目は口ほどに物を言う   作:豆腐メンタルの化身

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 めんどくせぇよ!百花繚乱!腹割って話せよ全員!
 ナグサのアヤメ像気持ちわりぃよ!助けてくれ!俺そんなに自分に都合よく人を見れねぇよ!エミュ出来ねぇよ!夢女子が!

 えぇ~ゴホン!失礼?抑えきれませんでした。


 さぁ……これから始まりますよ?
 


第六話  心配

 

 

 人助けが好きだ。

 

 困っている人に手を差し伸べると曇っていた顔が晴れていくのが好きだ。

 

 私の行動で笑顔になってくれるととても気分がいい。

 

 

 私が高校生になって百花繚乱に入ったのはそういう理由だったと思う。だから私は困ってそうな人を見ると体が勝手に動いていた。暴れている人を止めたりした、迷子を助けたりした、喧嘩が起きたら仲裁もした。

 

 そんなことを続けて2年生になった私はわりとすぐに百花繚乱の委員長になっていた。私の行動が称賛されているようで、頑張りが認められているようで素直に嬉しかったんだ?その時はね? 

 

 委員長になっていつからか何か起こるたびに呼び出されるようになった。頼りになるからと、何とかしてくれるからと、別に私でなくてもいい事で何回も、何回も、何回も──

 

 私の行動一つ一つに流石委員長って言葉が付いて回った。そこにどこか引っ掛かりを感じた。

 そこから変になり始めた。いつも通り人助けをして、人に感謝される。そこで気付いたんだ。

 

 

 ──感謝の言葉が嬉しくない

 

 

 そのことに気付いたときは頭が真っ白になった。何かするにもこのことが頭から離れなくて全然集中できなかった。その時の私を皆はこう言い始めた。

 

 

 

「委員長らしくないね」

 

「委員長、調子悪そう?」

 

「ちょっと休んだらいつもの委員長に戻るよ」 

 

 

 

 だから私は()()()()()の笑顔をして皆と接してみた。そうすると皆は元に戻ったと言ってまた私を頼り始めた。だから私はいつも通りを演じた。

 

 

 

 ──皆がそれを求めていたから 

 

 

 

 そんなことを続けて約半年……私はその羨望の眼差しに嫌悪感を抱き始めていた。幼馴染も同じ目をしていると気付いて更に嫌悪感が増した。

 

 一番の友達で幼馴染、御稜ナグサに対する感情が嫌悪に変わってきている。泣き虫なところも、好物の焼き鳥を頬張っているところも、弱気なくせに自分の容姿には自信がある所も。

 今までの考え方と逆になってきている。好きだったものが嫌いになっていく。そして思った。

 

 

 ──自分って何なんだろう?

 

 

 そう思ったのに笑顔であることを辞められない。明るく振舞うことを辞められない。皆の思い描く七稜アヤメを辞められない。

 何故取り繕うことが辞められない?嫌悪している奴の思い描いている私を辞められない? 

 

 本当の私は何なのだろう?本当の私は委員長に相応しいのだろうか?

 

 ねぇ……誰か教えてよ。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

「大丈夫?」

 

 

 

 いつも通り街を歩いていたらそんな声が聞こえた。

 

 周囲を見渡すが、対象になる人物が自分しかいないことことから私に向かって言ったのだろう。しかし私に心配するような声を掛けられる理由が見つからない。疑問に思いながら姿を確認する。

 

 声の主は、猫耳を生やした小さな女の子だった。身に着けている制服で中学生だと分かるが……そんな子が何故私を心配する?理由が全くもってわからない。

 

 

 

「え~っと……どうし──」

 

「顔は笑顔なのに感情は荒れ狂ってる……まるで笑顔という仮面がくっついてるみたいな」

 

 

 私の発言を遮って発した言葉に心臓が跳ねた。一体この子は何者だ?私の何を知っている?私は思わず肩にかけている銃の手を伸ばそうとしていた。

 

 

 

「わわっ、警戒されてる! 大丈夫ですよ? 私の特殊な能力なんです……あなたの感情が伝わってくるんですよ」

 

「──!」

 

「だからおかしいって分かる。一体何があったんですか?そんなに笑顔なのにあり得ないくらい下向きな感情が蠢いてるんですよ」

 

「……」

 

 

 

 思わず真顔になってしまった。なんだこの子……私の姿を見て頼るではなく私を心配している?一体何が目的だ?

