はい。悩んでもしゃあないので一気に進むよ。
コメントは素直に嬉しいのでどんどんください!泣いて喜びます。
誤字脱字報告は泣きながら土下座して修正します。
ナグサさんとの邂逅からしばらく後……また私はアヤメさんを遠目で観察していた。
あっ、ちゃんとナグサさんの許可は取りましたよ?許可が出るとは思いませんでしたが。
あれから思う所があったのか、ナグサさんのアヤメさんへの対応が少し変わった気がするけど……あまり効果は出ていないどころか悪化しているまである気がする。なんで……?
それはさておき、彼女を観察していると、笑顔のはずなのに、笑っているのに、苦しそうにみえる。
これは内心を知っているから?普段の彼女を知っていたら私も周りの人間のような反応をしていたのかな?と変な考えばかりよぎってしまう。
今日は珍しく夜中まで観察していたが……そこで異変が起きた。急に虚空に向かって銃を連射したのだ。
「え、何してんの!? 周りに誰もいないけど……!?」
あまりに突拍子もない行動に思わず言葉が出たが、その疑問に誰かが答えてくれるわけでもなく……
銃を連射していたアヤメさんは気付けば何もない所に銃を向けて、見えない何かと会話しているような動きをしていた。
「──? ──!」
駄目だ……何を言っているか聞き取れない。でも異常事態なのは分かる。これは早めに干渉した方が良いと思う。
(どうしよう……?と、とりあえずナグサさんに連絡を入れておこう)
そう思った私はナグサさんにアヤメさんの様子がおかしい事と居場所を連絡し彼女に近づいた。
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近づいて分かったのは、近くに人の気配は無く、居るのはアヤメさんただ一人だ。それは分かっているのにそこに何かが居るとしか思えない……演技ではないのは一目瞭然だ。
「どうして百蓮が効かないの?! そんな……私は……でも、ははっ……」
ある程度近付いた辺りでそんな事を言っているのが聞こえてきた。
百蓮……?って確か歴代の委員長が代々継承しているあの異様な銃のことよね?詳しく聞いてないけどそんなに特殊な銃なの?……いやいや疑問に思っている場合じゃないね?さっさと止めに入ろう。
そう思った気配を隠すのを止めてアヤメさんのすぐ近くまで向かい、声を掛ける事にした。
「アヤメさ──」
パシュン!!
「ひゃあっ!!」
声を掛けた瞬間私に向かって銃を発砲してきた……ちょっとかすった気がする。
「え、サリさん? ここで何を……」
「こっちのセリフです! いきなり撃ってくるなんて!」
ようやく私を認識したのか少しズレた質問をするアヤメさんに突っ込む私。アヤメさんはというと何が起きてたのかいまいちわかっていないという様子。
「……あれが見えなかったの?」
「あれ……? 私からはいきなり何もない空間に銃を撃ち始めたようにしか見えませんでしたよ? 一体何が見えていたっていうんですか?」
「……私」
「はいぃ?」
何言ってるのこの人?自分を撃ってたって?正気?って言いたいけど嘘をついているようには見えないし……
「とりあえず銃を下ろしませんか? お話くらい聞きますよ?」
「え? ……うん、分かったよ」
そう言って私達は近場の自販機で飲み物を購入した後、ベンチに腰掛け話始めた。
「さっきはごめんね? 急に銃を撃っちゃって」
「それは別に大丈夫ですよ? 怪我も無かったですし……結局何を撃っていたんです? 自分って言ってましたが」
「それは……私もよくわかんなくて」
普段の彼女とは程遠い、消え入りそうな声だ……余程メンタルに来ている様子。
「う~ん? そういえば百蓮がどうとかって言ってましたよね?」
「あぁ、そう……百蓮。これは百花繚乱に代々受け継がれている幽霊を捕らえる事ができる銃……なんだけど──」
そういうアヤメさんは百蓮について詳しく説明してくれた。
曰く大預言者クズノハの作り出したとんでも武器。怪談と呼ばれる超常現象に唯一対抗できる退魔の武器らしい。怪談に対して普通の銃を使用しても、ホログラムを撃った時のように弾がすり抜けてしまうんだって。
ちなみに百蓮はその特殊性からか使いこなすためには銃に認められる?必要があるらしく、扱える者が百花繚乱の長として相応しいって言われているらしい。
「そんな百蓮だけど……私はさっき、怪異に対して使用したのに効かなかった。それがどういうことか分かる?」
「うーん? 話を聞くに相応しくないって言いたいんですか?」
「そう……皆に頼られる百花繚乱の委員長がまさかの百蓮を使う資格が無かったって笑えるでしょ?」
「……」
「でも……おかげでなんか心が軽くなったんだ? 笑えるでしょ?」
「やっぱり辛かったんじゃないですか」
「え?」
そういう私に疑問の目を向けてくる彼女。ここの選択肢を間違えたらきっと彼女は遠くに行ってしまうと、そんな予感がした。一人の人生が私の発言にかかっているような……世界を背負っているようなそんな重さが私を押しつぶそうとしている……そんな感覚がした。
「この際だから私に全部ぶつけてみたらどうですか? 周りの人間よりかは話しやすいんじゃないですか?」
「……」
「どうして何も言わないんですか? 言わずに察してもらおうとしてません?」
「そんなわけないでしょ!」
私の煽りに火が付いたのか声を荒げたアヤメさん。ようやく心の内が聞けそうだと少し喜んでいるのは変だろうか?
