれほど適した日は無いだろう。
いやぁ……合格通知が届いた時はもう全力で喜んだよね!忍術研究部の皆に泣きながら飛びついたり、百花繚乱の人達に地面に頭を付ける勢いでお礼したりね?
その後は、寮に引っ越ししたり役所に出さないといけない物出したりと……ここ最近忙しくてひぃひぃ言ってたけど……これはきっと、嬉しい悲鳴ってやつだよね?
SRT特殊学園の正門をくぐり校舎の中に入ると正面の壁に大きく掲示された紙が目に付く。……見てみるとクラス分け表の様だ。
合格通知と共に同封されていた自身の学籍番号を思い出し、貼り紙を目で追っていくと私の行き先がA教室である事が分かる。
うん?順番通りに並んでないけど、一体何を基準にクラス分けしたんだろう?まさか、試験の成績とか……?
そんな事を考えながら、私はA教室に入る。教室を見渡して最初に浮かんだ感想は、「普通」だった。
教卓に黒板、そして均等に並べられた机と椅子。近代的な雰囲気ではあるが、ハイテクと言う程ではない。
教室に並ぶ机は思ったより少ないが、入学試験の内容を思い返すと納得できる数だ。
しかし……ここだけ見るとホント普通の学校の教室って感じ。油断させようとしているって訳じゃないよね?
……入試と同じ香りがする。少し落ち着いた方が良さそうかも。
教室の黒板の少し手前の天井からスクリーンが下りてきており、教卓の上に置かれたプロジェクターから映像を投影している。そこには教室の机と同じ配置の四角形が配置されて、その中に学籍番号が書かれていた。
自分たちの座る席だと悟った私は、映像と席を交互に見て、自分の席に向かう。自分の席の隣にはもうすでに人が座っていた。
そこに居たのは綺麗な白色のロングヘアー……いや、ハーフアップだろうか?そんな髪型の可愛らしい女の子だ。真剣な眼差しで真っ直ぐ黒板を見つめており、いかにも優等生と言う雰囲気を醸し出していた。
うわぁ~凄く綺麗な髪……それに顔も可愛い……。
入学式までやる事も無いから話掛けようかなって思ったけど、恐れもあるが強い意志を胸に秘めてピシッとしている人間に気軽に話しかけるのは嫌われそうでちょっと……。
こうしてきっかけが掴めないまま時間が流れた末に、恐らくこのクラスの担任だろう人物が入ってきて教卓の前に立つ。
「……入学初日から遅刻をするマヌケはいないようだな。 よし、全員廊下に出て出席番号順に並べ!」
教室を見渡した担任は軽く頷いた後、少し圧を感じる物言いで私達にそう命令する。
それを聞いた新入生は、先程のほんわかムードから一転して冷たい雰囲気に変わる。ある者は恐れ、ある者は喜び、ある者は緊張を私は感じ取ったが、全員顔には出さずにキビキビと教室を出て廊下に並び始めている。
皆凄いなぁ。スイッチの切り替わりが早い……うん?あの担任ぽい人……喜んでる?もしかしてこれも何かの参考材料にしてる?
整列し、移動するまでの短い待機時間。私は先程の違和感から緊張で心拍数が上がるのを目を閉じて深呼吸をする事で落ち着かせる。この心境を悟らせない様に表情を作り、この先にある出来事に備えた。
SRTの入学式……一体どんなものなんだろうと身構えていたけど、ビックリするほど普通。
もっと、こう……ブートキャンプ的なノリを想像してたから正直意外……。
少し気が抜けそうなのを堪えながらしばらく後、壇上を見ていたら、司会の言葉と共にとある人物がマイクの前まで歩いていく姿が見えた。
空を思わせる水色に、控えめな桃色のインナーカラーが入っているとても綺麗な長髪。それに清廉潔白を思わせる真っ白な連邦生徒会の制服。美しいと感じながらもどこか浮世離れしていると感じる人物……連邦生徒会長だ。
マイクの前に立った彼女が私達の方を向く。とても真剣な顔、自分たちの心を射抜くようなこの目線を前に、一体どんな事を話すのだろうかと少し会場がざわつく。そんな様子を察した彼女が少しポンポンとマイクを叩いた瞬間一気に静寂に包まれた。そうしてゆっくりと口を開いていく。
「え~皆さん! 入学おめでとうございます!」
先程の振る舞いから一転、凄くいい笑顔で活発な口調でそう話す連邦生徒会長。言わずもがなこの場にいた全員の目が点になった……。
そんな私達の様子を見た連邦生徒会長は、まるでいたずらが大成功した子供の様に笑いながら話を続ける。
「ごめんね! 余りにも皆の顔がガチガチだったから……どうですか? 肩の力は抜けましたか?」
あぁ……連邦生徒会長ってもしかしてすごく面白い人なのかもしれない?他の人はどんな反応してるだろう?
