え!? お気に入り100超えですか!? ありがとうございます。
頑張って続けてみようと思います!
ある日の放課後、同じことの繰り返しに飽きた私は、この教室で一番仲が良いと思ってる人物と寮に帰ろうと隣の席を見る。
そこには教範をまとめてバッグに詰めるミヤコがいた。白い髪が風に吹かれてサラサラと揺れ、それを鬱陶しく感じたのか顔にかかった髪を耳に掛ける。なんてことない行動だというのにその姿に私は目を奪われてしまう。
ここだけ見るとお嬢様学校から来た人に見えるんだよねぇ……ミヤコ。
もしかして、ミヤコは今まで高嶺の花的な目で見られていたのではなかろうか?
あの時の感情はもしかして……?じゃあ、こういうことすれば面白い反応が見れるんじゃ?
そんな考えの元、悪戯心に火が付いた私は目を細めつつ机に頬杖をつき、カッコつけてミヤコの方を見つつ声を掛ける。
「そこの白兎さん? 私と一緒に帰らない?」
自分が出せる精一杯の低い声で言ったけど、流石に私らしくないかな……
でも、ミヤコは珍しく表情に出して驚いている。そういう顔初めて見たかも?それだけで少し満足。
「あなたにそう言うのは似合いませんよ……?」
ミヤコはさっきの驚いた顔から一転して呆れた顔でそう言ってきた。その指摘に私は顔が熱くなる。やめてよそういう正論は……割と恥ずかしかったんだから。
「……じゃあ逆に似合うのは何さ?」
少しミヤコを睨みながら、恥隠しにそう切り返すとミヤコは悩む素振りを見せる。いや……そんなに深く考えなくていいって。
「そうですね……甘えるようにでしょうか?」
「え、ミヤコ? もしかして私の事を小さな子供のように見てる?」
あっ……顔を逸らした。え?嘘だよね?いや、大人に見られたいとかそういう感情は無いけど、せめて年相応には見て欲しいんですけど……?
「へぇ……そんな反応するんだ? だったら私にも考えがあるよ?」
「?」
私が本気を出したらどうなるか見せてやる!
少し怒った私は恥も何もかもを飲み込んで、上目遣いで近付き、自分が出せる全力で、
「ミヤコね~ね! いっしょに……かえろ?」
「!?」
──可愛らしい子供を演じてみた。
舌足らずな口調、無邪気な笑顔、私の思う可愛らしい子供像を。
正直、途中で恥ずかしすぎて死にたくなったよね。
なんなら今すぐ布団に包まって叫びたい気持ちはあったけど、私の方をガン見して感情が凄い荒ぶってるミヤコを見てたらそんなの吹っ飛んじゃったや。
……この荒ぶり方に見覚えがある気がするけど、どこだったっけな?
「サリ……? これからそういう事をするのは避けた方が良いと思います」
「え? でも、ミヤコの反応から見ても結構いい線いって──」
「やめた方が良いと思います」
普段と変わらないトーンではあるけど声に圧を感じる。……真顔でそれは普通に怖いよ。
「分かったよ……年齢を考えろって事ね? 良い反応だったし極めたら面白そうだと思ったんだけどなぁ……」
「はぁ、本当にサリは……」
「なんか言った?」
「いえ?」
私に嘘は……まぁいっか。悪意みたいなのは感じないし。
「そう言えばカッコつける為に言ったけど、白兎ってのは否定しないんだね?」
「あぁ、そう言えばそんな事言ってましたね……兎は好きですから別にいいです」
「兎が好きなんだ?」
「兎は特に好きですが、それだけではなく動物全般が好きです。暇なときはよく動画を見てたりしてますね」
「へぇ~意外。時折、無表情でスマホ眺めてるな~とは思ってたけど……」
楽しそうだった理由はそれか……少し口角が上がってたし、完全に無表情って訳では無かったけど……それでちょっと損してる気がする。
「とりあえず一緒に帰らない? 道中、おすすめの動画でも教えてよ」
話が途切れたタイミングで周囲を確認したら、教室には私とミヤコしかいなかった。長話をし過ぎたようだ。
「良いですよ? では行きますか」
おもむろに鞄をパンパンと叩いたミヤコは席を立ち私の方を見てくる。少し上機嫌に見えるのは自分の趣味を語れるからなのかな?そんな上機嫌なミヤコを見ると私まで嬉しくなってくる。
帰宅途中に、ミヤコは私の好みに合った動画を私に見せてくれた。
私が見やすいようにする為なのか、少し体を傾けてくれる。その気遣いに嬉しさを感じながら体を寄せて肩に手を置き画面を覗き込んだ。
「え、ナニコレ……すっごく可愛い」
「ですよね! この時のポカーンとした顔とか特に!」
目に映るのは、可愛い子犬が外に出ようと勢いよく駆け出すも掃き出し窓が閉まっておりガラスに激突する映像だ。凄く痛そうという感想が浮かんだが、当の本人……本犬……?は、何が起きたか分からず、ただこちらの方を困惑といった表情で見てくる。
おバカな行動とその後の静寂もあってすごく面白い……。ミヤコセレクトの動画は今後もチェックしよ!