「私が何かやるたびに周りは私を持ちあげて! それが私だと言うようになって! 流石だなんだと言われて! 少し私が疲れているときにはいつもの私じゃないなんて言ってさ? 私の何を知ってるっていうの?」
「それで……?」
「それでグチグチ言われるのが癪に障ったからすこーし笑顔を作って人と接してたらいつもの私だなんて言っちゃってさ?やっぱり何も見てないんじゃないか!」
「うんうん……」
「皆が求めているのって何に対しても笑顔な百花繚乱の委員長で私の事を見ようとしてる人なんて誰も居ないんじゃない! 私って一体何なのさ?」
とめどなく流れる鬱憤……その多くはしっかり者を演じているのに疲れたというもの……本当の自分はこんなんじゃない本当の私はこうで今までの私は偽物なんだってそう言っているが──
本当にそうなのだろうか?人ってそんなにしっかり区別できるものなのだろうか?
「今までの自分は全て偽物……本当にそう思う?」
「え?」
「誰にでも明るい人間だったのは全て嘘? それは極論なんじゃないかなぁ?」
「どういう事?」
「演技ってそんな万能な物じゃないと思うよ? 結局自分の性格が色濃く反映されるものなんじゃないかな?」
「……性格?」
「そうだよ? 人の役に立ちたいとかさ? 辛そうにしてるのがほっとけないとか……誰かに認められたいとか、そういう心はある?」
「それは……あるかもしれない……けど」
「つまり仮面を付けている自分も自分なんじゃないかなぁ? これは予想だけど、人の役に立ちたいからってそう前向きな理由で行動してたんでしょ?」
全て偽物の訳が無い。それは私自身、気味悪がられない様に明るく振舞ったり、私の不思議な力を使う時は表情を作ったりとそんな経験があるからこそ言える。
……少し恥ずかしいけど、私の行動の多くは自分がこういう時、こうやりたかったからっていうところから来てる。取り繕っているときでもそう。
そもそも溜め込むと爆発するのが分かっているから、嫌という程見てきたからこそ長く関わる人にはだらけた姿を見せるの。こういう一面があるぞと、しっかりしてるだけではないんだぞってそう言いたいから。
つまりこの場合は──
「ここまで悪化した原因ってアヤメさんにもあるのわかりますか?」
「私に? なんで? こうなったのも全部……」
「今までの人生って何でもかんでも自分一人でこなしてきたんじゃないですか?」
「それは、その方が早いし楽だったし……」
「誰かに任せるより楽って……無意識に他人を下に見てないですか? アヤメさん……」
「は?」
「そう受け取られても文句は言えないと思いますよ? ともかく誰かに任せることも頼ることもできたはずですよ? なのにさっきの考えのせいですべて一人でやって、疲弊して、嫌になって……聞いててどうです?」
「……」
「頼ることをしたことが無いから仕方ないんでしょうが……誰かに話せばいいじゃないですか! 友人、親友、幼馴染にでも。 結局誰にも言わないからそれが素だと思われるんですよ」
「それは……だって……」
「どんだけ優秀な人も所詮人ですよ? なんです? スーパーヒーローでも目指しているんですか? それとも頼られない自分に価値なんてないとか思ってます? もしそうならホント似た者同士ですね?」
「え……?」
「プライドがそれを許しませんか? それとも自分の価値が無くなりそうで怖いんですか? 断言します、それはあり得ないって。変化が怖いのか何なのかは知りませんが、そんなにその立場から離れられないなら──ナグサさん?」
そう言った瞬間、アヤメさんは凄く驚いた様子で周囲を見渡す。
近くの木陰からゆっくりと近付いてくる人影。白い肌に白い髪が月明かりに照らされ幻想的に輝いて見える。まるで童話に出てくる雪女のようだ。