あ~うん、同じ事思ってるようで安心した。
会場がざわつき収拾がつかなくなっていく。普通であれば焦るであろうこの様子に、連邦生徒会長は顔色一つ変えず、一回手を叩いた。
その瞬間、会場の空気が変わり、一気に真面目なムードになった。
一回、手を叩いただけで場の空気をコントロールする様子を見て私は思った。各学校のトップに言う事も聞かせられる理由の一つがこれかと。
「さて……この学園がやる事は、私の指示の元、ヴァルキューレや他の自治区の風紀委員では手に負えない事件を自治区の垣根を越えて解決する事です。少人数で迅速に……故に皆さんにはとても辛い訓練を受けてもらいます」
そう言うと彼女は少し悲しそうな顔をする。少ない表情変化だが、爆発しそうなほどの罪悪感が視える。そんな感情を見せる理由は一体何だろう?辛い訓練を受けさせるのが申し訳ない……というレベルの罪悪感ではない気がする。
「辛く苦しい訓練に逃げ出したくなる人も出るでしょう。しかし、ここに合格した皆さんにはどんな困難にも負けない心があると……私は信じています! 今まででは考えられない事の連続で混乱するでしょうが、これからの皆さんの活躍に期待します! ──これを連邦生徒会長による挨拶とします」
そう言って連邦生徒会長は鳴り響く拍手と共に深々と礼をして壇上を下りた。最後、一瞬だけこちらを見た気がした。
警戒してる……?私、何かやらかした?何も心当たり無いけど……。
私の疑問をよそに次に壇上に上がってきたのは、ユキノ先輩。
SRT一番の実力者と言ってもいいぐらいの人だ。在校生代表として挨拶するのは当然だろうから驚きは少なかったが、周りが浮足立っているこの様子が『芸能人を見た一般人』と同じで少し呆れてしまう。
「ようこそSRTへ。私はSRT特殊学園三年生、FOX小隊小隊長の七度ユキノだ」
心ここにあらずといった新入生の様子を見たのか、ユキノ先輩は少し呆れ気味に見える。
「──諸君に聞く……正義とは何だろうか?」
少しの溜めの後、ドスの利いた声でそう質問するユキノさん。
何故その質問をするのか。正義とは何か。答えの存在しない問いを前に少し会場がざわつく。
正義……あんまり気にした事無かったなぁ。自分が人助けするのも悪い人を懲らしめるのも自分がしたいと思ったからだし……それを正義かって言われるとちょっと違うよね?