「こういうの見るとペットが欲しくなるよぉ……」
「私たちに飼育できる時間が作れるか……が問題ですけどね」
「だからペット禁止なんだろうなぁ……」
「「はぁ……」」
こういう動画を見たら誰だってペットが欲しいと思う物だよね……?でも、悲しい事に、SRTは寮でのペット飼育は禁止だ。そりゃ、いつ任務で数日帰れなくなるか分からないから仕方ないと言えば仕方ないんだけど……。
SRTに入るのを決めたのは他でもない自分である為、何も言えない私達は少しの後悔を胸に抱いていた。
「……?」
そんな空気の中歩いていると、気配の様な何か……としか言えないものを感じ取り思わず足が止まる。
人の気配の場合、方向が分かるのですぐに見つけられるのに、例えるなら気配という名の霧の中にいるような感覚というか……そんな感じで特定が出来ない。本当に人の気配なのかと疑ってしまう。
しかもその気配も薄い。気のせいだと言われれば納得してしまいそうになるレベルだ。
え……?何?ストーカー?ありえないでしょSRTの近くだよ?どんな勇者?
「……?サリ、どうしました?」
足が止まった私を不審に思ったのか、ミヤコが声を掛けてくる。
「……ねぇ、ミヤコ? 誰かが近くに居ない?」
「え? いや……特に近くに誰かいるようには見えないですが」
周りをキョロキョロ見渡したミヤコは不思議そうに答える。しかし、私の雰囲気の変化を読み取ったのだろうか?その表情は少し強張っているように感じた。
自分だけじゃ答えが出ないだろうしミヤコに聞いてみようかな……?
「ミヤコ? ここで気配を消して潜伏するとなったらどういう理由が思い浮かぶ?」
「え……? う~ん……お尋ね者でしたらまず近寄らない場所ですし、いたずらも同様の理由で……余程の勇者でもない限り無いですね。私達を観察している方が近いと思います」
勇者っていう意見は被るんだ……っと、やっぱりミヤコもそう思うのね?だったら──
「了解……。なら振る舞いはあまり変えずについてきて? この気配の正体を探るよ」
「……わかりました。 武器のセーフティーは外しておきます」
「暴発させないでね?」
「私をなんだと?」
相棒物の創作みたいなやり取りに思わずにやけてしまう。ミヤコを見ると同じことを思ったのか少し口角が上がっていた。
だが、こんな呑気な考えはこれが解決してからだなと気持ちを切り替え、怪しいと思う場所へ歩き始める。
私達が歩いていた道の先、少し入り組んだ住宅街の方向に向かう……ただでさえ薄い気配が更に薄くなっていく感じがした。離れてるってことかな?
少し先行していたミヤコが私の方を見て首を横に振ってる……外れっぽいね。
次に目を付けたのは少し戻った所にある裏路地だけど……見通しが悪く、何かを監視するには向かない場所だったね。闇の取引するならうってつけ……と言いたいけどここでやろうものなら「SRTだ!手を挙げて投降しろ!」って速攻なるだろうしあり得ない……よね?
裏路地をしばらく歩き、不審な点を発見できなかった辺りで監視しているという前提が間違ってるのではないかと思い始めていた。
どう考えても私達の動きが不自然だからだ。先に進んだかと思えば急に二手に分かれたり来た道を戻ったり……。どんな素人でも撤収する動きだと思う。
気のせいって事にしてそろそろ帰るべきかなと思っていると、この辺りで一番高台になっている公園が目に入った。
うん?そういえばあそこはまだ見てないな。ミヤコは……うん、同じく怪しんでるね?それじゃあ行ってみようかな?
歩く事数分……公園の入り口にたどり着いた。──道中、既視感にも似た感覚を覚えながら。
一体どこで?と記憶を辿りながら公園へ足を踏み入れる。
そこに広がっていたのは、犬を連れて歩く人、母親らしき女性と小さな子供の遊ぶ姿。実に公園らしい風景だ。
……だが、その視界の端に違和感を覚える行動を取る人物がいた。
頭に落ち葉を付けて端の方でしゃがみ込む人物。少し見渡せば嫌でも目に入る場所に居るのに、周りにいる人や動物から認知されてない、
「……こんな所で何してるの? ミユさん?」
「え……!? サリさんにミヤコさん?」
──足元の小石を集めている霞沢ミユがそこに居た。
あとがき
「犬の動画はそのとき見てた動画をそのまま描いただけです」
さて、ミヤコ。やけに距離感が近い低身長猫耳娘なサリの事をどう思ってるのか……同期の仲間として見たいのに可愛い動きを見せないで欲しい。困る……と思ってます。
え?じゃあ何でサリにあんな事言ったのか?聞かれたからですよ。