「アヤメ……私は……いや、ごめん。今まで気付かなくって」
「ナグサ!? いつから!?」
「アヤメさんが鬱憤を口に出していた辺りからでしょうか? 今の貴女を助けられるのは、きっと彼女だから。 私はあくまで……そこまでの道案内ってところでしょうかね?」
部外者が出来るのはきっとここまで。今までナグサさんならきっと意味が無かったし、アヤメさんも何も言わずに勝手に落胆して更に塞ぎ込んでいたと思う。ここまでしてあげたんです。どうにかしてくれないと困る。
「アヤメ、私は今まであなたに甘えていた。近くで手を伸ばしてあげるっていつも笑顔で私の先を照らしてくれていたあなたに」
「ナグサ……?」
「だけど、それに甘えていたことが重荷になっていた事に今まで私は気付けなかった。……アヤメ? 今もまだ委員長であり続けたい?」
そう聞いたナグサさんに何も答えることができないアヤメさん。
それはそうだ。彼女からすれば今までの人生を捨てられるかと言っているようなものだろうから。
少しの間のあとナグサさんはこう言い放った。
「アヤメ? 私はもう迷わないよ……自分のやりたい事は自分で決める事にしたから」
「え?」
「あなたに、継承戦を申し込む。その仮面をすべて剥がしてアヤメを救って見せる。」
「……!」
驚いた表情を見せたアヤメさんは、少しの笑顔を見せた後、真顔になり少し侮った声色で──
「出来るの? 今まで負け続きのナグサに?」
と言って見せた。やっぱり無意識に人を下に見ている気がする。プライドが高いのか?負けず嫌いなのだろうか?
「やって見せる。もしダメでも何度でも挑んで見せる。でも、今までと一緒だとは思わないで」
これからどうなるかは私には分からない……だが今は少なくともお互いがお互いをちゃんと見て話をするはずだ。話し合えるならきっとこじれる事は少ないだろう。今までは誰にも話さず抱えた結果の産物だろうから。
「ふふっ、これ以上は私はお邪魔ですかね? そろそろ帰──」
「「何言ってるの?」」
「ふぇ?」
その場を離れようとした私の肩を掴んでくる二人……え?私必要ないよね?
「これ以上は私要らないですよね? 後日お話を聞こうかなとか思っていたんですけど!?」
「散々言ってくれたんだから……」
「この立ち合いに付き合ってもらうよ?」
「えぇ───!」
私はこの後、この世の物とは思えない戦闘を見る事になった。壁走りや三連宙返り……残弾が空になったライフルを杖のように使い相手を拘束しようとしたり……世界が広い事を痛感させられた。
そして私はそういう人達に生意気なこと言っていたんだと自分の行いに恐怖した。
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あれからしばらく後……私は百花繚乱の部室で話を聞いていた。
いや!何もしてないよ?百花繚乱にも入っていないよ?何でか時々呼ばれるようになって……良いのかな?私がここにいても?まぁ、二人が許可してるならいいかぁ。
「あんだけ決め台詞吐きながら負けてんじゃないよ……!結構ギリギリだったけど」
「だって……アヤメぇ……」
「まぁまぁ……」
毎回こういう会話から始まるわけですが……回数を重ねるごとにアヤメさんがだんだん口が悪くなっているのがある意味、この集まりが安らぎの場になっているようで私としてはすこし嬉しい。
あれから何回かナグサさんはアヤメさんに挑んでいるようだが……あと一歩のところでいつも負けているらしい。しかしアヤメさんの反応を見る限り、いつ負けるか分からないくらいギリギリなようで……焦りを誤魔化すようにナグサさんに当たっている様だ。
だからそれがナグサさんの気弱さの原因だって何回も──
「──でも次は勝てるかもね?」
「はっ! 寝言は寝て言ったら?」