 

 

 

「警戒して話してくれないかぁ。う~ん……百花繚乱の人ですよね?」

 

「うん……そうだよ」

 

「名前はなんですか? 私は心目サリって言います」

 

「七稜アヤメだよ。百花繚乱紛争調停委員会、委員長の」

 

「あぁ、あなたが。そっか……だったら考えられるのは立場、責任に関係するものか人間関係か頼られるのに疲れたとか?

 

 

 

 自己紹介を聞いた彼女は何処か納得したような顔をしながらそうつぶやいた。小声で何か言っているが聞き取れなかった

 

 

 

「アヤメさん?私ってこの能力もあってあなたのような人を見るとほっとけないんですよ。だから私で良かったら話を聞きますよ?」

 

「ふ~ん?」

 

 

 

 その理由が本当なら私と似た価値観を持っているな?懐かしいな……私もそういう感じで体が動いてた気がする。

 

 だが、信じていいのだろうか?目の前の彼女はあまりにも不気味だ。

 

 

 

「……無理にとは言いませんよ?でも今のアヤメさんは私が今まで見た事ある人の中で一番辛そうでしたから」

 

「そうかな?」

 

「私はそう見えますよ。とりあえず私の連絡先を渡しておきますね? 心変わりか何かあったら連絡してください」

 

「えっ……うん」

 

「えっと……最後に一つだけ言いますね?」

 

「なに?」

 

「もしその立場とかに嫌気がさしたりしてるなら別に捨てても良いんです。百花繚乱の委員長である以前にアヤメさんはアヤメさんだから。でも……行動に起こす前に誰かに話してみてください。私じゃなくてもいいです。あなたが今思い浮かんだ友達、親友でも」

 

「……!」

 

「では……また機会があれば会いましょう?」

 

 

 

 そう言ってサリと名乗る少女は私から離れていく……私は彼女の最後の一言がずっと頭の中で反芻していた。

 

 私は私か……ここまで私を見ようとしてる人はいつ以来だろうか?私を知ってもなお変わらずに私を見ようとしていた気がする。

 憧れられるよりは気分がいいな……私は連絡先に追加した彼女の名前を見ながらそう思った。

 

 

────────────────────────────────────────

────────────────────────────────────────

 

 

 いつもの街並みを歩きながら冷や汗をぬぐって深く深呼吸……平静を装っていたけど私の足は小刻みに震えだしていた。

 

 七稜アヤメさん……あの人の目を見た瞬間思わず寒気がしてしまった。あれは何?私が見たのは荒ぶる感情と正体不明の何かだった。こちらを睨み返すような何か……いや?観察していた?

 一体あの人どんだけ闇を抱えてるの?彼女が持っていたあの銃もだ……あれの存在感は異常だ。なんで平然と持てているんだ?

 

 ともかく、今まで見た中で断トツでヤバい状況なのは理解した。あれ下手すると自分で……いやいやいや縁起でもないことは言うもんじゃないね?

 連絡を待つんじゃなくて少し観察して様子を見てみるのがいいかもしれない……しばらく遊べない事をイズナちゃんとミチルっちに伝えとこう。

 

 あれは放っておいたらダメだ。そう思った私はこの存在感の無さを活かす時だと思った。偵察や情報収集は忍者の得意分野かな?ふふっ、あの子なら目を輝かせそうだなぁ。

 

 

 私は目を閉じて親友の姿を思い浮かべて少し微笑んだ後に一つ深呼吸……私の五感すべてが鋭くなっていくのを感じる。そして目をゆっくり開けて目の前を見据える。

 一度見知った人間の危機を見逃すほど私は腐ってはいないと。覚悟を決め一歩、また一歩と歩み始めた。

 

 

 ──その足音は一切聞こえなかった。

 

 





あとがき

「キッツいよ」

 個人的にですが原作でのアヤメの回想シーンでの独白ですが……あれは反転した結果、極端に解釈したものだと思っててその当時どういう風に思ってたかは確定していないんじゃないかと思っております。

 人ってのは簡単に記憶を捻じ曲げてしまいますからね?当時は疑問符いっぱいだったと思います。ドッペルゲンガーに出会うまでは……


 それはさておき中学三年生になったサリちゃん!大人びている理由は、悩み相談で人の奥底に触れることが多かったから、見栄を張らない&そういうのもあるのか……ってマインドがあるせいです。許容というか受け流しというか……そういうのが他人からは落ち着きのある人、つまり大人に見られるということです。

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