何話か先まで書いてるけど、訓練描写は話の流れに合わないので、閑話として出した方が良いのか?とか考えてるんですけど……どうですか?
自己紹介かぁ……自分のことって自分じゃよく分かんないよね?
人と違うところなんて余程突出してない限り自分じゃ気づかないし?あまりに人と違っていたら仲間外れにされることだってある……。
人と違うところが長所か短所かなんて他人の物差しでしか測れないのに、あなたの長所は?なんて質問されるときだって……正直こわい。
っとと……そんなことを考えてないで自己紹介のことを考えないと……。
少し離れたところで、紫のショートヘアーの少女が席を立つ。
そのキリッとした表情と振る舞いから、学級委員長って印象を抱く彼女が、ゆっくりと歩き教卓の前に立った。
「名前は空井サキ、SRTには……えっと、ここって厳格な規則があるだろう?そういう生活にあこがれを持って志願したんだ」
えぇ?それを目的にする人いるんだ……。規則に従うのは、そうせざるを得ないからやるものだと思うんだけど……世界は広いなぁ?
「好きなことは……あ~武器の手入れとか、珍しい武器とか物を集めるのが好きだ。時々、見せたやつの顔が引き攣るのは納得いかないけどな」
武器の手入れはともかく珍しい武器……?一体どんなのなんだろう?見た人の顔が引き攣るっていうからには相当な物なんだろうけど。
というか、納得がいかないとごまかしてるけど、やっぱり悲しいのね……そりゃそうか、自分の趣味だもんね。
そんなサキさんは、礼儀正しい礼をして席に戻っていった。
次に教卓の前に立ったのは、かなり豊満な胸をした人物。
さっきのサキさんもそうだけど、本当に同い年なの?ツクヨちゃんといい勝負だよ?
……そういやツクヨちゃんも同い年だった。……ズルい。
「私は風倉モエ。SRTに入ったのは──」
ブラウンの二つ結びと大きな丸メガネ、豊満な体が特徴のモエさんはもったいぶった後、嫌な笑みを浮かべてこう言った。
「くひひ、普段では絶対触れない高火力の武器をぶっ放したいからだよ……!」
「「はぁ!?」」
おおよそ法執行機関の一員とは思えないその言葉に、クラス中が驚きの声を上げる。
なんでこんなテロリストがSRTに入ってるの……?
あっ、そう言えば面談みたいなのは無かった気がする……。つまり完全に実力だけで合否を決めてるってことになる訳で、この人に実力があったということになる訳か……。なんてこった。
教官も予想外だったようで、嘘だろコイツみたいな顔して固まってるし……モエさんはすごく満足げな顔して席に戻っていったけど。
……というか教官そんな顔するんだ?
ハッとした教官が次の人間を呼んだ、あれは……あの時の凄腕スナイパー!彼女にはぜひ私の射撃の教官に……いや私にスナイパーは合わないか、もう握らないって決めたし。
「私は……霞沢ミユです。えっと、SRTに入ったのは、元々銃の腕が良いって言われて、SRTに行ったらどうだって勧められて……ここに認められて頑張れば、自信がつくかなって思ったから……です」
ぽつりぽつりと、自信なさげに話すミユさん。困ったように眉をひそめているし、悲しさと期待と恥ずかしさ……諦めかな?そんな感情も見える。
なんかツクヨちゃんを思い出すけど、少し違う気がする。既視感はあるんだけど……どこでだろう?
私が長考していたら、いつの間にかミユさんは席に戻っていたようで、隣の席の白髪の女の子が立ち上がり教卓の前に向かう。
長い髪がサラサラと揺れ、どんな出来事にも顔色一つ変えないだろうなと感じさせる彼女……一体どんな人なのだろう。
うん、一番席が近いからだろうけど一番意識を向けている気がするなぁ……。
「私の名前は月雪ミヤコです。 特技は……俯瞰で物事を見れることでしょうか。 SRTに入った理由は、SRTの信念に感銘を受けた為です。これからよろしくお願いします」
素早く端的に自己紹介をした彼女。礼儀正しく礼をしたミヤコさんは自分の席に戻り着席する。
おぉう……ここでは大事な要素だけど、もうちょっと欲しかったかなぁ? でも、緊張より恥ずかしさが表に出てたし……案外話しやすいかも?
ここまで表情を動かさないでいられるのは一つの特技なんじゃ?って思ったけど……さすがに失礼か?
私にしか分からないだろうし、そっとしておくべきなんだろうなぁ。
次に教卓の前に立ったのは、茶色のポニーテールに黄色い目が特徴の人物。
立ち振る舞いから礼儀正しい人と感じる彼女だが、ダブっているようなぼやけているような、そんな違和感を感じるのはいったい何だろう?