凄いドヤ顔でそう言い放ったナグサさん。それに対して挑発するようにアヤメさんは返す。
この様子を見るに大丈夫かぁ……だったら──
「アヤメさんはその後どうするんですか?」
「え? 私? その後かぁ……まぁ副委員長になるかなぁ?」
「へぇ~意外です。 てっきり百花繚乱を辞めるのかと思ってました」
「私も最初思っていたんだけどねぇ……言われて気付いたんだけど、結局人の役に立ちたいのは変わらないから」
「そうですか。 ならもしナグサさんが百蓮を扱えたとしても、拗ねないでくださいね?」
「それは無理!」
「アヤメ!?」
「アヤメさん!?」
アヤメさんがあまりにもスパッと言い放ったので、二人は思わす声を重ねてツッコんだ。
「なんで私は使えなかったか聞きに行くから、ナグサも連れて」
「え? でも……きっと私も疑問に思うからその時はついて行くね?」
「聞きに行く……? 誰に?」
疑問に思っている私に彼女たちはこう言い放った
「クズノハ様に」
頭が真っ白になった。何年前の人だと思ってるのよ?
「いや、いやいや……会えるわけ──」
「あくまで伝承だけど会えるって言われている場所があるの」
「……そっかぁ」
私は思考を放棄した。だって目が本気なんだもん。
現実逃避をするように淹れてもらったお茶を飲み、ナグサさんに貰った焼き鳥を食べながら、今度イズナちゃんとミチルっちをモフって癒されようかなぁ……なんてことを考えながら笑顔で二人のじゃれ合いを眺めていた。
……ナグサさんは何でいつも私に焼き鳥を?美味しいから良いけど。
あとがき
「百花繚乱編二章は起きなくなった……はず」
どうでしたか?だいぶ駆け足でしたが、だいぶ健全な幼馴染の関係に戻ったと思われます。
キャラについて
・ナグサ
サリの連絡で急いで現地に向かうと、感情が爆発している姿を目撃しサリの言っていたことが本当であったことを知る。そして話を聞きながらアヤメに対する盲信が無くなっていく。
幼馴染故の遠慮の無さでアヤメを時々怒らせるが、今までの取り繕っている姿より好ましいから行動を顧みるつもりは無い。やりすぎで良くボコボコにされてるけど「これはこれで……」って思い始めており、周りに咎められている。
・アヤメ
百花繚乱のモブたちへの対応はそこまで変わらないが、一部の人間(レンゲ、キキョウ、ナグサ)への対応が変化。特にナグサには辛辣な態度をとるようになった(上記参照)そのお陰か、周りの評価も若干変わっており、何でも任されてた状況からアドバイスを求められる位にまで緩和されてメンタルは回復傾向にある。
ちなみにナグサに心境を一部の人間にバラされており二つ返事で承諾し一人で解決しようとすると怒られるようになった。ナグサがその後どうなったかは言うまでもないだろう。
サリへの印象
・ナグサ
隠れてアヤメを監視していた関係で最初は敵対視していたが、その後に理由を聞いた上に自分の考えや不安を見抜かれ信じる事にした。自分より大人であるという印象は持っているがあの時のおねだりが効いているのか自分がお姉ちゃんであるという振る舞いを見せるようになっている。
ちなみにサリのおねだりと喜んでる姿はぶっ刺さったらしく……時折サリを部室に呼びつけては焼き鳥を食べさせているが、困惑の表情と向けている事に対し首を傾げている。
・アヤメ
最初は何者か分からず警戒していたものの、誰より自分を見てくれたこと。自分の悪い点を教えてくれたことを含めて頭が上がらない。とても自分より下とは思えないけど自分自身周りの評価が原因で苦しんだ経験もありちゃんと評価しようと心掛けている。時折見せる無邪気な笑顔に心を撃ち抜かれている。
ナグサがサリを部室に呼んでいることに対して大丈夫か?って気持ちはあるが、自分自身癒しの時間になっているので特に何も言わない。