「──人によって解釈が分かれるだろうが、私は理にかなった正しき道理だと思っている」
ユキノ先輩はとても真剣にそう答える。その言葉はとても力強く、真っ直ぐで、嘘偽りのない言葉であると誰から見てもそう思えるだろう。
「我々は市民の生活が脅かされる存在を自治区の垣根を越え前もって排除することが出来る……だが、この力は持つ者によっては悪事に使えてしまうだろう」
先輩の言葉を聞いて少し考える。そうだよね……ここで行われている訓練がどういった物なのかはまだ分からないけど、色々と──そりゃもう色々と学ぶんだろうし?ここで学ぶ事を悪用しようと思ったらいくらでもできるはずだ。他の学園がSRTのような存在を持っていたら大変な事になると思う。
「ここ、SRTは自治区ごとの政治にとらわれないまさに正しき道理の通る場所。諸君らにはこの組織に恥じぬ人物になって欲しいと思っている」
ユキノ先輩は少し目を閉じて深呼吸をする。意を決したように目を開き真っ直ぐ私達を見つめて問いかける。
「ここに居る者達に問う! 人々の安全を守りたいと、危機に瀕している誰かを助けたいと、そんな正義の心を持っているか!?」
その言葉を聞いて、この場に居る新入生は返事をしていいのかという少しの迷いから、まばらではあるが声を重ねて返事をする。
「この先にある苦難に負けず! SRTの……揺らがぬ正義を貫くことは出来るか!?」
今度は全員が迷いなく返事をする。重なる声に空気が震え、この一体感に胸が熱くなっていく。
ユキノ先輩の口角が少し上がったように見えた。
「よろしい! そんな素晴らしい心を持った君達と共に正義の為に戦える事を、私を含め在校生一同楽しみにしている! ……これを在校生代表の挨拶とする」
ユキノ先輩が話を終えた時、講堂中が拍手の音でいっぱいになる。
改めて私達が、SRTの一員になったんだと思わされた。これは正直ズルいと思う。
にしてもSRTの正義……か。連邦生徒会長の判断で動く全てに対して中立な治安維持組織……だから揺るがぬ正義って事なんだろうけど、私は思う。
──それって盲信じゃないか?
そんなこんなで入学式はとんとん拍子に進行。入学式の工程が全て完了した後、私を含めた新入生はひとまず、自身の指定されてた教室に帰る事になった。
全員着席した後、この教室の担任らしき人が少しの間待機しろ言って教室から出て言ったので、A教室の人達を改めて見るけど、試験でも目立っていた人がちらほらといる。
あの人ってあの時の凄腕スナイパーじゃん。なんで今まで気付かなかったんだろうか?
他にも真面目そうな人だったり、へらへらした雰囲気の人だったりと凄い個性的な──
ん?あの人の心……変な感じ。ぼやけている?……いや、重なっているって言えばいいのか?
クラスの一人に少しの違和感を感じつつも、賑やかなクラスになりそうだと思っていた所、先程の担任が帰ってきた。
「さて……待たせたな。今から私の自己紹介とこの教室の事について教えるぞ? まずは──」
まとめると、この人はここA教室の訓練教官を務める人らしい、この教室はSRTに必要な基礎の座学を行う為の場所で小隊を編成するまでここで授業を行うんだって。
完全にランダムで教室を分けたと言っているが、あれは嘘だね……感情に揺らぎがあったし。
私達に対して悪感情がある訳ではないし期待はされているっぽいけど……これは相当頑張んないと駄目そうだ。
「さて、これから何をするか……分かるか」
そう言う教官に各々予想を立てる
「なんだろうね~? いきなり銃をぶっ放せたり?」
「……やはり、教範を使った学習か?」
「なんやろうな? さっぱりわからへんわ」
そんな私達の反応を教官は少し面白がりながら聞いてる……。正直、何するか可能性がありすぎてまとまんない。
「正解は……」
教官の答えをみんなが固唾を呑んで待つ。
「全員の自己紹介だ」
「「……あっ」」
完全に全員、頭から抜けていたようで声が重なった。
そうじゃん!皆の名前知らないじゃん!でも……自己紹介で何を話せばいいんだろう?
私は出席番号が一番じゃなかったことに安堵しながらも頭を抱えながら自分の順番を待つことになった。
あとがき
「変に疑い深い主人公」
サリの考えの一つに人を引っ張る立場の人間は思い詰めやすいという考えが染みついております。悩み相談での話とアヤメの一件が主な要因です。
なので、無意識に責任が付いて回る立場の人間をよく観察する訳ですね。
なんか、そのうち大変なことになりそうだな……。
教官は……今のところモブでしかないので、名前も設定も作っておりません。