「私は入間ミントです。ここには……その、少しお恥ずかしいのですが私のいた場所とは違うところに憧れを抱いていたためです」
「うん? いた場所ってのは一体どこですか?」
彼女に抱いた違和感と、出身をぼかしたことが気になった私は、少し質問してみることにした。
すると、ミントさんは少し困ったような顔をして口を開く。
「え~っと、そのぉ……トリニティと言えば分かっていただけますか?」
「あ~、あのお嬢様学校の……そこの中等部だったんだ」
「はい、そうです」
確かに、SRTはトリニティとは違う所だろうけど……ゲヘナの方が校風は真逆だっていうし、意図に合ってるんじゃ……?
あぁ、でも……仲が悪いとは百鬼夜行でも聞いてたし、思った数倍根深い問題なんだろうなぁ。自治区の距離近いのに……。
ミントさんがトリニティという単語を発するときに、表情が曇り、少しの嫌悪の色が視えたことから苦労してきたのが想像できる。仲良くなって何があったか聞いてみたいけど……聞いたら後悔しそうだ。
うわ、もうすぐ私の番だ……心臓がバクバクする。こういうのにも慣れないとエリートとは言えないんだろうなぁ。
次に教卓の前に立ったのは、黒髪のロングヘアに茶色い目。スクエア型のメガネから頭が良さそうって印象を抱く人物。
「長谷川シオン……コンピューターが得意。SRTに入ったのは──何となく?」
短いし何となくって……。怒ってるってわけじゃないんだよね……?
こういうのを無駄を語らない仕事人って言うんだろうか?あの時の店主もこんな感じだったなぁ。
でも、コンピューターが得意っていう割にノイズが走るように不安を感じてたのは……なんで?嘘はついてなさそうだったけど。
シオンさんが早々に席に戻っていき、私の一つ前の席の人物が、その事に少し困惑しながらも席を立った。
オレンジのサイドテールに赤い目。そして猫耳が生えている、活発そうだと思わせる彼女はどんな自己紹介をするんだろう?
「え~、うちの名前は石橋テイカ! 何かを作るのが好きや! SRTに入ろう思ったんは、最先端の装備に身を包んだ特殊部隊なんて、めっちゃカッコいいやん? そんな部隊の装備を作ったり、整備してるのが自分って、なんかええなぁって思ったのが理由やで」
だいぶ特徴的な話し方をするなぁ……テイカさん。百鬼夜行の西の方で聞いたことがある喋り方だ。
しかも、SRTを目指す理由も少し親近感が湧くし、同じ猫耳だし、ぜひ仲良くしたい。明るく活発な人は好きだしね。
機械の調子が悪くなったら相談してみようかな。
しかし、個性的なメンツじゃない?このクラス……推定テロリストも居るし。これだったら私の能力を言ったって軽く流してくれるかも。
クラス最後の自己紹介は私……自分に大丈夫と言い聞かせて、教卓の前まで歩き皆の方を向く。
少し目を閉じ、一呼吸して覚悟を決めた私は、目を見開き、口を開いた。
「……私は、心目サリって言います。特技は、人の感情が少し分かることです。 SRTに入ったきっかけですが、皆さん一年前にD.U.で起きた災厄の狐によるテロ……分かりますか?」
私がそう言うと皆は──
「あ~、あのときはすごかったな」
「くひひ、大混乱だったよね~」
「ニュースで見ただけですね……私が住んでる場所とは正反対でしたので」
「たしか、そのときにFOX小隊の先輩が災厄の狐を捕まえたんでしたよね?」
そんなことを言っている。その反応を聞いた後、私は言葉を続ける。
「あの時、親友とのショッピングの帰りでその事件に巻き込まれちゃって、気を失ってしまい……目が覚めたら、災厄の狐が目の前で私をガン見してたんですよ」
「ひぃ……私だったらまた気絶してる……」
「わかるわぁ……よく無事やったな?」
「──そのときに助けてくれたのが、FOX小隊の先輩達でした」
その瞬間、みんなの目に星が見えんばかりに輝き始めた。
「えっ!? マジ!?」
「何それすっごい聞きたい!」
「えぇ。先輩方の動きとかどんな感じだったかとか、参考にもなりそうです」
「ちょっと詳しく話してくれへん?」
あわわ……思った数倍反応が良いんだけど……。そんな一度に言われても答えられないよぉ……。
どうしようかと困ってたら、教官が咳払いをして止めてくれた。助かったぁ……。
「え~っと、まぁ……そのときの経験と、私自身こういうのかっこいいな~っていうのもあってここに来ました。あの時の話は聞かれたら答えるので、仲良くしましょうね? よろしくお願いします」
そう言って私は深々と礼をする。そしたら拍手が聞こえてきて少し安堵した。自分の席に座った瞬間、隣から声がかかった。
「え~っと、サリさん……?」
「はい? え~っと、ミヤコさんでしたよね? どうしました?」
「さっきの話も気になるのですが、その特技は本当ですか?」
まさかそっちを聞かれるとは……
「本当です。まぁ、証明しようにも難しいものなんですけどね……? 考えていることが全て分かるわけではないですし、皆、自身の感情を完全に把握できてるわけではないので……自分のことなのに不思議なものです」
「あぁ……確かにそうですよね」
ミヤコさん、ちょっと疑ってる……?胡散臭い占い屋じゃないんだからね?
う~ん、こういうときは早めに信じさせた方がダメージが少ない……かなぁ?
「そうだなぁ……例えばですけど、ミヤコさん。自己紹介の時、緊張してたというより恥ずかしがってたでしょう?」
「え……? 本当なんですね……」
ミヤコさんの顔がすこし赤くなった。どうやら信じてくれたようだ。それに、驚きと恥じらいに交じって、少し嬉しいと感じている様子。
良かった……気味悪がられてないみたい。でも、嬉しいって感じるのは稀なんだ?つまり──
「その感じ……自分のことでわかってもらえず苦労してました?」
「なぜ、そんな風に思ったんですか?」
「言い当てられて嬉しいと思う人は少ないですから」
「へぇ、そうなんですね」
「えぇ、だから意外と覚悟がいるんですよ?」
嫌われるのは、もう嫌だからね……。
ミヤコさんは私の能力を信じたっぽいのに警戒しないんだ……そっかぁ。
「あの、ミヤコさん?お友達になりませんか?」
「いいですよ? ではこれからサリと呼びますね?」
「では、私はミヤコと呼びますね! これから楽しくなるぞ~?」
「そこまで喜びますか……?」
大げさかもしれないけど、実際友達が増えるのは嬉しいし?一人でここに来てすごく心細かったし……。
なんか少し困惑してるようだけど、ミヤコも嬉しいの分かってるんだからね?
ミヤコとの話がひと段落した辺りで周囲に目を向ける。各々、隣の席の人間に話しかけているようだ。この光景だけ見ているとおおよそ普通の学校と変わりないように感じた。
しばらく時間が経った辺りで、教官が教卓の前に立ち、わざとらしく咳払いをする。
その瞬間、私語がピタリと止み教室が静寂に包まれる。その光景に教官は満足げだ。
「さて……ある程度話しただろう。次に進めるぞ?」
「「はい!」」
「まず、BDを配布する。これは基礎科目用で、SRT特有の教育とはまた別だ。これについては通常の学校と同様、定期的に試験を行うが、この教室で教えることはない。ちなみに、試験で赤点を取るようだったらこの学校を辞めることになるから覚悟しておくように」
「……教官? それって厳しくないですか?」
クラスの誰かがそんなことを言う。すると、教官が呆れた顔をしてそれに答える。
「ここはSRTだ。優秀な人間しか必要としていない。両立できないようなら、迷わずヴァルキューレに転校してもらうぞ。SRTの人間は優秀ってイメージがあるから喜んで歓迎してくれるだろう」
思わず冷や汗が流れる……。あっ、皆の顔が真っ青になってる……不安なのは私だけじゃないのね、良かった。
うわっ、しかもBDのこのマーク……ヴァルキューレ警察学校のじゃん。
「次に時間割についてだが、基本の時間割はここに貼ってある。各自メモするか記憶しておけ」
貼られてある時間割を見てみると、午前は座学。午後は実技と分けられている。
もっと長いこと学ばされるかと思っていたけど、案外普通だね?
「さて……本日はこれで終了になる。明日は通常通り0800よりHRを行うのでそのつもりでいるように」
そう言って、教官は終わりの号令をかけて自由解散となった。
明日から本格的な訓練が始まる。連邦生徒会長も言っていた今まででは考えられないことってのが少し不安になるけど、友達もできたし、むしろワクワクする!
早く明日が来ないかな?
あとがき
「キャラ紹介回だけだけど大事な話」
いやぁ……この話で同級生ネームドは全員出したかったし長くなるのはしょうがないよね?
主人公の心理描写はしっかりやってるつもりだから、良いと思ったら私を褒めて?お願い!